安全な製品を世に送り出すために。法規制対応や取扱説明書の維持・管理業務を牽引
──所属する部署やそこでの仕事の内容について教えてください。
会津工場のサステイニング開発エンジニアリングという部署に所属し、製品の法規制対応や取扱説明書の維持・管理を担当しています。
オリンパス製品は世界各国に展開していますが、医療機器を販売するには、国ごとに定められた規格や法律を満たしていることを証明し、販売許可を得る必要があります。既存製品に仕様変更があった場合も、その変更が各国の規制上どのような手続きを要するのかを確認し、対応を行っています。
もう一つの取扱説明書の維持・管理とは、製品に付属する取扱説明書を常に最新かつ最適な状態に保つ業務です。会津工場では、消化器系や外科系の内視鏡など約1,500品目を取り扱っていますが、それらすべての取扱説明書を管理しています。既存製品の場合は、仕様変更などがあった場合に内容を更新・追記します。新製品の場合は、開発の初期段階からプロジェクトに参加し、1から取扱説明書を作成することも。主に日本語版と英語版で作成し、社内で何度もレビューを重ねた上で、最終的に印刷して製品と共に世に送り出しています。
私は両業務を進めるチームのスーパーバイザーとして、全体を管理する役割を担っています。
──オリンパスで働く魅力ややりがいを教えてください。
自分が携わった製品が、医療関係者やその先にいる患者さんの元に届き、医療の現場で役立っていると実感できる点に、大きなやりがいを感じています。法規制対応では、1日でも早く製品を届けられるように調整を重ね、無事に販売許可が下りた時に達成感があります。
また、以前知人の医療従事者の方とお話しする機会があり、「初めて使う機器はまったくわからないから、取扱説明書をしっかり読んでいる」と、ユーザーの生の声を聞くことができました。普段は社内で書類と向き合っているので、実際に製品を使う方の顔はなかなか見えません。
しかし、この生の声に触れたことで、あらためて身が引き締まる思いでした。この実体験はチームのメンバーにも共有し、「私たちの仕事の先には、必ず製品を待っている人がいる」という意識を大切にしています。
新製品の工程設計から開発業務まで。たくさんの人の力で製品を形にする喜び
──入社の経緯と、これまでのキャリアについて教えてください。
もともとは義足や義手、その他医療現場で使用されている医療機器など医療系の機器の開発に携わりたい、という想いがあり、機械系の学部に進学しました。就職活動で会津オリンパスの社員の方のお話を伺う機会があり、その中で内視鏡などの医療機器に興味を持ち、入社を決意いたしました。
入社直後は、内視鏡の工程設計をする部署で、試作機の組み立て作業を任されました。新製品の試作図面を見ながら自分で組み立て、組み立てにくい点を課題として出し、開発担当者へ設計変更の提案をするという業務です。
そこから、生産を開始するための準備(作業手順書作成、治工具の設計、手配など)に携わり、作業する方への作業指導、そして実際に生産ラインに製品を導入して製品を生産開始するまでの業務に携わったのち、新製品の立ち上げを推進する部署に異動となりました。
異動する前は、新製品の立ち上げを推進する部署には男性しかおらず、専門的で常に忙しいイメージがあったので私に務まるのか不安でした。その当時はインプットされた設計情報をもとに生産図面の管理から新規部品などの立上げ、工程設計、法規制対応、取扱説明書の精査まで、製造工場が行う製品立上げ業務をすべて1人で対応する時代でした。
実際にやってみると、自分の計画どおりに製品立上げのタスクが進むことがとてもおもしろく、気がつけば夢中になっていました(笑)。「この部品をこんな仕様にしたい」「この業務の計画を変更したい」と、いろんな部署の方にお願いし、たくさんの人の力で最終的に製品が形となり、世に出ていく。そんな一連の流れを見られるのが非常に楽しかったです。
──新製品の開発時代で印象に残っているエピソードはありますか?
