新卒入社から2年間、営業として医療現場を駆け回った須川。その経験を“武器”に、彼女は思っていたより早く、念願の医療マーケティングの世界に足を踏み入れました。
華やかに見えていた裏側には、想像以上の緻密さと、成果の見えづらさ。それでも前に進めたのは、営業時代に積み重ねた経験が確かに背中を押してくれたからだと言います。
異職種への挑戦が彼女のキャリアをどう広げていくのか——そのリアルを追いました。
▲医療営業の経験を経て、医療マーケティング課で活躍する姿を追う
医療営業時代のストーリー記事はこちら
https://www.talent-book.jp/sigmax/stories/52599
■「え、もう異動?」予想外のタイミングで訪れたチャンス
―営業時代に、担当していた施設の整形外科医のもとへ同行した際、医師と対等に話しながらセミナーの企画を説明する先輩。その背中を見ながら「いつか自分もマーケの仕事に挑戦してみたい」と思ったのは、営業2年目の頃だったと須川は振り返ります。
医療マーケティング課の先輩と同行したとき、先生と同じ目線で会話していて、“こういう現場との関わり方もあるんだ!”って感じたんです。営業とはまた違う角度で現場を支えていて、純粋にかっこいいと思いました。
当時の私は、学会に出展している当社ブースの展示員としてしか医療マーケティング課との関わりがなく、仕事をあまり深く理解できていませんでした。「イベントを華やかに運営する部署」というくらいのぼんやりしたイメージしかなかったんです。先生との面談の様子や、学会での立ち振る舞いの“表の部分”だけが目についていて、その裏でどれだけの準備が行われているのかまではまったく想像できていませんでした。
でも、“よくわからないけれど何か惹かれる”という気持ちは確かにあって。「もっと知りたい」「自分も関わってみたい」という思いが少しずつ芽生えていき、「いつか私も医療マーケティング課での仕事にチャレンジしたい」という気持ちが強くなっていきました。
―医療営業での経験が2年を迎えようとしていたある日、上司より医療マーケティング課への異動を告げられます。
異動の話を聞いたときは“来た!”っていう嬉しい気持ちもあったんですけど…いや、早くない!? って(笑)。
医療営業としての経験はまだ2年にも満たないし、正直まだまだ学び途中だと思っていたので、“私で大丈夫?”という不安のほうが大きかったです。
ただ、営業として現場に向き合ってきた2年間の経験があったからこそ、「この経験は絶対にどこかで役に立つはず」と思えた部分もあり、マーケの仕事への興味が“憧れ”から“挑戦してみたい”という確かな気持ちへ変わっていきました。
―営業としての2年間は医療現場を深く知る時間であり、現場に足を運ぶことでしか得られない“リアルな声”が、確実に須川の財産になっていたと話します。
営業は、とにかく現場ありきなんですよね。先生がどんな患者さんを診ていて、どんな処置をしていて、何に困っているのか。そういうのを直接聞けるのは営業の特権だと思います。
けれど、毎日走り続けているうちに、“もっと広い視点で現場の困りごとにアプローチしてみたいな”という気持ちも湧いてきて。営業時代に見ていたマーケの人たちの仕事が、だんだん気になるようになっていったんです。
▲医療マーケティング課へ異動した1か月後、学会展示員のメンバーとして対応
■想像以上に緻密だった。華やかな舞台を支える“裏側”との出会い
―医療マーケティング課で最初に任された仕事は、学会の出展準備と、医師向けメールマガジン(以下、メルマガ)の登録案内をするチラシの改版作業。営業時代に遠目で見ていた“華やかな部署の世界”にも、実は膨大な裏方仕事があることに気づきます。
学会展示の準備って、本当にすごいんです。
自社のブース位置や競合他社の出展状況、展示製品、カタログや自社製品の使用事例レポートといった販促物の選定…
“こんなにたくさん考えることがあるの?”と驚きました。
ブース内の導線が少し違うだけで、ブース内の見やすさや展示員の動きやすさが変わるし、準備した販促物やその見せ方で先生の反応も変わる。営業の頃、展示員としてさらっと説明を受けていたことが、実はすごく細かな配慮で成り立っていたんだと知りました。
―また、メルマガ登録チラシの改版についても、想像以上に細かい意図や確認作業が組み込まれていることに須川は衝撃を受けます。
メルマガ登録チラシの改版について、最初は「チラシに掲載されているメルマガの登録者数を最新の情報に変更するだけかな?」ぐらいに思ってたんです。でも、実際は“情報の整理”のほうが大変で。
