お客様の要望からの試作品をフィードバックにより修正し新製品につなげていく
銅箔製造とは文字通り、アルミホイルのように銅を非常に薄くのばして箔状にしたもの(銅箔)を作ることです。とくに銅箔は単体ではなく、樹脂など別の材料と貼り合わせて使われる素材です。そのため、貼り合わせる材料との接着力を上げるために銅箔表面に凹凸をつける表面処理を行っており、古村が所属している銅箔製造部は、表面処理を担っている部署です。
「私は銅箔製造部の中の製品開発課に所属し、主に新しい表面処理の開発に携わっています。とくに、現在は通信技術の発達によりスマートフォンの中身に使われている銅箔にも新たな性能が求められるため、次世代機器のトレンド情報なども意識して情報収集をしています」
新しい製品の開発とともに顧客への技術営業も重要な業務です。マーケットを熟知している営業と一緒に顧客を回り、先方のエンジニアからの質問に応答するなど、技術的な観点からのサポートを担っています。
「売り込みに行った際にお客様から購入したいなどの要望をいただいた後、実際にモノを形にする製造課にバトンタッチします。私たち製品開発課は、新製品の種を作って、サンプルをお客様に提案し採用につながった場合に、量産化に進めるところまで面倒を見るのが役目です。最終的に工場の方でオペレーションが始まったところで、初めて手が離れるといったイメージですね」
もちろん、すべて採用に至るわけではありません。しかし、試作品に対して修正の要望を聞いて手直しをするようなキャッチボールを続けていくことが大切だと古村は言います。
「お客様からのフィードバックは、私たちにとって非常に有益な情報の宝庫です。われわれが改善点のヒントを見つけ出すことが、開発の推進力になりますから。
また、銅箔は材料ですので、ある温度で酸化変色しないかなど基本的な質問も少なくありません。実際にJX金属の製品と組み合わせた場合の不具合などでは、品質保証課が対応することもありますが、開発段階での不具合は製品開発課のサポート対象。コロナ禍によりオンラインでのミーティングが続いていましたが、最近では実際にお客様先に出張して対話する機会も増えました」
古村が業務の中で大切にしているのは、密なコミュニケーションです。たとえば、製造にサンプル作成を依頼する際、指示するだけでなく、最近の稼働状況などを含めてコミュニケーションを進めることで、仕事が円滑に進むと実感しています。
「とくに、重要な指示の部分などは、回りくどい言い方ではなく、はっきり明確に伝えることが大切です。これはお客様に対しても同様だと思っています。相手の話をしっかりと聞いた上で、わからないことは素直に質問することも、スムーズに仕事を進める上では大切ですね」
化学の本質的な知識を土台にコミュニケーションがとれる仕事をめざして
地球惑星科学専攻という地学系の学科で学んでいた古村は、研究開発などラボの仕事に近い会社を就職先として希望していました。また、実際の製品について技術や知識をベースにして会話ができるメーカーも就職先を選ぶ一つの軸だったと振り返ります。
「JX金属のホームページに記載されていた、『技術本位のコミュニケーション』という言葉が非常に魅力的でした。また、素材というのはメーカーの中でも一番川上にあたるところにも惹かれたのです。
たとえば、家電メーカーなら、洗濯機のような完成品についての会話になりますが、素材であれば化学的な構造などもう少しサイエンス寄りの話ができると考えました」
勉強してきた化学の知識が活かせるだけでなく、より本質に近い仕事ができると期待したと言う古村。入社後は現在と同じ製品開発部へ配属。ただし、入社前は研究室にこもって仕事をするイメージだったので、製造現場やお客様のところに行って頻繁にコミュニケーションをとる業務は予想外だったと言います。
「実験室で完結するような基礎研究ではなく、製品と紐づいた開発なので、製造現場の人とコミュニケーションを取らなければ何も進みません。最初は彼ら、彼女らの仕事内容やスタンスがわかっていなくて、苦労することがありました。
信頼関係がない状態で何かを依頼しても、うまく受けてもらえないときもあり、まずは対等なコミュニケーションがとれるように意識していましたね」
そこで、実際に製造現場に行って対面で話すことを重ねることで信頼関係を構築し、仕事を進めやすくしていったと振り返ります。
「2022年からは、市場開発部も兼務しています。こちらは本社で顧客対応として技術営業をメインで行っている部署です。兼務になって業務が大きく変わったわけではありませんが、仕事を続ける中で、顧客対応がメインのミッションとして方向づけられてきたのではないかと考えて行動しています」
入社すぐの海外出張でプレゼンテーションを担い、英語での対話に自信が生まれた
古村が驚いたのは、入社した年の8月に台湾への出張があり、顧客へのプレゼンテーションという大役を早々に任されたことでした。
「先輩から引き継いだ試作品についての評価結果を伝えるというミーティングでした。出張に行くから資料を作ってほしいと依頼され、その後でさらに『プレゼンテーションもお願いしたい』と任されまして。
もともと英語を活用して仕事をしたいという希望はあったものの、こんなに早く重要な役割を任せてもらえるのか、という驚きが大きかったですね。
お客様はJX金属と信頼関係があり、フランクに話せる方だったので、プレゼンテーションの後は技術的な細かい点まで忌憚なく意見を交わせたのが印象的でした。直接お客様と英語でコミュニケーションがとれたことをまわりに『すごいね』と評価してもらえたのも、自信につながったと思います」
コロナ禍ではWebミーティングに切り替わっていましたが、最近は海外への出張も徐々に増えてきています。
「最近出張で行ったのは台湾と中国ですね。直接プレゼンテーションをして、好意的なリアクションをもらい、この製品を使いたいと言ってもらえることが、仕事の一番のモチベーションです。
たとえそう言ってもらえなくても、プレゼンテーションをしていると業務の最前線に立っている感覚が持てます。自分で面倒を見た製品をしっかり最後まで売り込めることも、仕事の醍醐味だと感じますね」
将来を見据えた製品開発を──JX金属の未来につなげていくために
製品開発課の仕事の中でもっとも大切なのは、お客様とのコミュニケーションを重ねて、技術営業の経験を積むことだと古村は振り返ります。
「お客様のスタイルや仕事の進め方を含めて、コミュニケーションの取り方を勉強していかなければなりません。一方で、エンジニアとしての専門性が高められなければ口先だけになってしまうので、自分の場合なら次世代機器の開発案件なら社内で一番詳しくならなければという想いはあります」
お客様とのコミュニケーションが重要な任務となる今の仕事は、自分にはまったく苦ではなく、むしろ向いていたかもしれないと語る古村。もちろん全員が全員、お客様の前で話すことが必要なのではなく、実験室でデータを取りながら技術を追い求めている人がいるからこそ、お客様の前で語れる内容があるのだと語気を強めます。
「今後は、さらに出張でいろいろな国のいろいろなお客様とお話して、考えの違いを感じ取りながら、さまざまな知見を積んでいきたいですね。また、現在は一つ下の後輩が自分のチームに入るので、育成とまではいきませんが、適した仕事の任せ方などを考えながら業務を進めていければと考えています」
次世代通信のための素材など将来を見据えた製品開発は、JX金属の未来につながっていく業務です。それは良い意味でのプレッシャーだと古村は捉えています。
「広げる風呂敷は大きいですが、決して絵空事ではありません。目先の新しい製品を着実に作りだすことができれば、おのずと未来が見えてくるのだと信じています」
技術革新に合わせた素材の探求は途切れることがありません。古村をはじめ製品開発課のメンバーは、今後も将来の新製品開発に真摯に向き合い続けます。
※ 記載内容は2024年3月時点のものです
