障がい者スポーツのサポート活動を通して、補装具の重要性に興味を持つ
将来はスポーツトレーナーになりたい──中学1年生の時、バスケットボールの練習中に足首を骨折した経験が、廣田の将来の夢につながりました。
「小学生からバスケを続けていて、プレーヤーとして伸び始めた時期に骨折してしまったんです。骨折箇所の固定が終わってリハビリをし、2〜3カ月後には復帰できたのですが、またけがをするのではないかと怖くなってしまったり、ゲームの中でどう動いたらいいのかわからなくなったり……。自分らしくプレーできるようになるまで1年くらいかかりました。
けれど、このリハビリ期間に、理学療法士の方にとても良くしていただき、スポーツ選手向けのプログラムで無事復帰することができました。『自分のように、スポーツ中のけがによってつらい思いをする人を減らしたい』という想いから、スポーツやリハビリテーションに関わる仕事をしたいと思うようになりました」
スポーツトレーナーをめざし、大学では理学療法学を専攻。同時に、障がい者スポーツのボランティア活動を行うサークルに所属し、車いすバスケットボール、ブラインドサッカー、セーリング、ボッチャなど、さまざまな競技のサポートを経験しました。
その後、大学院ではスポーツリハビリテーション学の研究室に進学。非常勤の理学療法士として整形外科クリニックで働きながら、大学バスケットボールチームのトレーナーなども務めていましたが、少しずつ興味が変化していきます。
「障がい者スポーツでのサポート活動や臨床経験を積む中で、身体の動きを補助する補装具の重要性に気がついたんです。補装具によって動きがどう変わるのかに興味がわき、ものづくりに関心を持つようになりました」
そこで、スポーツとものづくりを軸に就職活動を進め、日本シグマックスに出会います。
「もともとシグマックスが展開しているZAMST(ザムスト)の足首用サポーターを愛用していて、なじみがありました。面接も話しやすい空気がありましたし、社長との最終選考面接でも親しみを感じる距離感で話せたことが印象的でした。『スポーツとものづくり』に関わり、やりたいことに挑戦できそうな雰囲気に惹かれ、入社を決めました」
理学療法士としての経験を活かした営業活動。現場を知るからこそできる提案が強み
2021年4月、シグマックスに入社した廣田は、医療事業部の営業として東京都23区外の整形外科を標榜する病医院を担当することに。医療事業部では、各関節の固定帯(サポーター)や骨折時の固定に使われるギプス包帯、超音波骨折治療器など幅広い製品を扱っています。それらを医師や理学療法士に提案し、採用してもらうことが仕事ですが、当初は苦労の連続だったと振り返ります。
「病医院へ製品を新規提案する際、医師や看護師に向けて製品勉強会を実施することがあります。その時にただ一方的な説明にならないよう、相手の温度感や興味を探りながら話すことは難しかったです。
時にはまったく手応えのない勉強会となることもありましたが、事前に内容や興味のある点を確認したり、勉強会内でもこちらから質問を投げかけたりと工夫しました。勉強会を通して現場のニーズを引き出し、製品がそのニーズに対してどのように応えられるかを説明し、採用してもらえた時は達成感がありましたね」
また、自社の製品を提案する際には、理学療法士としての知識や臨床経験を大いに活かせたと話します。
「たとえば、ドローイングと呼ばれる腹式呼吸で、身体の深い部分に付いている筋肉であるインナーマッスルを鍛えるトレーニングがリハビリテーションの中で行われることがあります。
私の経験上、ドローイングが苦手な方はけっこういらっしゃるんです。クリニックのリハビリ担当者の方ともそういった話をしながら関係性を深めつつ、体幹トレーニングを行うための『RECORE(リコア)シリーズ』という製品を提案したことがあります。
また、エコー機器を使う際、大きな機器では診療室や病室のベッドの間を塞いでしまい、動線を妨げてしまう場合があります。それに、私自身が理学療法士として病医院で働いていた時、『この手技の時にエコーで可視化できればよかったな』と思うこともありました。そこで、その時に経験も踏まえて、ポータブルタイプのエコー機器を提案したこともありました。
私自身、臨床経験がすごく豊富というわけではありませんが、リハビリの現場をイメージしながら提案できることは強みだったと思います」
2年間の営業経験を積んだ後、2023年4月に商品企画開発部への異動が決まります。
