レンズ設計の領域で経験を積み、測定機開発部門へ。開発者が「使いたい!」と思う測定機を
──所属する部署やそこでの仕事の内容について教えてください。
オリンパスメディカルシステムズの医療光学開発部で、内視鏡の光学系評価技術開発部署のマネジャーを務めています。約18名のメンバーをマネジメントしながら、内視鏡スコープの光学系が設計者の意図通りに実現できているかを評価する技術開発と、測定環境構築を担当しています。
具体的には、内視鏡の先端部分にある照明用レンズや撮影用レンズなど、米粒レベルの微小な光学部品が設計通りにできているかを、ナノメートルからマイクロメートルというきわめて精密なレベルで測定する技術を開発しています。内視鏡は患者さんが飲み込みやすいように細くつくられており、10ミリ程度の先端部に複数枚のレンズが組み込まれています。これらのレンズが精度良く枠に収まっていないと画質を悪くしてしまうため、設計の狙い通り体内をしっかり映し出せる出来映えになっているか確認するために、超精密な測定が不可欠なのです。
また、測定時は実際にお腹の中に内視鏡を入れることはできないため、それを模擬したモデルを使用して、照明が狙い通りに当てられ、適正な画像になっているかを再現性良く検証する測定環境の構築も重要な業務です。医療機器は何よりも安全性と信頼性が求められるため、私たちは測定環境構築を通じて「設計通りに品質の良い製品がつくられている」ことを示すための下支えとなり、オリンパスの品質を外部に伝える上で欠かせない役割を果たしています。
──オリンパスで働くやりがいをどんなところに感じていますか?
私はもともとカメラの光学系開発出身で、他社との競争が激しい環境で技術者として腕を磨くことに魅力を感じていました。カメラでもいいものを作る際には必ず測定技術が必要で、それがものづくりを支えているという実感がありました。
医療事業に異動してからは、測定技術の役割が変化しました。カメラでは他社を凌駕する高性能・高スペックを実現するための測定技術でしたが、医療では安全で信頼できるものを世の中に出すための測定技術が求められます。役割は異なりますが、オリンパスの医療事業を支える重要な基盤である測定技術に携われることに、大きな魅力を感じています。
レンズ設計の領域で経験を積み、測定機開発へ。開発者が「使いたい!」と思う測定機を
──入社からこれまでのキャリアについて教えてください。
2004年の入社から2015年までの間は、映像光学開発部に所属し、コンパクトカメラや交換用レンズのレンズ設計に携わりました。毎年新しい製品をリリースするような製品サイクルだったため、「前モデルの性能をさらに超える製品をつくる」を繰り返し、難しい技術に挑戦できる環境でスキルアップしていきました。
役割としても、カメラレンズ設計担当者から始まり、最終的にはレンズユニット全体をつくるプロダクトリーダーまで経験し、関わる製品ごとに業務の幅を広げることができました。プロダクトリーダーを務めた時には、企画から製品化後のお客さまへの説明まですべてのフェーズを経験。自分が手がけた製品が世の中に受け入れられるのを見ることが、何よりのモチベーションになり、今でも行動のコアになっています。自分の業務範囲を広げ、いろんな経験を積むことがやりがいにつながるという価値観が、この時代に培われました。
その後、2016年に事業開発室で新事業の企画に携わった後、2017年からは映像、医療、科学事業で共通する光学技術開発などを担っていた光学システム開発部(当時)に異動。映像事業・医療事業に光学系の測定技術開発や測定機を導入するリーダーを務めました。当時は全社の事業部門(医療・映像・科学)とわれわれ測定機開発部門の連携がうまく取れていなかったため、私は事業部門の開発経験者として、連携強化を期待されていたと思います。
──設計部門から測定機開発部門に変わり、戸惑いや苦労はありましたか?
