オリンパスの価値をもう一段上へ。個性という「種」を育てる「土」となる
──所属する部署と仕事内容について教えてください。
私たちの部署は、内視鏡システムにおいてビデオプロセッサや洗浄機などの周辺機器を動かす組み込みソフトウエアの開発を行っています。社員だけで200名以上、関係者を含めると500名近い組織です。
4つの部門で構成されていて、まずはソフトウエア開発のプロジェクトマネジメントを担当する部門。次に、ユーザーの操作に関わるアプリケーションレイヤーを開発する部門と共通で使えるプラットフォームを開発する部門。そして特徴的なのは、組織全体の共通業務をサポートするプランニング部門があること。
たとえば、外部パートナーとのやりとりをスムーズにするためにツールを共通化したり、ユーザー理解のための活動を行ったり、組織全体で取り組むべきことをプランニング部門がサポートすることで、マネジメントの負担を減らしながらチームとしての風土を醸成しています。
私は組織全体の責任者として、「顧客価値・サービスを創造すること」を目標にしています。グローバル・メドテックカンパニーとして、オリンパスにはまだまだできることがあります。目の前の開発に追われてしまう現実もありますが、その先のイノベーションを起こしたいのです。
そのためにはソフトウエアの開発メンバーが顧客であるユーザーを理解すること、その上で多様な個性を活かして社内外とつながりながら新たなアイデアを生み出していくことが重要です。
メンバーの個性や可能性といった「種」を育てていく「土」となること。たとえ失敗しても挑戦する経験をしてもらい、一緒に考えながら可能性を広げていく。それが私の役割です。
──オリンパスで働くやりがいをどんなところに感じていますか?
「挑戦する価値のある素晴らしい製品を作っている」と心から思えるところです。内視鏡システムは、健康という普遍的な価値に直結します。そして、内視鏡システムの普及というイノベーションに、オリンパスは大きく貢献してきました。
私は長年、映像事業でキャリアを積んできたので、2021年に異動してきて初めて医療事業のすごさを知りました。その時に、「最後の仕事として医療分野でオリンパスの価値をもう一段上げたい」とビビッときたのです。
もちろんハードルはたくさんありますが、より多くの国々で人々の安全で健康な生活の実現と向上に貢献できる可能性を追求できる。そのためにイノベーションの種を芽吹かせること、それを実現できるメンバーを育てることが現在の私のモチベーションになっています。
挑戦することに意義がある。同じマインドを共有できる仲間ができたことが財産
──これまでどのような仕事を経験されてきましたか?
情報機器部門を経て、入社5年目からは主に映像事業分野でキャリアを積んできました。
当時はデジタルカメラが急速に普及し始めた時期で、組み込みソフトウエア開発から工場の立ち上げ、販売部隊との連携などをプロジェクトマネジャーとして幅広く経験。また、外部企業と共にネットワーク戦略に向けた会社を立ち上げたり、グローバルのメンバーと協力しての商品企画や商品戦略立案に携わったりと、さまざまなことに挑戦してきました。
その後、事業開発部門に異動。これまで培ったカメラの技術に新しい価値を生み出すために、オープンイノベーションのプロジェクト「OPC Hack & Make Project」を統括することになりました。カメラの技術情報の一部を公開することで、教育機関や企業などさまざまな方からアイデアを募り、新しいビジネスエコシステムを作る取り組みです。
このプロジェクトに4年ほど関わった後、再び映像事業に戻り、組み込みソフトウエア開発の統括を担当。事業再編に伴い、医療事業に異動しました。
これまでかなり尖った挑戦もしてきましたし、経営方針の変更などで苦汁をなめたことも何度もあります。けれど、その度に「この技術を活かしたい」という情熱を持ったメンバーと出会い、また新たな挑戦をする、ということを繰り返してきました。
──リーダーになった経緯と、ご自身の変化を教えてください。
私の場合、映像事業の業績が好調だったこともあり、5年目からチームリーダーとなり、10年目からマネジャーを務めていました。ただ、マネジャーとして新事業の提案などをしてきた中で、先ほど話したように苦しい経験もしてきました。
