日常生活でも馴染みのある小売業界。どんなお店があり、どういう仕事があるのか、イメージがつきやすい業界ではないでしょうか?その一方で、自分が仕事に就くとしたら……。と悩む方もいるのではないでしょうか?本記事では、小売業界の仕事、そして実際に小売業界で働く人々の生の声をご紹介していきます。就職活動の情報収集にぜひ活用してみてください。
「小売業界」とは?どんな業態や職種があるの?
生活をする中でも、多くのお店に訪れる機会があると思います。スーパーやコンビニ、専門店。さまざまなお店の形がありますが、どのような違いがあるのでしょうか?
▶︎小売業の業態
・百貨店
経済産業省の業態分類によれば、百貨店は衣食住など幅広い商品を販売しそのいずれも小売販売額の10%以上70%未満の範囲内にある事業所で、従業者が50人以上の事業所を指します。百貨店の建物内にいくつもの専門店が入っており、売り場ごとに店員がいて接客を受け、会計もその売り場で行われます。また、呉服屋や古着屋などを起源としている企業が多いことや、長い歴史を持つ企業が多いことも特徴です。
・スーパーマーケット
スーパーマーケットも衣食住にまつわる幅広い商品を販売していますが、百貨店と比較すると食料品や日用品などの消費財が中心となっています。また、スーパーでは客自身が商品を選び、最後にまとめて会計を行うのも百貨店との大きな違いです。
・コンビニエンスストア
スーパーマーケットと比較すると小規模ですが、企業が直接経営するチェーン店舗に加えて、フランチャイズ・チェーン方式で経営される店舗も多いのが特徴的です。また、店舗数も非常に多いこと、また24時間営業を行っている店舗が多く存在します。
・専門店(家電量販店、ホームセンター、ドラッグストア、アパレル 等)
百貨店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアとは異なり、家電や医薬品などを中心に取り扱う業態です。また、ドラッグストアでは薬剤師が在籍していたり、家電量販店にはメーカーから派遣された販売員が店頭に立っていたりと専門的な知識を持った方が商品の説明をすることもあります。
その他、ディスカウントショップや価格均一ショップなど特徴的なビジネスモデルを持った業態があります。
では、そうした店舗ではどのような職種があるのでしょうか。一般的には次のような職種があります。
▶︎小売業界の職種
・販売スタッフ
店頭に立ち、商品の説明や会計などを行います。アルバイトやパートタイムで働く人もいますが、現場を学ぶために新入社員が配属されることも多くあります。
・店長(店舗マネージャー等も含む)
販売スタッフの採用育成や管理、商品在庫や売り上げの管理などの店舗運営を担当します。
・SV(スーパーバイザー)
企業の本部に在籍しながら、複数の店舗を受け持ち、各店舗の管理や指導を行います。本部の持つノウハウや施策を伝えたり、逆に店舗の状態・情報を本部に伝えたりと、本部と店舗の中間に立つポジションです。
・バイヤー
店頭で販売する商品の仕入れや、商品を販売するための企画考案などを行います。市場や消費者のトレンド、お客様の反応などを収集・分析して商品の仕入れを行うなど、マーケティング的な思考が必要です。また、仕入れでは仕入れ先とコミュニケーションを行いながら価格交渉を行うなど、渉外的な要素も含まれます。
・商品企画
メーカーが販売しているブランド(ナショナルブランド)を仕入れるだけでなく、小売業の企業がオリジナルのブランド(プライベートブランド)を販売することも増えています。バイヤー同様に市場やトレンドを読むだけでなく、価格や性能などナショナルブランドとの差別化を図りながら商品を企画します。
・EC担当
オフラインの店舗に加えて、オンラインで商品を販売するケースが増えています。商品を広めたりSNSを運用したり、サイトの更新、在庫管理、発送業務など店頭での販売とは異なる業務が発生します。店舗メンバーが運営しているケースもあれば、ECを専門とする部署や事業部を置くケースもあります。
・人事/教育
小売業界では店舗数が多い企業も多いですし、アルバイトやパートタイムとして働く人も多く、人員の入れ替わりも多く発生します。そのため、常に採用を行っているケースも少なくありません。採用・教育共に各店舗で行うこともあれば、本部で採用や教育を担うこともあります。
・物流
店舗数が多い場合は、仕入れた商品を一時保管したり、各店舗へ配送したりする必要があります。店舗によって並ぶ商品の数や種類が異なるため、それらの管理も必要ですし、円滑に店舗へ配送するためのオペレーション構築も必要です。
小売業界を目指したきっかけ・動機
小売業界を目指す就活生も、その理由はさまざまです。きっかけには次のようなものが挙げられます。
・接客をするのが好き
