同期である新入社員の案内役。挑戦に至った背景とは
──相模原物流センターの役割と、新入社員研修プログラムの概要を教えてください。
松尾:相模原物流センターは、全国にある工場で製造されたオリンパスの医療機器製品がすべて集約され、国内各地はもちろん、海外への輸出も行われる、いわば「オリンパスの物流の要」です。とくに近年は倉庫の自動化に取り組んでおり、物流の心臓部でありながら、驚くほど少人数での管理・運営が可能になっています。
安野:こうした自動化の背景やプロジェクト経緯、物流センターの役割について新入社員に知ってもらうために行われたのが今回のプログラムです。新入社員約60名を対象に、2025年の10~12月にかけて計3回実施しました。
内容は、自動化プロジェクトに携わった先輩社員による講義と、現場見学の2部構成。私たちは後半の見学パートで、実際に現場を歩きながら説明する役割を任されました。
──どのような経緯で説明員を担うことになったのですか?
松尾:私は、相模原物流センターのウェアハウスオペレーションズという部署で倉庫管理業務を担当しています。2025年に入社後、現場の基礎や自動化設備の仕組みを一から学ぶ研修期間を経て、ちょうど実務に専念し始めた9月頃、このプログラムの準備が始まりました。そこで、先輩から「自分の職場を紹介してみない?」と声をかけられたんです。
新入社員がこの物流センターの説明員を担当するのは初めての取り組みだったそうで、「私に務まるだろうか」とも思いましたが、「同じ新入社員が新入社員に説明する」という構図のおもしろさにワクワクする気持ちが大きかったですね。
安野:私は入社後、相模原物流センターのインポート・アンド・エクスポート・ソリューションズという部署に配属されました。松尾さんと共に基礎研修を経て、現在は製品の輸出ブッキングや申告書類作成、受注・倉庫部門との調整や問い合わせ対応など、海外への輸出関連業務に携わっています。
説明員を打診された時は、正直に言えば「大丈夫かな」という不安も少なからずありました。でも、せっかく用意してもらった機会。プレッシャーはありましたが、「挑戦してみるしかない!」とポジティブな想いを奮い立たせて参加を決めました。
学んだ知識を深め、自分の言葉で伝えるには?練習と実践を経て進化していく
──参加者への説明を行うために、どのような準備に力を入れましたか?
松尾:倉庫の各設備についてきちんと人に説明するためには、自身の理解を万全にしなければなりません。入社以来学んできたことを復習しながら、自分の中に残っているモヤモヤをすべて解消するため、先輩たちに質問を重ねて細部まで理解を深めました。
説明のために、自作の資料も工夫しました。自動機械の性能や課題についてチャート図を用いてわかりやすく紙にまとめ、紙芝居形式で紹介できるようにしたんです。
練習では、実際に先輩に見学ルートを一緒に歩いてもらいました。そこでフィードバックをくれたり、想定質問を一緒に考えてくれたりと、先輩の手厚いサポートに助けられました。
安野:私は、説明のクオリティを2人とも同レベルで担保できるよう、情報量や内容について過不足なく理解した上で、「自分の言葉で説明すること」を大切にしました。同じ新入社員だからこそわかる「どう説明すればわかりやすいか」を意識して、いかに噛み砕いて伝えるかを考え抜きました。
また私は、担当している輸出手配業務と並行しながらの作業だったので、先輩のアドバイスも受けながら、限られた時間の中で準備や練習に努めました。松尾さんが作る資料が回を追うごとにパワーアップしていくのを見て、「私ももっと頑張らなきゃ」と大きな刺激を受けましたね。
──実際に説明をする中で、難しかった点や工夫したことを教えてください。
松尾:1回目の見学を終えた時、想定していたルートではうまく理解してもらえていない感覚がありました。そこで2回目以降はルートを少し変更したり、出た質問への回答をしっかりと準備したりと、改善サイクルを回すことを意識しました。
安野:それによって毎回内容をアップデートしていったので、状況に合わせた時間配分には苦労しましたね。また、事前に「こういうことを聞かれるのではないか」と想定問答を用意していたものの、通用しないことも多くて。驚きとともに、所属部門や担当業務など、相手の背景を踏まえて説明する重要性を痛感しました。
──参加者からの反応や、印象的だった質問はありましたか?
