私たちが生きる上でなくてはならない食品や飲料。食卓や飲食店でテーブルに上がるまでには、私たちの見えないところで多くの方が関わっています。その分、食品や飲料に携わる仕事がしたいけれど、どのような仕事があるのかわからないという方もいるかもしれません。
本記事では、食品業界の仕事、そして実際に食品業界で働く人々の生の声をご紹介していきます。就職活動の情報収集にぜひ活用してみてください。
「食品業界」とは?どんな仕事や職種があるの?
食品業界と聞くと食品メーカーを第一に思い浮かべる方が多いと思いますが、食品業界内にはさまざまな企業が存在しています。ここでは食品業界の大まかな分類と職種の一例をご紹介します。
▶食品業界の分類
・一次産業(農業/水産業 など)
野菜や果物、肉や乳製品などの農産物、魚介類や海藻など水産物の生産を行います。
一次産業の職種例:農場経営(農家)、畜産家、漁師、養殖業者 など
・原材料メーカー
食品の製造に使用する材料や成分など、原材料の製造を行います。原材料は小麦粉や牛乳、砂糖や香辛料、調味料や食品添加物などが挙げられます。
原材料メーカーの職種例:商品企画、研究・開発、生産技術、生産管理、製造、調達、品質保証、営業、広報/PR、法務/知財 など
・加工食品/飲料メーカー
原材料や素材を用いて食品や飲料などを製造します。
加工食品/飲料メーカーの職種例:商品企画、研究・開発、生産技術、生産管理、製造、調達、品質保証、営業、広報/PR、法務/知財、EC担当 など
・飲食品包装容器メーカー
飲食品を包装したり飲食品を入れる容器を製造します。
食品包装容器メーカーの職種例:商品企画、研究・開発、生産技術、生産管理、製造、調達、品質保証、営業、広報/PR、法務/知財 など
・食品加工機械/システムメーカー
加工機械、生産や販売を管理するシステムなどの開発、生産を行います。
食品加工機械やシステムメーカーの職種例:企画、エンジニア、デザイナー、営業、カスタマーサクセス、マーケティング、カスタマーサポート など
・卸業/商社
メーカーや生産者から商品を仕入れ顧客や小売業者、飲食店などへ販売します。
卸業/商社の職種例:営業担当、バイヤー、在庫管理、物流担当、事業企画 など
・小売業
仕入れた飲食品を消費者へ販売します。
小売業の職種例:販売スタッフ、店長/マネージャー、SV、バイヤー、商品企画、マーケター、EC担当 など
・飲食業
レストランやカフェ、居酒屋など、消費者に対して食品や飲料を提供します。
飲食業の職種例:ホールスタッフ、調理スタッフ、店長/マネージャー、マーケター など
食品業界をめざしたきっかけ・動機
食品業界をめざす就活生も、その理由はさまざまです。きっかけには次のようなものが挙げられます。
・人の生活に密接に関わる仕事がしたい
生きる糧としての飲食料品、嗜好品としての飲食料品など、食品業界は人の生活に密接に関わる業界です。人の生活になくてはならない仕事や、人に楽しみや喜びを提供したいという想いから食品業界に入る方も多いでしょう。
・日常生活で目に触れる商品に関わりたい
飲食料品はスーパーやコンビニなど小売店でも販売されているため、自分自身が携わったものを日常生活の中で見ることもできるでしょう。また、消費者が実際に手に取る姿なども目にすることもあるかもしれません。
・新商品を開発したい
より美味しい商品、新しいフレーバーなど日々新商品がでています。新しいものを世の中に生み出したいという方も多いのではないでしょうか。また近年は、大豆ミートのような環境に配慮したり、食の多様性を支えたりする植物性の代替品などにも注目が集まっています。食品業界の未来を作る仕事の一つになるでしょう。
・食べることが好き
食べることが好きだったり、好きな商品があったりと、そういった背景から食品業界を志す方も多いかと思います。食への興味が商品開発や、より良い商品を消費者に届けたいという想いにつながることもあるでしょう。
食品業界で働く人々のリアルな声
実際に食品業界で仕事をする方々はどのような想いで食品業界に足を踏み入れ、キャリアを歩んでいるのでしょうか?食品業界で働く方々の声をピックアップしました。
※ 記載の情報は記事公開当時の内容です
▶︎池田糖化工業株式会社
事業内容:中間原料品メーカーとして新たな加工用原料や食品素材の開発研究を行う
*ストーリー:安全・安心な素材開発をめざして──池田糖化にしかできない技術で「食」シーンを盛り上げる
