研究開発で培ったノウハウで世界のニーズを捉え、これからの研究戦略に取り組む
現在、研究戦略部に所属して、中長期の研究戦略策定に向けた情報収集や他社との共創に向けた取り組み、そして社内展示会の開催などを担当しています。具体的には、国内外の業界や企業の動向の把握に努めながら、パートナーとなるグローバル企業をはじめとする他社と当社の技術やノウハウを活かした共同研究テーマの策定などに取り組んでいます。
研究戦略部に移る以前は、商品開発研究所でマーガリン類やバター、クリームなど主に業務用商品の開発に携わっていました。業務用商品のお客さまはパティシエや製菓・製パンメーカーといった飲食業界のプロの方々。求める水準が高いため、素材について深く理解した上で技術開発に取り組まなければ評価していただけません。そこに難しさとおもしろさを感じていました。
また、業務用商品の開発では研究所のアイデアが商品に反映されやすいのが特徴です。新技術導入の提案など、やりがいを感じながら取り組むことができました。
5年間にわたる商品開発研究所での経験は、現在の部署での業務にも活かされています。たとえば、業務用クリームの海外伸長を目的とした研究案を策定する時など、研究開発の現場で培ったノウハウや知見が大いに役に立っていると感じます。業務用クリームにおいては、日本では味への期待が大きい一方、海外では見た目の美しさが重視されるという具合に、日本と海外では求められるものがまったく違います。研究戦略部に問われているのは、明治らしさを大切にしつつ、海外のニーズにどう適応していくか。次の研究開発テーマを探して、そのための情報収集を行っているところです。
明治アクセラレーターに参加。介護施設に足を運び、現場を知る大切さに気づく
明治が培ってきた知恵やバリューチェーンと、スタートアップ企業が持つ新しいテクノロジーやアイデアを掛け合わせ、共創を図る「明治アクセラレーター」プログラム。私は普段の業務と並行してこのプログラムに参加。スタートアップに伴走する「カタリスト」としても活動してきました。
研究戦略部の業務でも社外の方と触れ合う機会はあるのですが、そのほとんどは大企業の方々。自分とは視点や考え方がまったく違うスタートアップの方との出会いを通じて刺激を受けたいと考え、同プログラムに参加しました。
もともと好奇心旺盛で、海外に限らず自分が知らない文化に触れるとワクワクするところがあって。興味を持ったことにはこれまでも積極的に関わってきました。そんな好奇心旺盛な私の性格がプログラム参加への原動力。新しい出会いに惹かれたのです。
明治アクセラレータープログラムは、普段の業務をこなしながら参加するのが基本です。自ら希望し参加したことなので、2つの仕事を兼務することは、まったく負担に感じませんでした。
私がカタリストとして伴走したのは、介護事業所向けコミュニティアプリを通じて介護の負担を軽減しようと取り組んでいるスタートアップ企業です。
食品やヘルスケア分野のスタートアップ企業の参加が多かったのですが、私は自ら希望して介護分野を選びました。当社では高齢者向けの商品を数多く製造していますが、現場について知らないことには、お客さまから求められる商品を提供することはできないと考えていたからです。
当時はまだアプリをリリースする前の段階だったので、当社とどんな共創ができるかを議論するところから始まりました。その後、デジタルコミュニケーションツールを活用することで高齢者の方々に当社の宅配商品の魅力を届けられるかを介護の現場で検証。2023年7月に開催されたデモデイ(最終成果発表)では、介護事業所を通じて宅配商品を展開していく可能性についてデモンストレーションを行いました。
プログラムでは、デイサービスセンターや特別養護老人ホームなどさまざまな施設を視察し、実際の介護の現場を知ることができました。たとえば、特別養護老人ホームで生活するような要介護度が高い方は体力的にもリテラシー的にもアプリを扱える状態にはないことを知ったのは現場に出たからこそ。そこで比較的要介護度が低いデイサービスセンターの方々を対象にアプリのサービスを提供する方向性へとシフトすることになりました。
現場を知ることの大切さ、そしてこれまでの研究開発や研究戦略部ではできない貴重な経験が得られたことが、大きな財産になりました。
