海外工場や社内との連携が鍵。製品調達と在庫適正化を担う最前線
日本シグマックスの製品の調達を主な業務とし、会社の要である生産部 購買課。ここでリーダーを務める熊谷は、ベトナムとタイの工場を担当し、会社の主力製品でもある、身体の各部位の関節を保護するためのサポーター類の調達に携わっています。
これらの製品は、医療やスポーツの現場で多くの人々を支える重要なアイテム。熊谷は社内外の関係者と密にコミュニケーションを取って調達業務を進め、製品の安定供給を支える重要な役割を担っています。
「関節サポーター類の調達方法は大きく2種類あります。1つは、まず自社で資材を手配して契約している縫製工場に送り、その資材で作った製品を購入する方法。もう1つは、商社を通して完成品を購入する方法です。現在は大半を海外から輸入しています」
また、現在会社が注力している「フットクラフト」シリーズや「アシストステップ」などのインソール製品も熊谷の担当。ベトナムや中国の工場からの調達を手がけています。
「通常の調達業務では、シグマックスの各事業部から『需要予測』と呼ばれる販売計画を月に1回入手し、それにもとづいて製品発注や資材発注、輸出入の手配を行います。しかし、市場での製品需要が急に変動することも多いので、当初の予測通りに製品・資材を手配できるわけではありません。
急な製品需要の変動にも柔軟な対応が必要ですし、安定調達のためには、事業部との連携やこまめな情報共有が欠かせません。急な変更が発生したときはスピード感を持った対応が求められるので、プレッシャーもありますが、その分やりがいも大きいです。
新商品の場合はさらに難しく、『いつ、どのくらいの数の発注をかけるか』といった計画をゼロから作る必要があります。そのため、社内の関連部署からは発売スケジュールやパッケージ、説明書作成の進捗状況などを、仕入先の工場からは、稼働キャパシティや生産スケジュールを入手できるよう、こちらからより積極的に働きかけることが重要です。
それをもとに工場と製品・資材発注、製品の縫製、輸入のスケジュールを調整しなければならないため、すでに販売されている製品以上に気を遣いますね。新商品が無事に市場に出た時は、達成感とともに大きな喜びを感じます」
現在、会社の経営課題として挙げられているのが、会社が抱える在庫量の適正化。熊谷はこの解決のために、率先してチームを率いています。
「課のメンバー全員で在庫状況の分析を行い、改善策を出し合い検討している最中です。私はその手助けとなる資料作成を担当しています。
対象となる在庫は千葉のメイン倉庫のほか、大阪や中国、オランダの倉庫、さらに海上輸送中のものも含まれます。事業部ごとにこれらの在庫数量が適正かどうか、各工場の調達状況や資材在庫状況などを分析しています。また、四半期に1回、事業部の需要予測担当者やその上長と、在庫に関する会議を設けています。
購買課は、工場ごとに担当者が分かれており、課内のメンバーと連携して業務を行う機会は多くありません。しかし、在庫の適正化は課全体で一丸となって取り組んでいるプロジェクト。チームワークの大切さをあらためて実感しています」
10人弱が在籍する購買課。熊谷はリーダーとして、後輩や課での経験が浅いメンバーのフォローも積極的に行っています。
どんな想定外にも立ち向かう「求められたことに全力で応える力」
これまでの調達業務で印象深かったのは、インソールの生産を中国からベトナムへ移管した時のことだと、熊谷は振り返ります。
「ある時、中国から調達していたインソールの納品が遅れ始めました。調査すると、出稼ぎの工場労働者が長期休暇で一斉に帰省した後に戻らず、人員不足で注文量に対応できなくなっていたことが判明したんです。
このままでは製品が長期欠品してお客さまに迷惑をかけてしまう。なんとかしなければという焦りと責任感でいっぱいでした」
この事態を受け、同じ生産部の生産管理課のメンバーがベトナムに代替工場を見つけ出しました。なんとかそこへ早期移管ができるよう、熊谷も現地へ飛びます。
「言葉が通じないので、会議をするにも、ホワイトボードに伝えたいことを書いて、通訳を介して進めるというスタイル。それでも、直接顔を合わせて話したおかげで調達スケジュールの調整もスムーズにいきました。
