DE&Iを組織に根づかせるため、「ダイバーシティ戦略室」としてリスタート
──まず、それぞれの自己紹介をお願いします。
FURUICHI:人事部のダイバーシティ戦略室の室長を務めています。当社には新卒で入社し、営業部で学生向けのカードの営業や提携カードの企画を担当しました。その後はお客さまの声を分析するテキストマイニングを行う部署で改善活動を行い、続いてマーケティング本部で約10年間、プロモーションを中心に携わりました。
2021年から人事部の採用グループ長を務め、2024年4月から現職です。今は、次世代向けの「ダイバーシティマネジメントプログラム」の推進などに注力しています。プライベートでは小学6年生の子どもがいます。
KANEMURA:私はダイバーシティ戦略室のメンバーで、入社4年目です。最初は当社のあらゆる商品を組み合わせてご提案するトータルペイメントソリューションの営業を経験し、2023年に社内の公募制度を利用して今の部署に異動しました。従業員のエンゲージメント向上をめざした会社の取り組みに関心を持ったのがきっかけです。
現在は、仕事と育児の両立支援や従業員のエンゲージメント管理、そして広報を担当しています。
──ダイバーシティ戦略室について、設立の経緯やミッション、ビジョンを教えてください。
FURUICHI:2016年に人事部内に「ダイバーシティ推進室」として立ち上がり、女性活躍やイクメン、イクボスなどの施策が進められてきました。私が着任した2024年4月に「ダイバーシティ戦略室」と名称を変えてリスタートしました。
当社ではここ数年でキャリア入社の方が増えたほか、グループ再編による組織規模の拡大によりさまざまなバックグラウンドを持つ人材が集まっています。従来の単なる推進活動よりも一歩踏み込んで戦略的に組織を成長させようという決意表明として改称しました。
ミッションはDE&Iを組織に根づかせ、具体的に実行していくことでありますが、究極のビジョンとしては、私たちの組織が発展的に解散することではないでしょうか。ダイバーシティはそもそも人事部だけが推進するものではなく、全員が自分ごととして、ごく自然に取り組むものだと思っています。
自分ごととして捉えてほしい。マイノリティの立場を疑似体験するプログラム
──DE&Iの推進で重要なポイントは何だと考えていますか?
FURUICHI:一般論としては文字通り、Diversity とEquity とInclusion を推進することで、個性や自分らしさを重視することがポイントだと言われています。当社の従業員でも、とくに若年層は自分らしく働きたい、生きたいという意識が強いと感じます。
そんな中で肝となるのは、異なるカルチャーを持つ従業員たちの融合をいち早く進めた上で、多様性を着実に浸透させていくことだと考えています。
──推進に向けた具体的な取り組みを教えてください。
FURUICHI:今回は今期実施した4つの取り組みを紹介します。1点目は、各部署のマネージャーをキードライバーに据えた「ダイバーシティマネジメントプログラム」を今期から開始しました。
体験型の座学から実践まで徐々にレベルがあがる構成で、第1ステップではバーチャル・リアリティを用いて、受講者が特殊なゴーグルを装着し、ワーキングマザーやLGBTQ+、ADHDなど、さまざまなマイノリティの立場を疑似体験します。集中できる環境で自分ごととして理解を深めてもらうことが狙いです。
KANEMURA:2点目は、育児休業から復帰した従業員向けの座談会や研修です。座談会は仕事と育児に対する当事者の不安を払拭し、両立を前向きに考えるマインドチェンジの場として開いている一方で、研修については当事者のほかに上司も参加し、組織全体でキャリアアップをサポートしていきます。
FURUICHI:3点目は、SMBCグループ各社間の連携強化です。当グループでは、女性活躍や両立支援などのテーマごとにワーキンググループを設けており、各社からメンバーが集まって協働することでシナジーが生まれています。
KANEMURA:最後に、組織力向上プラットフォームを使った試みです。従業員向けに毎月、エンゲージメントに関するアンケートを行うことで定点観測し、部署やグループ単位で変化を分析。
その結果を管理職に活用してもらいます。アンケートの質問項目は、上司とのコミュニケーションや日常的な気持ちの変化などを問う内容になっています。
他部署と連携しながら大々的に推進。従業員目線の効果的な発信が増える
──DE&Iを推進する中で周囲の反応はいかがですか?
