ERPプロジェクトは息の長い取り組み
ERPとは会計・人事・製造・販売など業務プロセスを一元管理する、企業の基盤を担うシステムです。ERPプロジェクトは「家づくり」。コンサルタントが担うのは、クライアントの要望を整理しスケジュール通りに最大限実現できるよう、ベンダーやエンジニアら各領域のプロフェッショナルと協働し、ゼロから本稼働までのすべての過程に責任を持ち、プロジェクトを進めることです。
日常生活で「家」の存在を意識することは、意外と少ないと思います。しかし、雨漏りや電気・水道のトラブルが起きたら…。ERPも同じです。安定して稼働することが当たり前ですから普段、意識することはあまりありません。しかし、ひとたびトラブルが起きたら、企業活動に深刻なダメージを及ぼします。
いま大手卸売業のERP刷新のプロジェクトマネージャーを務めています。クライアントの責任者さんが非常に計画的で先見性のある方で、プロジェクトはスムーズに進んでいます。構想策定までスケジュール通りに完了し、達成感も得られています。ただし、ここまでに1年半ほどかかっています。ERPプロジェクトは非常に息が長い取り組みで、本稼働までさらに数年ほどかかる見込みです。
最も気を遣うのは、チームワークです。プロジェクトには多くの会社からメンバーが集まり、立場や所属が異なれば、意識や目的も異なることです。そんなメンバーたちをまとめてゴールを目指すことが、やりがいでもあります。個人でできることには限りがあります。後述しますが、私はERPベンダーから転身しました。当時から変わらず、プロジェクトの成否は「人に気持ちよく動いてもらう」「各メンバーに力を発揮してもらう」ことにあると考えています。
「LTSはこんなにクライアントに信頼されている」
大学を卒業後、大手SIerに入社し中堅・中小企業向けERPやBtoBマーケティングの仕組み作り、ERPマーケットの調査・アライアンスを担当しました。その後、もう1社のERPパッケージのベンダーで中堅〜大手企業向けにインサイドセールスの立上げ、営業支援ツールの更改なども担当しました。営業やマーケティングを含め、キャリアのほぼすべてがERP関連です。
前職、ERPパッケージのベンダー時代にLTSと縁ができました。LTSがコンサルティングで参画していた太陽石油さんのプロジェクトに、ベンダーサイドとして私が加わったのです。
若いLTSのメンバーが、クライアントの年長の責任者に忌憚なく意見する姿を見て、「LTSはこんなにクライアントに信頼されているんだ」と驚きました。
LTSのERP領域での知見、利他的な行動指針やクライアントから厚い信頼を得ている姿、クライアントと密にコミュニケーションを取り深いニーズにまで切り込む姿―プロジェクトでの日々が思い浮かびました。「クライアントに自分の力を100%還元できる企業はLTSだ」「困っているクライアントに伴走し寄り添うことにはやはり、やりがいがある」と思い至りました。
ERP導入の失敗とレガシーシステムの問題
経済誌などで報じられているよう、ERP刷新・更新にはトラブルが多いのも事実です。私はその原因は、「合意形成の失敗」に集約されると考えています。例えば、20年以上継続して利用されてきた基幹システムのリプレースなどが話題になります。現実的に、ブラックボックス化したシステムをそのまま再現する「現行踏襲」は非常に難しいのです。コードは読めても、数十年前に構築され改修を重ねたコードの背後にある意図までを理解することは不可能です。やりたいこと、できること、できないことは明確にしなければなりません。
予算の制約もあるでしょう。ですから、業務プロセスや目的を整理し、どこまでできるのか、何を諦めるか、合意形成がなければ、トラブルや不満、コスト増が起きてしまいます。家づくりでも、家族全員が納得するものは難しいですよね。予算とスケジュール、要望を整理し、みんなが納得できる最大公約数のものを作らなければなりません。
また、DXプロジェクトでしばしばあるよう、システムを入れ替えることが目的になってしまうこともあります。ERPはあくまでも道具であり、どんなものをどんな目的でどう使うか、「社内外の利害関係者の間で合意形成していくこと」が本質です。家づくりも建築が目的ではないですよね。家は手段であって、目的は家族が安心して住める場をつくることなのですから。
最近のトレンドである「Fit to Standard(標準機能に合わせる)」も、あくまで「手段」であって「目的」ではありません。重要なのは「合意形成ができるシステムを作ること」であり、そこを見失わないようにコントロールすることがプロジェクトマネージャーの役割だと常に意識しています。
いまこそ、ERPコンサルタントの手腕が問われる
「2025年の崖」が指摘されて久しいですね。
実際問題、これは一筋縄で解決できる問題ではありません。しかし、老朽化しブラックボックスとなった「負のレガシー」は時がたつほど、さらに手が付けられなくなります。ビジネスの土台を支えるインフラが「なぜ動いているかわからない」「どんな意図で処理されているのかわからない」状態で運用されるのは、非常に危険なことです。
だから、いまこそ、ERPコンサルタントの手腕が問われます。
ERPコンサルに向いているのは、「お客さんのために最後まで寄り添いたい」という強い気持ちがある人です。私自身、長くERPに関わってきました。SE出身や営業出身といったバックグラウンドではなく、クライアントに向かい合う気持ちを持った方と一緒に仕事をしたいと考えています。
また、ERPの世界は非常に広く深く、20年関わっても知らないことが多く「飽くなき興味」を持ち続けられるかどうかも重要です。
私自身、この仕事は非常に難しい仕事だと感じています。企業にとっても何度もない「ライフイベント」ですから責任も重大です。ERPプロジェクトではいまだ手法が確立されていないので想定外の事態も頻発します。反面、探求心を持って一つの答えを導き出すということは、ERPならではのおもしろさです。
ERPには業務変革、チェンジマネジメントといった考え方も欠かせません。コンサルタントとしてのスキル・知識の幅も問われます。大きな変化には不安が付き物ですから、現場で働く方々の感情的な部分も含めて寄り添い、ERPの導入を企業における前向きな取り組みへと導けるようなコンサルタントでありたい。
こんな想いに共感してくれる方。目の前にあるクライアントの課題解決に取り組み、ひいては「2025年の崖」という大きな社会課題の解決にも資する―そんな意欲を持った方とともに働きたいですね。

