社会インフラの安全に役立つシステムを開発。技術の将来性、可能性を感じて
社会・公共ソリューション事業部社会システム本部に所属する松田は、現在、高速道路設備の故障予兆を検知するデータ解析基盤システムの開発に取り組んでいます。
「日本の高速道路は、高度経済成長期に整備されたものが多く、老朽化が進んでいます。道路の点検業務には多大な労力がかかるうえ、人財不足も懸念されています。そこで故障を未然に防ぐため、AI技術を活用した設備の状態監視に取り組んでいます。
具体的には、センサーで収集した高速道路設備の稼働データを分析。故障前には正常時のデータと大きく異なる値が出ることがあり、このような異常値を予兆として検知し、異常値が多く見られるところは、次の保守点検計画に優先的に組み込むことを想定しています」
このシステムを導入すれば、「保守に関わる負担を大幅に軽減できる」と松田は力強く語ります。
「技術が確立すれば、将来的には高速道路以外のインフラ設備への応用も期待でき、社会インフラの安全・安心を支えることに大きく役立つと思います」
2021年から2023年にかけては、新幹線変電所の監視システム開発を担当。お客様への説明・提案から、プロジェクトリーダーとして20名のチームをマネジメントするなど、トータルに関わりました。
「新幹線の保守点検は、お客様が乗車していない時間帯に行われます。点検時に誤って電気が流れてしまうと、作業員に危険が及ぶ可能性があり、作業が行われる区間は完全に停電する必要があります。開発したシステムでは変電所の電力を遠隔で『見える化』。保守点検のスケジューリングに合わせて電力制御を最適化しています」
開発においては、豊富な知識を持つお客様の意向を十分にくみ取っていくのが難しかったと言います。
「お客様の業務を理解するために、お客様の設備を見学させていただき、実際に使用される機器と運用を確認しました。そうやって現場のことを一つひとつ学びながら、お客様の声に真摯に耳を傾け、課題に向き合っていきました。
心がけたのは常に複数の提案を用意すること。粘り強く交渉を重ねることで、徐々に信頼関係を築いていきました」
高い安全性が求められるシステムだけに、品質保持のための取り組みも欠かせません。
「新幹線は通常の電車よりも高電圧を使用しているので、ちょっとしたミスが大事故につながりかねません。もともと日立グループはどのプロジェクトでも品質に徹底的にこだわっていますが、とくにこのシステムの開発においては、人一倍品質管理には気を配りました。
私たちシステムエンジニアは、どうしても技術的な側面に目が行きがちです。でも、お客様が本当に必要としているのは、業務の効率化や品質向上といった"価値"なんです」
テスト用紙の裏にプログラミングを書いて夢中になった。その情熱から技術者の道へ
小学生の頃からパソコンに触れて遊ぶのが好きだったという松田。先生や親からも専門的な知識を学べる高等専門学校への進学を勧められていました。
「中学に上がってから本格的なプログラミングを行うようになり、そのおもしろさに気づきました。テストの空き時間にテスト用紙の裏にプログラムを書いて、考えをめぐらすほど、夢中になりましたね」
とりわけ魅了されたのは、自分の思い描いたロジックでものを動かすことができること。そこに大きな可能性を感じた松田は、進路選択の際、プログラミングをとことん学べる学科を探しました。
「たどり着いたのが電子情報工学科でした。電気・電子工学と情報工学の両方が学べる、まさに理想の学科だと感じました」
高専卒業後は、情報制御の分野で力を発揮したい。漠然とした想いを持つなかで出会ったのが日立産業制御ソリューションズでした。
「学校の就職先一覧で日立産業制御ソリューションズを見つけたとき、直感的に『自分のやりたいことはこれだ!』と思ったんです。構築したシステムがものを動かす、それを自分でつくりたかったんです。会社説明会も何も受けていませんでしたが、迷わず選考に応募しました」
こうして当社への入社を果たした松田。入社1年目から社内向けプロジェクト管理ツールの設計・開発に従事します。
「新人時代に手がけたこのツールは、今でも社内で活躍しているんですよ。このときにいろいろ失敗をして、学びましたね。例えば削除してはいけないデータを削除してしまって。他の部署から連絡がきて発覚しました。社内向けだったので許されたところはあるのですが、自分のミスが他にも大きく影響することを知り、『削除の重み』を痛感しました。
これ以降、一つひとつの作業を慎重に進めるようになりましたし、管理する際はミスしやすい箇所を重点的にチェックするようになりました」
ロボットコンテストで優勝。創造力とチームワークでものづくりの楽しさを味わう
仕事を通じて着実に成長を遂げていった松田はその後、エネルギーマネジメントシステムやデータ管理基盤システムなど、さまざまなプロジェクトでミドルウェアの設計・開発を担当。着実にキャリアを重ねる中である変化に気づいたと言います。
