ともかくやってみる──「世界一の仕事」に挑み、自らキャリアを開いた若手時代
2001年にネットワークエンジニアとしてキャリアをスタートした平井。7年間の経験を積んだ後に異動を希望し、国家プロジェクトであるスーパーコンピュータ「京」のアカウントセールスを担当しました。
「当時はまだ20代で、自分の不甲斐なさを感じキャリアを見つめ直したいと考えていたころ。『世界一の仕事』に携わる仕事がしたいと思い異動を志願しました。国家規模のプロジェクトのため、携わるメンバーは数百名単位。意見を集約しながら、クライアントの窓口として社内との調整役を担いました」
その後は富士通のグローバル戦略の担当に立候補し、2014年から海外担当、2016年よりドバイに3年弱駐在。主に中東地域でのスーパーコンピュータとAIソリューションの販売に携わる中で、価値観が変わる経験をします。
「グローバル企業で国家プロジェクトに携わっているという自負を持っていましたが、中東では富士通の名が知られておらず、商談を進めるのも一苦労。国内での知名度とのギャップにショックを受けましたが、外から自社を見ることの大切さを知る貴重な経験となりました」
海外で視野を広げ、帰国後はスーパーコンピュータ「富岳」開発プロジェクトの担当営業となり、導入を完遂。富士通がIT企業からDX企業へと転換を進める中、新規ビジネス企画部門の立ち上げに携わります。
「社内のDX企業への変革はトップダウンで推進するプロジェクトとはいえ、現場目線からDXの意義を考え抜くことが大切だと身をもって体験しました。日常生活での些細な困りごとをデジタルの力で解決できることもあれば、世界一のスーパーコンピュータで解決できることもある。富士通ができることはたくさんある。新規ビジネスを多角的に企画する過程で、自らのキャリアの体験が整理されるようになりました。
いつの間にか当たり前になっていることに疑いを持ち、世の変化に敏感になり時代の先取り対応していきたい、という強い意志が芽生えてきました」
常に成長のチャンスを求めて新しいことに挑み続けてきた平井。その背景には、いつも支えとなっているある言葉があります。
「富士通の第8代社長である小林 大祐が残した、『ともかくやってみろ』という言葉が私の信条です。読み方は違いますが私の名前も大祐と書くので、自分事のように感じていて。仕事は大変なことや苦しいことも多いですが、それを楽しくしていくのが私の生き方。初めてでも恐れずに挑戦して、自分で仕事をおもしろくしていくことをいつも心がけています」
外資と日本企業の良さを融合し、営業活動を進化させたい
現在はオファリングセールス本部のソリューションアーキテクト部でシニアマネージャーを務める平井。社内ポスティング制度を使い、自ら手を挙げて異動しています。異動を希望した背景には、このままではいけない、現状を打開したいという強い想いがありました。
「周知のとおり日本経済は低迷を続けており、1989年の世界時価総額ランキングではトップ50のうち日本企業が6割以上を占めていましたが、円安の影響はあるものの2023年には0社という状況です。
その原因は、自社を含め日本企業の構造的な問題にあると考えました。世界経済をけん引する存在に再びなるためには、グローバルで大きく成長を続ける企業から学び、変革を推進する必要がある。
そう考えていたところ、社内SNSにて本部長自らが塾長となり講義していたのを見つけました。外資系ノウハウと伝統的な富士通の良いところを融合していくという、これまでにない考え方。自らをその場に置いて挑戦したいと思い、新しいセールスモデルを確立するポジションに志願しました」
これまでのアカウントセールスは、顧客のニーズを汲み取り、カスタマーエンゲージメントを高めていくというモデルでした。
「営業部門がそれぞれの担当業種のお客様に対し営業活動をするだけでは、開拓できる市場の規模に限界があります。また、事業部制において、商品開発部門も壁ができてしまっており、商品ごとに単独で損益管理を行うようになってしまいました。
そこで、オファリングによってめざすのが、営業部門も商品開発部門も組織を横断的につなぐモデルへの変革です。私たちソリューションアーキテクト部が主導し、組織横断可能な販売体制とオファリングを整えていく。本来もっている組織全体のポテンシャルを横断的につなげることで、お客様にとってもより良い価値を提供することが可能です」
オファリングセールスの導入にともない、顧客へのアプローチ方法も転換を進めていきます。
「従来は顧客からの要望に従い、受動的にプロダクトやサービスを提案するPull型のアプローチ方法を取っていました。今後は自分たちが起点となり、市場を分析して見込みのあるマーケットを選定し、能動的に提案活動をしていくPush型へと転換を進めます。
その目的は、お客様がまだ気づいていない潜在ニーズに対して新しい顧客提供価値を企画創出することで新たな顧客開拓を行うことです。『初めて』を恐れず、自らを変革し、お客様とともに成長していくことが目標です」
