「攻めの環境活動」で、企業のリスクマネジメントと成長戦略を支える
──所属する部署やそこでの仕事の内容について教えてください。
私が所属している人事部門のEHS(Environment/Health/Safety)は、環境・健康・安全を推進する部署です。現在は主に3つの業務に携わっています。
1つめは、環境に関する情報開示です。社内向けには従業員の理解促進のためのeラーニング教材の作成を担当し、社外向けには有価証券報告書やサステナビリティレポートの環境ページの作成を行っています。
また、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)など外部評価機関への対応や、とくにヨーロッパのお客さまの入札要件として求められる環境対策に関する窓口業務も担当しています。
2つめは、グループ全体のCO2排出量の削減への取り組みです。オリンパスでは、2040年までにCO2排出量ゼロを達成する目標を掲げており、その実現に向けて各拠点と連携しながらさまざまなアプローチを検討・実行しています。
3つめは、サプライチェーン全体での環境活動の推進です。近年は自社だけでなく、取引先企業のCO2排出量も把握・管理することが求められています。とくに中小企業の取引先に対しては、CO2排出量の測定方法から丁寧に説明し、削減に向けた取り組みを調達部門と連携しながら進めています。
こうした業務の中でも、私が担当しているのは、「攻めの環境活動」と呼ばれる分野です。法令遵守や環境リスクの管理といった守りの活動ではなく、積極的な情報開示や削減目標の設定、サプライヤーへの働きかけなど、より戦略的な環境活動の推進に注力しています。
──オリンパスで働くやりがいをどんなところに感じていますか?
オリンパスで働く魅力は、新しい挑戦の場が多いことです。医療ヘルスケア業界において、まだ十分に進んでいない自然資本の開示などに先駆けて取り組むことができ、業界全体の方向性を示す役割を果たせる点に大きなやりがいを感じますし、自身の知見を広げながら社会的に意義のある成果を生み出すことができると思います。
またオリンパスの製品は、人々の健康に貢献していることから、自分の取り組みが社会価値の高い事業の持続可能性を後押ししていると実感できる点に、大きな充実感を得ています。
金融業界からの転身。ESGとの出会いがキャリアの転機に
──前職でのご経験、入社の経緯について教えてください。
新卒で金融業界に入り、7〜8年にわたって法人向けファイナンス提案営業を担当しました。IPO(株式公開(新規上場))をめざす企業への設備投資や資金提供、商社・小売業向けのリース・割賦、中堅中小企業の建設機械導入支援など、幅広い業務に携わりました。
転機となったのは、前職でESG部署の立ち上げメンバーに選ばれたことです。当初、ESGやSDGsにはとくに関心がありませんでしたが、環境関連の企画や金融商品の開発に携わる中で、しだいにこの分野のおもしろさを実感するようになりました。
金融業界は、企業の成長や変革に伴走することで間接的に社会へ貢献できる一方、環境への直接的な貢献には限界があると感じました。たとえば、CO2排出量の把握ひとつをとっても、金融機関の場合はオフィスでの電力使用などに限られ、取り組める範囲が限定的です。「もっと環境分野に深く関わりたい」という想いが芽生え、転職を決意しました。
ちょうどそのころ、ESG関連の求人があったのがオリンパスです。製造業という、これまでとはまったく異なる業界で新たな経験を積める点に魅力を感じ、入社を決めました。
──入社後の担当業務や、入社して感じたオリンパスへの印象について教えてください。
入社後は、まずCO2排出量の把握方法を学ぶことから始めました。その過程で、CO2排出量の基本的な考え方であるスコープ1・2・3についても理解を深めました。あわせて、オリンパスの計算方法、サステナビリティレポートでの環境情報の開示方法についても理解を深めていきました。
工場を持つ製造業ならではのエネルギー管理や、省エネ法などの法令遵守の厳格さも学び、知識の幅が大きく広がっています。
