熊本を拠点にスマートシティの取り組みを推進。現場主義が自治体や企業をまとめる鍵
地域活性化に向けては日本全国でさまざまな取り組みが進められており、NTT西日本でも地域が抱える課題を探索し、地域のパートナーとともに持続可能な解決策を創出する活動を進めてきました。地域活性化の取り組みをより広範にトータルでサポートし、地域社会・住民の皆様に貢献することをめざし2021年の7月に新会社として立ち上がったのが株式会社地域創生Coデザイン研究所です。
吉川 「その名のとおり地域創生に特化した会社で、“Co-Design”には、『共につくる』や『協働して行う』、つまり地域の皆さんたちと一緒に共創していこうという意味が込められています。Coデザイン研究所ではテーマごとにチームが分かれていて、NTT西日本の各支店と連携しながら各地域で行われる地域創生プロジェクトをサポートしたり、活動支援を目的としたコンサルティングサービスを提供したりと、地域活性化に取り組む自治体や企業などの活動をトータルにお手伝いしています」
中でも吉川が担うのは、スマートシティの領域。5人のメンバーと共に熊本を拠点の中心としながら、スマートシティ関連のプロジェクトの支援も行っています。
吉川 「NTT西日本が地域活性化推進活動の一環として『くまもとスマートシティ構想』を推進しており、自治体や地域の皆さんと一緒になってさまざまな実証実験に取り組んできた由縁から、現在も熊本を拠点とした活動を行っています。
業務内容は多岐にわたります。たとえば、スマートシティの取り組みを推進する協議会の事務局のような立ち位置で、自治体と連携しながら、スマートシティを推進するための座組みの企画や運営までを担当したり、商工会議所の皆さんと一緒に新技術を使ってまちの魅力を向上させるイベントを立ち上げたりしています」
行政や民間事業者、商店街の方々など、共にプロジェクトに取り組む仲間を集めては関係性を構築し、一緒に共創しながら熊本のまち作りを推進している吉川。
吉川 「皆が向かおうとする先が同じでも、それぞれの立場ごとに事情があるため、そこにたどり着くプロセスもそれぞれ。一筋縄ではいきません。そこをまとめるのが私の役目だと思っています」
そんな吉川が仕事をする上で大切にしているのが、徹底した現場主義です。
吉川 「できるだけ現場に足を運ぶよう心がけています。プロジェクトを進めていくためには、互いに腹を割って話せる関係でなくてはなりません。そのためには現場に足しげく通い、生の声を拾いながら、まち全体の価値を向上させていくことをいつも意識しています」
鉄道会社を経て、NTT西日本へ。一貫して大切にしてきた地域創生への想い
もともと地域創生に興味があったと言う吉川。大学卒業後、地元九州の活性化につながるような仕事がしたいとの想いから鉄道会社に就職しました。
吉川 「前職の会社は、鉄道事業だけでなく不動産や観光のほか、まちづくりにも積極的に取り組んでいたんです。最初は研修のようなかたちで駅員や車掌として現場を経験しましたが、企画業務を担当する部署に配属され、希望していた地域イベントやまちづくりの仕事に携わることができました。
2年ほどして本社に異動になり、旅行会社向けの商品企画販売を担当。ここでも旅行ツアーや修学旅行といった団体の受け入れ先を手配するなど、地域を盛り上げる仕事に関わっています」
企画業務では現場に出て活動する場面が多かったと言う吉川。多くの新しい発見があったと振り返ります。
吉川 「地元の地域おこし協力隊や高齢の方々と一緒になってイベントやまちづくりの企画をつくり上げていきました。地域の魅力を発信していくおもしろさを発見したり、逆に課題が見つかったり。地元の方と交わり、対話を繰り返す中で、いまにつながるたくさんの学びがあったと思います」
その後、海外営業課へ異動に。インバウンド営業に携わり東南アジア各国を回りながら、商品のプロモーションを担当しました。次は、地元熊本に貢献できる仕事がしたいとの想いを募らせる吉川に、大きな転機が訪れます。
吉川 「コロナ禍となって観光事業が低迷して業務が激減しました。思いがけず自分を振り返る機会を得たことで、これまで培った経験が活かせる場所で働きたいという気持ちが芽生えてきたんです。
そんな時、NTT西日本が地域活性化に取り組んでいることを知りました。ICTを活用することでさまざまな角度から面的にまちづくりに関われる点に強く惹かれたのを覚えています。他業界で得た知見を活かせそうだと感じたこと、そして何より地元熊本でまちづくり事業に参加できるところに魅力を感じ、入社を決めました」