とにかく早く安定した供給を再開したい一心で動いていましたが、現地に行って直接話し合えたことが成功の鍵だったと思います」
想定外の事態にも、状況に合わせて迅速に対応してきた熊谷。仕事との向き合い方として大切にしている価値観があります。
「部署内外を問わず、依頼は断らずに全力で応えることです。私には営業や企画・開発の経験がないからこそ、先入観を持たずに相手が求めていることを考え、最善の方法を模索することを心がけています。まずはやってみる。そこから何かを生み出すことが、自分の役割だと思っています」
この姿勢が活かされたのが、他社との共同開発品「マッスルスーツSoft-Power」の発売時のことでした。
「タッグを組んだ企業との調整もあり、発売までのスケジュールは通常よりも数カ月短い、非常にタイトなものでした。最初は正直、無理だろうと思いましたが、それでもなんとかやってみようと関係者に根回しをしたり、工場に準備を進めてもらったり、できることに取り組みました。
工場には、どんなに細かい情報も逐一共有するとともに、この製品の重要性や、この案件が成功すればお互いの信頼度が上がり、今後の取引拡大につながるという未来図も伝えました。
その結果、工場の皆さんも全力で協力してくださり、短納期での調達を実現させることができました。最後には、営業部門、開発部門、生産部門、そして工場の連携によるチーム全体での成功でした。この時は本当に大きなやりがいを感じましたし、何よりも嬉しかったですね」
経理一筋から購買へ。培った知見と先輩からの学びを活かし、さらに成長
学生時代、就職活動に向けて簿記の資格を取得したことをきっかけに、熊谷のキャリアは経理から始まりました。
「就活でアピールできるものを作ろうと、“就活に有利な資格ベスト3”の1つだった簿記を勉強することに。すると予想以上に早く理解でき、すんなり2級を取得できたんです。その時に、『これは自分に合っているかもしれない』と感じ、簿記を活かした仕事をしたいと思うようになりました」
こうして、熊谷は法人向け旅行会社に経理職として新卒入社します。
「入社してみて、簿記と実務はまったく違うと実感しましたね。まずはシステムをうまく使いこなせるか、そして自社の事業をどれだけ理解できているか、売上や利益がどう作られているのかを自分なりに噛み砕いて理解することが重要だと学びました」
上場企業の子会社という環境で、商品の仕入れや在庫管理、販売といった企業の基幹業務を一元管理するためのシステムであるSAP(エスエーピー)の導入プロジェクトにも携わり、SAPの使い方を学んだ熊谷。さらに会計知識を深めるために簿記1級の勉強を開始し、同時にキャリアアップのため転職を考え始めます。
「2011年3月の東日本大震災の影響で多くの企業が採用を停止する中、日本シグマックスは採用を継続してくれました。財務状況も安定した良い会社だと感じたのが決め手となり、入社を決意しました」
2011年4月、日本シグマックスに入社した熊谷は、管理部 経営管理室に配属されます。
「扱う業務レベルの高さと範囲に驚きましたし、上司や先輩の会話を理解するのに必死でした。とくに税務(※)の知識がなかったので、前任者の資料をもとに、わからない部分は本で調べたり、税理士に質問したりして、自分なりに効率的な方法を見つけて学んでいって。
月次決算や年次決算、法人税申告を経験する中で、経理業務を一通り理解できたなと感じた時は、大きな自信につながりました」
2015年度には会社の年間業績褒賞であるファインプレー賞も受賞した熊谷ですが、2020年に生産部 購買課へ異動することに。
「10年以上経理一筋でやってきて、周囲からの信頼も得られたと感じていた矢先だったので、最初はすごく戸惑いました。でも、実際に購買課で働いてみると、経理での経験がさまざまな形で活きることに気づきました。新しい環境での挑戦は不安もありましたが、それ以上に自分の成長を実感できる場になっています」
とくにSAPシステムの知識と、仕入から納品、売上、そして最終利益を出すところまでの会社全体の活動を見てきた経験があることで、調達業務のイメージが湧きやすかったと語る熊谷。さらに、新たな環境に身を置いたからこその成長もありました。