学生時代にアルバイトで接客業を経験したことがきっかけで、接客ができる仕事を選ぶ方も多いのではないでしょうか。お客様が商品と出会う瞬間を目にしたり、お目当ての商品を購入できて喜ぶ姿を目にできたりと、自身の手で商品をお客様に届けることも一つの魅力です。
・取り扱っている商品が好き
服が好きだったり、本が好きだったり、家具が好きだったりと好きなものや憧れのブランドが好きで、それらを取り扱う企業へ就職する方も多いのではないでしょうか。
・お客様が喜ばせたい
自身が店舗を利用した時に良い体験をしたり、人が喜ぶ機会を自分自身の手で提供できることもあり、そこに価値を見出して仕事として選ぶ方も多いかと思います。
小売業界で働く人々のリアルな声
実際に小売で仕事をする方々はどのような想いで、小売業界に入り、キャリアを歩んでいるのでしょうか?小売業界のそれぞれの職種で活躍されている方々の声をピックアップしました。
※記載の情報は記事公開当時の内容です。
▶︎株式会社ウェルカム
事業内容:小売及び飲食業を通したライフスタイル事業、輸入食品および加工食品等の製造・販売、カフェの運営
*ストーリー:商品開発・統括が語る仕事へ真っすぐぶつかる熱い想い──100年続くブランドになるために
・2008年キャリア入社
・仕事内容:DEAN & DELUCA F&B部門商品開発チームの統括を務める
・きっかけ:
関東に転勤した高橋さんはある日、DEAN & DELUCAに商品を卸していた知り合いから「DEAN & DELUCAが商品を卸してくれるパン屋を探しているそうだから、会ってみないか」と誘われます。
高橋さん 「ウェルカムとの最初の出会いは『パン屋』としての商談でしたが、会社のさまざまな資料を見ていくうちに次第に惹かれていきました。DEAN & DELUCAって他にどんなことをしているんだろうと、自分の中の知的好奇心がくすぐられたんです」
当時、自身の行く先を考えていたという高橋さん。商談の数日後に当時の担当者に店舗の前で「パンではなく、僕を雇ってもらえませんか?」と自分を売り込んだと言います。担当者にはかなり驚かれたと言いますが、その後面接へと進み、2008年に入社。3カ月後にサブマネージャー、約半年後にはマネージャーとして六本木店に配属されました。その後もさまざまな店舗を任され、そのたびに苦労を味わいますが、果敢に向き合ってきたと語ります。
・やりがい
DEAN & DELUCAのMDに挑戦してみて「自分の天職はこれだ」と感じた高橋さん。しかし、その中でも忘れられないエピソードがありました。
高橋さん 「MDになって半年、1年で一番の繁忙期であるホリデーシーズンに向けて商品を選んだ時のことです。『売れる確率の高い商品』を選び、売り場を構成した結果、売上がバッチリ取れました!喜んだ矢先に上長からまさかの一言を言われました」
「つまらない売り場だ」。自分の中では成功だと思っていた企画に対しての一言に、驚きを隠せなかったと言います。
高橋さん 「正直、最初は頭の中が真っ白でした。うちへお買い物に来てくれるお客さまは『今日はどんな商品があるかな』というワクワクした気持ちで来てくれているのに、僕が作った売り場は『ただ売れる商品を集めた、魅力のない売り場』だということを伝えてくれたのだと思います。
MDの仕事はマネージャーの仕事とは異なり、『今ここにはない価値づくり』という観点で企画を作らなければならないということを学びました」
その経験を生かし「自分が伝えたい、ときめくもの」という想いから企画し、発案したのが「ツール・ド・フランス」というコンセプトの企画でした。
高橋さん 「食の王国フランスで、まだ見たことのない創業100年を越える地方の伝統的な作り手、日本未上陸の商品を全土から集めて紡ぎ、ストーリー仕立てに。最初は自分の信じたものを出すことが怖かったです。
でもそれが業績に結びつくと、自分が認められたようでうれしかったことを覚えています。自分が本当に伝えたいものを熱量をもって発信していくことが大切だと、あらためて認識する機会になりました」
▶︎株式会社エコス
事業内容:食品スーパーマーケットチェーン
*ストーリー:お客様にとって1番身近な存在へ──店舗をシステムから支える若手社員の想い
・2018年新卒入社
・仕事内容:本部にて新システムの導入やトラブル対応といった店舗のサポート業務を担当
・入社のきっかけ:
佐藤さん 「私は2018年に新卒でエコスに入社しました。もともと中学時代からスーパーマーケットに興味があり、いつか働いてみたいという想いは昔からありました。新商品が次々と生み出される様子、また人気商品を欠品させない仕組みや賞味期限の管理方法にも興味がありました。
そういったことから、就職活動の軸となっていたのもスーパー業界でした。近所のエコスグループ店舗で、昔は毎日のように母と買い物をしており、エコスには小さいころから馴染みがありました。中学や高校のころには、新商品が出るたびにチェックし、スーパーといえばエコスといえるほど、私にとって最も身近な存在でした。これが入社の大きな決め手にもなっています」
