多様なメンバーと共に、業務とシステムの全体最適を担う
私は今、クライアント企業のシステムと業務を統合し、企業変革を進める仕事をしています。
戦略を描いて終わるのではなく、システムを導入して終わるのでもありません。システム投資の価値を未来にわたって出し続ける仕組みをつくるのがALM(Application Lifecycle Management)という考え方です。システムと業務を調和させ、経営の目的と結びつけ、変化のたびに進化させ続けること。その全体最適を担うのが、私たちの役割です。
現在はクライアント企業で、基幹システムのSAP関連の業務に加え、ITSMプラットフォームのServiceNow導入・展開プロジェクトのPMOとして、全社的なIT基盤を整備する役割を任せていただいています。ServiceNow導入・展開プロジェクトのPMOおよびナレッジマネジメント機能のチームリーダーとして情報システム部門とユーザーのすり合わせなど、システムの垣根を超えて業務を整理・最適化する役回りも担当しています。
入社して少し経ったころのことです。クライアントがSAPを稼働させる初期段階に、英語ができるということで「英文ドキュメントを使って、トレーニングを頼む」と当時の上司に声をかけてもらいました。それが現在のキャリアのきっかけになり、以降は業務の守備範囲が大きく広がってきました。
クライアントには、国籍も多様な協力会社やエル・ティー・エスのメンバーがおり、合わせて50人程度が参画しております。クライアントの事業構造や組織の変化にともなうSAPのマスタロールアウト対応・運用変更・マスタ管理などなど、日々の変化に対応し、経営判断に活かしてもらうために業務設計を行っています。経営方針に基づきERPを継続的に運用・進化させることも大切な仕事です。
以前、クライアントと上海の事業所の視察に行ったことがあります。実際の倉庫などを視察させていただいたことで、それまでシステムの中のコードとしか捉えられていなかった存在を、地に足のついた実体としてイメージすることができるようになり、その後の要件定義から運用設計にも想像力が拡がる余地が生まれました。
システム開発における壁を乗り越え、目的をつなぐ
一般にシステム開発では、フェーズが進むにつれ担当者も視点も変わり、フェーズ間に“壁”が生じがちです。構想段階では理想が語られ、要件定義では制約が現実味を帯び、開発では仕様通りにつくることが優先され、そして運用では日々の対応に追われる。その過程で、最初に掲げた目的が置き去りにされてしまうことも、残念ながら少なくありません。そうした壁を乗り越え、目的をつないでいく存在でありたいと考えています。
システム導入のあるある話として、「何百ページのマニュアルを作ったけど、更新もメンテナンスもされない」「開発当初の不具合が稼働5年後に発覚した。しかし、なぜこんな仕様なのかわからない」ということも起こります。このようなことが起きないように、導入初期段階から「次のフェーズにも持続可能な仕組みを整える」ことがALMの特徴です。
また、SAPのような巨大基幹システムは、数百億円単位の投資になることもあります。にもかかわらず導入後に「本当に価値が出たのか」検証している企業は世の中に多くないのではないでしょうか。障害なく稼働した、ユーザーの不満が少ないという定性的な判断で評価が止まってしまいがちです。
しかし、当初に計画したコスト削減効果や利益向上効果が出たのかまで見ないと、次のサイクルに活かせません。システム導入時には必ず目的があり、何を実現するため、どんな未来を描いて投資したのか、そんな想いを引き継ぎ、運用しながら検証し、次の変革につないでいかなければなりません。
そうした想いを事業として形にしたのが、ALM事業部です。実はエル・ティー・エスにALMという名称や概念はもともと存在していませんでした。自分たちは何を提供しているのかを問い、上司と議論し、役割を再定義した結果「ALM事業部」と名付けました。役割は与えられるものではなく、自ら定義するものなのかもしれません。
そんなALMの原点は、入社時に言われた先輩の一言にありました。
使われて初めて価値が生まれる──原点にある一言
私が入社した時のエル・ティー・エスは従業員60人くらいで、システムなどのマニュアル作成から教育までを担う「チェンジマネジメントのリーディングカンパニー」「実行・展開支援の会社」を自認していました。
採用時の担当者が「仕組みやシステムは使われて初めて価値が生まれるもの。たとえばマニュアル一つとっても、目的や狙いがあって作られたものであって、それが使われないのは嫌だよね」と言ったことに共感しました。システムを導入するだけではなく、きちんと利用されるものにしたい、導入して終わりではなく、使われて初めて価値になる、という価値観に惹かれたのです。また、会社の規模感も私には合っていると感じました。
というのも父はメーカー勤務の転勤族で、小中高の一時期をワルシャワ、バンコクで過ごしました。100人くらいのインターナショナルスクールの規模感が心地よかったと記憶しています。帰国して入学した国際基督教大学(ICU)も外国人教員、留学生が多く多様で、少人数教育が私には合っていました。
ICUでは、中学時代から続けてきた吹奏楽でユーフォニアムを担当し、コンサートミストレスも任せてもらいました。現在もOB・OGの定期演奏会や趣味の集まりで楽しんでいます。ユーフォニアムは中低音域の楽器ですが、楽曲に応じてトランペットのように主旋律を担当することも、チューバのように低音域を担当することも、それらをつなぐ役割を担うこともあります。振り返ると、全体を俯瞰しながら旋律とベースの間をなめらかにつなぐ役割を担ってきたことが、現在のALMサービスにつながっているのかもしれないと思います。
現在、エル・ティー・エスはグループ全体で従業員数1,000人を超える規模へと成長しました。それでも、一過性の成功ではなく、創業以来、大切にしてきたクライアントに寄り添い、継続的に価値を提供し続ける姿勢は変わっていません。そのためには、チーム運営もプライベートも大切です。
企業全体を協調させる中低音。確かな全体最適の実現へ向けて
私自身、子どもが1人います。産後すぐに復職しました。仕事は大切ですが、「仕事のせいで何かを諦めた」という生き方もしたくない、そんなバランスを大切にしたいと考えています。夫とはうまく役割分担ができており家庭を持つ前後でも、生活は大きく変わっていません。休日は小学生の子どもや友人と遊んだり、ホットヨガに通ったりしています。
週半分くらいのリモートワークが可能なことも働きやすさの一つです。チームには国籍もバックグラウンドも異なるメンバーが、仕事、プライベートそれぞれの事情がある中で集まっています。多様な働き方ができ、みんなが力を発揮できる場づくりや環境を整えることも私の大切なミッションです。
また、専門性を育んでいくという点で、今注目しているのはプロセスマイニングです。システムログから業務プロセスを可視化し、理想とのギャップを定量的に測ります。これはIT部門だけではなく、業務部門と一体となったCoE(Center of Excellence)組織を整備することも有用と言われています。これらは言い換えると、「外部依存ではなく、変革能力を企業内部につくる取り組み」であり、このような活動の先にある変化こそが、真のトランスフォーメーションだと考えています。
コンサルタントは一見、華やかな仕事に見えるかもしれません。しかし本質は、企業の未来に長期で伴走する覚悟が必要な仕事です。企業全体を協調させる中低音で、静かに、けれど確かなオーケストレーションを実現する。壁に真正面から向き合い続け、サイクルを回し続ける。その積み重ねが、チェンジマネジメントの経験値や企業変革に不可欠な専門性を育てていきます。
部分最適ではなく、全体最適を追求したい人。
戦略だけでなく、実装後の運用まで見届けたい人。
成果が出るまで、サイクルを回し続けたい人。
そんな志向を持つ方にとって、私たちエル・ティー・エスや、ALMという専門領域でのご支援は大きな挑戦の場になるはずです。
※ 記載内容は2026年2月時点のものです

