医療の未来を切り拓く。ソフトウェアエンジニアリングのこれからに向けて
──所属する部署やそこでの仕事の内容について教えてください。
ATR(Advanced Technology Research)という先進技術開発を手がける組織に所属しています。10年先を見据えながら新しいことに挑戦することが私たちのミッションです。
中でもいま私が参加しているのが新世代の内視鏡ビデオシステムのプロジェクト。技術開発だけでなく企画段階から関わり、ソフトウェアプラットフォーム開発チームのリーダーを務めています。現在は、新規技術を取り入れながらプロトタイプの開発を進めている段階です。
このプラットフォームは内視鏡ビデオシステムの基盤をなすものであり、撮影された映像を取り込んで画像処理したり画像を保存したりする機能など、内視鏡のあらゆる基本的な機能を担います。
クラウドやAI、GPUなどの各分野で先頭を走る企業の方と協業するなど、先端技術の活用にも積極的です。先端技術をうまく取り入れることができれば、これまでと比べてより柔軟な形での価値提供ができるようになると考えています。従来は手が届かなかった中規模以下の医療機関にもアプローチする可能性も模索しながら、既存の製品やサービスにとらわれない、まったく新しい新規開発に取り組んでいるところです。
また、ユーザーであるドクターからフィードバックをいただくための直接的なコミュニケーションの場で、開発したプロトタイプを活用していくことも今後検討していきたいと思っています。
──仕事のやりがいをどんなところに感じていますか?
社内で前例のない新規技術を取り入れながら、まだ誰も目にしたことがないシステムをつくり上げていくのはとても困難な作業です。それだけに、チーム内で議論したり協業先の方に助けてもらったりしながら実際にものが動いたときなど、開発の過程には感極まる瞬間が少なくありません。
とくに現在のプロジェクトではアジャイル開発の手法を採用していることから、短い期間で何かしらの成果が得られるたびに手ごたえを感じ、小さな感動をチームで分かち合うことができています。
また、人によってさまざまな楽しみや生きがいがあると思いますが、人生を謳歌できるのは健康あってこそ。「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」をOur Purposeとして掲げるオリンパスの一員として、開発を通じて世界の方々の人生を支えるお手伝いができていることに、エンジニアとして大きなやりがいを感じています。
新規技術開発の最前線で培った技術や知識を人のために役立てたいと、医療機器の世界へ
──入社前のキャリアと、前職時代に大切にしていたことを教えてください。
大学卒業後、オーディオメーカーに就職して全世界向けカーオーディオ製品の制御ソフトの開発を担当しました。2年目には携帯型デジタル音楽プレイヤーとの連携機能の開発を仕様の検討から任されることに。それがうまくいったことから、車載製品向けBluetoothに関する技術開発に長く関わりました。
その後は、ハイレゾ再生用ソフトウェア、音声による充実したガイダンスを提供するナビゲーションアプリの開発に携わりましたが、それらすべてに共通するのが社内初の取り組みであったこと。新規技術の検討・導入とそれを製品化するための開発実務を経験してきました。
新しいことに取り組み続ける上で大切にしてきたのは、開発コンセプトやゴールを常に明確にしておくことです。開発の過程では、困難な場面に直面することが少なくありません。どんなときも軸がブレたり妥協したりしないためには、いつでも立ち返ることのできる明文化された指標が必要です。めざすべきものについてメンバー間で共通認識をつくって励まし合うことは、いまも重要だと考えています。
──オリンパスに入社した経緯について教えてください。
前職で大きなプロジェクトがひと段落したところでキャリアを見直したことがきっかけで、「社会貢献している」と強く実感できる仕事に残りのエンジニア人生を捧げたいと考えるようになりました。
転職活動を始め、真っ先に思い浮かんだのが医療機器メーカー。自分が培ってきたエンジニアリングの技術や知識を、世界の方々の健康や安心のために役立てられるなら、情熱を注いで働けるのではないかと考えたからです。当時たまたま医療ドラマを観ていて、患者さんの命と誠実に向き合う姿が胸に響いていたことも無意識のうちに影響していたと思います。
中でもオリンパスに惹かれたのは、当社が高い世界シェアを持つ内視鏡に関心があったからです。たとえばがんは深刻な病気ですが、内視鏡検査によって早期発見できれば生存確率は飛躍的に高まります。