・やりがい
佐藤さん 「私はこれまで3つの店舗を経験しましたが、店舗では実際に商品が売れていく様子や、お客様の反応をダイレクトに見られるところにおもしろさを感じていました。また、お客様の増加を見込んで商品を通常よりも多く発注し、予想通りの結果が出たときも、仕事に対する手応えと楽しさを感じます。こうした経験によって、店舗の状況ややりがいを理解できるようになったことは今に活きていると思います。
現在の部署では、お客様と触れ合う機会は減ったものの、トラブルを解決した際に店舗スタッフから『ありがとう』といっていただくことが、自分のやりがいにつながっています。最近では自動発注システムに関する新たな取り組みも行っており、現場で培ってきた経験を強みに、さまざまなことにも挑戦していきたいです」
▶︎株式会社コメ兵
事業内容:中古品・新品の宝石・貴金属、時計、バッグ、衣料、きもの、カメラ、楽器などの仕入・販売
*ストーリー:入社1年目でポップアップのリーダーを経験!失敗を恐れず自らの手で未来を切り拓く
・2021年新卒入社
・仕事内容:KOMEHYO新宿店で販売業務とバッグの買取業務を担当
・入社のきっかけ:
大学の講義をきっかけに、ブランドが持つ背景やコンセプトに関心を抱くようになった小野瀬さん。そんな小野瀬が就職活動の際に注目したのは、社会貢献度の高いファッション関連企業。絶滅危惧動物を救う取り組みをしているブランドや、再生可能な資源のみを使うブランドなどもある中、リユースでSDGsに貢献するコメ兵も候補企業の1つでした。
・やりがい
小野瀬さん 「ポップアップに携わりたい、という希望は面接のときから伝えていました。できる・できないは別として、提案のチャンスをもらえたので勢いあまって15個くらい企画案を考えました。(中略)
2週間の開催で、売上は当初の目標を達成できました。また、ご来店されたお客様はコロナ禍ということもあって当初の見込みには届きませんでしたが、初めてKOMEHYOをご利用になるお客様との接点として役割を果たすことができ、周囲からは総じて成功だと言ってもらいました。しかし、個人的にはまだまだだなと思うので、これから一層いい企画を練っていきたいです!」
▶︎株式会社大丸松坂屋百貨店
事業内容:百貨店業
*ストーリー:お客様とデパコスの架け橋になりたい。「DEPACO」編集長の挑戦
・中途入社
・仕事内容:経営戦略本部DX推進部デジタル事業推進部 専任部長・メディアコマース「DEPACO」編集長
・入社のきっかけ:
望月さん 「ビューティ業界は『人を美しくしたい』と純粋に願う人に支えられています。そんなビューティ業界に携わる人も好きで、これほど興味深い産業はないと思っています。(中略)
37歳のときに、ご縁があって大丸松坂屋百貨店から声を掛けてもらいました。全くやったことのない仕事をさせてもらえるのは、年齢的にも最後のチャンスだと思いました。今まではメディアという第三者的な立場でしたが、百貨店で働くとなると関わり方も当然異なります。違う視点で大好きなビューティ業界を見ながら学んでみたい、また新しいことにもチャレンジしてみたいという想いから転職を決意しました」
・やりがい
望月さん 「オンラインの世界は、100%完成させてローンチするのではなく、日々アジャイル開発のように進めていくものですから、想定外の問題が出てくることもあります。また、総勢20人超という多くの人材をマネジメントするのも初めてのことで、苦労する部分もありますが、やりがいも感じています」
▶︎ビーモーション株式会社
事業内容:企業の販売促進活動の企画・製作・コンサルティング、企業の営業・販売部門のアウトソーシング事業、オンライン接客の導入、運用支援および、システムの企画開発
*ストーリー:個々の能力を最大限に引き出すのがミッション。熱き想いを持つ講習会トレーナーの歩み
・2005年入社
・仕事内容:トレーニンググループの責任者としてメンバーの取りまとめや、全拠点の担当者との連携、講習内容の監修を担当
・やりがい
岡部さん 「みなさんには自分が扱う商材の良さを理解し、そしてファンになっていただきたいと思っています。私たちトレーナーは、そんな商材の魅力やブランドに込められた想いをお伝えするのが役目ですから、メーカーの一社員という気持ちで取り組んでいます。機能性を知ることももちろん大事ですが、メーカーの想いを感じ取ってもらうことを重要視しているため、冒頭からブランディングについて熱く語ってしまうこともあるんですよ」
市場やトレンドの変化に左右されやすい業界ではありますが、逆に流れを読み、お客様に選んでいただき、喜んでいただくかを突き詰めていく部分にやりがいを感じる方も多いのではないでしょうか。もちろん、小売業界にも多様な職種や企業があります。それぞれの仕事やりがいなどについて詳しく知りたいという方は、ぜひ小売業界で働く人々のストーリーを覗いてみてはいかがでしょうか?