松尾:開発系の部署や理系出身の参加者からは「機械はどのように制御しているんですか?」「システムはどうなっているんですか?」など、思ってもみなかったような鋭い質問が飛んできました。文系出身の私は「こういう視点もあるのか」と新しい刺激を受けましたね。
安野:私は、参加者がそれぞれの担当業務に関連した質問をしてくれたのが印象的でした。たとえば、当時ちょうどアメリカからのFDA(米国食品医薬品局)査察の時期と重なっていたこともあり、その業務を担当している人から質問が出ました。
こういう経験を通じて、オリンパスの会社全体で起きているタイムリーな話題にも、間接的ではありますが触れることができたことで、少し自分の仕事から遠い気がしていた話題を身近に感じることができました。
説明員、そして一参加者として実感した「医療を止めない」物流への責任と誇り
──自身も一参加者として、プログラムを通じて学んだことは何ですか?
松尾:先輩による講義が非常に心に残っています。とくに、問題解決のアプローチとしての「現状とめざす姿とのギャップを見極め、根本的な原因を分析する」という考え方や、「目標を定量的に設定する」「問題がないことが一番の問題である」という視点は、これからの業務に直結する学びでした。
安野:私も同じです。自分の業務に近い部門の人たちが、どういうことを考えて、どのようなプロセスで今の倉庫の姿になったのかという背景まで詳しく知ることができたのは貴重な経験でした。現場の説明員としても、一新入社員としても、大きな学びになりました。
──「医療を止めない」物流の仕事の魅力をどのように感じていますか?
安野:オリンパスの製品は「医療」という公共性の高い性質を持っています。それを扱う相模原物流センターで、日々重ねている細やかな工夫やオペレーションは、まさに医療を止めないためのもの。
現在、私が担当している海外輸出業務も、世界の医療インフラに直結しています。そんな誇りと責任を感じられることが、この仕事の最大の魅力です。
松尾:お客さまからすると、注文した商品が時間通りに届くことは当たり前かもしれません。しかし、その「当たり前」を実現するために、現場では発注や集荷、梱包に至るまで、多くの人が協力して細やかな調整を行っています。そんな縁の下の力持ちとして医療に貢献できることが、物流の仕事の何よりの魅力だとあらためて感じています。
自分たちが説明する際も、こうした医療を止めないためのさまざまな仕組みを理解してもらえるよう努めたつもりです。
一歩踏み出した経験が1年目の大きな財産に。同期との絆を深め、さらなる成長を誓う
──説明員を務め上げて、率直な感想を聞かせてください。
松尾:やはり達成感が大きいですね。準備は大変でしたが、終わった後に参加者から「良かったよ」と声をかけてもらえたのが嬉しかったですし、自身の言葉で自分の職場のことを伝えることで、仕事への理解が深まったという意味でも成長につながりました。
また、説明員を通じて同期との輪が広がり、友達が増えたことも、普段本社から離れて働く私にとっては大きな喜びでした。
安野:私も達成感でいっぱいです。最初は不安もありましたが、参加者が興味深く話を聞いてくれる姿を見て、勇気を出して挑戦して良かったと心から思いました。一歩踏み出して、準備を進め、現場で実践してみることで、不安が少しずつ自信に変わっていく。「マインドはグラデーションのように変化していくんだ」とわかったことが、今回の大きな成長だったと感じています。
──自分の職場を自分の言葉で説明することで、どんな変化や気づきがありましたか?
松尾:自身の知識や体験が増えることに加え、社内に自分を知ってくれる人が増えるのは、1年目にとって大きな財産になるなとあらためて思いました。自分の言葉で伝えることが一番、自分事になることを実感しましたね。
安野:私も別の研修で同期に会った時に「あの時の説明、すごく良かったね」と言ってもらえて、コミュニケーションのきっかけになりました。自分の職場のことをほかの人に伝えるということ自体が大きな学びになったと感じています。
──最後に、これからの展望や挑戦したいことを教えてください。
松尾:今回の経験を通して、倉庫の機能や利点を理解できた一方で、まだまだ課題も多く残っていることも学びました。今後はさらに業務についての知識を深め、いつか自身が改善活動に携わった設備や仕組みについて自ら説明できる日が来たら嬉しいですね。
自動化やAIなど新たな技術の活用は増えていますが、技術を取り入れるだけでうまくいくわけではありません。それをどう有効活用するかを考え続けることが、今後の私たちの仕事になると思っています。
安野:今後また説明員を務める機会があれば、ぜひ挑戦したいと考えています。今回の経験を通して、現場での経験だけでなく、専門知識を体系的に学ぶことの重要性を実感しました。
さらに、その知識を専門外の人へどう伝えるかという視点は、現在の業務で他部署と連携する際に必ず活かせると確信しています。担当業務はもちろん、貿易の知識をさらに深め、より専門性の高い、頼られる存在をめざしていきたいですね。
※ 記載内容は2026年2月時点のものです