設計技術者として進むべきか、測定というまったく新しい領域にチャレンジするか、最初は悩みましたね。オリンパスという組織の中で、自分はどこで活躍できるのか模索した期間でもありました。測定機開発部門には、メカやソフトなどさまざまな技術の専門家がいる中で、自分は光学屋として何ができるかを考えましたし、チームリーダーを任されたので、マネジメントでも力を発揮しようと決意しました。
最も苦労したのは、医療分野の製品開発プロジェクトのニーズに沿った、安全性や信頼性を保証できる測定機をつくり上げることです。当初私たちは要素技術開発をメインに取り組んでいたのですが、事業部が求めるのは新しい技術ではなく、自分たちの製品の品質を証明してくれる測定機が設備化されること。
信頼できる測定機をつくることでパートナーとして認めてもらい、仕事がどんどん進んでいくと、メンバーたちもやりがいを持って仕事に向き合えるようになりました。
実は私自身も、レンズ設計者時代に製造設備開発部門の方と一緒に測定機をつくったことがありました。その時の経験から設計者の気持ちも理解できるので、彼らが「使いたい!」と思う測定機をつくれる部隊でありたいと思っています。
規制の厳格化に対応し、測定の自動化を実現。開発者と一体のチームで役割を広げる
──現在の医療光学開発部でマネジャーになった経緯と、マネジメントで心がけていることを教えてください。
2022年に会社の事業が医療機器に一本化され、現部署に異動になりました。前部署で、自分の仕事内容が大きく変わる経験をしたことで、仕事の幅を広げ、部門同士をつないで協業することの大切さを実感していたので、マネジャーというポジションに挑戦することにしました。
現在の部署は、製品の設計者も評価・測定に携わる人も同じチームとして動いているのが特徴です。お互いに要望を伝え合うハードルが下がり、相手側が何に困っているのか直接聞けるので、非常に仕事を進めやすい環境ですね。
部署には技術的に優れた方がたくさんいるので、マネジャーとしてはメンバーをどう活かし、チームとしてより良い状態にするのかを考えています。
私は大学を卒業してから数年間、アメフトチームのコーチを務めていたことがあるのですが、その時のチームづくりの経験は今に活きているかもしれません。選手が1年ごとに入れ替わる中、その時いるメンバーの能力を伸ばし、その時のチームで勝てる作戦を立てる。そうした考え方は、今のマネジメントのやり方に通じるものがあると思います。
──最近の仕事の中で印象に残っていることはありますか?
近年の医療機器における各国の法規制が厳しくなる中、国によっては製品登録申請時に数多くの光学性能試験が必要とされる状況になっています。製品開発者の評価・測定の負担が大きくなったため、測定の自動化を進め、負荷の軽減を実現しました。開発者が困っていることをしっかり解決できる、効果的な測定機を開発できたと自負しています。
さらなるステップアップとして、最近では測定機を開発・導入するだけでなく、「品質保証の妥当性とは?」「今後はどんな測定が必要か?」など製品開発のプロセスを改善し、開発業務の品質向上を行う取り組みにも参画しているところです。開発者と一体となった組織を活かし、自分たちの役割や活動範囲をどんどん広げていきたいと考えています。
部署や分野に固執せず、オリンパスが直面する課題の解決に貢献し続けたい
──仕事をする上で大切にしているポリシーや、メンバーに伝えていることはありますか?
時代や状況の変化によって新たに出てくる仕事は、ある意味誰もやったことがない仕事です。それに挑戦することは、医療分野の経験が浅い自分たちにとって、成長や活躍のチャンスだと捉えようと伝えています。
もちろんワークライフバランスも大切で、すべてを自分たちの業務として取り入れると疲弊してしまうのですが、メンバーの今後のキャリアも考え、「この仕事を通じて○○ができるようになったら、この分野の第一人者になれるのでは」という具体的な将来像を示しながら、主体性を持ったチャレンジを促しています。
──今後の展望を教えてください。
チームとしては、現在光学を中心に課題を解決していますが、今後は光学分野以外で困っている人たちとも連携しながら評価技術開発を進めていきたいですね。他分野の課題も光学と共通する部分がありますし、活動の幅をどんどん広げていければと考えています。
個人のキャリアとしては、現在は計測機開発業務が中心ですが、数年後には計測課題はある程度解決され、それ以上に重要な課題が出てくるかもしれません。その時に自分がどう活躍できるのかわかりませんが、オリンパスが直面する課題に対して、どんな部署でもどんな分野でも貢献できる人材でありたいと思っています。
私は、これまでやったことないことに挑戦しようと決め、それに向けて戦略を練る時に最もモチベーションが上がります。ひとつの領域に固執せずに、新しい課題に今後とも向き合っていきたいです。
※ 記載内容は2025年8月時点のものです