また、オリンパスは、消化管用内視鏡だけでなく、低侵襲手術のひとつとして知られる腹腔鏡手術の外科内視鏡も手掛けてきました。患者さんの入院期間が短くなればそれだけ患者さんの負担が減りますし、医療費の削減にもつながります。医療費負担が大きな問題となる中、社会貢献度の高さに魅力を感じてオリンパスへの入社を決めました。
法規制対応とリスク管理に奮闘。Patient Safetyに妥協しない開発をめざして
──入社後のお仕事の流れと、とくに苦労したことについて教えてください。
新世代の内視鏡ビデオシステムを担当することも、チームリーダーを務めることも入社前から決まっていましたが、法規制について学んだり技術調査したりと約半年間の準備期間を経て現在のプロジェクトにアサインされました。現在も携わるアジャイル開発によるソフトウェアの試作を開始したのは2023年4月からです。
最初につまずいたのが法規制への対応でした。規格書や手順書はもちろん、ガイダンス本なども読みましたが、文字面を追っているだけではなかなか身につかなくて。先輩社員の力を借りながら自分の理解が正しいかどうかを確認していく必要がありました。
また、たとえば「万一、このソフトウェア部品が動作しなくなったらこの代替手段でカバーする」という具合に、起こりうる危険な場面を想定し、それに一つひとつ対応しなければならないのも苦労した点です。医療機器開発では、患者さんの安全の確保が最優先されます。前職でもリスク管理は求められましたが、患者さんにとってのリスクを洗い出し、そのすべてに手を打っていくプロセスを経験したのは初めてのことでした。
一方、そうやってリスクと向き合う中で生まれるアイデアが新たな特許取得につながることもあります。そのため、先端技術を取り入れることに対してメンバーらはとても前向きですし、少なくともプロトタイプ開発に限って言えば、安全の確保が新しいことに取り組む上で足枷になっているとは感じません。
──前職の経験が活かせていることはありますか?
前職でも積極的に取り入れていたアジャイル開発の経験が活かせていると感じます。とくに、別業界の視点でプロジェクトを客観的に見られるところに、自分のアドバンテージがあると思っています。
ただ、新しい開発プロセスを導入しやすいのは、私たちがいま取り組んでいるのがプロトタイプだからこそです。オリンパスでは安全を確保しようとしてきた結果、いまの開発プロセスに辿り着きました。今後もPatient Safetyに妥協しないことは大前提ですが、最終製品を手がける部隊とも話し合いながら、開発期間の短縮をめざしてできることを模索していくつもりです。
前例なき新規技術開発をこれからも。後進の育成にも意欲
──どんなところにオリンパスの特徴を感じていますか?
柔軟な考え方ができる方がとても多く、前例のない提案をしてもひとまず受け入れた上で前向きに検討しようとする風土があり、とても仕事がしやすいと思います。
また、社員の個々の能力が高いのもオリンパスの特徴です。とくに多いのがプレゼンテーション力や資料をまとめる力に長けた方。それだけに、リーダーとしてメンバーに力を発揮させ、チームのパフォーマンスを高めていく責任の大きさを感じています。
学びの機会が多いのもオリンパスの良いところ。とくに予算のかかる外部研修が充実しているのは、社員のキャリア形成を会社が本気で考えていることの証です。マネージャーからもしきりに研修の受講を勧められるなど、理想的な成長環境があります。
──今後の展望を聞かせてください。
いま取り組んでいる新世代の内視鏡ビデオシステムの開発をなんとしてもやり遂げたいと考えています。キャリアで私が経験してきた中でも群を抜いてチャレンジングなプロジェクトですが、プロトタイピングを通じて練り上げたコンセプトと要素技術を最終製品をつくる部門へと移管し、世に出すところまでサポートしたいというのがここ数年の目標です。
また、前職時代を含め、私は社内で前例のないことに長く取り組んできました。現在も先端技術の各分野で先頭を走る企業の方と協業させてもらっていることがとても刺激になっていますし、自分の強みもそこにあると考えています。オリンパスでも引き続き新しい技術開発に携わり、目に見える成果につなげていきたいですね。
そしてゆくゆくは、新規技術に取り組むためのノウハウ、アジャイル開発に関する専門知識をまとめて後進を指導するなど、社内に還元していくことをめざしています。そのためにも、今後よりいっそうエンジニアとしての知識と技術に磨きをかけていくつもりです。
※ 記載内容は2023年9月時点のものです

