筑波大在学中、東京・日本橋でバイトしたわけ
茨城県つくば市に住んでいた学生時代、つくばエクスプレスと地下鉄を乗り継ぎ片道約1時間、東京・日本橋でアルバイトをしていました。「マザーハウス」というショップの店員です。バングラデシュやネパールの麻や革と職人技を生かした商品を展開しています。
女性が起業し、「途上国から世界に通用するブランドを」という理念や、ビジネスを通じた社会貢献に共感し、実際に働いてみたかったのです。
「生まれた国が違うだけで、享受できる権利や生きる環境が大きく変わってしまう」。そんな理不尽を覚えたのは、中学生の頃だったと思います。ニュースで目にした途上国の紛争や貧困問題がきっかけでした。
筑波大学・同大学院で国際開発や政策評価を学び、マダガスカルで母子健康の実態調査にも参加しました。調査地は山あいにある村で、近くの街にある病院まではかなり遠く、子どもの体調が悪化したときや出産のときに、すぐに病院に行けないことがわかりました。現地での経験を通じて、社会課題を「誰かの問題」ではなく、自分自身が向き合うべきテーマとして捉えるようになりました。一方で、調査や研究だけでは社会は変わらないという思いも強くなりました。
「社会課題の解決には、多様なセクターをつなぐ役割が必要ではないだろうか。行政だけでも、企業だけでも、大学だけでも不十分。異なる立場の人たちが協力する必要がある」。そう痛感しました。
そんなことを考えていた修士1年の時、LTSのインターンシップに参加しました。「産官学をつなぐ存在」としてのコンサルタントという仕事が身近になった転機でした。
インターンで見つけた、自分らしいコンサルタント像
インターンシップに参加したとはいえ、まだコンサルタントを志望していたわけではありませんでした。コンサルタントは論理的な人が活躍する世界という印象を、漠然と持っていたからです。
「静岡県におけるデジタルデバイド(情報格差)の解消」がインターンシップのテーマでした。静岡県の職員さんにも入っていただき、グループに分かれてディスカッションし、解決策を検討しました。
ここで自分なりの強みを発見することができました。議論が行き詰まったときや方向性がずれそうなときに、「そもそもの目的は何だったのか」と立ち返る役割を自然と担っていました。課題解決に必要なのは、必ずしも鋭いロジックだけではなく、利害関係者の思いを整理し、目的に向かってチームを前進させる力も重要だと気づいたのです。
また、LTSメンバーの「コンサルティング会社らしくない温かさ」も印象に残っています。将来私が目標としている、LTSの事業とは一見距離がある途上国や貧困問題の解決についても、真剣に話を聞いてくれました。
それまでの自分の経験をコンサルティングという仕事と掛け合わせることで、自分なりのスタイルを生み出せるのではないか、コンサルティングの現場でも自分の特性を活かすことができ、目標にも近づくことができ、また自分らしく成長できると思い、LTSへの入社を決意しました。
自ら選んだ静岡配属。地方だからこそ成長できる
世の中の新入社員の配属では、初任地を「配属ガチャ」と表現することがあります。そういう表現を聞くと、地方配属に不安を覚える方もいるかもしれません。
でも、私は最初から静岡勤務を希望しました。理由は明確です。
LTSの静岡オフィスは、静岡県庁や地元の大学と長年にわたって信頼関係を築いており、産官学連携プロジェクトが活発に行われています。私が実現したかった「セクターをつなぐ仕事」に挑戦するには、最適な場所でした。
実際に入社後は、静岡県庁のDX人材育成研修や自治体向けデジタル活用支援など、多様なプロジェクトに参画しています。
静岡は適度な都会で自然も豊かな、生活の質がとても高い場所です。それ以上に、地方で働くことには魅力とメリットがあります。
第一に、課題解決の機会が豊富であることです。人口減少や人材不足、デジタル活用など、多くの社会課題があります。その分、若手でも重要なテーマに携われる機会が多くあります。
第二に、社会貢献を実感しやすいこと。静岡県庁のDX研修では、県職員の考え方が大きく変化するようすを間近で見てきました。当初は「DXとはデジタルツールの導入」と考えていた方が、「DXの目的は、住民や組織にどんな価値を提供できるか」と考えるようになったのです。また、一人の静岡県民として純粋に役に立てて嬉しいというやりがいも感じます。
静岡から世界へ。自分だけのキャリアをつくる
第三に、個人として成長できることです。地方拠点は少人数だからこそ、一人ひとりが担う役割が大きくなります。LTSという会社の看板だけではなく、自分自身の力で信頼を得る経験ができる環境です。
現在、参画しているお客様の品質保証業務可視化プロジェクトも、その一つです。事業部の再編により品質保証業務が拡大し、誰がどう業務を行っているのか、複雑化したビジネスプロセスの可視化に取り組んでいます。同じ事業部でも立場によって視点や観点は異なります。目的のため組織をどう動かすか、という取り組みは、どんな課題解決にも欠かせない汎用的なスキルに通じます。
入社3年目ですが、ビジネスやコンサルティングの力によって、人や地域の可能性を広げることもできると感じています。マザーハウスでのアルバイトで、社会課題解決へのアプローチは支援活動だけではないと気づきました。現在、経営や会計についての社内の読書会に参加し、業務改善、ビジネスプロセスの可視化といったスキルの習得にも力を入れています。コンサルティングで培ったビジネススキルは、いつか国際協力のフィールドでも役立つと考えています。
地方を拠点にすると、既存の職種やキャリアパスに縛られる必要はないと実感します。いろいろな経験を掛け合わせながら、自分なりのコンサルタント像をつくっていきたい。静岡での産官学連携、企業変革支援、地域課題解決。一つひとつの経験が、将来の挑戦の土台になっています。キャリアは最初から一本の線で決まるものではありません。私自身、国際協力を志していましたが、今は静岡で企業や自治体の変革に向き合っています。目の前の挑戦に本気で取り組むことが、将来の選択肢を広げていくのだと思います。

