組織変化にともなう課題を解決しながら、2社の経理業務を兼務
金属・リサイクル事業部管理部に所属する鈴木は、JX金属100%子会社のJX金属製錬株式会社(以下、JX製錬)と、JX金属と三井金属鉱業株式会社の合弁会社(※)であるパンパシフィック・カッパー株式会社(以下、PPC)の2社の経理業務を兼務しています。現在、業務の9割ほどがJX製錬関連、残りがPPC関連の業務です。
「両社とも、予算の策定や決算業務などの一般的な経理業務のほかに、収支管理のために予算と実績の比較や見通しとの比較などを本社の立場から行うことが主な業務です。
金属・リサイクル事業部は、ベース事業である製錬事業を担う部署であり、その中で、事業や会社別に各経理担当が細かく割り当てられています」
メインで担当しているJX製錬は、2020年度に事業を開始した比較的新しい会社ですが、その主要事業所である佐賀関製錬所の操業開始は1916年と、100年以上の歴史を誇ります。PPCより事業分割を受け、JX金属の製錬子会社、JX製錬となりました。
その後、2022年度にJX金属の日立地区にある製造部門とJX金属環境株式会社の一部門の事業分割を受けるなど、JX製錬の組織形態は変化を遂げてきました。事業内容としては、電気銅やその他銅製錬副産物の製造・販売及びその受委託、加えてリサイクル原料の前処理を行っています。
「経理業務に関しても、組織の変化にともない、前年度の計算が適切かどうかなどを見直す必要があります。まだ進め方が定まっていないものもあり、一つひとつ問題提起をしながら進めています」
一方でPPCは、原料調達から製錬・加工委託、製品販売までを担う、銅を主体とする非鉄金属素材の供給事業者です。
「PPCのルーティン業務は、現在は引き継ぎを終えほぼないのですが、佐賀関製錬所での経験や、本社でJX製錬とPPCの両方を見る立場にあることから、引き続き問い合わせ窓口としての役割を担っています。
一つの会社だけ見るのではなく、JX金属グループとして最善のルートを見つけることができるよう総合的に考える必要があるため、判断材料となる情報を収集し、迅速に提供できるよう努めています」
本社異動後はPPCの一部門を経理として担当していましたが、1年ほど前にJX製錬も兼務。業務が大きく広がることから、はじめはかなり戸惑ったと鈴木は打ち明けます。
「正直なところ『大変だな』と思いましたが、実際にやってみると会社間のつながりがより明確になり、1つの側面からだけではなく、多面的に見ることができるようになってきました。
単に情報提供だけでなく、提案までできるようになりたいと考えています。また、当社は銅製錬におけるリサイクル原料比率を上げる取り組みを行っているので、リサイクル周りの経理知識も広げていきたいと思っています」
※ 2023年12月、当社が保有するPPC株式の20%を丸紅株式会社に譲渡することについて合意成立。これによりPPCが連結子会社から持分法適用会社となる見込み
JX金属の中核となる佐賀関製錬所への配属から、経理の業務をスタート
新卒でJX金属に入社後、鈴木の最初の配属先となったのが佐賀関製錬所の総務部経理課でした。新卒で入社した後、経理の場合、最初の配属は茨城県の日立事業所、磯原工場、神奈川県の倉見工場、または佐賀関製錬所のいずれかの勤務となるのが一般的です。
「佐賀関製錬所はJX金属の中核となる場所です。国内最大の粗銅生産能力を誇り、私たち金属・リサイクル事業の中心となっています。今考えると、最初の配属が佐賀関製錬所だったことは幸運でした。どこでも積極的に貢献したいという姿勢で配属面談に臨んだことが、配属につながったのだと思います」
配属から4年間の佐賀関製錬所での経験は、今の業務を進めていくための基盤になっていると鈴木は振り返ります。
「やはり当社はメーカーですので、自分たちが取り扱う製品の製造プロセスや物の流れを知っている方が、経理の仕事は断然進めやすいです。
たとえば、ある原料の限界利益の問い合わせが来た場合、それが製造の上工程から関与しているのか、または途中からなのかを把握しているかどうかは、数字の正確性に大きく影響する場合があります。佐賀関製錬所のフローを見ていたからこそ原料の流れが想像しやすく、試算する際も、どの工程を加味すればよいのかが、イメージできるようになりました」
佐賀関製錬所から本社に異動してすでに3年以上が経ち、現場の状況も日々変わってきています。そのため、鈴木は今でも佐賀関の経理部門に積極的に問い合わせをして、常に最新の情報を入手するように努めています。
「佐賀関製錬所では、役職に関わらず社員同士の距離感が近いのが特徴です。若手社員でも、自部署以外の課長・部長クラスの社員とコミュニケーションをとりながら仕事を進めますし、製錬所のトップである所長と会話をすることもしばしば。そこで物怖じをしない姿勢が身についたと実感しています。
本社に異動してからは、さまざまな人から問い合わせを受けるようになりました。役員など経営層から質問をもらうことも少なくありません。しかし、佐賀関製錬所での経験があるおかげで適切に対処していけるのだと思っています」
新しい業務へ対応する秘策は、お互いに質問しやすい環境を作るための信頼関係の構築
JX金属の経理担当は、入社後に3~4年間は現場での経験を積み、その後本社へ異動となるのが通例です。そのため、鈴木も佐賀関製錬所で勤務していたころから、次のステップとして、金属・リサイクル事業部で経験を積みたいと希望を出していました。
「佐賀関製錬所での仕事が、本社の業務にどのようにつながっているのかという延長線上を見たいと考えていました。その希望がかなって本社へ異動となりましたが、最初のころはかなり苦戦し、心が折れそうになることも正直ありました」
佐賀関製錬所では、物量の受払やコスト管理が業務の中心でした。一方本社に異動してからは、原料の買鉱条件や製品の販売条件、相場影響を回避する方法などの知識が求められました。異動当初はそのような知識がまったくなく、理解するのに時間がかかったと鈴木は振り返ります。
「最終的な損益計算書や貸借対照表の作成プロセスというのを、恥ずかしながら佐賀関製錬所にいたころはあまり気にかけることができておらず、本社に異動した時はすベてが新しくて困惑しました。
また、ちょうど新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が発令された時期での異動だったこともあり、対面でのコミュニケーションも通常通り行えない中、誰が担当でどのように聞けばいいのかもわからない状況でした。これまで自分の仕事以外に目を向けてこなかったことに気づかされ、新しい視点になじむのに苦労しました」
そんな状況を乗り越えるために、2つのことに意識を向けていたと鈴木は語ります。1つは、どんなこともためらわずに質問することと、質問するための関係性の構築です。
「他部署から問い合わせがあったときに、自分のベストを尽くして対応する。それを積み重ねていくことで、逆に私が困ったときは、関係部署に問い合わせしやすい関係性を築くことができました。もし自分の専門分野から外れた問い合わせだったとしても、わからないと断るのではなく、できる限りの回答を提供するように意識しています。
以前は、自分の仕事範囲を勝手に決め込んで、担当外のことには距離を置きがちでした。しかし、問い合わせに対応するために調べたことは必ず後で自身の役に立ちます。
それを理解してからは、わからないことでも周囲の人に尋ねたり調べたりした結果を集約してから回答するように心がけてきました。そのような姿勢を取ると、逆に自分が質問する立場になったときに、相手も同じように協力的に応じてくれると感じています」
もう1つは、自己学習です。鈴木の周りは年次が上の社員ほどそれぞれが主体的に学習しており、それに驚いたと言います。
「年次が上がるにつれ、わからないことをすぐ聞くのではなく、自分自身で学習し、基礎を築いてから質問することの重要性を実感しました。それ以来、専門書というほど難しいものではなくても、特定の分野に焦点を当てた本を読んで、知識をアップデートするように心がけています」
単に数字を集めるだけではなく、経験と知識を加えて的確な経営判断へ結び付けたい
さまざまな数字を扱うことで、会社の経営を肌で感じることができるところが、経理のやりがいだと鈴木は感じています。
「はじめは数字を集めるだけで、それをどのように活用すれば良いのかわかりませんでした。しかし、私たちが扱う数字が最終的に経営判断につながることを感じることができてからは、やりがいと同時に、その責任感も再確認しています。
経理部門の仕事は、ものを製造する現場スタッフや、お客様に製品を販売する営業のような直接的な業務ではありません。皆さんが作り上げた数字を適切に評価するという目に見えにくい業務ですが、それがあって初めて会社が動くというところがやりがいにつながる仕事です」
日々の業務では、問い合わせに対してスパッと答えを出せると気持ちが良いという鈴木。それには、佐賀関製錬所での勤務を含めたこれまでの経験がつながっているように感じています。
「入社当初は経理を志望していたわけではなかったため、少し前までは別の部署も経験してみたいと思うこともありました。しかし今は、この先も経理をやっていきたいと考えています。
私が現在身につけている経理の知識は、この会社特有の要素が多く、他の会社と比べて特殊な側面もあるかもしれません。ですから、現在の知識に加えて、一般的な経理の知識を深めることで、より強い経理担当者になることができると考えています。
先輩社員の中に『製錬事業の経理のことならこの人に聞けば間違いない』という方がおり、そのように周りから頼りにされている存在に憧れます。『鈴木に聞けば、なんらかの答えを出してくれる』と期待してもらえるように、今後も努力し続けていきます」
佐賀関製錬所での経験を基盤に、本社に異動して経理担当として着実に成長してきた鈴木。今は、かつて見たいと思っていた延長線上の、さらにその先を見据えて邁進しています。
※ 記載内容は2023年6月時点のものです
