第三者的立場からオリンパス製品の品質を担保。測定器の校正業務とは
──現在の仕事の内容について教えてください。
私は、オリンパス製品の品質に関わるさまざまな計測器の「校正」を行う部署に所属しています。校正とは、計測器の示す値が世界共通の基準と比較し、どのくらいずれているかを確認すること。精密機器をつくる上では、レンズ面の精度や曲率、光源の光量などを測る機器の「確からしさ」が重要であり、これが正確であることで測定値の信頼性を担保できます。
この校正業務は、国際規格である「ISO/IEC 17025」という試験所・校正機関の認定を受けているので、社内の部署でありながらも第三者的な立場で品質を保証するという重要な役割を担っています。ものづくりの「土台の土台」を担う仕事であり、所属部署では社内の開発部門や製造部門から年間3,000件を超える依頼を受け私は約200件ほどの校正を担当しています。
また、社内向けに測定値に関する教育や情報提供も定期的に行っています。
──オリンパスで働くやりがいをどんなところに感じていますか?
やはり、世界トップクラスの光学技術に触れられることが大きな魅力です。レベルの高い技術者の方々と関わる中で、私自身の理解も日々深まっています。そして、その高い品質を「校正」という立場で支えられることに誇りを感じます。
また、私たちの技術が医療という、誰にとっても必要な分野で活かされていることにも、大きなやりがいでしょうか。自分の仕事が、身近な人や自分自身の未来にもつながっていると思うと、身が引き締まりますね。近年は製品に求められる精度がますます高くなり、私たちの部署への要求も高度になっていますが、その難しい課題に挑戦し、応えられた時に喜びを感じます。
「標準」への興味から光学技術に強いオリンパスへ。若手時代から研修講師も担当
──入社の経緯と、入社後の仕事内容について教えてください
大学では物理学を専攻し、セシウム原子の振動で1秒が定義されていることを学びました。これをきっかけに、世の中のさまざまなものさしの基準となり、ものづくりのトレーサビリティに影響する「標準」、中でも最上位の「国家標準」に興味を持ったことが、現在の仕事にもつながっています。
原子の振動をレーザー光で冷却する原子光学の研究をしていたため、就職活動では光学技術に強いオリンパスに魅力を感じ、入社を決めました。以来、現在も所属する試験評価センターで一貫して校正・測定業務に携わっています。
配属当初はベテランの先輩方から測定のノウハウを教わりながら経験を積み、扱う機器や製品の変化に対応しながら、測定器校正のプロとして専門性を高めてきました。
──入社4年目という早い段階で、社内研修の講師を任されたそうですね。
はい、光学技術者向けに測定値の信頼性を評価する「不確かさ」について教える研修で、講師を任されました。計測器で測った値は完全なものではなく、「不確かさ」があることを理解した上で、ものづくりに臨んでもらうための研修です。
まだまだ自分自身もわからないことがある中で、人に教える立場になったので、当時は必死で勉強しました。一日がかりの研修の資料をゼロからつくり上げ、どんな質問にも答えられるように知識を深めるのは大変でしたが、この時の経験が今の私の大きな財産になっています。「できるかな」という不安より、「やってみよう」という前向きな気持ちで飛び込めたことも良かったのかもしれません。
受講者からは「不確かさについて理解が深まりました」という声や、さらなる質問も受けるなど、嬉しい反応をもらえました。この研修は現在も続いていて、技術者だけでなくさまざまな職種の方々にも提供しています。
2度の育休と復職、そして管理者へ。周囲のサポートを力に、新たなフェーズに挑戦
──2015年と2020年に2度の育休を取得していますが、取得前の心境や復職後の働き方の変化について教えてください。
1度目の時は、私の所属する測定チームで初の産・育児休職取得でしたが、上司や同僚が快く応援してくれたので安心して休むことができました。復職後は、子どもが病気で急遽仕事を休む、ということがどうしても増えたのですが、その時も周りの人に本当によく助けてもらいましたね。
1度目の育休からの復職後は、光学校正技術管理者という責任あるポジションを任され、自分の仕事だけでなく、チーム全体やより広い視点で業務を見る立場に。他の人が書いた報告書をしっかり確認して承認するなど、多くのことを自分事として捉えるようになりました。
──仕事もプライベートも新たなフェーズになったのですね。両立するために工夫していることはありますか?
何よりも仕事の「段取り」を意識するようになりました。限られた時間で成果を出すために「この作業はこの日に始めないと終わらない」「退勤時間まであと30分しかないから、○○の仕事をしよう」など、常に先を読んで計画的に仕事を進めています。校正について、開発部門から急な問い合わせがくることもあるのですが、すぐに答えられない場合は「明日までに回答します」と一報を入れるなど、丁寧なコミュニケーションで信頼関係を築き、1人で抱え込まないようにしています。
また、週に1回ほど在宅勤務を活用し、通勤時間をなくすことで心身のコンディションを整えています。家事もネットスーパーを活用するなど効率化し、その分、子どもと向き合う時間を大切にしています。
現在は、多くの人が育児や介護など家庭と両立しながら働いている社会だと思います。自身の健康のためにも、ワークライフバランスを整えることは欠かせません。個々がプライベートを犠牲にすることなく、仕事でもパフォーマンスを発揮して輝ける社会が理想的だと考えています。
お互いの専門性を軸に高め合っていく。専門家集団の会社だからこその強み
──仕事をする上で、大切にしている価値観を教えてください。
周囲とのコミュニケーションを大事に、丁寧に仕事を進めることを心がけています。とくに私の専門である光学分野は、部署内に専門家が少ないので、わからないことは部署を超えて、詳しい人に話を聞くようにしています。
技術的な課題については、自分1人で調べるよりもずっと早く、そして深く理解できますし、そうしたやりとりを通じて私自身の知識も向上します。反対に、私の知識が誰かの役に立つこともあるかもしれないと考え、発信もしています。
外部とのコミュニケーションを取ることもときに大切ですが、当社には専門家が多く、中でも光学分野については、他にはない知見を持っていらっしゃる方がたくさんいます。各分野のエキスパートが身近にいて、頼ることができるのはオリンパスならではの強みですね。お互いの知見を交換し、相互作用によって、組織全体が成長していければいいなと思っています。
──これまで一貫して校正業務に取り組んできましたが、今後の展望をどのように描いていますか?
入社した頃は、測定の件数をこなすことに達成感を覚えていましたが、経験を重ねるうちに、自分の役割はそれだけではないと考えるようになりました。今は、開発や工場の担当者が困っていることを一緒に考え、解決策を見出し、役に立てることにやりがいを感じます。
昔は他の部署に異動することに憧れた時期もありましたが、今は、この校正という分野で専門性を高めていくことこそが、会社における自分の存在価値だと感じています。会社の事業や私自身の立場も変化してきましたが、それを「ピンチはチャンス」と捉え、前向きに楽しんできました。これからも、これまで培った知識と経験、人とのつながりを活かして、会社に貢献していきたいと思います。
※ 記載内容は2025年7月時点のものです