入社して感じた印象は、新しい提案に対する社内の反応が非常に前向きであること。環境への取り組みに関する依頼・要請は、慎重な対応になりがちの印象がありましたが、全員がゴールを共有し、同じ方向をめざしていることが、理解を得やすい理由だと感じています。
さらに、オリンパスのEHSには、役職による序列ではなく、役割ベースで業務を進める文化があります。そのため、年次に関係なく、キャリア採用者でも提案しやすいのが特徴です。私自身も、前職の経験を活かしながら、積極的に改善提案などに取り組んでいます。
また、チームには5〜6名の専門家が在籍しています。それぞれの担当領域について学びながら業務を進めることができるため、成長できる環境も魅力的です。
環境情報開示を拡充し、透明性向上に貢献。外部評価機関での高評価に手ごたえ
──印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)のフレームワークに基づいて、情報開示を拡充したときのことが、とくに印象に残っています。
入社して間もないころ、当社の開示内容を確認したところ、2040年のネットゼロに向けた移行計画などの情報について、より充実化できることをチームの課題として共有しました。メンバーの支援も受けながら、気候変動に関するリスクと機会を「長期・中期・短期」の時間軸で整理し、それぞれの期間における影響度を評価し、当社のWebサイトの改訂にあわせて公開することができました。
もうひとつ、CDPから最高評価のAスコアを獲得したことも、印象に残る出来事です。
CDPは、企業の環境への取り組みを評価し、その情報を投資家や企業に提供する国際的な情報開示プラットフォームです。世界のGDPの約66%に相当する企業が回答しており、その数は2万社以上にのぼります。
その中でAスコアを獲得できたのは約300社で、全体のわずか0.2%です。昨年度はBスコアだったオリンパスが認められ、高い評価を得られたことは非常に意義深いことでした。
このような評価を得られた背景には、私が行った環境情報の開示だけでなく、オリンパスが長年積み重ねてきた環境への取り組みがあります。たとえば、2022年に国内で再生可能エネルギー100%を達成するなど、以前から着実にCO2削減を進めてきました。
サプライヤーの環境負荷の把握も進んでおり、国内の第三者機関から高い評価も受けています。各拠点に対する取り組みを含め、継続的な努力が結果として実を結んだと考えています。
環境分野をリードできる存在に。持続可能な組織と社会の実現に向けて
──仕事をする上で、大切にしていることはありますか?また、今後の展望についても教えてください。
相手に意図をわかりやすく伝えることです。前職の営業経験から、提案時にはエビデンスを示し、相手が理解・納得しやすい説明を心がけています。
たとえば、審査部門とのやりとりでは、「なぜその判断に至ったのか」について順を追って説明し、具体的な根拠を示すことが求められました。この経験は、現在の環境への取り組みを社内外に伝える際にも活かされています。
今後については、そうした経験を活かしながら、環境分野の専門性をさらに高め、オリンパスの環境分野のリーダーになっていきたいです。「オリンパスの環境担当といえば石川」と言われるような存在になることが目標です。
オリンパス内で環境分野に深く関わる人材はまだ多くありません。社内のさまざまな関係者とのコミュニケーションを大切に、日々の業務をしっかりと遂行しながら、リーダーシップを発揮できる人材になりたいと考えています。
──社内に向けて、メッセージをいただけますか?
社内の環境課題への意識が高まり、理解も深まってきていると感じています。ただし、企業活動において環境対策の優先順位は必ずしも高いとは言えません。
事業成長や収支バランスなど、さまざまな要因のひとつとして位置づけられていることは理解していますが、とくにヨーロッパのお客さまの入札要件に含まれるなど、環境への取り組みはビジネスの継続に不可欠な要素となりつつあります。
会社をより良く、より成長させていく上で、環境は非常に重要なキーワードです。継続的な事業成長と持続可能な社会の実現に向けて、共に力を合わせ、取り組んでいきましょう。
※ 記載内容は2025年3月時点のものです

