総務の仕事には、“効率化”と“新規取り組み”の大きく2つの面が求められる
JX金属の総務部の役割とは何なのか。福躍はそれを大きく2つに切り分け、明解に説明します。
福躍:総務の仕事には、より働きやすさを求める効率化と、これまで会社が実現できていなかったことを開拓していく新規取り組みの2つの面があります。そして、この両面の仕事を同時に回していくことで、従業員がいきいきと働ける環境を構築していくことがミッションだと思っています。
効率化の部分では、オフィス環境や働き方、社内のさまざまなものの運用をより良いものにするために改善を図ります。一方、新規取り組みについては、新しいITCツールの導入であるとか、障がい者が末永く働ける環境作り、社員の健康増進などへの取り組みが挙げられます。
その中で、福躍は新規取り組みに関わる業務を主に担当しています。
福躍:今、力を入れているのは、健康経営に関する部分です。製造業である当社は、まずは「安全が第一」という考え方が浸透しています。一方で、「健康増進」についてはあまり注目されることがありませんでした。 そこで、2020年のオフィス移転を機に、本社内に健康相談室を独自に設置し、産業医と保健師を採用しました。
また、健康相談室をしっかり活用してもらうために、健康相談室のファンづくりの一貫として、セミナーやイベントを開催したり、保健師が定期的に健康をテーマにした社内発信をしています。
その結果、健康相談室に相談に訪れる人が増加。とくに、健康診断直後などは、コレステロール値などで思わしくない結果があると早々に相談してくれるなど、社員の健康に関する意識は確実に高まっているようです。今後はこの試みを、各工場に広げていけるよう調整を進めています。
一方、総務の仕事の効率性の部分を担っているのが湯元です。
湯元:メインの仕事は2つあります。1つめは、オフィス環境の整備を通して社員の働き方をサポートすることです。たとえば、業務上外部委託できるものと社内で実施するものをしっかりと見極め、社員が作業だけでなく、考える仕事に注力できる環境作りをしています。
総務部でいうと、従来は総務に直接問い合わせや依頼が来ていた業務(オフィスに関する問い合わせ)や複数の部署で共通している業務(人事異動時の受入等)は、コンシュルジュカウンターという外部委託の窓口で対応しています。これにより複数部署にまたがる業務を統一するとともに、対応内容についても均一化を図ることができました。
2つめは、2020年6月の本社移転以来、本社で取り組んできた全体最適の考え方を他の拠点にも広げていくことです。複数の拠点で同じ業務を実施することが多いため、全社で統一化することにより効率化を図ろうというものです。一方で、本社でやって来たことをそのまま工場で取り入れることは難しいので、工場ごとの特性を捉えどのように設計するのがベストなのか、拠点の意見を聞きながら取り組みを始めています。
また近年、総務が中心となり取り組んだ仕事で、社内外で大きな反響を呼んだ「出社したくなるオフィス」というプロジェクト。これは組織の活性化や高付加価値人材の育成を目的に実施したもので、移転後の本社オフィスでさまざまなアイディアが具現化されています。このプロジェクトに2人とも参加しています。
湯元:新本社オフィスでは、情報共有や課題解決の迅速を促すため、固定席を廃止しグループアドレス制を採用しています。また、人と人をつなぐ仕組みとして、先ほどお話した多機能のコンシェルジュカウンターや社内カフェ、多種多様なお弁当の販売、無料のコーヒーサーバー、ちょい飲み制度(後述)などいろいろな施策を導入しました。
ただ、これらを一度導入してしまえば完了というわけではなく、少しずつ現場に合わせて変えていく、改良していくことも大事だと思います。コロナ禍以前に比べWebベースの仕事も増えているので個室ブースを増設したり、リラックス効果が高まるようグリーンやBGMの種類を変更したりしています。
カフェでランチの弁当を販売しているときは、担当者は近隣の飲食店とコラボしたメニューを揃えるなど、内容にバラエティをもたせるように工夫しています。そんな積み重ねで、出社したら何かしら楽しいことがある、刺激になることがある、だから会社へ集まって話をしようね、といった空気作りをずっと続けています。
JX金属の総務ならではの“攻めの姿勢”に、新たな時代の総務の仕事を実感
一般に想像される総務の仕事とは異なり、JX金属の総務部は“攻めの姿勢”で業務に当たっていると語る2人。その特徴をひときわ実感しているのが、他社から2018年5月に中途採用で入社した湯元です。前職で、総務・秘書・人事・法務といったスタッフ職を経験してきたからこそ感じるものがあると言います。
