車いすラグビーとの出会いが教えてくれた、前を向いて生きる力
私が学生時代に最も力を注いだのは、車いすラグビーです。大学1年生の時に交通事故に遭い、下半身に障害を負いました。入院生活の中で毎日リハビリを続けていたある日、車いすラグビーの選手と出会ったことが、このスポーツを知ったきっかけでした。同じように厳しい境遇にありながらも、力強く前向きに生きている姿に大きな衝撃を受けました。そのスポーツならではの迫力に魅了され、自分もやってみたいと強く思い、退院後すぐに車いすラグビーを始めました。車いすラグビーを通じて、車いすの操作スキルや障害に関する知識、そして仲間とのつながりを得ることができました。これは現在の私の行動や考えの基盤になっており、社会人となった今も大きな力になっています。
就職活動では、まず「働く環境」を重視しました。私は脊髄損傷による身体障害があり、車いすを使用しています。また高次脳機能障害の影響で、記憶力や注意力、遂行機能にも課題があります。そのため、バリアフリーなどの設備が整っているか、障害への理解や配慮があるかという点を軸にして企業を探しました。障害に理解のある職場であること、同じような障害のある社員が働いている企業に魅力を感じました。業界はIT企業に絞りました。もともとIT分野に興味があったことに加え、IT企業はバリアフリー化や働き方改革が進んでいるイメージがあり、在宅勤務など柔軟な働き方ができる環境が整っている印象があったからです。職種は、職業リハビリテーションセンターで学んだPCスキルを活かせる仕事を希望していました。
HPEについて知ったのは、車いすラグビーのチームメイトがHPEで働いていたことがきっかけでした。また、職業リハビリテーションセンターでオンライン会社説明会があり、そこで詳しい情報を聞く機会がありました。身体障害だけでなく、知的障害や発達障害などさまざまな障がい者が活躍していることから、障害に対する理解が深い企業だと感じました。特に印象的だったのは、HPEが人の人間性を大切にしているという点です。仕事は一人でやるものではなく、チームとコミュニケーションをとりながら進めていくものだと私自身も感じていました。DEIや心遣い、気遣いといったところを大切にしているこの会社であれば、安心して働けると感じました。
入社を決めた一番の理由は、障害のある社員が数多く活躍しており、環境面で安心できると感じたことです。私と同じ脊髄損傷による下肢機能障害がある方をはじめ、様々な障害のある社員が働いていて、在宅勤務や自家用車通勤といった柔軟な働き方が可能でした。生活や体の状況に合わせられる制度が整っているのは大きな魅力でした。そして何より、最終面接で面接官の方から「是非一緒に働いてほしい」と声をかけていただいたことが忘れられません。面接官の方は、私がどう働きたいかという相談に親身に乗ってくださり、働く方向性をしっかりと聞いてくださいました。その一言で、この場所でなら安心して前向きに働き続けられる気がしました。
充実した研修プログラムと、想像を超えた協働の日々
入社後はまずPC研修とビジネスベーシック研修を受講しました。どちらの研修も外部の専任講師による研修で、実務に直結する内容が多く、とても充実していました。PC研修ではWordでのチラシや手順書の作成、Excelでの関数やグラフの作成、PowerPointでの資料作成など、基礎から応用まで幅広く学びました。特にExcelではテキストに載っていない関数を教えていただき、現在の業務にも大きく役立っています。ビジネスベーシック研修ではコミュニケーション力やプレゼンテーション力の向上を目的とした内容が中心でした。自分の特性や強みをどう伝えるか、相手の話の聞き方や情報を整理して報告連絡相談をするスキルなど、社会人として必要な基礎力を改めて学ぶことができました。
研修の中で最も印象に残っているのはアサーティブコミュニケーションです。自分の考えや気持ちを大切にしながら相手の立場や意見を尊重する伝え方、聞き方のことですが、研修を通してその重要性を深く学びました。仕事は基本、1人で完結するものではなくチームで進めていくものです。その中でアサーティブコミュニケーションを意識することで、メンバーとの関係性がより円滑になり、結果的に生産性向上にもつながると感じています。
私が所属している人事統括本部シードサービスセンターは、障害のある社員が様々な業務を経験しながら技術や能力、就業意識を高めていく職場です。入社前は、障害のあるメンバー同士で仕事をすることが多いのだろうと想像していました。ところが実際は、予想以上に一般入社の社員と一緒に仕事をする機会が多く、その点にギャップを感じました。障害の有無にかかわらず協力し合い、同じ業務に取り組むことで自然と交流が生まれ、視野が広がっていくのを実感しています。研修で学んだアサーティブコミュニケーションの考え方は、こうした日々の協働の中でこそ活きてくるものだと、入社後の実務を通じて理解を深めることができました。
多様性と効率化を追求する日々、業務の中で発見する小さな改善の積み重ね
現在、私は人事統括本部のシードサービスセンターに所属し、大きくふたつの業務を担当しています。ひとつめは社内の他部署から依頼を受け基本情報チェックレポートの作成を担当しています。データベースの情報が常に最新状態に保たれるよう、スプレッドシートを使って更新状態を確認し、結果をレポートにまとめています。未更新の情報があれば関係者に更新や修正を依頼し情報の正確さを高めることで、社内業務がスムースかつ効率的に進むよう支えています。
ふたつめはひとつめの業務とは異なる部署と連携しデータベースを使用する業務です。お客様やパートナー企業から寄せられる製品の保守契約に関する見積もり依頼や発注対応を担当し、内容を整理したうえで管理システムに反映しています。迅速にケースを作成するだけではなく、正確で抜け漏れのない対応につながることを意識しています。このように他部署との連携で、業務の効率化に貢献できたことに大きなやりがいを感じています。日々の業務の中にある小さな工夫や改善が効率向上につながることや変化に柔軟に対応すること、適切な情報共有や協力体制の重要性、そして事前準備の大切さを実感しています。
また、入社をしてから様々なセミナーや業務を通してDEIへの理解が深まり、多様性を尊重する姿勢になれたことも大きな成長です。以前の私は「自分がこうだからみんなこう。あの人はそうだからあの人もきっとそう」と思ってしまっておりました。当センターで働く中で、障がいのある人もない人も人にはそれぞれ違う背景や特性、考え方があり、同じことが普通ではないと気づきました。それから私は常に自分の固定概念を疑うスイッチをオンにしておくことを心がけています。
主体的なリーダーシップで切り拓く、これからのキャリアと未来への思い
近々、現在業務を担当している部署から新たな業務を引き継ぐ予定があります。まずはその業務内容をできるだけ早く理解し、円滑に遂行できるよう準備を整えることが短期的な目標です。チーム全体の負担軽減や成果向上に貢献できるよう、準備を進めていきたいと考えています。
また、これまで取り組んできた業務効率化についても日々の業務の中で改善点を見つけ、ミスの削減や処理スピード向上にもつなげていきたいと思っています。中期的には、これまで培ってきたスキルや業務効率化の意識を活かして、シードサービスセンターや業務を担当しているチームに活用できるアイディア提案や導入ができる存在を目指しています。自分一人の効率化にとどまらず、チーム全体の生産性向上に貢献できるような役割に成長していきたいです。また、後輩へのサポートを積極的に行い、チーム内で知識を循環させることで、誰もが働きやすい職場づくりに貢献していきたいと考えています。
社内には、私にとってロールモデルとなる先輩社員がいます。様々なアプリケーションのスキルに精通している方で、新しいツールやテクノロジーに常に関心を持ち、いち早く理解して業務にどう活かしていけるかを考える姿勢に魅力を感じています。また、その方の人との話し方にも憧れています。言葉の表現が丁寧で綺麗で、相手の困っていることもしっかりと聞き出せるようなコミュニケーションスキルがあります。そうしたスキルがあれば、後輩社員も質問しやすくなりますし、私自身も周囲から頼られる存在になれるのではないかと思っています。
HPEで活躍するために大切なのは、役職や肩書きに関係なく全員がリーダーシップのマインドを持つことだと私は考えています。私にとってのリーダーシップとは、単に人を指揮することだけではなく、主体的に行動する姿勢です。与えられたタスクをこなすだけでなく、チーム全体を見渡して状況を把握し、必要に応じて周囲をサポートすることが求められます。例えば、他メンバーの進捗を確認する、困っているメンバーをフォローする、業務改善の提案をする、余裕があれば他の仕事を手伝うなど、こうした主体的な姿勢がチームの成果を最大化し、HPEでの活躍につながると私は思います。
就職活動中の方へ私からぜひお伝えしたいことは、就職活動は自分に合った環境や仕事を見つける大切な時間なので焦らず、まずは自分が何を大事にしているのか、それを整理してみることをおすすめします。面接や説明会では、自分の状況や必要な配慮を正直に、具体的に伝えることを恐れずにいてほしいと思います。それが入社後に無理なく自分の力を発揮できる職場を見つける第一歩になります。就職活動中は不安や迷いもあると思いますが、自分の背景や経験は必ず価値につながります。諦めず、ぜひ自分らしいキャリアのスタートを切ってほしいです。