たとえば先生がどんなテーマに興味を持っているのか、どんな内容を配信していると伝えれば“登録してみよう”と思ってもらえるのか。他にも掲載している情報が古すぎないか、文字の大きさは適切か、当然ですが誤字脱字はないか、など…
営業の頃は当たり前のように見ていた販促物が、全然“当たり前じゃない”って気づいて。裏側にこんなに丁寧な意図が詰まってることに衝撃を受けました。
―ひとつ一つの業務に向き合う中で、彼女はマーケティングという仕事の輪郭を少しずつつかみ始めていきます。ですが同時に、不安もあったと話します。
営業はやったことの成果が、販売という形で“数字”としてはっきり見えてくると思います。でも、医療マーケティング課で私が関わっているイベント運営や販促物の制作は、成果がすぐに見えてこない仕事も多くて。
だから、「このチラシって効果あったのかな?」、「この展示で本当によかったのかな?」と不安になることも多かったです。
―その悩みを同じ部署の先輩や上司に打ち明けたことで、彼女は医療マーケティング課での仕事に必要な“考え方の軸”を得ることになります。
上司に相談したら、「“誰に、何を、どのように伝えたいのか”を考えるといいよ」と言われて。
たとえば、学会の出展なら“どんな先生に何の製品のどの情報を知ってもらいたいのか”、販促物なら“困りごとを解決するためにどのような情報を組み込むべきなのか”。そういう“前提の部分”が明確だと、途中の迷いも減るんですよね。
そこからは目的をきちんと明確にさせることをより意識して取り組むようになりました。
▲須川自らが担当する学会の事前準備の様子。漏れがないように複数人でチェック
■“わからない”から逃げない。学び直しと、営業視点が武器に変わった瞬間
―マーケティングの仕事を少しずつ理解する一方で、須川は「知識のギャップ」に向き合う必要がありました。営業時代には必要なかったマーケティング特有の考え方や専門用語。初めて触れる概念に、戸惑う場面も多かったといいます。
そもそもマーケティングに関する知識の無さで苦労したというか、大変だなと思うことが多かったです。
「CVR」「CTA」などの聞き馴染みがない言葉が会議で飛び交い、今ディスカッションしている内容が何なのかもわからないことだらけで。でも、“わからないなら調べればいい”って割り切って、少しずつ勉強し始めました。
そうすると、メルマガの各配信の成果は開封率やクリック率から振り返ることができる、など、成果が見えにくいと思っていたマーケティングの仕事も実はそうではない側面があることに気づき始めました。
そこからは、「メールの開封率を上げるには?」をテーマにしたウェビナー(オンラインセミナー)など、マーケティングに関するセミナーに参加したり、関連する資料を読んだり、先輩に質問したり…。
最初は“知らない世界に飛び込んだ”感覚だったんですけど、学んでいくと“意外と自分でも理解できるかも”って思えるようになってきました。とはいえ、まだまだわからないことも多いので適宜確認をしながら業務に携わる必要があると感じています。
―学び直しを続ける中で、営業時代の経験と今の業務が“つながる瞬間”が訪れます。
たとえば、販促物を作るとき。営業の頃に“この情報があればもっと説明しやすいのに…”と思っていたポイントが自然と思い浮かぶんです。“営業が話しやすい資料ってこうだよな”とか、“先生が知りたいのはこっちかも”とか。
あと、DM(ダイレクトメール)や申込フォームの設計もそうで。営業って情報が早く手元に来るほど動きやすいし、早くフォローできるほど先生方の反応もいいんですよね。
だから、“この情報はこの段階で取得したほうが便利”とか、現場の感覚で気づけることがあるんです。
そういう小さな工夫が、実際に“使いやすかったよ!”という声につながったときは、本当に嬉しかったです。
―そして、彼女が成長するきっかけとなる出来事があります。それは、とある施設において自社製品が導入・使用された事例レポートの作成でした。
レポート作成は、本当に難しいんです。
“この製品の販促における課題は何か”、“課題解決のためにはどのような情報が必要か”。まずその整理から始まって、その上で“そのメッセージを伝えていただけそうな施設はどこなのか”を探す作業も並行で進めなきゃいけなくて。
また、いざその施設の先生に相談してみると、当初想定していた実態とは違っていて、課題とレポートの内容が合わなかったり…。質問項目の洗い出しにもすごく時間がかかりましたね。
でも、そこからが学びでした。
上司に「何を一番に伝えたくて、営業にどう活用してもらいたいのか、目的をはっきりさせよう」と言われてから、迷ったときに立ち返る場所ができたんです。