「経理時代に比べて、開発やマーケティング、販売など、いろいろな部署の人たちと協働する機会が増えました。その中でコミュニケーションスキルや社内での調整能力が向上したと感じます。
多くの人と関わりながら仕事を進めていくのは楽しいですし、何より、周囲の人から求められることがあるのは本当に幸せなことだと思っています」
熊谷の積極的な姿勢の根底にあるのは「初動を早く」という心がけ。これもまた、経理時代の学びの1つだと言います。
「悩んで立ち止まるより、まずは少し動いてみる。早く動けば、たとえミスをしてもすぐに取り返せます。この考えは経営管理室の先輩たちから学んだものです。仕事ができるだけでなく、人としても尊敬できる人たちで、手本として追いかけてきました。
今の私をつくったのは間違いなくその先輩たちとの出会いであり、私の人生における大きな財産となっています」
※税務:企業や個人が法律にもとづいて適切に税金を計算し、申告・納付するための業務
異動を機に見つけた新たな仕事観。「誠実」を胸にキャリアを広げる
海外の工場や社内の各部署との細かな調整が求められる購買課の仕事。熊谷はここに、独自のやりがいを見出しています。
「定期的な依頼事項も多いのですが、突発的な問題に対応することが、実は一番楽しいんです。たとえば、工場で急に人員が不足したり、予期せぬ問題で納品が止まってしまったりということが、現場ではどうしても起こってしまいます。そんなイレギュラーな課題に直面した時こそ、部門を越えて力を合わせて解決していく。そのプロセスが、この仕事の醍醐味だと感じています。
購買課は、メンバーごとに担当工場を持つ縦割り制ですが、生産、開発、営業など部門を越えた連携が多いのも特徴。自身の仕事だけでなく、他の部署の仕事も知ることができるのもおもしろさの1つですね。たとえば商品の説明書やパッケージの印刷の過程など、『商品ってこうやってでき上がっていくんだ』と、この3年間でたくさん学ぶことができました」
購買課に異動した当初は、経理以外の業務に抵抗があった熊谷。実際の業務を経て、その気持ちは変化したと語ります。
「10年以上経理一筋でやってきたので、異動当初は経理に戻りたいと思っていました。しかし、購買課での仕事を経験してみて、今では『経理以外の仕事も楽しい』と思えるようになりました。
購買課での仕事は、自分の意思だったら絶対に選んでいなかった道。でも、だからこそ新しい発見や成長がありました。今後、会社の方針で異動を命じられたら、それをチャンスと捉えて積極的に取り組みたいですね」
今後の目標としては、経営課題である在庫問題の解決を挙げます。
「以前は、会社全体の在庫金額はわかっていても、その内訳を詳細に数値で把握できていませんでした。それを、購買課が中心となって、各事業部がどれだけ在庫を抱えているかを明確に資料化したことで、各部門が問題意識を持てるようになってきたんです。長期的な取り組みになるかもしれませんが、なんとか解決に導きたいと考えています」
最後に、就職やキャリア形成に悩む学生や若手社員へ、熊谷はこんなアドバイスを送ります。
「日本シグマックスには誠実な人が多いと感じます。何かお願いする時も『よし、やろうか』と言って快く協力してくれますし、私自身もそうなりたいと思っています。
若手のうちは、まずは与えられた業務に対して誠実に向き合うことが大切です。自分の価値観で『やる・やらない』を決めてしまうのではなく、与えられたことをきちんと行う。そして“作業”としてこなすのではなく、その業務の意味や目的をしっかりと理解し、自分が動いたその先にどんな影響があるのかをイメージしてみてください。
その方が効率も良いですし、自身の理解も深まるだけでなく、他の人を巻き込む力も自然と身につきます。そうやって仕事を進めていくと、楽しく仕事ができるはずです。
また、『これは他の人より自信がある』という分野を身につけると良いと思います。私で言うと簿記の知識がそれにあたります。どんな職種に就いても活かせる場面があると思いますし、うまくいかないことがあっても『自分にはこれがある』という自信があれば、立ち直りも早いですよ」
自身のよりどころとなる簿記や経理の知見を武器に、購買・調達の領域で成長を遂げた熊谷。これからも誠実に、挑戦を続けていきます。
※ 記載内容は2024年12月時点のものです
