クラウドの強みを、AI時代の推進力へ。ビジネス変革をリードする専門組織の使命
──まず「AI Solution部」の成り立ちと、生成AIがもたらした変革の中で担うミッションについて教えてください。
竹田:AI Solution部は2025年4月に発足したAI技術の専門組織です。お客さまのビジネス、ひいては社会の課題解決に貢献するため、AI活用の提案、AIシステムの開発や技術支援、AIによる開発プロセスの革新という3つの役割を担います。
フレクトはクラウド開発を主力としつつ、これまでも継続的にAI技術に取り組んできました。そうした中で、この部署が「今」生まれた背景には、生成AI、とくにLLM(大規模言語モデル)の登場という、産業全体を揺るがすほどの大きな変化があります。
これまでのシステムは正確な情報を元にしたプログラムされた動きしかできませんでしたが、LLMは曖昧な情報であったとしても人間のように内容を理解し、文脈に応じた自律的な判断を実現することができます。これまで人間が担っていた業務領域の一部をAIが代替できるようになったのです。
さらにLLMはプログラミングそのものを高精度で自動生成できるため、プログラミング・システム開発のあり方そのものが根本から変わります。この歴史的な転換期において、ただ変化に追随するのではなく、自らが変革をリードするくらいの勢いで取り組んでいく。そうした強い意志のもと、会社としても重要な位置づけとして専門部署を立ち上げました。
──数ある企業がAIに取り組む中で、クラウドインテグレーションを強みとするフレクトならではの価値とは何でしょうか。
竹田:私たちの大きな強みは、長年にわたり培ってきたクラウド、とくにSalesforceのインテグレーション能力と、最新のAI技術を融合させられる点です。とくにSalesforceが提供する「Agentforce」というAIプラットフォームとLLM、その両方を深く理解し、実践的な開発へと結び付けられる点は、他社にはない明確なアドバンテージです。
しかし、私たちの真の価値は、特定の技術に限定されません。お客さまの課題に対してAgentforceに加え最適な技術を組み合わせ、要件定義から開発、プロジェクトマネジメントまでを一気通貫で担えるという「総合力」。そして、技術をいかにビジネスの成功につなげるかという視点を常に持ち続ける姿勢。この2つが、私たちの本質的な強みだと考えています。
──多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まっていますが、チームはどのような雰囲気ですか?
大橋:6人という少数精鋭のチームですが、AIの最新ニュースや技術情報はSlack上で常に活発に共有されています。技術に精通したメンバーばかりなので、業務上の課題に直面しても、相談すればなんらかの解決策や示唆が得られる、非常に心強い環境です。
浅見:誰かが投げかけた些細な疑問に対して、別の誰かが「気になったので調査しました」と、すぐに深掘りした情報を共有してくれる光景が日常的に見られます。このチームでは本質的な探究が歓迎されますし、メンバーへの信頼感があるため、安心して高度な議論に臨むことができます。
竹田:感覚や経験だけで物事を進めるのではなく、常に技術的な裏付けや論理性を重視し、新しい視点で考えるカルチャーを意識しています。知的好奇心が旺盛なメンバーが集まっていることは間違いなく、その探究心をビジネス価値へと昇華させていくことが、私の役割の一つだと認識しています。
なぜ彼らはAIの最前線へ?多様な探究心が交差する場所
──竹田さんはSIer、ITコンサルタントを経てフレクトに入社されていますね。今回AI部門を率いることになった経緯と、そこに懸ける想いを教えてください。