・新卒入社
・仕事内容:フリーズドライの即席スープ、ふりかけやお菓子への練り込み用などの具材の開発を担当
・きっかけ:
松井さん 「お菓子を食べたときに味わえる幸せのように、日常の中で感じられる喜びみたいなところが『食』にはあると思っています。そういった幸福感を提供できるような、一部でも開発できるような仕事に就きたいと考えて、日常に欠かせない食に携われる食品業界を選びました」
・やりがい:
松井さん 「全国的に有名な食品メーカーのお菓子のトッピング原料として採用いただいたことが、何よりもうれしかったですね。当社の業態上、周りには言えないのですが、本当にたくさんの消費者の皆さまに手に取ってもらえる商品を作り上げることができて感慨深いです(中略)
スーパーやコンビニなどに行ったときに、陳列棚に並んでいる商品を見て『あ、これうちの製品を使っていただいているものだ!』と感じる機会があって密かにうれしくなることがあります」
▶︎株式会社ウェルカム
事業内容:小売及び飲食業を通したライフスタイル事業、輸入食品および加工食品等の製造・販売、カフェの運営
*ストーリー:バランスを取りながら、ブランドを前進させる──幸せな職場の作り方
・2012年アルバイトとして入社
・仕事内容:ARHグループ(レストラン事業)3ブランドのシニアマネージャー
・きっかけ:
鈴木さん 「4年間のアルバイトを通して、接客のやりがいや楽しさを感じ、外食だけではなく他の世界も見てみようと思い、アイウェアブランドへ入社しました。外食とはまた違った楽しさややりがいもありましたが、『完成した商品を販売する=自分の力ではないのではないか』と思い、再度外食業界で働きたいという気持ちが大きくなっていきました」
・やりがい:
鈴木さん 「一人ひとりのメンバーが、自分らしくのびのびと働ける幸せな職場をつくりたいと考え、仕事を進めています。最終的にお客様と直接関わっていくのは、お店のメンバー達ですから。入社したブランドに愛を持ってお店に立てるように、商品やブランドの道を作っていけるようにしています。
それに私自身が、ウェルカムグループが大好きなんです。メンバー全員が自分と同じマインドで働くことは難しくても、“好き”という気持ちを持ちながら働ける場所をつくれたら嬉しいですね」
▶︎株式会社エコス
事業内容:食品スーパーマーケットチェーン
*ストーリー:これが私の選択──生まれ育った地元・地域に食を通じて貢献するということ
・2016年新卒入社
・仕事内容:惣菜部門のチーフ職
・きっかけ:
飛澤さん 「その背景には、学生時代に地域の方の健康について関心を抱いた経験も影響しています。病院では健康に気遣わざるを得ない方たちを栄養面からサポートするわけですが、普段の生活の中から健康に気をつけようという人を地域でサポートする『健康保険センター』という機関の活動にも興味があったのです。形は違えども、スーパーは食を通じて地域の人の健康に貢献できる仕事だと直感したことも大きかったですね」
・やりがい:
飛澤さん 「日々仕事をしている中で、嬉しいのはお客様から、『この間この商品を食べておいしかった』と直接お声がけいただけることですね。
お客様が以前置いていた商品を探されていたことがあり、商品の入れ替えでやむなく置けなくなったことをお伝えすると、『おいしかったから好きだったんですよ。次に出るのを楽しみにしています』とお言葉をいただけたこともありました。直接、お客様からいただける声は励みになりますし、仕事のやりがいにつながっています。
来店されるお客様の数から考えて、直接お声がけくださる方のほうが少ないため、いただいた言葉はよく覚えていますね。自分の仕事が誰かの楽しみにつながっていると実感できる素敵な瞬間です」
▶︎東洋製罐株式会社
事業内容:製缶・製蓋機械や飲料充填設備などの製造販売、飲料充填品・エアゾール製品・一般充填品(液充填製品)の受託製造販売、貨物自動車運送業や倉庫業など
*ストーリー:工場を自分で動かしていることを実感──SCM一筋で働く理由
・2013年新卒入社
・仕事内容:SCM(サプライチェーンマネジメント)部SCM課
・きっかけ:
坂本さん 「生産管理の仕事がしたいという強い想いを持って、就職活動をしていました。きっかけは大学で受けた生産管理の講義。多くの学生がエンジニアを志す情報系の学部に所属していましたが、多種多様な講義があり、SEのプログラム系の講義よりも生産管理の講義の方が楽しかったのです。そしてせっかくメーカーに入るからには現場の近くで仕事がしたいと思い、製造と密に関わるSCMを希望しました」