「営業の仕事もだんだん楽しくなっていた時期だったのですが、もともとものづくりをしたいという想いで入社したので、その意向を汲んで開発に近い部署に異動する機会をもらえたことがうれしかったですね」
困り事を解決するため、医師の声を深くヒアリングして製品に落とし込む
現在の主な業務は、市場調査と分析から開発プロセスの管理、販売戦略の検討まで、商品を生み出してからお客様に届けるまでの一連の流れに関わること。日々、お客様のニーズや市場の動向にアンテナを張りながら、新商品のコンセプト立案に取り組んでいます。
また、企画が調べたニーズやコンセプトにもとづいて製品を形作る開発部門、資材調達や在庫管理を行う生産・購買部門、製品のプロモーションを行うマーケティング部門など、多くの部署と関わり合いながら商品企画を進めています。
「整形外科の領域で、患者さんや医師がどんな困り事を抱えているのかを、社会背景も含めて探っています。そこから、困り事を解決できそうな商品のイメージを作り上げていくんです。
自分が企画したものを世の中に届けられることもこの仕事のおもしろさですが、やはり、結果となって返ってくることが一番の醍醐味です。結果が良ければ、価格や販売戦略も含めて自分の企画が間違っていなかったのだという手応えを感じることができます。
理学療法士や営業の経験があることで、現場で実際にある困り事が想像しやすいですし、どこをセールスポイントとするかもイメージが付きやすいと感じています」
もちろん、製品化されるまでは試行錯誤の連続。中でも、試作品の改良段階から携わることになったハイブリッドシーネシリーズ(ギプスとサポーターの機能を掛け合わせたギプス包帯)の開発は、印象深いプロジェクトだったと話します。
「最初に医師に試してもらった時は、あまり評価が良くなかったんです。そこで、実際の治療ではどのように使うのか、現在の仕様だとどの部分の使い勝手が悪いのかなどをじっくりヒアリングしました。
その意見をもとに開発メンバーと改良を重ね、次に試してもらった時には『すごくいい!頑張ったんだね』と高く評価してもらえたんです。それがとてもうれしかったですね」
この経験から、製品を使う人の声に丁寧に耳を傾ける大切さを実感したと振り返ります。
「私自身、トレーニングで使う製品やエコーなどの機器にはこれまでの知識が活かせると感じていますが、サポーターやギプス包帯などの外固定製品への知見はまだまだ足りません。患者さんや医師など医療現場で役に立つ製品を届けるために、表面的な良し悪しだけではなく、深くヒアリングしてニーズに応えていくことを心がけています」
多くの人に「これが欲しかった」と思ってもらえる製品を作りたい
ものづくりをしたいという想いで入社したこともあり、当初は実際に製品を作ったり実験をしたりという開発の仕事に興味を持っていたと言いますが、現在は企画という仕事の重要性に大きなやりがいを感じています。
「ゼロからイチを作り出すところから始まって、製品を世に出した後も、どんな反応があるかを見ながら、より多くの人に届けていくために携わり続けます。製品の土台となる部分に関われることにやりがいを感じているので、今は企画の仕事がすごく楽しいです」
これまでの経験を活かして着実にステップアップしている廣田。会社の魅力をこう語ります。
「入社してからずっと感じているのは、人の良さです。商品企画の仕事でさまざまな部署と関わるようになって、あらためて協力的な人が多く、仕事を進めやすい雰囲気があると感じています。
スポーツ経験者が多いことも当社の特徴です。体育会系というわけではありませんが、明るく活発でコミュニケーションが上手な人が多いですね。医師と信頼関係を築いていく上でも、明るさは大事です。『元気を創造する』という経営理念にも通じているのかもしれません」
コミュニケーションは企画職においても重要な能力。その能力をさらに磨きながら、これからのキャリアを歩みたいと続けます。
「論理的に話ができて、思っていることや考えていることをちゃんと言語化できる人になりたいですね。どんな仕事をする上でも大事なスキルだと思いますし、企画の仕事をするようになって、私自身もできていない部分があるなと感じています。
あとは、商品企画に携わるからには、やっぱりヒット商品を生み出したい。たくさんの人に『これが欲しかった』と思ってもらえるような製品を作りたいですね」
これまでの経験を積み重ねながら成長を続ける廣田。現場の声を丁寧に拾い上げながら、製品を通して多くの人をサポートしていきます。
※ 記載内容は2024年8月時点のものです
