お客様先で稼働する複合機やプリンター、ソリューションサービスなどの安定運用を支える、オール富士フイルムビジネスイノベーションのアフターサービス。そんなアフターサービスの進化に取り組む皆さんに「ここがスゴイ」を聞きました!
\今回取材に応じてくださったのは/
富士フイルムビジネスイノベーション アフターサービス統括部 アフター改革統括グループ
永田さん
2021年、富士フイルムサービスクリエイティブから出向。アフターサービスの業務品質、提供価値、収益性の向上を目指し、先進技術や全社ITインフラを活用したプロセス改革、および全社横断のコスト改善をリード。
富士フイルムビジネスイノベーション アフターサービス統括部 テクニカルサービス統括グループ
矢野さん
技術視点でアフターサービスの品質向上とコスト改善を担い、商品導入前の保全点検、保守情報やマニュアルの提供、商品導入後の品質改善やカストマーエンジニア(CE)・コンタクトセンターの顧客対応スキルの向上をグローバルに推進。
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 東京第一支社 CS統括部 千代田サービス部
鈴木さん
東京・千代田区の九段サービスグループのCEとして、複合機やオフィスプリンターに対するアフターサービスを提供中。富士フイルムビジネスイノベーションジャパンや特約店のCEが保守技術を競う「ワンストップ・ソリューション・サービス オリンピック(OSSO)」の2021年度複合機の部で優勝。
▲オール富士フイルムビジネスイノベーションのアフターサービスの流れ(国内)
富士フイルムグループのAI技術を活用し、応対品質の向上と業務効率化を両立!
──アフターサービスの中でも、お客様からお問い合わせを受ける役目を担うコンタクトセンターでは、どのようにAI技術を活用していますか?
永田:複合機やプリンターをお使いのお客様からは、消耗品の注文、故障の修復、操作方法の確認など日々さまざまな問い合わせがコンタクトセンターに寄せられます。従来は、基本的にオペレーターがお客様の入電に応対していましたが、受付時間が平日の9時~17時30分に限られるため、休日や夜間の応対に課題を抱えていました。また、日本全体の労働人口不足を背景に、コンタクトセンターの人員維持についても難しさが増しており、人に依存しない応対体制の確立も急務となっています。
こうした状況を踏まえ、2019年に、お客様が問い合わせを投稿し、自動回答を表示できるチャットボットを公式サイトのサポートページ上に設置。「お客様からこういう質問があった場合は、こういう内容で回答する」というQ&Aを約数百パターンまで順次拡充していきました。しかし、同じ内容を指す問い合わせでも、表現が異なると回答にたどり着けないため、複数の表現を登録して紐づける必要がありました。
例えば、ファクスの表現一つをとっても、「ファクス」と「ファックス」と「ファクシミリ」のいずれも紐づける必要があります。あらゆる表現を網羅するのは容易ではなく、お客様が期待する回答内容を提示できずに、途中離脱を招いてしまうケースが発生していました。
▲富士フイルムビジネスイノベーション アフターサービス統括部 アフター改革統括グループ 永田さん
永田:チャットボットのさらなる技術革新を模索する中で巡り合ったのが、富士フイルムのイメージング・インフォマティクスラボ(i.lab)が開発するAIチャットボットでした。これは、情報検索と文章生成のAIを併せ持つことで、質問内容を的確に読み解き、ナチュラルかつ正確性の高い回答を提供できる特長を備えています。
そこで、AIチャットボットを富士フイルムビジネスイノベーション コンタクトセンターのチャットボットに搭載すべく、i.labと連携し、機能追加を実施。お客様の希望に応じて有人チャットに切り替える機能や、お客様がチャットの途中で離脱してしまった場合の理由を分析・表示し、今後に生かせる機能を備えるなど、富士フイルムビジネスイノベーションのコンタクトセンター仕様のAIチャットボットに仕上げ、2024年1月に導入しました。
その後、富士フイルムサービスクリエイティブのコンタクトセンターへ運用を引き継ぎ、日々の運用の中で改善が続けられています。
▲コンタクトセンターのWebサイト内に表示されるAIチャットボット(右下)
──AIチャットボットの導入効果は?