異なる価値観の融合。共創での学びが普段の業務で活かされているのを実感
プログラムの期間中とくに印象的だったのが、介護現場でデジタル技術が積極的に取り入れられているのを知ったことでした。なかにはベッドに設置されたセンサーが入居者の呼吸や眠りの深さをモニタリングするシステムなどもあり、負担が大きいとされる夜間に介護職員ひとりで対応できるような施設もあるほどです。
一方、苦労したのがビジネスモデルを構築していくプロセスでした。スタートアップ企業の熱い想いをなかなか形にすることができず、最初のころは議論が平行線を辿っていました。
そこで、まずは現場へ出ることを提案。実際に施設でトライアンドエラーを繰り返し、その場で意見を交換することで少しずつ前進していきました。
担当したスタートアップ企業は、私が普段お付き合いさせていただいている社内外の方とはまた違った価値観を持っていました。価値観が違う方と折り合いをつけながらともに同じゴールをめざしていくことの難しさや楽しさを学ぶことができたのは、カタリストを務めたからこそだと思っています。
プログラムで得たそうした気づきや学びは、普段の業務でも役立っていると感じます。たとえば、社外の方と話すときなど相手の考えに賛同できない場合でも、価値観を真っ向から否定するのではなく、一旦受け入れ咀嚼してから言葉を返すようになりました。
また、当社では高齢者向けに「メイバランス」など栄養管理をサポートする食品を提供していますが、今回特別養護老人ホームを訪問したことで、流動食のような商品がどのようなお客さまを対象にしているかを理解できました。それらの研究開発に携わっている部署の方々とのコミュニケーションがより深まったと感じています。
さらに今回、プログラムに参加したことを機に、菓子や流動食、宅配事業など、普段の業務では接点がない社内のさまざまな部署にヒアリングを実施したことで、高齢者向けの商品を展開する上でどのような課題があるのかを知ることもでき、代理購買層へのアプローチ、デイサービスなどの介護度が低い施設へのアプローチ、そして潜在層に対する予防の観点でのアプローチが重要であることに気づくことができました。
大事なのは、一歩を踏み出すこと。社員一人ひとりが主体となって行動し、変革を起こす
先月、初めて海外へ出張する機会があり、グローバル市場をターゲットとしていくことの重要性を身をもって感じることができました。明治の商品が海外で受け入れられる余地は十分にありますし、いま国内で問題となっている介護業界の人手不足の問題がいずれ海外で顕在化するかもしれません。これからは研究戦略部の一員として、グローバルな視野での展開を推進していきたいと考えています。
研究所に長くいると、どうしてもお客さまとの距離が遠くなってしまいがちです。カタリストとしての経験を通じて介護の現場やそこにいる方々の存在を知ったことで、いつもお客さまの顔を思い浮かべながら仕事ができるようになりました。お客さまが本当に求めているものを考える習慣が身についたことは、私のキャリアにとって大きな糧になったと思っています。
また、明治アクセラレータープログラムに参加したことで、新しい情報をインプットすることが普段の業務に取り組む上でプラスになることをあらためて実感しました。大事なのは、行動すること。新しい知識や経験がキャリア形成にも良い影響を与えていると感じているので、同プログラムに限らず、やりたいことや挑戦したいことがある方は心の赴くままにアクションを起こしてほしいと思います。
普段の業務と並行してほかの取り組みに参加するのは難しいと考える方も多いでしょう。でも、調整可能な部分はきっとあるはず。私はいつも物事の本質を見極め、要不要の取捨選択をして業務の効率化を図ったり、周囲の人を巻き込んだりしながら、意識的に時間をつくるよう心がけてきました。業務を積極的に効率化し、新しいことに積極的にチャレンジできる環境を自らつくっていく姿勢が重要だと感じています。
明治では、アクセラレータープログラム以外にもさまざまな先進的な取り組みが行われています。組織が進化していくためには、社員一人ひとりが変革の主体となって行動を起こしていくことが不可欠。ひとりでも多くの方が行動を起こせるよう、私も周囲に対して積極的な影響を与えて、ともに成長できる環境をつくっていきたいと思っています。
※ 記載内容は2023年10月時点のものです