異動後1年ほどで、大腸用の細い内視鏡に新しい機構を導入するという開発業務に携わった時のことです。製造方法や医師側の使用方法、感触もすべて変わるため、本当に必要かつ安全なのか、確認しながら進めることに課題がたくさんありとても苦労しました。製品が完成し、工場から出荷された時は嬉しくて、1人で、こっそり出荷の様子を見に行ったほどです。
実は当社には「開発担当者が、出荷を見届けると製品が戻ってくる(返品になる)」というジンクスがあるのですが、その製品は戻ってくることなく、身体に優しい機構として今も採用されています。
新製品の立ち上げに携わったことで、製品の知識がより深くなり、いろんな方と一緒に仕事をすることができました。設計部門はもちろん、修理をする方、マーケティング担当、工場の生産を動かす方など、さまざまな立場の方とつながりを持つことができ、その人脈が現在の業務にも大いに活かされています。忙しい中で必死に働いたことで、メンタルも強くなりましたね。
大きな責任を伴う業務だからこそメンバーを支え、みんなで乗り越えたい
──現在の業務に携わることになった経緯を教えてください。
新製品の立ち上げに10年以上携わり、切りが良いタイミングで「他の仕事をしてみたい」と上司に相談し、法規制対応チームに異動することになりました。立ち上げ業務でも携わっていた部分に、より深く入り込むようになった、という流れです。
法規制対応で難しいのは、国によっていろんな法律や基準があり、しかも日々更新されるため、常に最新の情報をキャッチアップしながら対応をしなければならない点です。規格などを理解するのはかなり難しく、少し違う方に捉えてしまったり、やっと理解できたと思ったら新しい規格ができたり。
もともと法律のバックグラウンドがなかったため、社内の詳しい方に教えてもらったり、規格を読んだりして覚えていきました。苦労が大きい分、しっかりと法対応した製品を世に出せた時は感慨深いですね。
その2年後に取扱説明書を扱う新しいチームに異動となり、チームリーダーを任されました。取扱説明書管理を効率化するためのシステム移行の検討や品質を向上するためのプロセス構築を推進し、不慣れな中ではありましたが、日々奮闘していたことを覚えています。そして、2025年4月に法規制チームと取扱説明書チームが統合されたチームのスーパーバイザーとなりました。
──現場をまとめる上で心がけていることはありますか?
これまで法規制や取扱説明書の業務を経験したことがないメンバーも多いので、まずは雑談も含めてコミュニケーションをたくさん取るようにしています。「今後はこんなことやっていきたいね」「こう変えていけるといいよね」という話をして、メンバーおのおのとの方向性を合わせることに一番力を入れています。
法規制対応も、取扱説明書も責任が重い業務です。中には「たった1文字の違いで重大な事態になるのであれば、この仕事には携わりたくない」とプレッシャーを感じるメンバーもいます。
だからこそ、コミュニケーションは欠かせません。「さまざまな人と何度もレビューを重ねた上で、世に送り出しているから大丈夫」と伝えたり「自分自身で製品の知識を身につけることも大切だよ」と話したりして、チームの勉強会なども実施するようにしています。
仕事と家庭を両立しつつ、メンバーが「楽しさを見出せる」職場をつくりたい
──仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
どんな仕事も楽しむことです。私は人と話すのが好きなので、周りの方たちと良い関係を築き、助け合いながら仕事を進めるのが楽しいですね。人によっては、製品が世に出ることに喜びを感じる方もいれば、生産工程のどこかに楽しさを感じる方もいるでしょう。逆に「やらされている」と思うと仕事はなかなか進みませんし、楽しくもありません。
だからこそ、自分の仕事が何に役立ち、どのようにつながっているのかを意識することで、楽しさを見つけられると思います。こうした考え方をメンバーにも伝え、楽しみながら業務に取り組んでもらえるよう、日々コミュニケーションを心がけています。
──プライベートでは子育てにも奮闘していますよね。仕事と育児の両立のコツはありますか?
上の子が生まれたのは新製品の立ち上げを推進する部署にいたころで、業務量も多くかなり忙しかったです。業務を人に任せることもできますが、自分の担当製品なので自分で手がけたい部分もありました。そのため、家族の支援があったからこそ続けてこられたのだと思っています。
今は下の子が1歳ですが、その時期の反省もあり「今やらなくてもいいことは翌日やる」と決め、子どもとの時間を大事にしています。あまり無理せず、限られた時間の中で、自分ができることを焦らずやることが大切です。8時間の中で自分の業務をいかに効率的にやれるかを日々考えるようにしています。職場の協力を得るためには、職制やメンバーなど周囲との連携も重要ですね。
──今後の展望について教えてください。
チーム全体が「やらされ感」ではなく、主体性を持って「自分がやるんだ」という気持ちを強く持てるような、モチベーションの高い職場にしていきたいと考えています。
また、自分自身も含めて「私はここまでしかできません」ではなく、「こういう形だったら対応できます」という提案をしながら仕事の幅を広げていきたいですね。私は楽しいことには目がないので、メンバーと一緒に仕事のいろんな楽しみを見つけ、一歩ずつでも成長できたらと思っています。
※ 記載内容は2025年7月時点のものです

