医師に一番近い場所で働く責任とやりがい。製品を届け、ニーズを開発につなげる
──所属する部署の概要と仕事内容について教えてください。
私は現在、泌尿器科婦人科事業ユニット(UGBU)で副事業長を務めています。チームには海外メンバーを含めて約20名が在籍し、そのうち6名が日本メンバー、残りがグローバルメンバーです。また、事業全体の管理運営に携わるかたわら、製品マーケティング部の本部長も兼任しています。
泌尿器科婦人科事業では、膀胱がん、前立腺肥大症、腎盂腎内結石、婦人科疾患が主な対象です。取り扱っている製品は、東京、ドイツ、アメリカの3拠点に分かれており、各拠点が異なる役割を担っています。東京では内視鏡のような画像化する製品を担当し、ドイツでは膀胱がんや前立腺肥大症の治療に使われる電極などの機器類を開発・製造しています。また、アメリカでは結石治療用のレーザーやアクセスデバイスを担当するなど、グローバルな組織体制となっています。
マーケティング業務は、製品マーケティングと戦略マーケティングの2つに組織が分かれています。製品マーケティングでは、既存製品のライフサイクルマネジメントや顧客からの問い合わせ対応に加え、後継機の開発に向けた取り組みを行います。一方、戦略マーケティングは事業拡大をミッションに掲げ、ビジョンを達成するための目標設定や事業運営を担う組織です。
近年、QMSの設定により、「ユーザーが求めているもの」を定義するのはマーケティングの責務と明確化されました。そのため、製品マーケティングで医療従事者の要望をヒアリングし、製品開発へのインプットへと落とし込んでいく体制となっています。
──オリンパスで働く上で、どんなところに魅力ややりがいを感じますか?
お客さまでもある医師と一番近いところで仕事ができることです。私たちが携わっている製品やサービスは、最終的には患者さんに提供するものです。医療機器を取り扱う企業として、患者さんの命や健康に貢献できることは、大きな責任であり、同時にやりがいを感じる部分です。
とくにマーケティング部門は、お客さまに価値を提供できる立場にあるだけでなく、製品開発のスタート地点であるユーザーリクワイアメントの策定から関わることができます。構想段階から製品が医師の手に届き、患者さんに貢献するまでの全プロセスに携われる、この仕事ならではの魅力を感じています。
製品開発からマーケティングへ。新たな使命を胸に、異なる領域で挑戦を続ける
──入社後、どのようなキャリアを歩まれてきたのか教えてください。
ものづくりで医療に貢献したいという思いからオリンパスに入社し、最初は耳鼻咽喉科向けの外科スコープ開発を担当しました。約8年間にわたり製品開発に携わった後、耳鼻咽喉科の市場を理解していたこともあり、中長期戦略の立案を担うポジションに抜擢されました。当時は前例がなく、手探り状態からのスタートだったため、実務に向き合う中で自分に求められているものや、責任の大きさを理解していきました。
ここでの最も大きな変化は、製品という限定的な視点から手技・疾患という広い視点へと変わったことです。手技は複数の製品を用いて行われ、疾患では診断から治療法まで考えていく必要があります。一つの製品と向き合っていた開発業務とは、求められる視野が大きく異なりました。
耳鼻咽喉科マーケティング部が立ち上がってからは、メンバーのマネジメントも経験。その後は泌尿器科婦人科に異動し、現在は事業戦略からマーケティング活動まで幅広い業務に従事しています。
製品開発の使命は、医療機器メーカーとして新しいものを作って提供していくことです。一方で、マーケティングは製品をお客さまに届け、得た情報を後につなげていくことが使命です。役割は大きく変わったものの、医療への貢献という軸は変わっていませんし、今でも開発をリスペクトしています。
開発がなければ事業は成り立ちません。同時に、せっかく良いものを作っても、それが正しく医師の手に届かなければ意味がない。マーケティングには、その橋渡しをする重要な役割があると考えています。
──これまでの仕事で印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
とくに印象に残っていることは、副事業長に就任した時のことです。それまでは東京が担当する内視鏡関連製品を中心に見ていましたが、立場が変わったことで、ドイツやアメリカが扱う製品群との関連性も視野に入れる必要が出てきました。自分たちの製品にばかり目を向けていると、こちら側の事象が他の国の製品群にどのような影響を与えているのかが気づきにくくなります。視野が広がったことで、「こういう影響が他でも出てくるかもしれない」と予測できるようになり、自身の変化を実感できた瞬間でした。
また、製品から事業運営の視点へと見え方が変わったこともあげられます。正直に言えば、事業運営というと日常生活では少し遠いところにあった概念でした。しかし、立場が変わったことで各製品やプロジェクトへの向き合い方が変わり、事業全体への影響を深く考えるようになりました。
成長とともに芽生えたリーダーシップ。世界が広がっていく醍醐味を味わう
──現在はグローバルリーダーを任されていますが、もともとリーダー職に興味があったのでしょうか?
