製品の未来を担う方向性を決める。本社SCMのミッション

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2023年4月現在の仕事内容は、飲料PB事業の「需給業務」と「将来構想」の大きくふたつに分かれます。需給業務では、全社的な生産計画を立て、それに基づいた在庫の適正ポジションが正しいのかどうかなどを管理。将来に向けて、ラインの統廃合や新規事業を計画する将来構想も、坂本の業務です。

坂本 「会社の方向性を決める一端を担っています。生産や拠点の効率、販売エリア、人員などさまざまな情報を吸い上げた上で、最も効率が良く、将来的に最も会社の利益に貢献できるであろう道筋を示すことが、課のミッションと考えています」

今までは工場でSCM(サプライチェーンマネジメント) 業務を行っていた坂本。本社に異動し、その役割の違いを感じています。

坂本 「工場のSCMと本社のSCMの大きな違いは、見ている時間軸のスパン。工場の場合、需給業務を切り取ると基本的には日次・月次、長くても1年先程度までの時間軸です。しかし、本社の需給業務に関しては短くとも月次、半年、そして年次で3年後・5年後という長期スパンで管理します。

また、見ている範囲も異なります。工場のSCMは自分が所属している工場だけの需給を管理することが仕事でした。しかし本社の場合、飲料PBを生産している全国の工場、つまり全体の需給を把握する必要があるのです」

本社SCM部SCM課の飲料PB事業に関しては、直属の係長とともに2名で業務にあたっています。坂本が普段コミュニケーションを取っているのは主に横浜・久喜・埼玉・静岡・大阪・広島・基山の7工場にいるSCMの担当者。数多くある製品種それぞれの市場の動きや需給の動きに合わせて戦略を変え、それを細かく各工場の担当者と連動しています。

坂本 「他部署との連携も大切で、最も会話をするのはブランド担当ごとに分かれている販売部の販売情報を取り纏めている営業統括室。営業統括室が各販売部より情報を吸い上げ集約した営業情報を基に、需給シミレーションを行い、関係部署へ展開し、需給対応する為の方向性を定めます。

次に多いのが工務部。新たな設備導入などの際には費用面を含めて相談しますし、各工場で発生した需給逼迫ラインでのトラブルの際は、需給状況をSCMから共有し、復旧までのリミットを伝えた上で、工務部から復旧情報を共有してもらい、復旧後の需給対応をどうするかの検討を行います」

需給業務も大切ですが、事業の未来を担う方向性を決めることが、本社SCMならではの重要な任務です。

坂本 「工場は『製品の納期を絶対に守る』ということが絶対的に重要。もちろん本社のSCMも大切にしているのですが、それ以上に重要なのは将来構想です。目先の需給が間に合うことは当然とした上で、『この事業をどう伸ばしていくべきなのか』『どのように会社の利益を出していくべきなのか』を考えることが、私の役割です」

全体の戦略を考えられる生産管理に惹かれて。SCMを希望し入社

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坂本は2013年に大学を卒業後、東洋製罐へ入社。ほかの同期が営業や人事を希望する中、SCMを希望していました。

坂本 「生産管理の仕事がしたいという強い想いを持って、就職活動をしていました。きっかけは大学で受けた生産管理の講義。多くの学生がエンジニアを志す情報系の学部に所属していましたが、多種多様な講義があり、SEのプログラム系の講義よりも生産管理の講義の方が楽しかったのです。そしてせっかくメーカーに入るからには現場の近くで仕事がしたいと思い、製造と密に関わるSCMを希望しました」

生産管理に最も魅力を感じたのは、「全体の戦略を考えられる」という点です。

坂本 「納期という絶対に守らないといけない最低限の目的に対して、どういうアプローチをするか、どういう計画を組むかは、担当者に委ねられます。担当者が10人いれば、計画の組み方はそれぞれです。納期を守ることは最低限とした上で、製造の効率や物流費等、何を重視するのかによって多彩な切り口があり、ある程度自分の色を出せることに、おもしろみを感じました。

そして『最も効率が良い』と自分で計画を立てたものが、最終的には在庫の推移、ひいては物流費などの数字として表れてくる点も、SCMの魅力です」

本音を言うと生産管理の仕事がしたかったため、つくるモノに対してはこだわりがなかった坂本。東洋製罐に入社した決め手は「人」です。

坂本 「選考の途中で座談会が開かれ、そこでお会いした先輩社員の表情が生き生きとしていたことを良く覚えています。そして生産管理の仕事がしたいという私のやる気を削ぐことなく、『やろうと思ったらやらせてくれる会社だよ』と言ってくれ、人の良さを実感しました。当時も今もそうですが、どんなに仕事が大変でも周りの人に恵まれていれば頑張ることができますし、働く環境や人は大事だと考えています」

