2023年4月、徳島県神山町に神山まるごと高専が開校しました。「テクノロジー×デザイン×起業家精神」が三位一体となった新たな学校として誕生した同校ですが、富士通はそのスカラーシップパートナーを務めています。何人もの社員がさまざまな想いを抱き、参画している神山プロジェクト。まずは、そのはじまりを紐解きます。
奇跡の田舎と呼ばれる町、神山──その町の魅力
徳島駅から車で40分ほどの山間部にある人口5000人ほどの町、徳島県神山町。一見何の変哲もないこの里山には、IT企業を中心に多様な働き方を実現しているさまざまな企業のサテライトオフィスが点在しています。また、ビジネスの場としてだけではなく、企業の垣根を越えて人々が集まる場所として新たなコミュニティが生まれ、仕事を持った若い世代の移住が増加しています。
この町に移住してくる人々の年齢は、平均で30歳前後。定年退職後の悠々自適な生活を求めてという年代の方々でありません。そんな彼ら、彼女らが感じる町の魅力とは何か。ひとつは、神山アーティスト・イン・レジデンス(※1)などのユニークな町の取り組みがあげられます。
そして、もうひとつが、神山町がこれまで育んできた「他者を受け入れる」文化ではないでしょうか。神山町にはお遍路の12番札所 焼山寺があり、昔から旅行者や外部の人間を受け入れる文化があったと言います。他者を受け入れる、オープンマインドな町の空気が移住者を温かく包み込み、定住につながっていると言えそうです。
※1 神山アーティスト・イン・レジデンス…1999年からスタートした国際的なアート・プロジェクト。日本国内および海外から3~5名のアーティストが神山町に滞在し、作品を制作する
想いが人を動かし、形となる。神山まるごと高専プロジェクトの始まりとは
2023年4月、神山町に神山まるごと高専が開校。「モノをつくる力で、コトを起こす人」をめざすこの学校は、Sansan株式会社のCEOであり、神山まるごと高専の理事長でもある寺田 親弘氏らによって創設されました。「家庭環境に左右されずに志せる学校を実現」するために、11社のスカラーシップパートナー企業(以下、SP企業)がそれぞれ出資や寄付をしています。富士通が、このプロジェクトに出資した理由とは何か。
Sansanと富士通はビジネスパートナーであり、DX企業として顧客アプローチの変革に取り組む富士通では、国内グループ会社に同社が提供する営業DXサービスを導入しています。また、両社の社長同士で面識があったことから、SP企業としての参画と出資の依頼が富士通に届きました。
2022年9月22日、富士通本社にて開かれた役員が一同に出席する会議にてプレゼンを行った寺田氏。プレゼンでは、日本にインパクトを与える人材を育てることに企業として投資する意義、そして、神山まるごと高専が単なる学校ではなくテクノロジーとデザインを学ぶことに重きを置いている理由などが語られました。
プレゼンで紹介された入学を希望する中学生のキラキラした眼差しや想い、長い年月をかけ一から学校を作ろうと努力する寺田氏の姿に感銘を受けて、時田社長は出資を即決したと言います。人を育てる仕組みに対して投資することには意義があり、富士通だからこそできると判断したのです。
富士通を含む11社がSP企業となり、神山まるごと高専が無事開校。初年度に入学した約40名の学生は、SP企業の奨学生としてそれぞれの企業に所属しています。各企業は主に、割り当てられた4名の奨学生に対するサポートを行います。富士通はそれに加え、若い世代との交流から、常識にとらわれない新たな気づきを得たり、視野を広げたりすることを目的に、社員と学生とのコラボレーションによる新プロジェクトの創出も行っています。
神山での一歩を踏み出した富士通と奨学生。この半年の取り組みとは
神山まるごと高専では、一般的な高専のカリキュラムとは別に、各学年にSP企業システムを活用した独自の学習テーマを設けています。一年生のテーマは「企業理解」で、二年生以降もSP企業と協働でのテーマが課せられています。
最初のテーマである「企業理解」では、「自分が所属するSP企業のことを深く知り、 その魅力を来年の新入生向けにプレゼンせよ」というミッションに取り組みます。富士通奨学生の4名は週2回、放課後に社員との対話の場があり、それ以外にもさまざまなプロジェクトに参画しています。
たとえば、全社DXイベント「Fujitsu Transformation Now」に登壇したり、AIについて楽しく学べる学習素材として株式会社文響社と共働で制作したFujitsu×うんこドリルの巻末ページを、デザインを専業する社員のサポートを受けながら作成したりと、多くの社員との交流を通して、富士通という企業の理解を深めています。
また、神山から足を延ばし富士通本社を訪れ、経営層と直接会話することで、富士通の進む方向性やトップの考え方を学んでいます。学生のやりたいことに伴走しながら、富士通として協力できることを探し、また、学生からは固定概念にとらわれないアイデアや気づきを得るなど、win-winな関係を心がけながら、卒業までの5年間このプロジェクトを推進していきます。
今後公開予定の神山まるごと高専プロジェクト記事を先取り!
神山まるごと高専にはさまざまな人のさまざまな想いが詰まっています。また、その関わり方も多種多様。創設メンバーとして高専を立ち上げた方、そこに入学した学生、そしてSP企業の社員など。また、富士通内においても、今日まで多くの社員が熱い想いを携え、関わってきました。
そこで、今後3回にわたってこのプロジェクトに関わる富士通社員と高専関係者の対談記事をお届けします。これを読めば、神山まるごと高専の「これまで」と「これから」がまるごとわかること間違いなし。ぜひご覧ください。
Episode 1
富士通側プロジェクトリーダー × 神山まるごと高専創設メンバー 大南 信也氏
神山まるごと高専プロジェクトをリードする濱上 隆道と、NPO法人グリーンバレー理事長で神山まるごと高専創設メンバーの一人である大南氏との対談をお届けします。神山町発展のキーパーソンである大南氏との対談で、富士通と神山町のコラボレーションの在り方を探ります。
Episode 2
高専出身エバンジェリスト × 神山まるごと高専 富士通奨学生
富士通でエバンジェリストとして活動する武田 幸治と、富士通奨学生の男子学生2名との対談記事をお届けします。高専卒業という経歴を持っている武田は、ある人物の誘いによりこのプロジェクトに参画することとなります。奨学生とこれまでを振り返りながら、プレゼンのプロとしてふたりに伝えたいことについて語っていただきます。
Episode 3
神山まるごと高専クルー × 神山まるごと高専教諭・富士通奨学生
神山まるごと高専プロジェクトメンバー(神山まるごと高専クルー)の2名と神山まるごと高専教諭廣瀬氏、富士通奨学生の女子学生2名との対談記事をお届けします。神山まるごと高専クルーから見たプロジェクトの魅力ややりがい、また、神山まるごと高専や奨学生たちが私たち企業と取り組みたいテーマなどについて語っていただきます。
