目の前の困りごとに寄り添い、一人ひとりに合わせた対応の大切さに気づく
私は現在、関西支社の業務部業務課に所属しています。ここでの仕事の内容は多岐にわたり、支社長の秘書業務をメインに据えながら、労務管理、総務全般、そしてチャレンジド社員(※1)の雇用担当を務めています。加えて、最近では健康経営系の企画や、女性活躍推進と風土革新をボトムアップで進めるチームの事務局運営も担っており、忙しくも充実した毎日を送っています。
※ 1…当社では障がいを持ちながら働く社員を「チャレンジド社員」と呼びます
これまでのキャリアを振り返ると、私は一貫して「誰かを支える」仕事に携わってきました。新卒で入社した工場での生産物流業務から始まり、その後は市乳部門(牛乳やヨーグルト)の営業支援事務を長く経験しました。正直に申し上げると、私は数字を扱うような管理業務はそれほど得意ではありませんが、現場で奮闘する営業担当を後方から支援する中で、自分の強みは「人の困りごとにいち早く気づき、自発的にサポートできること」だと気づくことができました。
とくに、2021年からチャレンジド雇用の担当になってからは、その想いがより具体的な形となっています。現在、私が関わっているチャレンジドの方々とは、日々の業務調整や面談を通じて密にコミュニケーションをとっています。そこで私が痛感しているのは、一人ひとりの特性に合わせた対応の大切さ。
たとえば、時間管理が苦手な方には、1日のスケジュールを視覚的に捉えやすい予定表を一緒に作成し、実績を記入してもらうことで、遅れが出そうなときに早めにフォローできる体制を整えています。また耳が聞こえにくい方とコミュニケーションをとる際は、単に声を大きくするのではなく、マスクを外して口元を見せ、はっきりと一音ずつ伝える工夫をしています。
これらは決して「障がいがあるから行う特別なこと」ではありません。新入社員に対して専門用語を使わず、わかりやすい言葉で丁寧に説明するのと同じ。相手の状況に合わせた「当たり前の配慮」だと考えています。相手が今何を必要としていて、どこに壁を感じているのか。対話を通じてそれを理解し、最適なサポートの形を模索すること。それが、業務課としての私の役割であり、仕事のやりがいそのものとなっています。
一歩踏み出す勇気は、知識から。 受け入れ合う雰囲気が世界を広げてくれた
私が障がい者雇用の担当になった当初は、これまでの人生で障がいをお持ちの方と深く関わる機会がほとんどなかったため、正直なところ、どのように関わればよいのか手探りの状態でした。そんな中、社内で発足したERG(※2)活動の一つである、チャレンジドERG「パッチワーク」に初期メンバーとして加わることになりました。
※ 2…当社では、DE&Iの取り組みの一環として、従業員によるネットワーク活動であるERG(Employee Resource Group)を推進しています
活動している中で印象だったことの一つとして、自分の「無知」を自覚させられた出来事があります。聴覚に障がいのある方と接する際、私は良かれと思って、独学で少しだけ習った手話を使って話しかけてみたのです。しかし、その方は手話を使わない方でした。聴覚に障がいがあれば誰もが手話が得意だ、という私の勝手な先入観が相手を戸惑わせてしまったのです。この経験から、障がいの有無といった属性で判断するのではなく、目の前の一人ひとりと向き合うことの重要性を学びました。
知識を得ることは、世界の見え方を劇的に変えてくれます。以前の私は、通勤途中や街中で車椅子の人や白杖の人を見かけても、「何か手伝いたいけれど、声をかけて驚かせてしまったらどうしよう」と躊躇しているうちに、結局何もできずに通り過ぎてしまうことが多々ありました。しかし、ジョブコーチの研修などを通じて具体的な関わり方やアプローチの手法を学んだことで、心理的なハードルがぐっと下がり、「驚かせないような声の掛け方」や「腕の貸し方」という知識が、私を動かす原動力になりました。
現在、私は「パッチワーク」のリーダーを務めていますが、これも自ら手を挙げたわけではなく、活動を通じて自然と任せてもらった形です。月に1度の定例会はとても楽しくて、私にとって今やなくてはならない、待ち遠しい時間です。企画の運営で私がITツールの操作に手間取っていると、得意なメンバーがさっと画面共有をフォローしてくれたり、動画制作が得意な人が私の稚拙な依頼を完璧な形に仕上げてくれたりと、常にメンバーに助けられています。
「パッチワーク」という名前の通り、ここでは一人ひとりの「できること」をつなぎ合わせて一つの大きな成果を作っています。障がいの有無に関わらず、それぞれの強みを活かし、苦手な部分を補い合う。そんな温かで「受容的な空気」が流れるこのコミュニティに参加することで、私自身の世界も広がっていると感じています。
完璧じゃないから支え合える。ギブ・アンド・テイクが育てる本当の心理的安全性
以前の私は、チャレンジドの方に対して「何かをしてあげなければならない」「自分が助ける側に回らなければならない」という、少し肩に力の入った意識を持っていました。しかし「パッチワーク」での活動を重ねるうちに、その考えは大きな間違いであったと気づかされました。私自身、緊張しやすくファシリテーターとして進行役を務めるのは苦手ですし、手先が不器用で細かな作業に手間取ることもあります。そうした私の「欠けている部分凹」を、チャレンジドのメンバーが当たり前のように「得意な部分凸」で埋めてくれる瞬間が何度もあったからです。
そこにあるのは、一方的な支援ではなく、きわめて自然な「ギブ・アンド・テイク」の関係です。そもそも、世の中に完璧な人間など一人もいません。誰もが凸凹を持っていて、その凹凸の形や大きさが少しずつ違っているだけなのです。お互いの苦手なことや弱い部分を隠さずにオープンにし、「私はこれが苦手だけれど、これはできるよ」とカジュアルに助け合える。そんな関係性こそが、職場における真の「心理的安全性」につながるのだと確信しています。
こうした気づきを、実際の職場環境づくりにも反映させています。関西支社では、チャレンジドの方々と半期に1度の定期的な1対1の面談を継続しています。そこで話し合われるのは、必ずしも重大なことばかりではありません。「最近、親の介護が必要になってきて不安」「少し体力が落ちてきた気がする」といった、日々の暮らしの中での小さな変化や悩みも話してもらっています。
こうした些細なことを、信頼して話せる場があることが重要だと考えています。職場を、単に「与えられた作業をこなす場所」ではなく、お互いの人生を支え合う「安心できる居場所」にしていきたい。そうした土台があってこそ、人は初めて自分の力を最大限に発揮できるのだと信じています。
また、今後はチャレンジドの方々の自律的なスキルアップ支援にもいっそう注力していきたいと考えています。業務のデジタル化や効率化が進む中で、これまで通りの作業がなくなる可能性は常にあります。だからこそ、今のうちからパソコンスキルを磨いたり、新しい業務領域に挑戦したりすることで、自分自身を守る「武器」を増やしてほしい。一人ひとりが「明治にとって、なくてはならない存在」として輝き続けられるよう、伴走していきたいと考えています。
知らない不安を、知る力でほどいていく。キラキラとした出会いが待つERGで
私の原動力は、あくまで目の前の人の困りごとをなんとかしたい、というシンプルな感情です。そして、私自身もたくさん助けてもらい、与えられてきました。一緒に働く仲間が少しでも仕事を楽しく感じ、後輩たちが「この会社でずっと働きたい」と思えるような、風通しの良い職場にしたい。その積み重ねの先に、結果として多様性のある職場の実現があるのだと考えています。
毎月の「パッチワーク」の会はワクワクするほど楽しく、個性の違う人たちが集まり、お互いを受容し、認め合っている。こうした「受容の文化」が支社全体、そして全社へと波及していけば、明治はもっと強く、魅力的な会社になると信じています。
障がいというものは、決して自分とは無関係な、遠い世界の話ではありません。私自身も明日、事故に遭い、障がいを抱えることになるかもしれません。それは誰の身にも起こりうること。だからこそ、障がいというラベルで対応するのではなく、まずは相手を一人の人間として知り、関心を持つことから始めてほしいと思います。
「知らないこと」は時に不安や分断を生みますが、「知ること」でその壁が簡単に取り払われることもあります。ほんの少しの知識を持ち、相手の立場に立って想像力を働かせるだけで、世界の見え方はがらりと変わります。知識があれば、声をかける際も躊躇せずに済みます。そうした小さな一歩が、誰にとっても生きやすい社会を作るきっかけになるはずです。
明治という会社もまた、異なる個性を持った一人ひとりがパッチワークのように重なり合い、それぞれの色を活かしながら一つの調和を描いていく、そんな場所でありたい。誰もがイキイキと働ける職場づくりに、私なりの「凸凹」を活かして貢献し続けていきたいと思っています。
少しでも興味を持った方には、まずは「楽しそうだな」という気軽な気持ちで参加してみてほしいですね。「パッチワーク」はもちろん、明治のERGはどれも、安心して自分らしくいられる場です。前向きで、あたたかい、キラキラとした出会いが待っています。そんな輪の中に、ぜひ加わってもらえたら嬉しいです。
※ 記載内容は2025年12月時点のものです

