グローバル共通のトレーニング制度を設計し、標準化を進めていく
──現在の業務内容について教えてください。
オリンパスの事業部門において、内視鏡と治療機器の両方をカバーするセールストレーニング制度をグローバルで設計し、ガバナンスを強化する役割を担当しています。とくに、患者さんの安全を第一に、全地域のセールスパーソンが製品の安全で効果的な使用方法を医療従事者に適切に伝達できるよう、社内トレーニングの標準化を行っています。
私はプロジェクトマネージャーとして企画・運営を担当しており、実際のトレーニングは各分野のトレーナーが実施しています。具体的な業務としては、社内トレーニングの公式ルールの作成、全分野・全地域のトレーニング部門が情報にアクセスできるポータルサイトの構築、トレーナー免許制度の確立などを行っています。これらの業務では英語でのメールコミュニケーションや海外ビジネスセンターとのオンラインミーティングも頻繁に行っています。海外出張もあります。
医療機器のトレーニングでは、安全で効果的な使用方法が最も重要視されています。具体的には、トレーニングモデルを使用した内視鏡の操作方法や各場面での適切な機能の使用方法の理解、そして、とくに重要な洗浄方法などを学びます。
医師以外は普段触れる機会が少ない機器であるため、継続的な学習が必要不可欠です。また、患者さんの安全性を最優先に考え、製品の使い方や洗浄方法を含めた総合的な知識をトレーナーが持つことが求められています。
──オリンパスで働く魅力ややりがいを、どんなところに感じていますか?
オリンパスで働く魅力は「人」です。上司を含め、周囲に尊敬できる人が多いです。日々の業務における配慮や協力体制が充実しており、安心して仕事に取り組める環境があります。各部門のメンバーに専門知識があり、学習意欲が高く、それが会社としての強みになっていると感じています。
また、「ダイナミック」であることも特徴で、日本のメーカーとして世界で活躍できる点にやりがいがあります。グローバルコラボレーション推進の中で地域ごとの強みを知ることができ、他の地域の学びを取り入れることで、組織を強化していくことができます。グローバルな守備範囲は時に大変ですが、とてもチャレンジングで魅力的です。
圧倒的なシェアと、日本のものづくりを誇れる環境で。つらさを乗り越えた先に見えた景色
──これまでのキャリアと、オリンパス入社への背景を教えてください。
大学卒業後に2年間、海外へ留学しました。その中で日本のものづくりの強さを感じ、父がメーカーの技術者であったことも影響して製造業に身を置くことを決意しました。
以前から医療への関心が高く、健康の大切さを実感していたことから、医療機器のメーカーへと就職。病院や開業医への営業を経験する中で業界におけるオリンパスの存在の大きさを実感しました。
その後、オリンパスへと転職しました。消化器内視鏡という医療機器で圧倒的なシェア70%という強みと、私がやりたかった日本のものづくりを世界で展開できる環境があったからです。これまでの経験も活かせると考えました。
──入社後、どんな仕事を担当してきましたか?
まずは、アジア中南米販売部で韓国の消化器内視鏡事業担当としてスタートを切り、日本の医師と共に韓国へ赴いてのアテンドや現地販促支援などを行っていました。その後、マーケティング本部の戦略企画部に異動し、分野・地域をまたがる課題に向けた取り組みへ。
具体的には、マーケティングの内科・外科など異なる分野の人々を集めた分科会の企画・運営のほか、他社分析にも挑戦し、上司のサポートを得てレポートとしてまとめ上げました。
マーケティングは未経験の分野だったため、苦労をする場面も多く、退職を考えるほどつらかった時期もありました。ただ、今思えばそれが成長につながっていると感じます。私のことを諦めることなく育ててくれた上司には感謝をしています。
その後、欧米販売部に異動し、アメリカの外科向け製品に特化した担当となりました。これまでは全体を広く見る立場でしたが、ここでは一つの製品に集中することで専門性を身につけることができ、とても充実していました。この経験を通じて、徹底的に顧客目線で考えることの重要性を学び、マーケティングの本質的な楽しさを実感することができました。
当時、アメリカのトップドクターを日本に招いた際のエピソードが最も印象に残っています。日本の病院見学や開発部門との対話、工場見学など1週間超のアテンドを任され、若手ながら懸命に取り組みました。
その結果、先生から「大村さんのおかげでいいプログラムになった」と私のサポートを高く評価していただけたのです。自分にとって大きな励みとなりましたし、オリンパスで働き続けようと決意するきっかけとなりました。
トレーナーのサポート──育成制度の確立とオリンパス基準を満たした人材の育成へ
──Education and Training 部門に異動した経緯について教えてください。