ついつい、いろんなことを先生へ質問したくなりますがメインメッセージを明確にして、そこをより深堀りしていく…——「誰に何を伝えるレポートか」という意識が持てるようになってから、仕事が前に進むようになりました。
―須川が悩み抜いた末に完成させたレポートは、営業現場で確かな価値を発揮します。
営業の方から“この資料すごくありがたかったよ!”って言われたとき、めちゃくちゃ嬉しかったですね。営業の頃、自分が欲しかった情報を、今度は自分がつくる側になって提供できたんだって思って。そこで「営業を経験してきた自分だからこそ出せる価値ってあるんだ」って実感できました。
異動してからずっと、“医療マーケティング課でも力になれているのかな”って不安になっていたけれど、あの瞬間に医療営業での経験が今の仕事に“つながった”感覚がありました。
ー新しい知識を学びながら、営業時代の経験をマーケの仕事へと翻訳する。“わからない”を放置せず、“現場で感じてきたこと”を武器に変える。その積み重ねが、彼女のマーケティングという仕事への理解を確かなものにしていきました。
▲制作中の事例レポートを添削。医療現場はもちろん営業メンバーにも役立つ販促物を作成している
■異職種経験が“自分らしさ”をつくる。営業とマーケをつなぐ新しいキャリアの形
―営業からマーケティングへ。異動という大きな転機を経験したことで、彼女は“自分がどんな働き方に向いているのか”を少しずつ言葉にできるようになっていきます。
営業の頃は、とにかく現場に行って話して、フットワークでなんとかすることも多かったんです。対面でお話しするのは好きでしたし、あの現場感は営業ならではだと思います。
でもマーケに来て気づいたのは、私は“考えて、整理して、計画して、一つずつ実行していく”仕事が好きなんだなということ。すぐに結果が出なくても、“どうやったら良くなるかな?”を考えながら、地道に積み上げていく作業にやりがいを感じるようになりました。
―異動を経験したことで、仕事の向き合い方はもちろん、“キャリアの捉え方”そのものも変わりました。
営業時代は“営業として、他の人に負けない強みは何だろうか…ずっと営業一本で続けられるかな…”と不安に思うこともあったんです。でも、実際に異動してみて、“キャリアってひとつじゃなくていいんだ”って思えるようになって。
異職種を経験すると、“自分の得意”がよりくっきりするんですよね。営業で鍛えたコミュニケーション力は、医療マーケティング課の仕事でも先生とのやり取りや社内・社外での調整で大いに役に立つし、逆にマーケティングの視点を知ることで、営業の仕事の見え方も変わった気がします。
―経験がつながることで、これから描くキャリアにも“自分らしさ”がにじむようになってきたと須川は話します。
今後は、自分から企画の提案ができるようになりたいです。これまでは実行することが決まった企画を割り振られて担当することが多かったので、担当している製品のプロモーションを考えてみたり、新しいテーマでのウェビナーを企画してみたり、自分発信で何かできるようになりたいですし、ならないといけないなと思いますね。
あと、“人との関係を丁寧に積み上げること”も大切にしたいです。先生とのやり取りにしても、社内・社外の調整にしても、相手の立場に寄り添いながら進めることで初めて協力してもらえる。営業で身についたこの姿勢は、今の部署での仕事においても本当に大事だと感じています。
▲営業時代から変わらず「相手の立場」に寄り添い、コミュニケーションを取ることを大切にしている須川
―最後に、これから就職活動を迎える学生や、異動を控える若手社員に向けて、彼女はこんなメッセージをくれました。
“今やっていることがこの先どうつながるんだろう”って、不安になることもあると思います。私もそうでした。でも、どんな経験も本当に無駄になりません。今やるべきことをやり切ることで、自分の得意や強みが必ず見えてきます。
それにシグマックスは、意見や考えを尊重してくれる会社です。“挑戦したい”と言えば、応援してくれる環境があります。だからこそ、最初から“できないかも”って遠慮しないで、気になったことはぜひ挑戦してほしいです。
私自身、営業を経験してから医療マーケティング課に来たことで、より“現場の困りごとを支える仕事”にやりがいを感じられるようになりました。キャリアって、本当にいろんな形があっていいんだと思います。
営業で得た“現場の視点”と、マーケティングで磨いた“設計の力”。
異職種の経験がつながった今、彼女は自分の強みを軸に、更なるステップアップに向けて歩み始めています。
※ 記載内容は2026年2月時点のものです
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