入社後は希望通りSCM課に配属され、久喜工場でSCMの基礎を習得。そして2022年9月に本社へ異動しました。

坂本 「異動希望を出していたわけではありませんが、『本社に行ってもっと知見を広げた方が成長につながる』と周りからアドバイスをいただいていたので、ゆくゆくはと考えていました。まだ本社に異動して月日が経っていないものの、呼んでいただいて良かったと強く感じていますね。

見ている視野も変わり、新たな発見も多く、日々新鮮に仕事ができています。現在の上司など、経験豊富な人の近くで働くことで刺激を受けることも多いです」

毎日がおもしろい。自分が工場を動かしていることを実感

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努力を重ね、好きな仕事を全うしている坂本。SCMの仕事に強くやりがいを感じています。

坂本 「SCMは『工場を動かしている』という実感が湧く部門です。自分の立てた生産計画の通りに現場が動き、それに付随して品質部門や工務部門などの間接部門も追従して動いていく。まさに工場全体を動かしているという感覚で、動かす人や範囲が大きいことがやりがいにつながっています。

その感覚は本社に来て、さらに大きさを増していて、全国の工場に対して全体感の指針を出すことに、背負うものの大きさと責任を感じています」

坂本にとってSCMの仕事は「毎日がおもしろいもの」。日々の事柄に対して向き合い続けることが、SCMの魅力です。 

坂本 「SCMという仕事の中で『変化がない日』はほぼありません。ライントラブルが起きたり、販売の変動があったり、基本的に日々何かを修正する必要があります。大小なりとも生産予定を変えていく中で、毎日『自分の影響力の大きさ』を実感しています」

トラブルが発生したときは、動き方次第では現場が止まってしまうことも。すべて自分次第で、工場が動きます。

坂本 「私が躊躇してしまうと当然現場もどうしていいかわからないですし、それに追従するほかの部門も困惑してしまいます。そのため状況を把握し、いち早く計画を立て方向性を打ち出した上で『どうするかみんなで考えましょう』と提案し、トラブルに対応しています」

入社5年目ごろからは相談されたり、新しい仕事を振られたりと周りから認められ、今では頼られる存在として一目置かれている坂本。連携が重要なSCM業務で、坂本が最も大切にしているのは「レスポンスを早くすること」です。

坂本 「何か依頼されたときに納期が提示されればその納期は守り、仮にその納期が難しい場合には『難しい』とすぐに回答するようにします。

また、長くかかる仕事は、途中経過を相手にフィードバックしてあげることも意識しています。依頼した相手もその納期までモヤモヤしなくて済みますし、逆に早く出してあげられたら、相手の求めているものと齟齬があった場合に修正する時間が取れますよね。良い信頼関係をつくる上でも、大切だと考えています」

めざす道はひとつ。後輩を育て、SCMとしてキャリアアップを図る

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直近の目標は本社での環境に慣れることですが、将来的には後輩の育成も目標。工場で自分がある程度経験を重ねた後に入社した後輩を見て、「この子たちを一人前にしてあげないといけない」という気持ちが芽生えたと言います。

坂本 「今までは自分の成長ばかり考えていたところがあったと思います。しかし年齢を重ねてさまざまな人と関わる中で、私が自由に好きなことに邁進できたのは周りの人の支えがあったから、ということに気がつきました。SCMの担当者としてずっと働き続けたいというよりも上をめざし、今後は自分が支える側になりたいと思っています。若い社員を育て、彼ら、彼女らが仕事をしやすい環境をつくっていきたいです」

キャリアを考えると、別の部署への異動も選択肢のひとつ。しかし坂本が今見据えるのはSCMを極める、その道一本です。

坂本 「SCMとしてキャリアアップしていきたいです。SCMとして入社し、SCMとして育ててきてくれた人たちに報いたい。私がどれだけ成長できたかを見せ続けていきたいという気持ちを強く持っています」

東洋製罐で働く醍醐味は、坂本の入社理由にもなった「働く環境の良さ」。それは入社後もギャップなく、実感していると語ります。

坂本 「自分の力量がベースですが、力量が付いてきていれば手を上げると任せてもらうことができ、かつそれを周りも応援してくれる環境です。やる気を持って入社した人のやる気を腐らせないように周りの人が考え、見てくれています。

もちろん力量が届いていなかったらこうすれば次のステップに進めるといったアドバイスをくれて、習熟度が高まった上で次のステップに進ませてくれるといったバランスをとってくれる点も会社の良いところですね」

責任の大きさにやりがいを感じながら、SCM業務のプロフェッショナルをめざす坂本。周りとの信頼関係を構築し、将来を見据えて、重要な任務を今日も果たします。