・やりがい:
坂本さん 「SCMは『工場を動かしている』という実感が湧く部門です。自分の立てた生産計画の通りに現場が動き、それに付随して品質部門や工務部門などの間接部門も追従して動いていく。まさに工場全体を動かしているという感覚で、動かす人や範囲が大きいことがやりがいにつながっています。
その感覚は本社に来て、さらに大きさを増していて、全国の工場に対して全体感の指針を出すことに、背負うものの大きさと責任を感じています」
▶︎日清丸紅飼料株式会社
事業内容:畜産飼料事業、水産飼料事業
*ストーリー:「日本の食卓を縁の下で支える会社」に新卒入社。人事担当として成長した2年間の軌跡
・2020年新卒入社
・仕事内容:人事担当
・きっかけ:
阿部さん 「私が就職活動中に軸としていたのは、『事業内容に興味があるかどうか』『一緒に働く人が魅力的かどうか』のふたつ。大学では採卵鶏の研究をしていて、研究室で日清丸紅飼料の飼料を使っていたこともあり、当社の事業内容には大学時代から関心を持っていました。
飼料を研究する道に進むことも考えましたが、私としては、勉強したいことと仕事はまったく別物だと捉えていたんです。また、大学ではラクロス部のマネージャーをしていて、選手を陰ながらサポートすることにやりがいを感じていました。そうした自分の性格・得意なことを活かせる仕事を自分なりに考えた結果、興味を抱いたのがバックオフィス部門でした」
・やりがい:
阿部さん 「日清丸紅飼料という会社は、一般消費者にとってはあまり馴染みがないかもしれません。でも実は、国内で消費されている食肉や卵をはじめ、多くの食材の生産過程に私たちの会社で作った飼料が使われています。だからきっと皆さんも、これまでの人生の中のどこかで私たちの製品と間接的に関わってきているはず。食品メーカーのような華々しさはありませんが、日本中の食卓を縁の下で支えている会社であり、そこに携われるのが一番のやりがいでもありますね」
▶︎株式会社明治
事業内容:牛乳・乳製品、菓子、食品の製造販売等
*ストーリー:違いを認め合い、シナジーを生み出す。タイを拠点に日本のおいしさと健やかさを世界へ
・2012年新卒入社
・仕事内容:タイ明治フードに出向し、粉ミルクや機能性食品などの輸入販売業務に携わる
・きっかけ:
橋村さん 「大学時代はリベラルアーツを専攻。国際教養を学びました。国際的な場にふさわしいコミュニケーション・スキルを身につけることがテーマとなっていて、留学が必須。そのためオーストラリアに1年ほど留学しました。
オーストラリアで感じたのは、日常的に食べる食事が、あまり口に合わなかったこと。日本では100円でおいしいものを見つけることができますし、コンビニはおいしい食べ物で溢れています。日本で生まれ育ったために当たり前になっていましたが、日本の食文化がいかに素晴らしいかを海外に出て初めて思い知らされました。
それ以来、『海外に日本の食文化の素晴らしさを伝えたい』という想いから、日本の食品メーカーに入社したいと考えるように。そんな想いを軸にして就職活動を行い、当社と縁があって現在に至っています」
・やりがい:
橋村さん 「文化的背景の違いや考え方のギャップへの適応には今も苦戦していますが、タイで販売戦略に取り組むおもしろさも、まさにそこにあると感じています。日本で行ってきたことをタイでも横展開するのではなく、異文化ならではの要素をうまく組み合わせることができれば、シナジーを生み出せると考えているからです。
しかし、それを実現するのは簡単なことではありません。根本的な考え方の違いを理解し合えないまま日本式のやり方で進めてしまえば、現地社員の不満が募るだけ。タイの文化や商慣習を勉強しつつ、何をするときもまずこちらの考えを丁寧に説明して理解を得るよう心がけています」
今回ご紹介した企業やストーリー以外にも、食品業界にはさまざまな企業や仕事があります。また、どの企業も強みや特色を持っているため、ご自身の興味や目標などに合わせて企業を選ぶこともできるのではないでしょうか?ご紹介したストーリーをヒントに、さまざまな視点で食品業界について理解を深めてみてください。
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