永田:運用開始から1カ月間で、数千名を超えるお客様から数千件のお問い合わせを受け、約7割の質問に対する回答に成功しています。特に、自由記述の質問に対する回答成功率が従来に比べて向上していると分析しています。
また、コンタクトセンターでは、人に代わりAIがお客様からの入電に応対するAIオペレーターの24時間365日運用も開始しています。こちらもお客様の評価は上々で、AIの活用により、お客様に幅広い問い合わせ方法を提供することにつながっています。
鈴木:私はCEとして、コンタクトセンターを通じて寄せられる、お客様からの修理要請に応える立場にありますが、肌感覚でも、こうしたAIチャットボットやAIオペレーターの応対に基づく依頼が増えていると感じており、お客様に活用いただけているのを実感しますね。
──競合他社と比べた際の優位性は?
永田:チャットボットについては競合他社も導入を進めていますが、自社開発したAIチャットプラットフォームを搭載し、AI技術を活用している点では当社が先行しており、AIの活用により、お客様が使う言葉の解釈や、正確性の高い回答内容の提供という点で優位に立てていると考えています。
また、同じ富士フイルムグループのi.labに開発をお願いしているため、外部に開発を委託する場合と比べて迅速に改修を行える点で優位性があり、大幅なコストダウンも可能となりました。
リモート管理サービス、EP-BBで不具合の予兆を先手でつかむ!
──リモート管理サービスとは?どのように保守活動に活用しているのですか?
矢野:私が所属するテクニカルサービス統括グループでは、お客様と日々直接向き合うCEの皆さんの業務品質や生産性を高める支援をすること、さらには保守活動を通じてお客様に付加価値を提供できる仕組みづくりに取り組んでいます。
保守を支える仕組みの一つとして、お客様の複合機と当社システムをインターネットで接続し、複合機の状態をリモートで確認できるリモート管理サービス「EP-BB」を提供しています。この「EP-BB」をフル活用した重点施策が、お客様の複合機の不具合兆候をリモートでつかみ、CEの早期派遣につなげる、予兆診断の活動です。
活動自体はすでに10年以上の歴史がありますが、近年は複合機が発するエラーコードと、過去のお客様からの入電に対するCEの修理履歴などを照らし合わせ、不具合を予測し、未然に防ぐことに力を注いでいます。また、予兆診断の対象機種の拡大にも努めています。
──予兆診断では、どのような不具合が多く報告されていますか?また、どんな故障を未然に防いでいるのでしょうか。
矢野:最も多いのが紙詰まりによる不具合です。紙詰まりは、お客様自身が取り除いて復旧できるケースもありますが、繰り返し発生することで、本格的な故障に発展するリスクが高まります。紙詰まりの主な要因は、紙を送るローラーの寿命。出力枚数に比例してローラーの表面が摩耗してツルツルになり、紙が滑って送れなくなるのです。
現在のEP-BBは、複合機から通知される情報を基に、ローラーの累計紙送り枚数だけでなく、「どの箇所で、何回紙詰まりを起こしたか」といった情報も把握できるため、近い将来に故障に発展するか否かを高い精度で予測することができます。
▲富士フイルムビジネスイノベーション アフターサービス統括部 テクニカルサービス統括グループ 矢野さん
鈴木:保守の現場では、EP-BBによる予兆診断の情報を基に、複合機が完全停止してしまう恐れがある事象に対し、早い段階で優先順位をつけて対応しています。お客様を訪問する前に不具合の原因についてある程度特定できるため、持参する部品の選択ミスを低減できるなど、業務の品質・効率の両面で助かっています。EP-BBなくして、CEの仕事は成り立たないですね。
お客様からは「不具合に全然気が付いていなかったので助かります」「いつも見守ってもらえていて安心です」といった反応をいただくことが多いです。
▲EP-BBを活用したアフターサービスのイメージ
──それ以外にリモート管理による保守の工夫はありますか?
矢野:代表的な施策として、「パーツのまとめ交換」があります。例えば、使用期限が切れたパーツAの交換に合わせて、近い将来、使用期限が切れるパーツBやパーツCも、一度のお客様訪問でCEに交換してもらう取り組みです。どのパーツをまとめて交換すべきかについては、各パーツの使用期限やコスト、CEの作業コストなどを加味した計算式を基に自動的に導かれる仕組みになっています。
お客様としては1回のメンテナンスで多くの不安を解消でき、当社としてもCEの訪問効率を高められるため一石二鳥の取り組みと言えます。
オールFBの“顔”として保守技術の進化やお客様対応力の強化を追求!
──カストマーエンジニアとしてお客様を受け持ち、日々活動する鈴木さん。どのような体制でアフターサービスを提供していますか?
