超音波内視鏡の修理を一手に引き受ける。日本全国の医療現場をサポート
──所属部署と業務内容について教えてください。
医療修理部は、医療用の内視鏡と周辺機器の修理を担っている部署です。私は長野オリンパスの伊那事業所で、超音波内視鏡の修理工程のサブチームリーダーとして、工程の管理や修理のQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)の向上、利益創出に向けた改善業務を担当しています。
オリンパスでは、伊那と福島県・白河の2拠点で日本国内における医療機器の修理を行っていますが、現在、超音波内視鏡を修理できるのは伊那だけ。全国の医療の現場を支えているという自負を持って業務に励んでいます。超音波内視鏡の修理では、ひとりの作業者が分解・組立・修理工程内検査の一連の工程をすべて担当します。そのため、幅広い技能や製品構造の知識が必要です。
また、超音波内視鏡の修理工程では見積機能もあわせ持つため、修理だけでなく見積の知識も習得しなくてはなりません。お預かりした製品の故障箇所を正確に特定し、納得いただける見積の作成を行うサービス視点と、見積内容に従って決められた修理を最高品質・最短納期で行うQCD視点を養ってきました。
──仕事をする上で大切にしていることを教えてください。
医療修理部では、「ハイパフォーマンスを創造する組織」というビジョンのもと、各自が質の高いパフォーマンスを発揮できる組織にするため、チーム一丸で取り組んでいます。さらに、私のチームでは「一人ひとりが主体的に『考動』できるチーム」という方針を掲げていて、私個人としても「考動」を大切にしています。この言葉には、考えてばかりで行動しないのはいけないし、考えなしに行動を起こしてもうまくいかない。しっかり考え、行動に移そうという思いが込められています。
以前、私は目標達成に向かって、とにかくがむしゃらに仕事をしていた時期がありました。でも、懸命に働くだけではなかなか成果が出なかったんです。「目標達成のために何をすればいいのか」を考え、具体的な改善活動に落とし込むことで、ようやく成果が出てきました。私自身、「考動」の大切さを実感したことで、ゴールにたどり着くためには何が必要かを一人ひとりが常に考えてから行動するよう、チームにも伝えています。
カメラ製造から内視鏡の修理へ。挑戦の中で、ゼロから身につけたスキル
──長野オリンパスへの入社経緯と、入社後に経験した業務について教えてください。
安心して長く働き続けられる会社を探していました。いろいろな会社を見る中で、勤務形態や労働環境、福利厚生などさまざまな面で充実していると感じたことが、オリンパス入社の決め手です。
入社して最初の4年は、コンパクトカメラの製造部門に所属し、コンパクトカメラ用の基板を製造する部門でマシンオペレーターを担当しました。その後、ガラス成型レンズやレンズ芯取り加工のマシンオペレーターとして、設備を動かしたり、メンテナンスしたり、またレンズの部材をクリーニングする業務などにも携わりました。
2013年1月には、消化器内視鏡を扱う部門に異動。そのころに、BCP(Business Continuity Plan)の観点から、福島県の白河オリンパスのみで行っていた内視鏡の修理事業を伊那工場にも広げる動きがあり、その機能移管プロジェクトのメンバーに選ばれたのです。そのため、異動してすぐ、白河に長期出張して、修理機能移管のための実習に参加しました。
──異動後は、どのような業務を経験しましたか。
最初の移管実習で、消化器内視鏡の修理部門の一員として、オーバーホール(※)の技術を学び、伊那に戻って修理部門の立ち上げに携わりました。その後、2014年4月から2度目の移管実習に参加し、超音波内視鏡の修理技術を学びました。そして10月から伊那に戻り、超音波内視鏡の修理機能立ち上げに携わり現在に至ります。
※ 製品をすべて分解し、点検・交換・清掃・再組立などを行うことで、新品同様の性能レベルに戻す作業
従来は機械を動かす仕事や、加工した製品の検査を行うような業務がメインだったため、手作業で組み立てや接着作業を行う内視鏡の修理業務は、文字通りゼロからのスタート。これまでそういった仕事をしてこなかった分、最初はかなり苦労しましたね。実習や実際の業務を通じて、技術を習得していきました。
超音波内視鏡の修理コストを削減。お客様と会社の両方のために
──現在の業務で、とくに印象に残っている出来事を教えてください。
