現在、公務員として働く中で、転職を考えている人もいるのではないでしょうか。
新しいスキルを身につけるため、挑戦できる環境や柔軟な働き方やスピード感のある仕事環境を実現するため、変化のある仕事で成長をするためなど、転職を考える理由はさまざまあると思います。
一方で、公務員の経験がどう民間企業で活かせるのかわからない、どんな企業に転職できるのかイメージがつきづらいという人もいるかと思います。
そこで本記事では、他の職種でも活かすことができる公務員のスキルや経験をご紹介すると共に、公務員から他の業界・職種に転職した7人の転職経験談をご紹介していこうと思います。
公務員で培ったスキル・経験は転職先でどう活かせる?
一口に公務員と言っても、仕事内容や担当する領域はさまざまですが、ここでは一例として活かせるスキル・経験をご紹介します。
・調整力や交渉力をはじめとしたコミュニケーション能力
公務員は、多くのステークホルダーや部署間での調整業務が発生する仕事です。また、役所などで窓口業務を経験している場合、さまざまな年代の方々とコミュニケーションをとられてきたはずです。
そうした方々の話を聞くことはもちろん、それぞれの意見をまとめるスキルや折衝能力は、民間企業でも役立ちます。とくにプロジェクトマネジメントや営業、コンサルティングなどでは重宝される能力の一つです。
・文書作成力やプレゼンテーション能力
公務員として働く中では報告書や提案書などの作成業務を経験しているかと思います。そこでの経験から得た、論理的かつ正確な文書作成能力や、資料をもとにした会議やプレゼンテーションでの発表経験は、転職後も活かせるスキルと言えるでしょう。
・規則や法令の理解、コンプライアンス意識
公務員として法律や規則に基づいて業務を遂行する中では、法令遵守やコンプライアンスの意識が強くなっていくと思います。民間企業の中でも、法務領域やリスク管理を担う職種においては、そこで培った知識や意識が活かせるはずです。
・柔軟な対応力
公務員の職場では、異動の頻度も少なくありません。異動を機にまったくの未経験の業務に挑戦することや、ゼロから新たな人間関係を築いていくことも経験しているかと思います。そこで培われた多様な業務、環境に対応する力は、民間企業の変化の多い環境でも役に立つでしょう。
・行政の視点が理解できること
省庁や自治体向けにサービスや商品を提供する企業の場合、行政側の視点や経験を活かすことができます。行政側の内情に共感できることから、相手のニーズや状況への理解度が高く、顧客満足度を高めることにも貢献できるでしょう。
・予算管理スキル
予算の管理や資金の配分など、財政面での知識やスキルは、民間企業でも活かすことができます。また、限られた予算内で効率的に業務を遂行するためのコスト意識や管理能力は、利益を求める民間企業の仕事においても役に立つ能力と言えます。
公務員から民間企業へ転職した人の経験談──外資系から、大手企業、ベンチャー企業まで
ここからは、元公務員の方の転職経験談をご紹介していきたいと思います。転職やキャリアチェンジを考えている方は、今後のキャリアを考える際のヒントにしてみてはいかがでしょうか。
※ 記載の情報は記事公開当時の内容です
▶︎アデコ株式会社
事業内容:人財派遣、人財紹介、アウトソーシングなど、コンサルテーションをベースとしたハイブリッド型の総合人財サービス、業務改善や人財育成、人財開発、組織の健康管理など、雇用や人事に関するトータルソリューションの提供
・転職後の業界:人材業界
・転職後の職種:ソーシャルイノベーション課の課長
・業務内容:地域課題の解決を推進
・キャリアチェンジについて:
吉田さんが地域創生に興味を抱き始めたのは20代前半のころでした。日本の人口減少の現状について本で読み、将来的には今まで通りの社会を維持するのは難しいことを知りました。
〜中略〜
同僚とも多様な政策を考え、実行に移す努力を重ねましたが、机上では良いアイデアに思えても実際に実行に移すには、プレイヤーが必要だという現実に直面しました。
吉田さん 「プレイヤーがいないならば、まずは自分がプレイヤーとして行動しようと考え、市役所に兼業の許可を得て一般社団法人を立ち上げました。非営利団体なので無報酬だったのですが、公務員が本務外で活動していることに対して、なかなか周囲の理解を得ることが難しかったです。
成功が確約されていれば受け入れてもらえたかもしれないですが、その時点ではまだ前例がほとんどないチャレンジでしたから、その点からも理解が得にくかったのだと思います。