私の場合は最初から興味があったわけではなく、成長過程で自然とマネジメントにつながっていったように思います。正直、はじめからリーダー職に就きたいと思う方というのは、実際は少ないのではないでしょうか。誰しも最初は何の経験もないところからスタートし、まずは「ひとり立ち」することをめざして一生懸命に働きます。できることが徐々に増えていくと、自分のことだけでなく周りも見えるようになり、すると仕事に対する考え方や向き合い方がおのずと変わってきます。
もちろん人にもよりますが、自分が成長する中で培ったものを誰かに届けたいという思いが芽生え、それがリーダーという仕事につながっていったのではないかと考えています。
──リーダー職になることで感じた変化、リーダーとしての醍醐味を教えてください
リーダーになって感じた一番の変化は、世界が広がったことです。これには2つの観点があります。
1つめは、視点が上がって関与するものが広がると、一部でしか起こせなかった変化を事業全体で起こせるようになることです。すると、今まで想像できなかったような新しい世界が見えてきます。そこに私は、リーダーの醍醐味を感じます。
2つめは、グローバルな環境に身を置くことで、他者の考え方や物事の捉え方の違いに触れ、多くの気づきや学びを得られたことです。グローバルならではの難しさもありますが、それ以上に得られるものは多いです。自分の世界観が広がっていく感覚や、人の成長を間近で見られるところに「おもしろさ」を感じています。
──グローバルリーダーとして、文化の違いや多様な意見を尊重するために大切にされていることは何ですか?
とくに心がけていることは、心理的安全性を確保するためにも、まずは相手の意見をしっかりと受け止めることです。そして、それに対して自分がどう感じたのかを開示していくことが重要だと思っています。
日本人は行間を読むことには長けていますが、発信することに関してはあまり得意ではありません。ですから、グローバルに限らず誰に対してもそうですが、自分の言葉で思いを伝えていくことを常に意識しています。
私はもともと中学から高校の4年間海外で生活していたため、グローバルへの隔たりは少ない方だと思います。しかし、言語の得意・不得意は関係なく、どんな言葉であっても感謝や称賛などは伝わるものです。「自ら発信していく」ことを、もっと大切にしてもらいたいですね。
先人が築いた世界観を大切に。発信を続け、事業の成長をめざす
──次世代リーダーをめざす方へのメッセージをお願いします。
次世代のリーダーとして大切にしてほしいのは、一貫性を持つことです。市場も会社も変わっていく不確実な世界だからこそ、自分が発信する内容に一貫性を持つよう心がけています。一方で、不確実であるがゆえに正解も変わっていきます。自分の判断が間違っていた際には、それを認める勇気も必要です。
そして何より、直接会って自分という人間を知ってもらうことを大切にしてほしいなと思います。結局のところ、仕事をするのは人です。私自身、これまで「この人のお願いなら何とかしてあげたい」と思って頑張ってきたことが多々あります。自分もそんな風に思ってもらえるような人物になりたい。
そのためには、やはり直接その人を知っているということが根底にあると思います。人となりを知ってもらうこと、それがグローバルリーダーとしての信頼関係の土台になると考えています。
──最後に、今後の展望について教えてください。
グローバルリーダーとなり、単独の組織から事業全体を見ていく中で、今後はより事業の成長と強化に力を入れていきたいと考えています。それが将来的には、会社としての価値向上につながっていけば嬉しいですね。まずは事業をしっかりと成長させることが直近の目標であり、それにはみんなが楽しみながら取り組んでもらうことも大事ですから、両方を実現できる形を模索していきたいです。
また、グローバルだからといって、なんでもかんでも新しく変えるのではなく、先人たちが築き上げてくれた世界観を守っていくことも大切だと思います。たとえば、私が所属する泌尿器科婦人科事業には、初代事業責任者が作り上げたファミリーのような企業文化があります。何か問題があった時も、みんなが親身になって相談に乗ってくれる。それによって良い関係を築けたり、事業を継続していくことができたりするため、私自身も助けられている部分が非常に多いです。
「みんなで助け合おう」というあたたかい企業文化を含め、100年の長い歴史の中で培ってきたものを守りながら、より良くするための挑戦を今後も続けていきたいです。
※ 記載内容は2025年12月時点のものです