鈴木:私は千代田サービス部の九段サービスグループの一員として、複合機とオフィスプリンターのアフターサービスを担当し、複合機の台数で言うと500台以上を受け持っています。もっとも単純に「受け持ち台数=業務量」ではなく、受け持ち台数は少なくても、出力枚数が多く使用頻度の高いお客様を担当すれば、それに比例してアフターサービスの提供頻度も増えることになります。
また、平日日中だけでなく、夜間や24時間365日のアフターサービス契約を結んでいるお客様もおられます。そうしたお客様からの夜間や休日の問い合わせに対応するために、千代田サービス部内、さらには周辺エリアのサービス部も含めた形で私たちCEのシフトを組み、夜間休日にもお客様の元へ駆けつけることができる体制が構築されています。
──保守に関する技術力はどのように高めていますか?
鈴木:エンジニアはトラブルを直すための「切り分け能力」が大事です。その力は日々のトラブル対応で蓄積される経験値が多くを占めますが、それ以外のレアケースや機種特有の事象、発生頻度の低い不具合にも対応が求められます。
そのため、何故トラブルが起きたのか、この部品が悪いと何が起きるのかなど、日々トラブルの原因を考えるようにしています。また、自分よりも経験を積んでいる先輩エンジニアからノウハウを学ぶほか、過去の修理事例を検索できるデータベースの記載内容を参考にして、自分の技術として吸収していくことが技術力向上のポイントになると思います。それに加えて、現場が学びの場になるケースも多いです。
機械だけではなく、今後はお客様のIT運用・管理業務を支援する「IT Expert Services」の提供拡大などに伴い、サービス・ソリューション商材やネットワーク周りの保守をする機会も増えることが予想されます。そのため、動画教材などを通じた自学習に加え、同じ拠点内で働いているネットワークチームのメンバーから積極的に話を聞き、知識を高めるようにしています。
▲富士フイルムビジネスイノベーションジャパン 東京第一支社 CS統括部 千代田サービス部 鈴木さん
──故障時、迅速な復旧を実現するための工夫は?
鈴木:先ほど矢野さんに紹介いただいたEP-BBの情報はもちろん、お客様に電話で訪問の連絡をする際に補足情報を得ることで、不具合の原因をできるだけ事前に絞り込み、適切な部品を用意してから訪問することを心掛けています。また、現場で意識しているのは、お客様ご自身に、不具合が発生した際と同じ操作をしてもらうこと。お客様によっては、こちらが想定していないイレギュラーな使い方をされていて、それが不具合を招いている可能性もあるからです。
──鈴木さんは、CEの技能オリンピックである「OSSO」で2021年に優勝されていますね!
鈴木:はい。「優勝したのに、こんな不具合も直せないのか」と周りに思われたくないという意識が芽生え、その後も技術を磨き続けるモチベーションになっています。営業メンバーがお客様に対して「鈴木は当社で日本1位の技術力を持っているので、アフターサービスは安心してください!」と紹介することもあるので、それに恥じないCEでありたいですね。
うれしいことに、営業同行でお客様先へ伺うと、「鈴木さんがメンテナンスをしてくれるなら、追加で注文するよ」と言ってくださるお客様もいるので、今後も安心感と説得力のある仕事で応えたいです。
──最後に、今後の意気込みをお願いします!
永田:先程紹介したAIチャットボットは、ユーザーの評価と有人チャットの履歴を知識として蓄積し、正解例をどんどん学習させることで回答精度を上げ、進化させていきます。
コンタクトセンターには、AIチャットボット以外のルートも含め、月間数十万件ものお客様からのお問い合わせが寄せられています。こうしたビッグデータを開発部門や営業部門などと共有し、オール富士フイルムビジネスイノベーションのビジネス全体を拡大することにも貢献したいです。
矢野:お客様接点の最前線で活躍するCEの皆さんは、保守やコミュニケーションのスキルを日々磨きながら、お客様との関係性強化に挑戦しています。私としても、CEの皆さんがより働きやすく、かつお客様に多くの価値を提供できる仕組みづくりを一層強化していきたいです。
鈴木:今後も技術の幅やお客様対応力を継続的に高め、コミュニケーションを通じてお客様のお困りごとを解決できるCEを目指したいです。日々現場でお客様と向き合うという意味で、CEはオール富士フイルムビジネスイノベーションの“顔”だ、と思っています。その責任の大きさを忘れずに、お客様目線で活動していきたいと考えています。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです
