社風に共感し、入社を決意。配属先で直面した悩みとは
現在、デジタルシステムプラットフォーム本部CIO Officeでマネージャーを務める轟木。管理職として社内DXの中枢にいる彼女ですが、十数年前は就職先が決まらない辛い日々を過ごしていたと言います。
「学生時代は、情報工学を学んでいました。学んだことを活かしたいと思い、大手SIerを中心に就職活動を進めていました。ただ、面接がうまくいかず、連戦連敗。なかなか厳しい就職活動でした」
そんなときに面接を受けたのが富士通だったと言います。
「正直、一次面接も二次面接も、出だしは全然うまくいかなかったんですよね。思わず、その場で『いつも面接失敗してしまうんです』と相談するほど(笑)。でも、会話を続けていく中でどんどんと話が弾んで、帰るころにはすっかり面接官の方と意気投合していました。
その後、無事内定をもらい、入社することにしたのですが、これが“社風に合っている”ということなんだと実感しました」
入社して最初に配属されたのは、富士通グループのSEの技術力向上をミッションとする共通技術部門。上流工程で必要となる技術の整備や普及、システム開発プロジェクトでの技術支援に携わります。
「私がちょうど入社したころ、従来の要件定義手法を見直そうという取り組みがあり、そこに私も参加することになりました。時代とともに、システムやそのシステムを導入するお客様を取り巻く環境は変化します。
なので、手法自体もアップデートしていかないと、考慮漏れが発生し、それが後の運用上の問題を引き起こす要因になることもあるんですね。この状況を改善すべく、要件定義の統一フォーマットを再整備し、全社浸透のための情報発信業務に携わっていました」
ただ、入社間もない轟木にはプロジェクト経験がありません。数多くのプロジェクトを手掛けてきたベテラン社員を相手にするのは、なかなか大変だったと振り返ります。
「社内説明会などで、要件定義の方式について私から説明するのですが、『経験のないきみに何がわかるんだ』という目を向けられているのはヒシヒシと伝わってくるんですね。
経験値ゼロの私がいかに説得力のある話をするか。意識したのは、ベテラン社員でも知らないような業界トレンドや他社動向、国や関連機関から発信されている情報などをもとに話を組み立てること。また、それらの情報を一方的に話すのではなく、『いまはどのようにされているのですか?』と話を聞きながら、『それならば、いまこういった技術や方法があって』と説明するようにしていました」
伝えたいことは3行で。秘書官時代に身につけたマイルール
その後、部署を異動し、2021年からはCIO(最高情報責任者)である福田 譲の秘書官を務めることになります。
「2020年から全社変革プロジェクト『フジトラ』がスタートし、私の所属する本部でも、その推進役となる責任者(DX Officer)が置かれることになりました。これはおもしろそうと思い、手を挙げたのですが、残念ながらほかの方に決まってしまって。ただ、そのポストに就かれた方はCIO秘書官だったということで、玉突き的にそのポストが空き、あらためて手を挙げたんです」
秘書官とは、組織や企業のトップリーダーや重要な役職者の補佐を行う職務。はじめは戸惑うことばかりだったと言います。
「着任当初、正直何をやればいいのかわからない状態でした。そこで、福田さんに聞くわけですが、『なんでもやるんだよ』と返されまして。全社プロジェクトの推進から、社員と福田さんとのランチ会の企画まで、文字通りなんでもやっていました(笑)。
最も印象に残っている仕事は、富士通のグローバルソリューション『Fujitsu Uvance』の重点注力分野のひとつである『Digital Shifts』において、事業を立ち上げるチームのPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を担当したことです。本部長、本部長代理、事業部長などそうそうたるメンバーに囲まれながら、事業企画の検討を推進するという、非常に緊張感とやりがいのある仕事でした」
秘書官に挑戦したことで得た学びから、この先も長く大切にしたいマイルールを見つけたという轟木。
「秘書官としてさまざまな企画を考案し、提案しました。しかし、就任当初は企画提案の第一関門である福田さんのチェックを通過できないことが多々ありまして。
なぜ通らないのだろうと考えたとき、あれこれ考え過ぎて、企画が複雑になってしまったこと。その結果、何をやりたいのかをうまく伝えられていないことに気づきました。そこで決めたルールが『3行でわかる・伝わる企画』です。このルールを決めてから、何を優先して伝えるべきかを考えるようになり、提案の内容や方法も変わりました。秘書官に挑戦したことで気づいた、一生使える財産だと思います」
