世界で使用される医療機器のスペアパーツを、日本から供給。医療の最前線を支える誇り
──所属する部署やそこでの仕事内容について教えてください。
オリンパス製品の製造や調達、計画、供給を担うSCM(Supply Chain Management)組織において、私は、製品を修理するためのスペアパーツ(交換部品)の供給を管理するチームを率いています。
世界約50カ所の修理拠点で使用されるスペアパーツの8〜9割は日本で製造されています。扱うパーツは数万種類におよび、それぞれの需要予測と供給計画を立案しています。各拠点から届く発注は年間1億点近くという膨大な件数ですが、医療現場で必要とされるパーツを確実に、そしてタイムリーにお届けできるよう、日々の管理業務を行っています。同時に、サプライチェーン全体のコスト削減や業務プロセスの効率化にも取り組んでいます。
チームメンバーは10名ほど。年齢は20代から50代と幅広く、新卒でオリンパスに入社しているメンバーもいれば、私のように中途入社のメンバーもいるなど、バックグラウンドもさまざまです。さらに、工場や倉庫、調達、技術部門など、多くの関係部署とも関わり合いながら業務を進めています。
──オリンパスで働く魅力ややりがいは、どのような点にありますか?
まず、内視鏡でトップシェアを持つ会社の一員として、人々が健康に生きていく上で欠かせない医療機器の製造とサービスに携われることは、大きな誇りであり、やりがいを感じます。
その中でもスペアパーツは、病院で使われている内視鏡が故障したり、メンテナンスが必要になったりした際に不可欠なものです。世界で必要とされるパーツの大半を日本で製造し、その供給を担うというミッションに、私を含めチーム全員が使命感を持って取り組んでいます。
DoからLeadへ。助言を胸に、実践を繰り返して見つけた、自分らしいリーダー像
──これまでのキャリアの変遷と、初めてリーダーになった時のことを教えてください。
大学で英語を専攻していたこともあり、漠然と海外に関わる仕事がしたいと思っていました。実際に働き始めてからは「ものづくりを通じてグローバルとつながる仕事がしたい」という想いが固まり、一貫してメーカーでキャリアを重ねてきました。
最初の会社では海外営業として製品の計画や供給を担当し、ドイツ駐在も経験。その後、何度か転職を経て、前職のアメリカの医療機器メーカーでは、受発注業務だけでなく、新しいオペレーションの立ち上げや、アジア全体でのコスト削減プロジェクトをリードすることもありました。「なんとかなるだろう」と変化を恐れない性格もあって、社内公募でまったく異なる部門へ異動し、結果を出した後に再び元の部門に戻るなどの経験も。挑戦を楽しみながら自身のプレゼンスを創り、価値を生み出すことを目標にしてきました。
初めて管理職になったのは、前職に入社して1年ほど経った頃。上司から「マネジャーをやってみないか」と声をかけられました。それまで率先して管理職になりたいと思っていたわけではなかったので、少し驚きましたね。ですが、私に期待してくれているんだというポジティブな気持ちのほうが勝り、挑戦してみようと決意しました。
──リーダーになって苦労したことを教えてください。また、それをどう乗り越えたのでしょうか?
最初は本当に苦労しました。それまではずっと「Do(自分がやる)」がメインだったのが、管理職になると「Lead(導く)」立場に変わります。どうすればメンバーに気持ちよく動いてもらえるのかわからず戸惑いましたし、当時はうまくコミュニケーションできていなかったなという反省もあります。
そんな状況を乗り越えたきっかけは2つあります。1つは、当時の上司からのアドバイスです。「メンバーに気持ちよく仕事をしてもらうには、その人の存在価値を認めた上で『あなたを頼りにしている』『あなたがいなきゃだめなんだ』と伝えるコミュニケーションが必要だ」と言われました。とくに当時は海外のメンバーもいたので、母国語ではない言葉で、目的や期待値を明確に共有し、モチベーションを持って動いてもらうことの重要性に気づきました。
もう1つは、リーダーシップ研修での学びです。その研修は「リーダーシップは理論で学ぶものではなく、現場で繰り返し実践していくもの。最初から完璧なリーダーでなくていい」というメッセージが印象的でした。そして、「リーダーだからと我慢するのではなく、まず自分が心身ともに健康で自然体でなければ、チームを率いることはできない」ということ。これも大きな気づきでした。
最初はわからないことだらけでしたが、周囲から助言や学びのきっかけをもらい、成功も失敗も繰り返しながら、ここまでたどり着くことができたと感じています。
──リーダーとしての自信につながったエピソードがあれば教えてください。
前職での、中国の修理センター立ち上げプロジェクトです。6カ月以内という短期間で、人の採用から修理プロセスの導入まで、ゼロからすべてを主導する必要がありました。大変なこともありましたが、やり遂げた功績が認められ、最終的に社長賞を受賞することができました。
賞はもちろん嬉しかったですが、指導してくれた上司たちが私を評価してくれたこと、そして何より、私が頑張っている姿を見て、各国のメンバーがついてきてくれたことが、大きな自信になりましたね。
日本の価値を、正しく世界へ。リーダーとして変革期のギャップを埋める「橋渡し役」に
──オリンパスに転職した経緯と、入社後の印象を教えてください。
「日本発のグローバル企業」という立場で、日本から世界へ価値を届けることに挑戦してみたいという想いがありました。当時、オリンパスは企業変革プラン「Transform Olympus」を進めている最中で、サプライチェーンの戦略をリードするポジションの募集を知り、チャレンジすることにしたんです。
入社して印象的だったのは、日本の歴史ある企業ならではの伝統を重んじる風土です。一方で、それが組織の縦割り的な側面につながっているのかもしれないと感じました。業務の中で、海外メンバーから「日本はブラックボックスだ」と言われることもあって。せっかく良いものを作っているのに、その価値が海外から十分に理解されていない現状がすごくもったいないし、悔しいなと感じましたね。
もっとも、会社もそれを課題と捉え、役員がグローバルな体制に変わるなど、会社全体で変革しようとしている最中でもありました。その過渡期には、どうしてもギャップが生じるもの。変わろうとする皆さんのモチベーションを高め、グローバルとの橋渡しをする。そうしてギャップを埋め、「ブラックボックス」を透明にしていくことが、リーダーとしての私の役割の1つだと考えています。そこが難しくもあり、やりがいを感じる部分ですね。
──多様な意見を尊重し、チームを導く上で大切にしていることや、リーダーとしての喜びを教えてください。
大切にしているのは「傾聴と共感」です。トップダウンで会社の方針を押し付けるのではなく、まずはメンバーがどう考えているのか、どんな不安を抱えているのかを、できるだけ直接対話で聞くようにしています。そこからヒントを得ることもありますし、相手の背景を理解し、期待値を調整しながら進めていくことが、チームを率いていくためには不可欠だと考えています。
リーダーとして嬉しい瞬間は、やはりチーム一丸となって目標を達成したり、何かを成し遂げたりできた時ですね。また、メンバーの成長を見るのも醍醐味です。当初はいちメンバーだった人が、管理職として皆を率いる立場になっている姿を見ると、これまでのさまざまな経験を糧に成長してくれたこと、また自分がそこに携われたことに大きなやりがいを感じます。
やめることはいつでもできる。だからこそ、まずは一歩踏み出し、繰り返し実践を
──これからリーダーをめざす人へのメッセージをお願いします。
私自身、リーダーシップについてはまだまだ実践の途中です。最初からすべてを完璧にやろうとすると、何も着手できずに終わってしまいます。まずは「とりあえずやってみよう」と一歩を踏み出すことが大切です。
その上で、あなたの上司と「リーダーとして、いつまでに、何を、どこまでできるようにするか」という目標のすり合わせをしっかり行ってください。「What(何を)」と「When(いつまでに)」を明確にして、「How(どうやるか)」は状況に合わせて調整すれば、あとは実践あるのみです。
私は、心の中で密かに思っていることがあります。それは「やめることはいつでもできる」ということ。でも、タイミングよくチャンスが巡ってくることはそうそうありません。せっかくつかんだチャンスなら、まずは挑戦してみる。そんな気持ちで、私はここまでやって来たように思います。
──最後に、今後の展望について教えてください。
今の部門に来てまだ1年半なので、やるべきことはたくさんあります。自分のチームだけでなく、関係部署の仲間も巻き込みながら、目標に向かって進んでいきたいと考えています。
中長期的には、やはりグローバルの「日本はブラックボックス」のイメージを払拭し、日本のものづくりの価値を正しく世界へ伝えていきたいですね。そのためにも、部門間の壁を取り払い、横の連携を強化することが重要ですし、それこそがオリンパスの「伸びしろ」だと考えています。
また、日本に限らず、国や地域間で成功事例を十分に共有できていない点も、もったいないと感じています。私が所属するメディカル・リペア・サービス部門でも、以前は修理センターごとに修理方法が異なっているという課題がありました。部門トップの後押しもあり、現在は優先順位をつけながら、標準化や成功事例の共有を進めているところです。
コストを最適化しながら、グローバルに対して日本でのものづくりの価値を最大化する。そのためのプロジェクトや仕組みづくりに、リーダーとして貢献していけたらと思います。
※ 記載内容は2025年11月時点のものです

