HPEの企業文化を体現し、社内そして地域に優れた影響を与えた社員に与えられるHPEのWomen's Excellence Awardを2023年に受賞した林 亜樹子。何事にも前向きにチャレンジ、立ち向かう姿勢でHPEを変革するリーダーとして活躍する林の経験について伺いました。
最新のテクノロジーを享受できることがIT業界の最大の魅力
──林さんの現在の業務について教えてください。
x86サーバー製品であるHPE ProLiantおよびHPE Synergy製品を日本市場に投入する役割を担っています。製品本部として、ロールは営業(セールス)でして米国本社が開発した製品を日本市場に投入するという役割を持っています。
ビジネス目標、売上オーダーの目標を達成できるように施策や仕組みを整え、営業やパートナー様が販売しやすいような情報を整備して日本に市場に投入する責任を持っている部門をリードしています。
──林さんがIT業界で働くことになったきっかけを教えてください。
新社会人として、はじめはサービス業で接客などをしていました。ルーティンの業務が多かったのですが、自分には向いていないと感じました。そして規模の小さい会社でいろいろと学びたいと思い、幸いにもモデムの会社に入社したことがIT業界で働くことになったきっかけです。
──半導体不足、コスト高騰、円安と苦しい状況が重なった時期がありましたが、ビジネスを支えるために林さんはどのようなことを意識していましたか?
本当に厳しい状況が重なり苦しかったです。当時は現在とは違うポジションだったのですが、フロントとなる営業(セールス)のメンバーがコストや納期など、武器となる情報がない状況で顧客に会わなければならなかったので、少しでも力になりたいという思いでした。
当時は開示できる情報が限られていて、納期の見通しについてのコミュニケーションも禁じられるほどで、思うように情報発信ができず、また必要な情報が十分に得られない状態が続いたのですが、なんとかして営業を支援できないかということを意識していました。
──そんな中でセールスとのコミュニケーションで工夫したことはありましたか?
営業のチームとしてはもっと情報を提供してほしいという状況の中で、個別にコミュニケーションをとることが逆に混乱を招くため、サプライチェーン、カスタマーオペレーションなどファンクションの組織ごとに、全社向けのコミュニケーション体制を整えてもらうように働きかけました。
通常であれば私たちがわかる情報を発信するのですが、状況的にそのようなことができなかったので、できる方法で対応するしかなかったのです。ですが、苦しかったのは私や私の部署だけではなく、営業など多くのメンバーだったと思います。
──林さんにとってIT業界の魅力はどんなところがあると思いますか?
最新のテクノロジーを享受できることではないでしょうか。たとえばコロナ禍でリモートワークの傾向が進んでいきましたが、すでにHPEでは当然のように利用されていた制度でした。ITインフラは今ではなくてはならない物で、活用の度合いはさらに広がっていますし、会社であればITインフラによって企業の力を伸ばしていきます。
個人としてもITを享受できたほうが可能性は広がっていきますし、そういう環境に最も近いところにいられるのは本当にありがたいことだと思います。そうした先端技術を率先的に取り入れていない環境と比べるととても恵まれていて、それが一番の魅力だと思います。
──チームメンバーと業務をする上で大切にしていることはありますか?
私のチームメンバーは本当に優秀な方ばかりです。私にはできないようなことができる方ばかりなので、尊敬の心を持って接するようにしています。私は口調が強い方でばっさり言ってしまうときもあるのですが、一緒に取り組まないと成し遂げられないので、メンバーの力を信じて相互に高め合っていきたいと思っています。
──IT業界で働く女性として感じた会社の文化について教えてください。
さまざまな業種の中で、一番女性が働きやすい業界なのではないでしょうか。ITは技術的な面で言うと難しいと感じるところもあるかもしれないですが、環境面が整っているという面では女性にとって本当に良い業界だと思います。
とくにHPEの場合は社員のモラルが高く、トレーニングなども充実していますし、男女関係なく働きやすい環境だと思います。周りの人びとをちゃんと尊重するような文化があって、私自身、20年以上この会社にいますが、ますます尊重する文化の傾向が強くなってきていると思います。また個人の事情を尊重してくれるのも働きやすいと思える理由の一つではないでしょうか。
たとえば介護が必要な場面など、男女関係なく個々の事情にも配慮してくれるので、個人の裁量で柔軟に業務時間を調整することが認められているところはとても働きやすいと思います。
──女性が働く上で、会社の中で改善されるべき点はありますか?