商店街の方々と共にDXを活用したイベントを実施。NTT西日本ならではの価値創出
2021年の入社以来、一貫して熊本でのスマートシティ関連事業に携わってきた吉川。特に印象に残っていると話すのが、2022年3月に実施した“マチナカxRミュージアム”です。
吉川 「商工会議所の皆さんをはじめ、中心市街地の商店街組合の皆さんと連携して取り組んだ実証事業です。最新のxR技術によって、くまモンのパレードやxR水族館といったデジタルアートの世界をまち中に登場させるというもの。来場者の回遊状況などのデータを取得し、それらを可視化・検証した上でこれからのまちの賑わいづくりにつなげていこうという狙いがありました」
イベントでは家族連れから高齢夫婦まで、幅広い層の来場者が見られ、xRの体験回数が2万回を超えるなど、まだまだ街中に可能性があるなと感じられた結果だったものの、課題も見つかりました。
吉川 「県や市、商工会議所さんや商店街の方々と共に構想を考えていく中で、さらに仲間を増やすために各会合に出席して企画を説明するなど、調整には苦労しました。構想から実現まで約1年。プロジェクトの規模が大きくなればそれだけステークホルダーの数も多くなり、時間も労力もかかることを痛感しました」
持ち前の行動力・コミュニケーション力を発揮し、共に汗をかきながらプロジェクトの旗振り役を務めてきた吉川。苦労が多かった反面、大きな手ごたえを感じてもいると言います。
吉川 「商店街の皆さんも忙しいので、ともすると他人ごとになってしまいがちです。我々が主体となるのではなく、地域の方々と共に『街を良くしたい』という想いを醸成してプロジェクトを創り上げていきました。
また、商店街の人たちの『最近、人が減っている』というこれまで感覚でしか物事を伝えられなかった部分を今回こういう取り組みをやることで、その感覚を裏付けるデータを提示し、少しでもデジタルに興味をもってもらえるように工夫しました。
まだまだこれからですが、商店街の方々の間で少しずつ当事者意識が生まれていますし、デジタル活用への意識も高まってきました。スマートシティ構想の実現に向けて、まずは第一歩を踏み出すことができたのではないかと感じています」
当プロジェクトは、地域創生Coデザイン研究所だけでなく、NTTグループ全体のアセットをフルに活用しながら進めており、連携することによる新たな価値創出ができていると吉川は強調します。
吉川 「たとえばデジタルデータ分析をNTT西日本のデータ分析チームに依頼するなど、グループのアセットをフルに活かすことができました。NTT西日本がこれまで熊本で地域活性化に取り組み、培ってきた知見やリレーションも含め、グループの総力を活用し、まちづくりで新たな価値を創造しつづけている点は、我々の大きな強みだと思っています」
NTT西日本だからできること。まちづくりの最前線で活躍できる人材を目指して
“県民総幸福量の最大化”を掲げ、さまざまな政策を進める熊本県。そうした行政の方針に共鳴しながら、今後も地域に根ざした活動を続けていきたいと吉川は言います。
吉川 「県や我々が目指すのは、地域に住む方々のウェルビーイングの実現や価値共創。おしゃれなオフィスや公園をつくってそこに人寄せするのではなく、あくまで地域の方々が主体となって創り上げていくようなまちづくりです。NTT西日本、地域創生デザインCo研究所にしかできない地域創生のあり方を模索していきたいと思っています。
ビジネスとして成立させることも必要ですが、一般的な営業職のように立ち回るのではなく、地域の方々と共に誰もがハッピーになれるような地域活性化の担い手となっていきたいと個人的には思っています。いずれは、広い視野や価値観・ノウハウを武器に、プロジェクトリーダーとしてまちづくりの最前線で活躍できるような存在になっていけるといいですね」
NTT西日本という大きな舞台で地域活性化に取り組んできた吉川。いま同社が求める人材についてこう話します。
吉川 「NTT西日本というフィールドを活かして自分の可能性を引き出し、やりたいことを最大化できる人に来てほしいですね。『NTT西日本のフィールドを使ったらこんなこともできるんじゃないか』という発想を持った方と出会えることを楽しみにしています」
自分が関わった取り組みがひとつずつ目に見えて形になっていくことに大きなやりがいを感じると言う吉川。持続的で豊かな地域社会の実現に向けて、これからも地元熊本が抱える課題に取り組み続けます。