幼少期から英会話教室に通っていたこともあり、昔から「教育」に対する関心がありました。そうした中、マーケティング本部内に教育部門が新設されるタイミングで、マーケティング本部国際教育推進部へ異動となりました。自分の興味と組織のニーズが合致した形での異動ということで、非常に嬉しく、ありがたい機会でした。
当部門で最初に取り組んだことは、アジア地域のトレーニング体制の整備です。当時のアジアは、セールストレーニングの制度が曖昧でした。そこで、グローバル本社のある八王子市でアジア向けのトレーニングを開催したり、e-learningを遠隔で提供する管理やコンテンツ作成などのサポートを行いました。
また、トレーナーを支援する立場で仕事をする中で、教える側の苦労を実感しました。自分自身がアジア地域のセールスに対してトレーニングを実施した経験も影響し、「トレーナーをサポートしたい」という想いが芽生えました。
そこで、当時の上司に「トレーナー育成のテーマに力を入れたい」と伝え、国際会議の場でもグローバルベースでのトレーナー育成の方向性をプレゼンテーションすることで、トレーナー育成の仕組みづくりを任せていただけるようになりました。
──トレーナー育成の仕組みづくりとして、どのようなことに取り組んでいますか?当部門でのやりがいも教えてください。
具体的にはオリンパスとしての基準を満たした人材がトレーナーとして教えられる免許制度を作っています。また、トレーニングで使われるプレゼンテーションやハンズオンマニュアルなど、グローバル標準のトレーニングコンテンツを整備する取り組みも進めています。
特徴的なのは、日本では営業経験者が人事異動でトレーナーになることが多いのに対し、アメリカや欧州、中国、アジアではトレーナー専門職として採用され、長期的にトレーナーとして活動しているということです。グローバル標準トレーニングのコンテンツを用意し、全地域のトレーナーがテストに合格してグローバルマスタートレーナーから認定を受けることで、オリンパス標準のトレーニングを提供できる仕組みを構築するようにしています。
仕事のやりがいとしては、世界中の人々の健康に大きく貢献できることです。この仕事を通じて「命を救う」というより明確で強い想いを持つようになりました。内視鏡による早期発見・早期治療は、癌などの疾患を早期に発見して治療し、命を救う大きな可能性を秘めています。そのため、正しい使用方法を広めていくためのトレーナー育成が重要だと感じています。
誠実に向き合い、学び続ける姿勢で。リーダーシップを発揮し、チームを支える役割へ
──仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
主に3つあります。1つめは、誠実であることです。短期的に目先のことだけをみて進めることはせず、正直に相手と接すること。その方が、長い目で見たときには、いい結果になることが多いと感じています。
2つめは、目的思考を持ち「なんのために何をやるか」を明確に説明できるようにすることです。相手に納得感を持って動いてもらうような配慮を念頭としたコミュニケーションが必要となります。これは、今でも難しいと感じており、目下勉強中です。
そして、3つめはアップスキリングです。戦略企画部在籍時にマーケティングの知識不足を補うため、外部のビジネススクールでマーケティングを学び、欧米販売部在籍時にはクリティカルシンキングを学びました。
現在は、外部のビジネススクールに本科生として入学しビジネスやマネジメントに関する知識とスキルを体系的に学んでいます。新たな勉強をしていく上では、多少の強制力も必要です。私自身、最初は気が進まなかったのですが、周りに背中を押されて行くことで、頑張らざるを得なくなりました。
実際に参加をしてみると、やる気も出てきて、さらに真剣に取り組むようになりました。気がつけば自分のために勉強することを楽しめるようになり、好循環が生まれています。
とくに、リーダーシップコースでの学びで「前向きなチャレンジや失敗を繰り返すことが成功につながる 」という大きな気づきを得られました。もともとリスクを取ることに苦手意識があり、失敗を恐れる傾向がありました。
しかし、前向きなチャレンジは失敗ではなく、成功への必要なプロセスであると学びました。むしろ、チャレンジや失敗そのものを楽しもうというマインドに変わることができました。 こうした学習経験を通じて、年齢に関係なく目的を持って学ぶことの大切さを実感しています。
──今後の展望について教えてください。
現在の部署で上司から与えられる役割が増えてきており、リーダーシップを発揮しながらオリンパスのセールストレーニングを強化していきたいと考えています。将来的にはセールスだけでなく、ドクタートレーニングとのコラボレーションや、社員のラーニングマネジメントにも力を入れていきたいです。
教育という面では、キャリアコンサルタントのような他者の学びのきっかけづくりにも関わりたいと考えています。「できなかった」という挫折を味わった経験があるからこそ、それを強みに、できない人の気持ちに寄り添いながら、サポートをしていきたいです。
※ 記載内容は2025年3月時点のものです