「以前は、自分の担当範囲だけを見ていればよかったのですが、徐々に周囲へのアンテナを張るようになりました。関連部署の動向もしっかりキャッチしないと、スムーズなプロジェクト進行は難しいですから」
プロジェクトを俯瞰的に捉える力が備わるようになったことで、周囲もそれを認めるように。また新幹線の案件ではお客様との良好な関係性を保ちながらプロジェクトを進められたことが高く評価され、松田は技師への昇進を果たします。
マネジメントで大事なことは、メンバーとの対話だと松田は力説します。
「私はまず個人に任せ、方向性が違うなと思ったら対話を行うことを心がけています。プロジェクトチームの雰囲気は山あり谷あり。忙しくなると、良くない空気になることもあります。雰囲気や状況に応じて、適材適所で業務の調整を行うことが求められます」
技術者として新しいことにも挑戦しました。とくに組込みシステム分野における技術教育・人財育成をめざすロボットコンテスト「ETロボコン」に参加。2017年、ガレッジニア部門に出場した松田のチームは自動追跡カートを開発し、見事優勝を果たしました。
「会社としてETロボコンへの参加を推奨していた時期だったので、思い切って参加しました。ガレッジニア部門は何を作ってもよい自由部門だったので、世の中のためになるものを作ろうと考えました。そこで着目したのがショッピングカート。お客様が商品を取ると、カートが自動で後ろをついてくるシステムを思いついたんです」
後輩や新人を巻き込み、松田は率先して開発を進め、チーム一丸となって取り組みました。
「映像審査を通過したあと、本選に向けてブラッシュアップを行いました。お客様目線で使い勝手を徹底的に検討し、より洗練された自動追跡カートに仕上げていったんです。業務と並行しての活動だったので大変な面もありましたが、周りの方々に助けてもらいながら、なんとかやり遂げることができました。
お客様の利便性を追求したロボットであったため、そのあたりが審査員の方に評価されたのだと思います」
松田にとってETロボコンはたくさんの学びがあったと言います。
「新しいアイデアを形にするおもしろさ、ものづくりの楽しさを味わいました。期限やリソースが限られているなかで審査員(顧客)が求めているものはなにか、アピールするべきところは何かを整理し、その機能を実装することに注力する。
一緒にやってくれる後輩や新人の育成の場でもあるので、後輩や新人に作業を任せ、できるだけ手を出さずにゴールに導いていく。通常の業務では、失敗が許されないので、このような失敗が許される環境のもと、チームで議論しながらトライできる、良い機会になりました」
最新技術を駆使しながら、人々の安全・安心な暮らしに貢献していく
今後のビジョンについて、松田はチームの力を最大限に引き出していきたいと言います。
「個人プレーではどうしても限界があるので、チームとしてやっていけることが大切です。これまでは1つのチームに専念し、担当者としての業務が中心でしたが、今後は複数のチームを率いて、まとめられるようになりたいですね。そのためには、交渉力や課題解決力をつけることが重要。メンバーの悩みや課題を汲み取り、一緒に乗り越えていく。それがリーダーの仕事だと考えています。
複数のチームを作り、みんなで切磋琢磨しながら良いものを生み出していきたい。大規模なプロジェクトでなくとも、小さなプロジェクトをたくさん経験しながら、さまざまな分野に挑戦し、中堅として、チームもお客様も笑顔になれるよう尽力したいと思っています」
自身の経験を踏まえ、今後この分野で活躍するために必要な資質について次のように語ります。
「新しいことが好きで前向きな方が向いていると思います。私たちが開発に従事している分野は、まだまだ成長の余地がある新しい領域。新しいことをどんどん吸収し、失敗を恐れずに前向きに仕事に取り組める人であれば、きっと大きく成長するはずです。
たまに辛いこともありますが、そういう時にこそ前向きさが大切。前向きに頑張り続けることが結果につながるのだと思います。ネガティブになってしまうと、状況は悪くなるばかりですから。私自身も、チームの雰囲気を良くするために、できるだけ前向きな姿勢を見せるよう心がけています」
松田の仕事への原動力は、「技術を通じて人々の暮らしに貢献したい」という思いだと言います。
「最先端の技術を駆使して、みんなの役に立ち、心から喜んでくれるようなシステムを作る。それが私のやりがいであり、ミッションです。システム開発を通じて社会課題の解決に取り組める今の環境に感謝しています」
高速道路の安全を支えるシステムにしても、新幹線変電所の監視システムにしても、その先にあるのは人々の安全・安心な暮らし。松田は最新技術を駆使しながら、人々に笑顔をもたらすシステムの開発に挑み続けていきます。
※ 記載内容は2024年6月時点のものです

