東京と沖縄。ふたつの環境を経験したことで感じた「やりがい」とは

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▲SEとしてお客様の課題解決に取り組み、そしてふたりの子どもを育てる石田

2022年8月現在、富士通Japan株式会社のクロスインダストリービジネス本部に所属する石田。大学入学を機に沖縄へ移住し、学生時代はダイビングにのめり込んだという。大好きな海の近くで働きたいとの想いから、2008年に沖縄に拠点を置く富士通グループ会社に入社しました。しかし、初任地は東京だったといいます。

石田 「私が入社した会社では、仕事の視野を拡げるために、東京にて5年間勤務を行うという制度がありました。東京では、製薬業界のお客様を担当。システムエンジニアとして、文書管理システムの導入プロジェクトに携わりました」

その後、希望通り沖縄に戻った石田。つぎに担当した図書館システムでは、ある悩みに直面したといいます。

石田 「沖縄に来て、担当する業界も取り扱う製品も変わりました。なかでも苦労したのが、東京の時と比べ、一つひとつのプロジェクトの規模が小さくなったことです。それまでは、数は少ないながらも大規模プロジェクトを担当し、大きなやりがいを感じていました。プロジェクトの大きさで優劣がつくということではありませんが、『会社に対して十分に貢献できているのか』と不安に思うことはありました。

でも、ある時から『規模』ではなく『数』に目を向けようと思って。『ひとつの案件にじっくり』から『より多くの案件にアプローチ』へと仕事の仕方を変えていったんです。

その後、少しずつではありましたが、当社システムを採用してくれるお客様が増えていきました。そして、最終的には県内でトップシェアの図書館システムに。その時には不安は消え、自分の仕事に自信が持てるようになりました」

また沖縄での仕事では、東京にいた時とは違った「やりがい」を感じるようになったといいます。

石田 「沖縄はお客様との距離感がとても近いんです。図書館システムを担当していた時に、特にそう感じました。

たとえば、お客様からのお問合せに答えた時やシステム導入が完了した時など、『ありがとう』と言っていただくことが多くて。東京にいた時も、お客様から感謝されることはありましたが、その言葉は『私』というよりは『会社』に対してのもの。沖縄では、『石田さん、ありがとう』と言っていただけるんです。

やはり、そのほうが嬉しいですし、そういってくれるお客様のためにもっと頑張ろうと思うようになったんです」

新しい職場での仕事にもやりがいを感じ、忙しくも充実した日々を過ごしていた石田。同じころ、子宝に恵まれます。

2度の育休経験で、世の中や会社の意識の変化を実感

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▲大好きな海、そして愛する子どもたちとの一枚

現在2児の父である石田は、これまでに2度の育休を取得。1人目の時は3カ月、2人目の時は10カ月取得しました。

石田「1人目が生まれたのは、同時に複数のプロジェクトを担当していた頃なので、とても忙しかったですね。出産立ち合いこそできたものの、育休を取得したのは半年経ってからでした。当初考えていたようにはいかず、はじめての育休は不満が残る形となりました」

不満を口にした石田だが、それにはある出来事があったといいます。出産後、石田の妻と子どもは実家がある関西で過ごすことになったため、次に子どもと会ったのは1カ月後。その時の成長した子どもの姿に驚いたと話します。

石田 「久しぶりに子どもに会い、とても嬉しかったことを覚えています。しかし、それと同時に、自分が知らないうちに子どもが大きくなったことへの寂しさを感じました。会えない間も、写真を通して子どもの成長を感じていましたが、実際に会うとまた違っていて。その期間の成長を近くで見ていたかったなと、すこし後悔しました」

また、その後の育休期間に入るまでを振り返りながら、当時感じたという仕事と育児のあり方に対する違和感を口にします。

石田 「当時は、子どもが起きる前に出かけ、子どもが寝ている夜遅くに帰ってくるという日々を過ごしていました。同じく子どもがいる同僚も似たような状況だと聞いていて。笑い話として、『自分の子どもなのに、あなたは誰ですか?みたいな顔をするんだよ! 』と話す同僚もいました。でも、それを聞いた私は違和感を覚えたんです。それが当たり前になっていいのかと」

その後、世の中の風潮が一変。富士通としても「Work Life Shift」* が提唱され、より取得しやすい形に育休制度が整備されました。2人目が産まれ、2度目の育休を取得した際は、満足のいく形で取得できたといいます。

石田 「1人目の時の経験を活かして、2人目の時は長期間取得しようと決めました。有給休暇制度と育児休業をあわせ、10カ月間取得しました。会社からも男性の育休取得を推進するメッセージがたくさん発信されていたので、環境としても長期間での育休取得がしやすかったです」