超音波内視鏡の修理工程において、不良発生時の修理工程の改善と、より低価格な修理方法の導入。この2つを修理現場主導で実現することで、製造部門におけるMVPを受賞できたことが印象に残っています。
超音波内視鏡を構成する部品やユニットは、ほかの医療機器に比べても高額なため、ひとつの不良があると多額のコストが発生してしまいます。この不良原因がお客様への見積提出時に発見できずに実際の修理工程で判明した場合、自社で費用負担をしていました。この課題を解消するために提案したのが、内視鏡先端部にある超音波プローブの修理工程の改善です。
超音波プローブの取り付け部に空気漏れが発生した場合、従来はユニットごと交換する方法をとっていました。しかし、空気漏れのロジックを徹底的に分析した結果、超音波プローブの一部を付け替えることで空気漏れを解消できることがわかったんです。これにより修理費用を抑えることができ、自社の持ち出し費用の削減につながりました。
さらに、この改善を見積工程にも応用できれば、より低価格な修理メニューの提供が可能になると思いました。そこで、サービス企画や、サービス技術、日本リージョン統括の方々に協力してもらって部品の交換方法のフロー変更を行い、仕組みを整備。加えて、見積作成システムの改修や修理価格の改定、部品在庫の構築により、見積時に発見された同様の不具合品に対して、より低価格での修理サービスの提供を実現できるようになりました。
空気漏れの原因を探るところから始まり、サービス提供に至るまで3年ほどかかりましたが、お客様と当社にとってWin-Winの関係が成立する活動で、顧客満足度向上にもつながる取り組みだとして会社から評価してもらうことができました。
──取り組みの中では苦労もありましたか?
修理部門の枠を越える取り組みで、かつ新たな修理メニューを構築するということもあり、さまざまな部署の方に協力いただく必要がありました。調整がうまくいかず、挫折しそうになったこともあったのですが、関係者の方々と対話を重ねながら、なんとか打開策を見出すことができました。
また、上司の支えも大きかったです。私の提案に対して、「実現が難しいのでは」という声が社内から上がったときも、「会社にとって絶対に必要だから、あきらめずに続けよう」と後押ししてくれたのです。関係部署との折衝面でもサポートしてもらい、とても心強かったです。
決してスムーズに進んだことばかりではなかったからこそ、最終的に実現に至って取り組みが評価されたときには、大きな達成感がありました。「絶対にやり遂げる」という強い意志を持って立ち向かい続ければ、必ず成果につながるという自信もつきました。コスト削減の課題はまだ残っているので、今後も挑戦し続けていきたいです。
自分たちの仕事の先に、救われる人たちがいる。その想いが心の支えに
──オリンパスで働く魅力をどんなところに感じていますか?
私たちの部署は直接お客様とやりとりするわけではないのですが、医療機器に携わることで、「人々の健康と安心」に貢献できていることにやりがいを感じます。
以前、修理の特急依頼を受けた後に、「手術に間に合うように対応してくれたおかげで、命を救うことができた。ありがとう」というお礼のメールを医師からいただいたと、顧客対応の窓口の方から報告を受けたことがありました。医療機器を修理する現場では、難しい依頼や急ぎの依頼も発生しますが、自分たちの仕事が誰かの健康や命に直結していることを実感できるのは、オリンパスで働いているからこそだと思います。
もちろんそれは、少しのミスや不具合で大きな影響が出るということですから、責任も伴います。それでも、自分たちの仕事の先に救われる人たちがいることがモチベーションになっています。
──今後の展望について教えてください。
少子高齢化が進み、日本人の約2人にひとりはがんになると言われているいまの時代、内視鏡を使った検査需要はますます高まるものと思います。最高品質・最短納期を常に追求し続け、「医療を止めない」修理を提供できる拠点をめざしていきたいです。そして、引き続きお客様と会社の両方の利益に貢献する取り組みを続けていきたいと思っています。
これまで、ひとりのプレーヤーとして最前線で活動をしてきましたが、これからは同じ考えを持って改善活動に取り組んでいく人材の育成にも挑戦するつもりです。チームメンバーに期待するのは、顧客と会社、その両方に貢献できる存在になること。その力が備わるころには、きっとどの部署でどんな仕事をすることになっても活躍できる人に成長できているはずです。
※ 記載内容は2023年8月時点のものです