FURUICHI:ダイバーシティマネジメントプログラムでは、約300名が受講して満足度は99%に上りました。単なる座学ではなく、自分自身と向き合う没入型の体験を取り入れたことで、受講者からは「VRにより、普段の研修とは比較にならないほど集中して取り組めた、心が揺さぶられる体験だった」「より多くの階層の人たちに展開してほしい」などの声が上がり、それぞれに一歩踏み込んだ理解をしてもらえたと思います。来期以降は、新しくマネージャーになる従業員など、もう少し幅広い層に対しても実施したいです。
社員が自分ごととして捉えた上で、重要なのは実際に職場で何をするかです。次のステップではケーススタディを導入する予定です。たとえば「部下が親の介護をすることになり、これまでと同じペースでは働けなくなった場合、上司としてどのような対応をすべきか」など実際に起こりうるシナリオを用意し、講師を交えながら解決方法を考えていこうと計画しています。
──ダイバーシティ戦略室としてリスタートして以降、ダイバーシティの推進状況に変化はありましたか?
KANEMURA:大きな変化がありました。人事部だけにとどまらず、他部署とも連携して大々的に推し進められるようになったと実感しています。従来の手法にこだわらない、従業員目線を意識した効果的な発信が増えましたし、私自身、新しいアイデアを次々に実現できるとワクワクしています。
従業員の皆さんには、以前よりもDE&Iを意識してもらえていると感じています。
──現状、感じている課題があれば教えてください。
FURUICHI:組織全体でのさらなる意識向上が課題だと感じており、DE&Iを他人ごとではなく自分のこととして自然に受け止められる従業員をもっと増やしていきたいです。
女性管理職の比率は2025年度に25%、30年度に30%という目標がある中、現在は13.1%(2024年3月末時点)です。鍵となるのは、若い層が「管理職になってこの先輩のような働き方をしたい」と思えるようなマネジメントスタイルを築くこと。
今後は管理職の働き方も見直し、より多くの方が管理職をめざすようになればと考えています。
多様な背景を持つ方がいきいきと活動し、「ここで働きたい」と思われる会社に
──DE&Iの推進に携わり、どんな時にやりがいを感じますか?
FURUICHI:イベントや研修を通じて、従業員の人間味のある反応や本質的な部分に触れるとうれしいですね。人としての当たり前の感覚や生きている実感に深く関わることに、この仕事の醍醐味を感じています。
KANEMURA:イベントなどで従業員の家族との関わりがわかり、業務中のみでは分からないその人らしさが垣間見える瞬間が楽しいです。こうした交流をもとに、今後の支援策として具体的にアイデアが生まれ、それを実現できることにやりがいを感じます。
──今後に向けて短期、長期それぞれの目標を教えてください。
FURUICHI:短期的には、新しいカルチャーを持った方が入社した際のオンボーディングを充実させ、それを新卒入社の方にも活かすことで多様な人材が活躍できる組織づくりをめざします。
長期的には人事制度や会社の仕組み、具体的には評価制度や業務のアサインメント方法を見直したいです。誰がどこにいても成果を出せる組織を築くことこそが、当社の社会貢献に向けた一番の近道だと思っています。
──DE&Iを浸透させることで、将来どんな会社にしていきたいとイメージしていますか?
FURUICHI:さまざまなバックグラウンドを持つ方がいきいきと働き、いろんな方から支持される会社にしていきたいです。障がいのある方が働けるようにバリアフリーの環境を整えたり、LGBTQ+の方が自分らしく働く文化を根づかせたりした上で、外国籍の人や異業界の出身者、若手、シニアを含むあらゆる方たちが「ここで働いてみたい」と思う組織にしていければと考えています。
──最後に、DE&I推進への想いを聞かせてください。
KANEMURA:従業員一人ひとりの「このように働きたい」という想いがかなう会社をめざし、私も精いっぱい力を注いでいきます。社内の方たちがそれを実現できれば、当社のよいイメージが自然と社外にも広がっていくと思っています。
FURUICHI:互いに思いやってフォローし合い、みんなが自分らしく働く環境をつくるのはごく当たり前のこと。DE&Iは遠くにある特別なものではなく、全員の心の中にあるものだということをすべての従業員に伝え続けていきたいです。
※ 記載内容は2024年12月時点のものです