未知の世界には伸びしろしかない。前例がないからこそ自分たちで正解をつくる
新たな営業モデルを活用すれば、ビジネスのスピードがアップすると平井は期待を込めます。
「お客様の購買プロセスを簡単に言うと、欲しい、買おうかな、支払って買う、という3段階のフェーズがあります。購買プロセスのフェーズが進むにつれ、コストとリスクに対する懸念が高まり、意思決定に要する時間が長くなっていきます。
そこで有効となるのが、オファリングセールスモデルの活用です。お客様の顕在ニーズではなく、お客様も気がついていなかった潜在ニーズを掘り起こします。お客様の共感を得て経営課題をともに解決しながらDXの変革を進めていきます」
新しいオファリングセールスは、従来とまったく異なる営業スタイルです。道なき道をいく仕事には、“ワクワク感しかない”と平井は語ります。
「前例がないためもちろん難しさもありますが、伸びしろしかないと思っています。未知のことをやるのだから、誰にも正解なんてわかりません。それをみんなが正解だと思える形にしていくことが、私たちオファリングセールス本部の役割です。
本部自体は比較的小規模なユニットで、変革を推進するのにはちょうど良いサイズ。本部長を筆頭に、チームのみんなで変えていこうという士気が高まっていて、メンバーの意識の変化をダイレクトに感じています。
また、この本部にはさまざまな有識者が集まっています。外資での成功体験からセールス活動を高めてくれる校長先生がいたり、コンサル手法のノウハウを伝えてくれ仕事の質を高めてくれる上司がいたり、学ぶことがたくさんあり楽しいです。
オファリングセールスモデルは富士通全体で見ると、まだまだ道半ばといったところ。変革を担う仲間たちとオファリングセールスの理解を深め、社内に浸透させることはやりがいがありますね」
全社的な認知を高めるための取り組みとして、平井が考えている二つの戦略があります。
「一つめはメディア戦略です。今回のtalentbookでの発信もそうですが、SNSなどの新しいツールは有効と考えます。自ら率先して情報を伝えていきたいと考えています。
そして二つめが、推進力のあるメンバーと共感し、未来を一緒に描いていくという戦略です。プロジェクトはまだ始まったばかり。同じ志を持つ仲間を増やして、変革の輪を広げていきたいと思っています」
遠くのゴールをめざすために。メンバーみんなで変革に挑んでいきたい
社内への理解浸透に努めながら変革を進める平井。今後の展開について次のように語ります。
「まずはオファリングセールスモデルに基づく新サービスを開発し、その販売にスピード感を持って取り組むことが目下のミッションです。新規顧客の開拓に向けて、お客様の期待を超えるソリューションの提案を追求していきます。
そのためにも自分の専門性は何かということを見極め、絶えず学び続けなければなりません。知識を深めるだけでなく、現場で実際に活かしてみながら、常に専門スキルを高めていきたいです」
そんな平井が、プロジェクトを進める上でいつもメンバーに伝えていることがあると言います。
「仕事をしているとつい、目の前の業務に夢中になり、本来の目的が何だったかを見失ってしまいがちです。なぜそれをやっているのか、手段と目的が入れ替わっていないか。それを繰り返し伝えるのが私の役目だと思っています。
私自身も、なぜオファリングセールスモデルの確立に取り組んでいるのかを自らに問いかけ、国内の営業組織を進化させていくという終わりなきゴールを見つめながら、足元の一歩を踏み出すことを大切にしています」
平井にとって営業モデルの変革は、組織の変革を進めるためのまだ初期段階です。その向こうに描いている未来があります。
「本部長から伝えられた変革メッセージで印象的だったのは、営業は科学と化学の両面があるということ。営業活動のデータを蓄積・分析する科学と、人と人が働き方や仕事の進め方で起こす化学反応がある。定量的にビジネスを考察し、クリエイティブに仕事ができる環境をつくっていくことが次のステップです」
組織の変革は個人の力では成し遂げられない挑戦です。協力してくれるメンバーを一人でも多く増やしたいと、平井は力を込めて語ります。
「『早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければみんなで進め』という言葉があるように、遠くをめざしているからこそ、メンバーのみんなと一緒に進んでいきたい。
グループ会社も含め20年以上富士通に勤続して感じる自社の魅力は、やはり『人』だということ。私がこれまで挑戦を続けてこられたのは、どんなときも力になってくれる上司や同僚がいてくれたからこそ。
一人ひとりが組織の変革者として一歩を踏み出せば、みんなで遠くへ行けると信じています。『ともかくやってみろ』の精神で、みんなとともに挑んでいきたいです」
※ 記載内容は2023年6月時点のものです