その結果変わったと感じることは、「失敗を失敗と思わないこと」です。一見すると失敗と思えることでも、ゴールが変われば失敗ではなくなりますし、人材育成という視点で見たら成功かもしれない。挑戦することに意義があると考えられるようになりました。
また、さまざまなプロジェクトを通じてできた仲間たちは、今でも支えになっています。同じマインドを共有できる仲間がいることは、大きな財産です。
個性をたたえながら新たな価値を生む。オープンイノベーションで学んだ多様性の本質
──とくに印象的だったプロジェクトついて教えてください。
オープンイノベーションのプロジェクトです。小中学生や高校生、海外の方も参加してくれたのですが、私たちにはない発想力に驚きました。子どもたちには、大人とは異なる世の中への視点や素直な課題提起がある。海外の方には、文化が違うからこその発想がある。これまで成し得なかったことを見つける一つの切り札になると感じ、人生で一番ワクワクしました。
たとえば、ブラジルの方からは、蚊の生息地図を作るというアイデアが出ました。伝染病の感染源となる蚊の情報を正確に地図にまとめるために、オリンパスの高性能なカメラで分析をしたいということなのです。カメラを「撮影するための完成した製品」としてとらえている私たちでは、なかなか出てこない発想です。
カメラの技術という自分たちの強みを軸に、外部も巻き込みながら互いのアイデンティティを共有し、たたえながら新しいものを生み出す。オープンイノベーションの醍醐味を感じました。
──互いのアイデンティティを認め合うために大切にしていることを教えてください。
「Yes, and」のコミュニケーションです。単に「No」と否定するのではなく、自分の考えと違うことであっても、まずは相手の意見を受け止め、なぜそのような考えを持っているのかを理解しようとする。その上で対話を深めていくことで、お互いの理解が深まっていきます。「Yes, and」のコミュニケーションをすることで、相手が伝えようとしていることは何か、相手の真の想い・考えが見えてくるのです。
これはもともと研修で学んだコミュニケーション手法で、日頃から心がけていたことです。けれど、オープンイノベーションのプロジェクトに携わったことでいっそう身についたと感じますし、「Yes, and」を心がけることで相手の熱意を発見できることに気がつきました。
新しいことを生み出したり、物事が継続したりする中心には、情熱を持っている人がいます。その情熱を発見できること、認められることで、日々感動が生まれると感じています。
一緒に挑戦できるメンバーがどれだけいるか。情熱と個性が吸引力を生む
──今後の展望を教えてください。
オリンパスは、内視鏡システムでトップを走っている企業です。だからこそ、もっとすごいもの、価値のあるものをたくさん生み出せるはずです。
たとえば、いずれロボットが手術をするようになったとしても、そのための「目」は必要で、そこにはカメラの技術が活かせます。医療従事者とオリンパス、さらには他の企業が協力しあい、オープンイノベーションマインドで患者さんのためにアイデアを出していく。そんな理想を描いています。
だから私は、一人ひとりが「この技術には価値がある」と思った感覚を大事にしながら、失敗を恐れず勇気をもって挑戦するための土壌を作り、実行の後押しをしたい。彼ら彼女らが行動するためには、会社に掛け合ったり、提案したりといったことも必要で、そのサポートをしたいと考えています。
多くの人に会い、想いを聞き、ふつふつとした情熱を持つ人をつないでいくことも私の役割だと思っています。
──リーダーをめざす方へのメッセージをお願いします。
イノベーションを起こすには、年齢や国や文化に関係なく、多様性を活かしたアイデアで一歩でも二歩でも前に進むことが必要です。情熱を持つ人、同じような想いを抱いている人がつながっていき、組織として成長していくことが重要だと思うのです。
そのために必要なリーダーの能力とは、ネットワークです。まずは自らが情熱を持ち、自分の個性を大事にすること。そして、他の人の個性を認めること。その情熱と個性が吸引力を生み、ネットワークが生まれ、チームができていくことで、より大きな挑戦、大きなアウトプットが生めるようになります。
大事なのは役職や地位ではなく、一緒に挑戦できるメンバーがどれだけいるかということ。その結果ポジションがついてくる方が幸せだと私は考えています。
※ 記載内容は2025年5月時点のものです