湯元:総務部というと、他の部署が担わない事務周りの仕事すべてを担うという感じで、少人数で振られた仕事を必死こなす……そんなイメージがあります。ところが、当社ではそんな場合もネガティブに受け止めるのではなく、最先端の技術を取り入れれば人手もかからずに効率的にできるのではないか、などとポジティブに提案していきます。仕事に対する考え方から違うと感じますね。
これには、新卒採用で入社した福躍も同意します。
福躍:「いろんなことをとりあえずやってみよう」「新しいITCツールがでてきたら導入してみては」といった雰囲気があります。他社から当社のオフィス見学をしたいと相談があれば、積極的に受入れ、意見交換を実施しますし、逆に他社で行っている先進的な取り組みがあれば、すぐに見学させてもらい、参考するとか、積極果敢です。
そんな姿勢を象徴するのが、「出社したくなるオフィス」作りで導入したちょい飲み制度です。15時から21時まで2人以上、勤務終了後であれば社内でアルコールを含めた飲料が飲み放題というシステムです。冷蔵庫にはいろいろな種類の飲料が詰まっていて、「好きなものを飲みながら部署を越えていろんな人たちとコミュニケーションを図ってください」と伝えています。
これは経営層からコミュニケーション向上の施策として実施してはどうかという指示が始まりとなり、総務で意見を出し合いながら実現に至りました。
湯元:以前の会社に比べ、圧倒的な風通しの良さを感じますね。若手の積極的な意見を汲んで、「君がリーダーになって進めてみてほしい」と任せることも。仕事も毎年同じことを繰り返すのでなく、年が変わるたびに新しいことをやっている印象です。
これまでやってきたことでもそのまま同じようにするのでなく、より効率化をはかり、不要な部分はどんどん削って作業化していく。そんなスピード感も当社ならではだと思います。
福躍:他社と比べて仕事の範囲が広いと思いますね。たとえば新工場の稼働に向けて人事部が採用活動で多忙となれば、手が回らない部分を総務でお手伝いしますよ、協力してやりましょうとなる。そんな他部署との連携もよくあります。
このように、独自のスタンスで動く総務部において、2人が仕事を進める上で意識していることとは。
湯元:私の中のキーワードはシンプル。個々の仕事をする目的や理由を、誰が見ても理解できるものにしたいと心がけています。働き方やオフィス環境はどんどん変化していきますので、どんな状況やメンバーになっても対応できる仕組みにするにはシンプルさやわかりやすさが大事だと思います。
福躍:総務は他の部署と比べても、いろんな部署、人との関わりが多いと思うので、一番大事にしていることはとにかくコミュニケーションをとること。せっかく出社しているのだから、なるべく対面で話をして、コミュニケーションを取ったほうが仕事も早く済むし、新しいアイディアも生まれてくると思います。そういった意味でコミュニケーションは積極的に取るように心がけています。
メールのやり取りだと行き違いがあって違う方向に話が進んだりとか、トラブルが起こったりすることも多々あります。ちょっと直接話をすれば速攻で解決することも結構あると思っています。そういった無駄な時間をなるべく減らすために、出社するときは直接話すようにしています。
若手スタッフも臆せず意見が言える自由闊達な雰囲気が仕事に独創性を生む
今ではJX金属の総務部で活躍する湯元ですが、2018年5月に素材メーカーから中途入社してきました。これまでの経緯をこう語ります。
湯元:バックオフィスのさまざまな部署を3年スパンぐらいで回ってちょうど30代にさしかかり、自分の今後のキャリアを再考したときに、自分が一番やりたいのは総務なのかなと。しかも、同じことの繰り返しでなく、時代に合わせて新しいことに取り組んでいける総務をめざそうと思っていました。
JX金属に出会い、入社面接に臨んだ湯元。その時点ですでに、他社の総務との違いを感じたと言います。
湯元:面談では、自分の希望とあっているなと感じました。面接官から「同じことを繰り返すのでなく、効率的にいろいろなことに挑戦していきたいと思っているんだよね」とすごく夢を持って話してもらったのがとても印象的でした。
いろいろな会社の総務部門の方とお話してきましたが、基本的には定められた業務範囲をしっかりと実施するという印象が強く、同じ総務部門でも全然発想が違うなと思いました。
一方、2015年に新卒でJX金属に入社した福躍。就活時期にJX金属が所有するチリの銅鉱山の新聞記事を見て、そのスケールの大きさに感銘を受け、入社を志望したと言います。
福躍:入社当時は人とのコミュニケーションを重要視される営業を志望したのですが、結果総務へ配属されました。ただ、今では、総務も社内の営業みたいなものだと感じています。入社当初は、仕事も何もわからなかったので、とにかくコミュニケーションを積極的に取ること、笑顔でいることを心がけ、周囲の皆さんから教えてもらえるように意識していました。