女性が働きやすくなるためには、女性だけが行動を起こすというより、男性を含むいわゆるマジョリティの意識の変化が必要だと考えています。一般的に、女性が働く上でチャレンジを抱える理由は、子どもの世話や親の介護など、自分以外の人のケアが必要になる状況が多く、それは女性が一人で解決するのではなく、パートナーや家族も含めて取り組むべきで、そういう意味では、女性以外への教育やサポートも必要だと思います。
会社でもマジョリティは男性で、現在私がいる組織も女性のマネージャーは私だけです。女性の活躍のために何かをするという議論では、女性だけに働きかけが行われる機会が多いような印象があります。
個人的には、女性に関する取り組みに対してなぜ女性だけが取り組む前提で話されるのかは疑問ですし、女性に対する取り組みだから女性だけで推進するのではなく、男性(マジョリティ)を含む全体で環境を醸成していかなければいけないと思っています。
一方で、男性からすると女性ばかり優遇されていると感じる人もいるかもしれないので、女尊男卑とエクイティの違いを議論する機会が必要ではないでしょうか。
仕事は犠牲にしても良い。子どもはあっという間に成長するから家族を優先
──キャリアを築きながら、出産を経験されていますが、仕事と家庭の両立という観点でチャレンジはありましたか?
私が出産を経験した時は、今ほど手当などの制度が充実しておらず、長期休暇も取れるような状況でなかったことを覚えています。個人的には育休手当の支給期間が短くて、長く休んでいられるような状況ではありませんでした。そのため出産後6カ月後には復帰していました。
当時はリモートワークも週に一日くらいで、今ほど体制が整っておらず、基本的にはオフィスに出社していたので、とにかく時間に追われて忙しかったです。朝、子どもを送って会社に来て、夕方に帰ることを繰り返していた日々でした。
夕方5時に、忙しさのピークでミーティングなどもスケジュールされている中で「ごめんなさい、帰らなければいけないので」と申し訳ない想いでいっぱいだったのを覚えています。
そして何年か経って、子育てをしながら働く女性の後輩社員が何人か出だした時に、私と同じように「ごめんなさい」と謝りながら帰るのが辛いと言っているメンバーがいました。いつも会社にも子どもにも申し訳ないと考え、辛い気持ちを抱え込んでいました。
それからは後輩には「仕事は犠牲にしても良いよ。申し訳ないと思う必要もない」と声をかけるようにしています。子どもはあっという間に成長しますし、その時間は取り戻せません。仕事に真剣に向き合うからこそ、申し訳ない気持ちを感じるのかもしれないですけれども、家族を優先するように伝えるようにしています。
柔軟な考えは組織にとってプラスの効果
──林さんは部門DEI(Diversity, Equity & Inclusion)推進リーダーを担当されていますが、DEIを推進するにあたり組織の課題は何だと思いますか?
DEIに関するアクションは組織のメンバーに説明することが重要で、コミュニケーションをしないとメンバーがHPEとして具体的に何をしているかが見えないばかりでなく、DEIの意義や存在さえわからない、知らないという問題が続いてしまうと感じていて、それには気をつけなければいけないと思っています。
──林さんにとってダイバーシティがもたらす組織への影響はどのようなものがあると思いますか?
ステレオタイプや硬直化した考えを打破できると思います。柔軟な考え方を持つことでさまざまなニーズに機敏に応えていけるような組織になって、プラスの効果があると期待しています。
──HPEで働く女性メンバーがキャリアを築いていくために何が必要だと思いますか?
女性メンバーと一口に言っても、自分のキャリアに対して仕事で成果を上げていきたいタイプとバランスを取っていきたいタイプなどさまざまな考えがあります。リーダー候補となるメンバーでも生活とのバランスを考えて昇格(プロモーション)を望まない人などは少なくないですし、時代とともに働き方に対する考え方も多様化しているので、プロモーションに限らない多様なキャリアの選択肢を用意することが必要だと感じています。
また、プロモーションによってワークライフバランスが崩れると考えるメンバーに対しては、「プロモーションをしたくない」と思われるようなリーダーであってはいけないと思っています。管理職のポジションでも休暇を取ることはできますし、私は以前、マネージャーは率先して有給休暇を取るように提案したりしたこともありました。
リーダーポジションに就く人は仕事が好きで残業が苦にならない人も中にはいますが、候補者からみて、「責任が重すぎて、いろいろなことを犠牲にしなければならない」という思いから拒絶感を持っている人に、「リーダーになりたい、なってもいいな」と思われるようなリーダーでありたいし、そのような環境を作っていきたいと考えています。
※ 記載内容は2024年1月時点のものです