情報発信の形を変えたい──仲間ともに踏み出した新たな一歩
マネージャーへの昇格を期にCIO秘書官のポストを離れた轟木。現在は、社内IT部門の立場から、社内ITサービスの提供だけではなく、全社DXを促進するためのカルチャー変革に取り組んでいます。
「組織カルチャーを変革するということは、その組織に所属する社員のマインドセットや行動も変えていくということです。年齢や性別、職種や業務、国籍や文化が違う社員一人ひとりに向けて、どう情報発信していくかが重要になります」
しかし、これまで社内で行われている情報発信の在り方に課題意識を持っていました。
「私たちの部門からは、新システムの説明資料を用意しましたとか、社内説明会やイベントの動画を共有しましたといった通り一辺倒の情報が日々発信されています。そこでリンクをクリックすると、何十頁もあるような資料や1時間もあるような動画が掲載されているわけです。これでは、ごく一部の社員にしか届かないと思うんです」
試してみたいと思う情報発信のやり方はあったものの、それを実現するためのノウハウやスキルがなかった彼女のもとにあるメンバーが加わります。
「自ら社内ラジオを立ち上げるなど、いろいろと情報発信していた石田さんが私の所属する部署に異動してきました。持ち前のトーク力と動画編集スキルも兼ね備えた彼となら、私のやりたかったことを実現できるのではと思い、あることをお願いしたんです」
それは、社内インフルエンサーとなり、新しい社内システムや複雑な手続きをたった5分で理解できる動画を配信するというものでした。
「まず手始めに、2022年度に刷新した社内ITサービスを題材に、リリース後わずか1週間で『新サービスを使ってみた!』動画を配信したんです。サービスの概要や使い方をわかりやすく解説するだけではなく、石田さん自身が実際に使ってみて感じた感想や使用上のポイントを織り交ぜ、短くまとめたものに仕立てました。
これが、経営層を含めた多くの社員から好評で、狙い通りバズらせることができました。その後もさまざまなシステムを題材に動画を作成し、半年で20本ほどを新しく立ち上げた動画コンテンツサイトで配信中です。
社内IT部門って一般的には少しかたいイメージがあると思うんですけど、そんな部門がどこよりも柔らかく情報発信をしているわけです。それをみて、私のいる部門や富士通って変わってきたなと感じてもらえると嬉しいですし、誰かの『私も変わろう』や『私も変えたい』につながるともっと嬉しいですね」
富士通が好き。だからこそ、取り続けたい行動とは
入社以来、さまざまな役割から積極的に社内変革に取り組んできた轟木。彼女の明るい性格と行動力がその原動力かと思いきや、「それはちょっと違う」と話します。
「こういう仕事をしている人は根っからのキラキラ系。そんなイメージがあるかもしれませんが、私はそんなタイプではなくて。むしろ、一歩引いたところにいるほうが落ち着く性格です。ただ、明るく積極的に行動したほうが、おもしろい仕事に出会えたり、より良い結果に結びついたりすることが多かった。それだけなんです(笑)。
それに、一歩を踏み出せずイジイジしちゃう、なんてこともいまだにあります。そんなときは、半歩でも前に進むことを意識していて。小さく始めて、できるかどうかを試してみるんです。もし失敗したら元いた場所に戻ればいいですし、成功であれば次への自信になります。大きく踏み出さずとも、半歩の積み重ねで遠くへいくことはできると思っています」
では、彼女を支える本当の原動力とは何か。それは、「会社愛だ」と笑顔で答えます。
「私は、富士通という会社が好きです。できれば、この先も長く、この会社で働き続けたいと思っているくらい。採用面接で感じた“社風に合っている”は間違いではなかった。むしろ、10年経ってより強く実感しています。だからこそ、長く働き続けるにあたって不便だと感じることは、一つずつ変えていきたいんです。
もっともっと働きやすい会社になっていけば、すてきな人がどんどん集まってくるはず。そんなすてきな会社を辞めたいと思う人はいなくなると思うんです。そんな環境で働くのってとても楽しいし、幸せなこと。私自身が楽しく、そして私らしく働き続けるためにも、よりよい会社に変え続けていきたいです」
そのために、いま意識しているのは「還元」だと言う轟木。
「自分ひとりで変えられる範囲はとても小さい。会社を変えるような大きな力を生み出すためには、一人ひとりがいかに自身の経験や学びを会社に還元するかが重要だと思います。
私自身、昨年はいろいろなことに挑戦しましたし、それは今後も続けていきたいです。ただ、それが私やその周囲だけの挑戦で終わらせず、会社の糧となるよう、得たものはすべて還元していきたいですね」
※ 記載内容は2023年7月時点のものです