そこで、自分がこのまま公務員であり続けたときに実現できるであろう到達点と、民間企業に転職して資本を入れながらビジネスとして地域創生の成功事例を作り出して地域に還元するのと、社会を変革するスピードはどちらが早いか考えた末、公務員を辞める決意をしました」
とはいえ、地方創生という社会課題を解決する領域で利益を出している民間企業もそもそも多くはありませんでした。その中で知ったアデコの「『人財躍動化』を通じて、社会を変える。」という日本におけるビジョンや、ビジョンに向かって働く人と、ビジョンに向かって力を発揮できる組織環境を実現しつないでいくという「ビジョンマッチング」の考えが吉田さんの想いと合致。
さらに、転職活動時のアデコの社員との面談の中で、自分のやりたいことに、共感してもらい、受け入れてもらえたことも大きかったと言います。
→ストーリー:18年間にわたる公務員経験を活かし、持続可能な地方創生のためのソーシャルキャピタルを創り出す
▶︎株式会社みずほフィナンシャルグループ
事業内容:銀行・信託・証券・アセットマネジメント・リサーチ&コンサルティング等、幅広い領域に係る業務
・転職後の業界:金融業界
・転職後の職種:法人RM(リレーションシップ・マネジメント)
・業務内容:担当のお客さまから受けた融資の相談の検討から実行
・キャリアチェンジについて:
時を遡り、転職する1年ほど前の、2020年4月。大学を卒業した梶山さんが入職したのは、厚生労働省でした。
〜中略〜
梶山さんは、保険局に在籍。全国健康保険協会を担当し、同協会が実施する事業に対する補助金の執行や、事業の評価などを運営、管理する仕事を行っていました。
梶山さん 「社会保障関係費は、国家予算の中でも多くの割合を占めています。つまり、それだけ多くの人がサービスを受けているということ。保険給付や各種疾病の重症化予防支援というかたちで医療を支えるお手伝いができていることに、とてもやりがいを感じていました」
一方で梶山さんは、医療の給付のために行った仕事が、実際にどのように役に立っているのか、自分からは見えにくいことに、もどかしさも感じていました。
梶山さん 「次第に、自分のした仕事が誰に対してどう影響するのかを知りたい、直接人と関わっていける仕事がしたいと思うようになりました。
また、人口減少や高齢化が進み、社会保障費がどんどん膨らんでいく現状を目の当たりにして、日本経済を活性化していくことが急務だと痛感しました。自分がその一端を別の形で担いたいという想いから、転職を考えるようになりました」
転職活動を始めた梶山さんは、3つの軸を定めました。幅広い業界に携わることができること。社会貢献性が高いこと。課題を抱える相手に対して自分が主体となって関与し、解決していけること。そして、これらに合致する場所として選んだのが、金融業界でした。
梶山さん 「金融業界の中でも、私が最も魅力を感じたのは銀行でした。銀行には、経営状況をお客さまと一緒になって考え、経営課題を浮き彫りにした上で、ソリューションを提供するという、コンサルティング機能が備わっています。
しかも、『課題解決には資金が必要』となった場合、資金調達の検討も可能。ほかの業界と比べ、課題解決にあたり、最初から最後までお客さまに寄り添った仕事ができると感じました。自分のした仕事が誰に対してどう影響するのかを知りたいという思いを銀行ならかなえられると感じました。
その銀行の中でも〈みずほ〉を選んだのは、非金融分野への進出にも積極的で、外部と様々なパートナーシップを構築しながら、金融をめぐる新たなサービスや価値の創造に取り組んでいるから。お客さまの課題解決のため、新しい時代に向けた顧客ニーズと正面から向き合う姿勢に共感し、『ここで働きたい』と思いました」
→ストーリー:可能性を広げ、やりたいことを〈みずほ〉で叶える──国家公務員から転職した私の奮闘記
▶︎三井物産株式会社
事業内容:金属資源、エネルギー、プロジェクト、モビリティ、化学品、鉄鋼製品、食料、流通事業、ウェルネス事業、ICT事業、コーポレートディベロップメントの各分野において、全世界に広がる営業拠点とネットワーク、情報力などを活かし、多種多様な商品販売とそれを支えるロジスティクス、ファイナンス、さらには国際的なプロジェクト案件の構築など、各種事業を多角的に展開
・転職後の業界:商社業界
・転職後の職種:プロジェクトマネージャー
・業務内容:物流インフラ事業領域における既存事業のValue Up・新規事業開拓や、デジタルインフラの日米海底通信ケーブル案件をプロジェクトマネージャーとして推進
・キャリアチェンジについて:
新卒で省庁に就職し、技術系職員として国内港湾事業をはじめとした運輸インフラ行政、民間企業のインフラ海外展開支援などに従事した藤田さん。約6年間、国家公務員としての経験を積んだ藤田さんですが、30代を迎える頃から、自分で仕事を創っていきたい、新しいことに挑戦したいという強い気持ちが芽生え、転職を考えるようになりました。
藤田さん 「省庁では、本邦企業のインフラ海外展開を支援する立場でした。企業が自ら実施主体となり、当事者として、日本の技術力を活かしたインフラを世界に創っていく様子や、企業の方々が、直面する課題がありながらも世界中のより良いインフラ構築の為に生き生きと仕事する姿をみて、自分自身も当事者としてインフラ事業に直接携わりたいと思うようになりました」
→ストーリー:官の世界での経験・スキルを活かしビジネスの世界へ。そして感じる自己成長と強めるインフラへの思い
▶︎本田技研工業株式会社
事業内容:自動車・オートバイ・汎用製品・飛行機の製造および販売
・転職後の業界:自動車業界
・転職後の職種:研究開発職
・業務内容:パワー半導体部品の研究開発
・キャリアチェンジについて:
永井さんは、大学で半導体の研究をしていたことがきっかけで電機メーカーに就職。経験を活かし、長野県にある拠点で太陽光発電や風力発電に使う次世代パワー半導体モジュールの設計開発に携わります。
その後、コロナ禍に入ったこともあり、子育てしやすい環境を求めて栃木県に帰省。地元の市役所に転職します。
永井さん 「市役所では水道局に配属され、技術職として電気・機械設備更新のプラント設計などを担当していました。それまでは電気領域での設計だったのですが、機械設備全般に関わるようになりました」
電機メーカーから公務員へとキャリアチェンジした永井さんでしたが、次第に転職を考えるようになります。それは、自らのキャリアのスタートである半導体分野で再び挑戦したいという想いからでした。
永井さん 「当時自分が取り組んでいた仕事は、浄水場などの設備を新しくする仕事でした。しかし、できるだけ今ある設備と同じものを再導入しようという考え方で、新しいことにチャレンジしづらい環境でした。そのため、もう一度新しいものを生み出す仕事をしてみたいという気持ちが湧いてきました」
新たなキャリアを求めて転職活動を始めた永井さん。転職エージェントへの登録と並行して相談した相手が、(Hondaで働いている)渡部さんでした。
永井さん 「エージェントには、今の住居から通勤できて、私が望む研究開発ができる会社という希望を出していて、その候補としてHondaが出てきました。また、実は最初の転職の時から、Hondaに半導体を用いたパワーエレクトロニクス部品の開発をする職種があることは知っていたんです。
渡部くんとは卒業後も定期的に会っていて、Hondaにリファラル制度(※)があることを聞いていたので、制度を使わせてほしいと相談しました」
※ リファラル制度とは:同社に勤める知人・友人の方を通じて、選考にエントリーできる制度
→ストーリー:「紹介での入社、実際のところどうですか?」リファラル制度活用のホンネ
▶︎株式会社リクルートスタッフィング
事業内容:人材派遣事業、人材紹介(紹介予定派遣)事業、アウトソーシング事業
・転職後の業界:人材業界
・転職後の職種:人材派遣の営業
・業務内容:新規で派遣のお仕事の案件をいただく業務をしながら、4人チームのリーダーとして、メンバーそれぞれが目標を達成するまでの戦略を一緒に立てている
・キャリアチェンジについて:
宮嶋さん 「小学校の教師になってからは、子どもたちや保護者の方と共に過ごす中で、多くの発見がありました。教師という職業は集団との関わりも多い中、個人面談などの際には保護者や生徒とじっくりと時間をかけて話すことができます。その中で保護者からの気づきを得たり、逆に気づきがあったと言っていただけたりすることがあり、また子どもたちの成長を実感する瞬間もありました。
『一人ひとりとじっくり関わることで得られるやりがい』に気づき、次の自分のキャリアについて考えるようになったのです。
私の人生のモットーは、何事も楽しむこと。自分だけでなく、たくさんの人が楽しいと思いながら成長できる世界になるのであれば、すごくすてきだなと思うようになりました。どうすればそういう世の中になるのか考えたときに、よりたくさんの人が『仕事が楽しい』と思える環境をつくるって、とても大切なことだなと思ったのです。
『人材業界であれば、人に向き合い、仕事が楽しいと思える機会作りに関わることができるのでは』と思い転職活動を開始。結果、リクルートスタッフィングにご縁をいただきました」