*Work Life Shift……富士通が推進するニューノーマルな世界における新しい働き方。「働く」ということだけでなく「仕事」と「生活」をトータルにシフトし、Well-beingを実現していく。 

女性も男性も育児のスタートは一緒──自身が感じた育休からの学びを展開

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▲「知らないものほど、勝手な思い込みがある。育児もそのひとつ」と語る石田

2度の育休経験が注目され、2021年12月に開催された社内オンラインイベントに登壇します。そこでは、自身の育児経験と得た学びについて語りました。

石田 「1人目の子どもが産まれて間もない頃、『何で子どもが泣いているのかな?』と妻に聞いたことがあります。そうしたら、妻から『いや、知らないよ』と言われて。この時、ハッとしました。それまで私は、『妊娠中お腹の中で子どもとつながっている女性は、子どものことを理解しているはず』と、心のどこかで思っていたんです。

でもよく考えたら、そんなことはないんですよね。育児に対する知識や経験がないのは、妻も私も同じ。『育児のスタートは女性も男性も一緒なんだ』と気づかされました」

社内オンラインイベントに出演後、イベント参加者から多くの反響があったと振り返る石田。その後、育児に向き合うパパとママを応援すべく、『パパ・ママ応援育ラジオ』と称し、社内SNSやYouTubeなどを通じて情報発信を始めます。

石田 「これから育休取得予定の男性から、育休取得の方法や上司・同僚への伝え方について相談をもらうことがよくあります。世の中が男性育休をポジティブに捉えるようになったのは、つい最近のこと。いざ取得しようとなっても、身の回りに参考となる人がいない場合が多いのだと思います」

また『パパ・ママ応援育ラジオ』では、出産体験についても取り上げているといいます。それには、石田としての想いがありました。

石田 「男性が、出産にともなう痛みを正しく理解することは難しいと思います。もちろん、『痛そう』とは思いますが、それがどんな痛みなのかはなかなか想像できない。でも、知ろうとしないのは違うんじゃないかなと思ったんです。そんな想いから『壮絶!出産体験談』と題した企画を実施しました。帝王切開を経験された方にその体験を語っていただいたのですが、はじめて知ることがたくさんあって、私としてもとても勉強になりました。

通常の出産でも、全治何カ月に相当するといわれています。身体も心も元気になるには時間がかかる。男性はそのことを理解したうえで、育児に向き合うといいのではないでしょうか」

世の中の男性育休に対する認識を変えたい──活動を通して見えた自身の想い

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▲これからの時代の「育児と仕事のありかた」を作りたいと語る石田

男性育休の取得を後押しする機運が急速に高まっている日本。しかし、育休の取得が目的になってはいけないと石田はいいます。

石田 「すべての家庭が同じ状況にいるわけではないので、絶対に育休を取った方がいいとは思わないんです。本人の意思や周囲からのサポートの状況、それに収入面などを考慮して、ふたりで話し合ったすえに決めればいいと思います。

いま世の中は、すべての男性が育休を取らないといけないような空気になっていますが、それでは『取得が目的』になってしまうのでは、と危惧しています。大事なのは、ふたりでどう育児と向き合うのか。そのうえで、誰もが気兼ねなく、必要とする育休期間を取得できるようになるといいと思っています」

また、機運が高まっていることと、男性育休が当たり前になることとは別だと続けます。

石田 「育休中、平日に子どもと過ごしていると、どこに行っても『今日はパパ休みなんですか?』と言われました。その後、育休を取得している旨を伝えると『すごいですね!』と返されて。別に育休を取ることはすごいことでも、偉いことでもないのに。男性が育休を取得することは、まだまだ当たり前ではないんだなと痛感しました」

これからの時代の「仕事と育児」の当たり前を作るべく、情報発信を続ける石田。最後に、これから育児に取り組む予定の男性に対するアドバイスを求めると、次のように答えます。

石田 「男性が『育児』で思い浮かべるのは、ミルクをあげたり、お風呂に入れたり、おむつを替えることだと思います。でも、それが育児の全てではないですし、子どもの成長にあわせ、やることがたくさん出てきます。それに加え、掃除や洗濯、買い物、食事の準備などの家事も。

たとえば、子どもが熱を出したので保育園や学校を休まないといけない場面をイメージしていただきたいです。そういった非常時に対応できるのが、ひとりだけなのかふたりなのかは、とても大きな差だと思います。育休取得の有無にかかわらず、なんでもできるようになっておくことは大切。授乳以外はなんでもできる。それが一番理想的です」