持ち前のコミュニケーション能力を生かし、総務部の中で関係性を築いていった福躍。湯元と共に社員との輪を社内にどんどん広げていきました。そんな2人はお互いについてこう評します。
湯元:福躍さんは本当に社内営業のプロだなと。いつもニコニコしていて、いろんなところで仕事を生み出し、それをメンバーに差配してという印象があります。
福躍:湯元さんは計画を作り、いろいろ積み重ねて、素早く物事を進めていく。タイプとしては真逆かもしれませんね。僕は何か新しいことをやるとき、深いことは考えず、「とりあえずできることからがむしゃらに進めてみよう」と思っており、一緒にやる人は大変だと思います(笑)。
湯元:私は事前に考えをまとめないと動けないタイプ。営業ベタな部分も結構ありますので、直感的な判断は避けたいと思っているんですよね。そこは2人の違いかなと思います。
このように、互いの得手不得手を認識し、必要とあれば互いに手を貸し合う2人。しかし、これは単に2人の関係にとどまらず、総勢約20名からなる総務部全体で行われていることだと言います。
湯元:さまざまなプロジェクトが動いていますが、そういった人員の組み方なども上司の方が非常に配慮してくれています。一人ひとりの性格を捉えつつ、プロジェクトによってはこの人と組んで、別のプロジェクトは違う人と組んでみたいなことが結構多いので。さすがだなと思っていますね。
私が悩んで仕事が止まると、考え過ぎずにどんどん先に進めと背中を押してくれたり、逆にあの子困っているからちょっと助けてあげて、得意分野だと思うからちょっとフォローしてあげてみたいな指示をいただいたり、うまく相乗効果を生んでいると思います。
こうした職場の雰囲気もあって、若手も自分の意見を臆せずに言える自由闊達な職場だと話します。
湯元:若手もドンドン意見言ってくれます。私が前の会社で若手だったころには、発言機会はあまりありませんでしたので良い環境かと思います。何かとりあえず発言する人、静かだけども実はいろいろ考えていたり、総務全般で見ると個性豊かです。
福躍:何かを決める、何かを始める、何か意見出しをするときは、みんなで集まって取り組むことが多いですね。他の部署だと一旦担当の何人かで集まって意見出しして、上にあげようという流れになると思うのですが、いやもうみんな集まって話した方が早いから集まろう、みたいな感じですね。
総務の仕事はいつもスタートから。得意分野や専門知識よりも前向きさが重要
今までの経験から、総務に向いている人物像と一緒に総務の仕事をしたい人のタイプに関して2人はこう話します。
福躍:いろんなことやっているので、何事にも前向きにやる人ですね。せっかく他社と比べいろんなことやっている総務部なので、仕事に対してやりがいを持って、自ら進んで動ける人がいいですね。
湯元:得意分野や専門知識があるに越したことはないのですが、大事なことはそこだけじゃないと思います。やる気があって興味がある人であれば別に知識がなくても大丈夫です。むしろ総務ではいろんなことをゼロからスタートすることが多いので、みなスタートラインは一緒です。
そこからどれだけ興味を持って調べていくか、学んでいけるか。そんな意欲のある人であれば、どんな人でもウェルカムです。
最後に2人が思い描く、今後のJX金属の総務の仕事の方向性について語りました。
福躍:今後は、JX金属グループの全体最適を求めて、不効率な業務の見直しを図ったり、これまで外部に出していた業務を内製化してくような仕組み作りも、上場に向けて進めていく必要があります。具体的に現在力を入れて取り組んでいるのは、障がい者や高齢者、育児等により勤務に制限のある方といった多様な人材が活躍できる体制構築、業務設計を進めています。
そして、総務はみんなから気軽に相談される、声をかけてもらえるような存在になることが重要だと思っています。そのためには仕事を選ばず、若いうちならなおさらがむしゃらにやることが必要だなと思う一方で、本当にその業務は必要なのか、もっと効率的にできるのではないか、といったところを考えて、提案していきたいなと思っています。
湯元:今総務でできている新しい発想や効率化を全社の共通認識として展開していきたいです。業務が人についてしまい誰も意見を言えない、特定の人の残業時間が多いといった部署もまだまだある状況ですので、すぐには受け入れられるものではないと思いますが、一人ひとりが意識をもって取り組めるような環境を作っていくことが大事かと思います。
当然、今までのやり方をすべて撤廃するのではなく、いい方向にみんなで変わっていきたいと思います。
すべての従業員が生き生きと働ける職場づくりをめざして、仕事に境界を定めずさまざまなことにチャレンジする湯元と福躍。JX金属総務部はこれからも独自の進化を遂げ、変わり続けていくことでしょう。
※ 記載内容は2024年3月時点のものです