→ストーリー:「仕事が楽しいと思える人を増やしたい」派遣営業という仕事を通して、たくさんの人の人生を輝かせる
▶︎ジブラルタ生命保険株式会社
事業内容:個人保険、個人年金保険、団体保険、団体年金保険、再保険
・転職後の業界:保険業界
・転職後の職種:愛知県小牧市にある営業所の所長
・業務内容:メンバーの採用、育成、そして営業所の運営
・キャリアチェンジについて:
山本さん 「私はもともと小学校の教員として働いていました。
〜中略〜
しかし実際に教員として働き始めると忙しく、とくに祖母が入院した時に、なかなか会いに行けなかったことが心に引っかかりました。人の役に立ちたくて働いているのに自分に近い人たちの役に立てていないな、と…。そんな時、ジブラルタ生命でとても楽しそうに働く母の姿を見て、魅力に感じました。母は『この仕事は天職』と思っていて、困っているお客さまのところには、すぐに駆けつけていました。母は究極のおせっかいなのですが(笑)、私も母に似て小さいころから世話好きで、『困っている人にすぐに駆けつけ、人生の重要な場面で力になれる』そんな仕事に憧れを抱くようになりました。
母の勧めで、ジブラルタ生命の会社説明会に参加したところ、『人の人生により良い影響を与えられる仕事がしたい』と考えていた私のやりたいことにピッタリだと感じたのです」
→ストーリー:人を育てる喜びと人の人生に寄り添える魅力を感じて。若き所長が抱く想いと夢
▶︎SBプレイヤーズ株式会社
事業内容:公営競技事業、ふるさと納税事業、旅行事業、農業事業
・転職後の業界:IT業界
・転職後の職種:オッズ・パークの戦略企画
・業務内容:経営計画や事業戦略の策定
・キャリアチェンジについて:
山田さん 「大学卒業後は中央官庁で働いていました。国の機関という立場から幅広い事業に関わり、国や世界の役に立てそうだという期待もありました」
山田さんの想像通り、公務員時代は国内外のさまざまな事業で経験を積みました。
山田さん 「7部署ほど経験して、国内外の事業に関わり、時には新聞にも載るような大きな案件にも携わることができ、やりがいを感じました。どの部署での経験も印象深かったですが、国内の出先機関での業務のため青森県に2年半ほど赴任した時の経験が私にとって転機だったと思います。
美しい自然や文化、食など業務に携わりながら、その地域の魅力に惹かれた一方で、地方でとくに加速化している人口減少や高齢化社会などの社会課題を目の当たりにしました。そこで、地域活性化に貢献できる仕事を民間企業の推進力でしてみたいと思ったんです」
この経験が、山田さんをSBプレイヤーズへと導きました。
山田さん 「SBプレイヤーズが掲げている『情報革命で人々を幸せに~ITで地域社会に活力を~』という経営理念が自分の心にすごく響いて。地域活性化に貢献している企業のうちITに力を入れている事業会社を探していたところSBプレイヤーズが目に留まりました。できればコンサルタント的に介入するのではなく、自分の手で事業を手がけたいという想いからSBプレイヤーズへの入社を決めました」
→ストーリー:課題を成長の糧に変える──年間MVP受賞者が語る、オッズ・パークでの挑戦
公務員として働く中で感じた興味や関心、また働き方をきっかけにキャリアチェンジを果たした方などがいらっしゃいました。このほかにも、talentbookには、さまざまな企業で活躍しているビジネスパーソンのコンテンツが掲載されています。
ご自身と似たようなキャリアを歩んでいる方や理想のキャリアを歩んでいる人を見つけて、今後のキャリアを考えるヒントにしてみてください。
【参考リンク】
・業界・職種未経験者が採用で重視されるポイントは?未経験でキャリアチェンジを果たした社会人の経験談
・キャリアに悩んだ時、一歩を踏み出すための考え方 【キャリアの選択編】
・<特集>教員からの転職
・<特集>教員志望から一般企業への転職
・<特集>異業界・異業種からのキャリアチェンジ
Xを興味のある仕事と出会うきっかけに!
私たちのXでは、さまざまな業界で活躍する社会人のリアルな働き方、キャリアの記事を厳選して紹介しています。フォローしておけば、「この仕事、おもしろそうかも」といった、思わぬ出会いがあるかもしれません。
まずは、どんな事例を紹介しているか、実際の投稿を覗いてみてください!
▼投稿の例
・「通勤時間5分」「自然豊かで子育てに最適」な環境で働く人
・1年間の休学とインターンを経験した上で、2度目の就活に臨んだ人
・最大の壁を乗り越えられたのはビールのおかげ!?QRコード開発の裏側