竹田:「技術でお客さまをリードできる組織を築きたい」という想いでフレクトに参画した私にとって、今回のAI部門立ち上げは、新しいAIの時代にその想いを実現する絶好の機会だと捉えています。生成AI時代に求められるのは、技術知識だけでなくビジネス価値へつなげる「システム開発の総合力」です。
これはまさに自身の経験が活きる領域だと思いますし、この新しい挑戦にすべてを注ぎ込みたいと考えています。
──浅見さんと大橋さんは大学院で最先端の研究をされていましたが、ITエンジニアの道へ進み、最終的にフレクトを選んだ理由をお聞かせください。
大橋:大学院では機械工学を専攻していました。PBL型の授業でソフトウェア開発に取り組んだ際、自分の成長が目に見えて実感できたのがおもしろくて、この道に進むことを決めました。
フレクトを選んだ理由は待遇面に加え、面接でお会いした「人」の魅力です。落ち着いて論理的に対話をする真面目な方が多く、自分に合っていると感じました。
浅見:私は理論物理学、とくに一般相対性理論の研究を専門としていました。研究でプログラミングやコンピューターそのものに触れる機会があり、その便利さを感じる一方で「この仕組みがどのようになっているか知りたい」と感じ、純粋な興味からITの世界をめざしました。
フレクトの面接が一方的な質問ではなく自分の研究内容について興味を持って聞いてくれたり、「対話」を重視していたことが、入社の決め手となりました。
──皆さんの多様なバックグラウンドや個性は、現在のAIソリューション開発において、どのように強みとして発揮されていますか?
竹田:私の強みは、物事を論理的に捉え、戦略を構築する力です。たとえば、お客さまへご提案する際に競合のAIサービスを分析し、それを上回る技術的・ビジネス的に優位なソリューションを設計するなど、技術面とビジネス面の両面から最適解を導く場面でこの経験が活きています。
大橋:私の強みは地道に継続する力と折れない心です。AI開発支援ツール「Cursor」の社内普及においては、当初こそ利用が伸び悩みましたが、地道な改善と展開活動を粘り強く続けた結果、現在では多くのエンジニアが利用する標準ツールへと成長させました。
浅見:私は、物事の本質を深く考えることを大切にしています。これは理論物理学の研究で培われた力かもしれません。お客さまの業務を深く理解し、「実際に働く人が何を考え、何をしているのか」まで想像を巡らせる。そうした思考プロセスこそが、今の仕事のおもしろさであり、自身の強みにつながっていると感じます。
それぞれの役割の先に。全社を巻き込むAI変革の現在地
──部門のミッションを実現するため、現在どのようなプロジェクトに取り組んでおり、それぞれどのような役割を担っているのでしょうか?
竹田:私自身は、今のところほとんどのAI活用提案に技術責任者として関与し、プロジェクトの技術的方向性を決定しています。お客さま向けの活動と並行して、社内体制の強化も重要なミッションです。
浅見さんは、公共領域のお客さまのAI活用プロジェクトで技術支援を担い、最上流である要件定義から参画しています。あわせて、その知見を基にフレクト独自の「AI開発方法論」を確立するという、会社全体の資産を築く役割も担っています。
大橋さんは、AIツールを活用して社内の開発効率を2倍に引き上げるミッションを推進しています。単にツールを導入するだけでなく、その活用を前提とした新しい開発プロセスを設計し、社内に変革をもたらすことが大橋さんの役割です。
──AIという先端技術を扱い、前例のない課題に挑む中で、皆さんが感じる仕事の「おもしろさ」や「やりがい」とは何ですか?
大橋:最新のAIツールを誰よりも先に使えることは、こうした取り組みを推進するエンジニアの特権です。また、開発効率の改善は、決まったタスクをこなすのではなく、「現状の課題は何か」「AIでどう解決できるか」をゼロから考えるクリエイティブな作業です。答えのない問いに対し、自ら仮説を立てて検証していくプロセスそのものに、大きなやりがいを感じています。
浅見:これまでのシステム開発とは異なるAIの活用を前提とした観点で業務を深く捉え直すことが、純粋に楽しいです。また、「開発方法論」のような抽象的で汎用的なものを考える機会はこれまでなかったので、それ自体が知的な挑戦でやりがいがあります。
お客さまの業務を深く理解し、その現場で働く人が何を考え、どう行動しているのかまで想像を巡らせるという、そのプロセスにおもしろさを感じます。
竹田:3つあります。1つめは、まだ誰も切り拓いていない領域で、AIを使ってお客さまのビジネスに貢献できるアイデアを思いついた瞬間です。
2つめは、AIの世界的普及という巨大な潮流の中で、名だたる企業がどのような戦略で動いているのかをウォッチし、自社の戦略を練り上げていくダイナミズムを体感できること。これは、イノベーションの最前線にいるからこそ味わえる醍醐味だと思います。
そして3つめは、これは私の個人的な興味ですが、LLMという技術が、人間の「思考」や「意識」とは何かという根源的な問いに迫る点です。もともと脳科学にも関心があったため、AIの側から人間の知性を探究しているような感覚があり、非常におもしろいと感じています。
AIが当たり前になる未来へ。AIを「標準装備」にする挑戦
──チーム発足から現在までを振り返り、組織としての手応えと、今後の成長に向けた課題をどのように捉えていますか?
竹田:手応えとして感じているのは、社内のAIに対する関心とリテラシーが格段に高まったことです。これは、大橋さんたちが進めてきた地道な取り組みの明確な成果と言えるでしょう。
一方で今後取り組むべきことは数多くあります。お客さまに対して、AIがもたらす真の価値をまだ十分に伝えきれていません。世の中全体がまだ手探りの段階であるため致し方ない面もありますが、私たち自身が事例を作り、積極的に発信していく必要があります。社内では、AIに興味がある感度が高いメンバーにとどまらず、全社的にAI活用を浸透させる必要があります。
今後、たとえば各部署にAI活用を推進するリーダーのような存在を育てるなど、草の根的にムーブメントを広げていく必要があると考えています。
──その課題も踏まえ、3年後、5年後、AI Solution部は社会や顧客に対してどのような価値を提供するチームになっていたいですか?
竹田:理想を言えば、3~5年後にはこの専門部署自体が不要になっている姿が望ましいと考えています。これは決してネガティブな意味ではありません。私たちが特別に呼ばれなくても、全社員が当たり前にAIを提案し、開発できる状態。AIがすべてのエンジニアにとっての「標準装備」となることこそ、私たちのミッションの達成を意味します。
その頃には次の技術の波が到来しており、私たちはその最先端を追い続けていることでしょう。
──その未来を実現するために、ご自身の専門性をどのように高めていきたいですか。また、どのような仲間と共に、その未来を創っていきたいですか。
大橋:私の挑戦は、担当する開発プロセス改善の机上のモデルを、実践的なユースケースにまで落とし込んでいくことです。未来の仲間へ伝えたいのは、AIが当たり前になる時代だからこそ、今最前線に立つ経験がいかに貴重かという点です。
さらに、この部署ではシステム開発とAI活用の両方を経験できるため、「AIが自分の強みだ」と自信を持って言えるようになります。
浅見:私は、AIが当たり前になる時代だからこそ、AIだけでなく開発全体を俯瞰できる幅広い視点を身につけたいと考えています。俯瞰するためには抽象的な事柄を体系的・論理的に捉える力が必要です。
もしかしたら「自身の専門研究はビジネスと関係ないかもしれない」と不安に感じる理系の学生さんもいるかもしれませんが、その研究において培った思考力は、必ず武器になります。未経験でも心配せず、安心して飛び込んできてください。
竹田:AIの分野は今もイノベーションが加速しており、「不可能が可能になる」瞬間に立ち会えます。こうした機会に巡り合えることは、キャリアの中でもそう多くありません。私たちは技術を研究するだけでなく、その技術でいかにビジネスを変革し、社会に貢献していくかという、最もダイナミックな領域にいます。この刺激的な挑戦を、ぜひ一緒に楽しみましょう。
※ 記載内容は2025年8月時点のものです
