「誤りは絶対に許されない」業務の重要性を感じながら、慎重な確認作業に取り組む日々
社会・公共ソリューション事業部 エネルギーソリューション本部 解析エンジニアリング部の安全解析評価グループに所属する米山。原子力発電所の安全性評価という、社会的にも重要な役割を担う仕事に従事しています。
「具体的には、事故が発生した場合でも、復旧作業員の被曝量が規定の基準値以下に収まっていることを理論的に計算して示す作業を行っています。この作業は、電力会社が原子力発電所を新設や再稼働するためには不可欠なもの。新設のプラントと再稼働待ちのプラント両方に対して、事故を想定したシミュレーションを行っています」
以前からシミュレーションは行われてきましたが、福島の原発事故が起こってから、国の基準が厳しくなり、この新規制基準に対応するために米山は、日々、業務を遂行しています。
「同じプラントの同じ事故でも、使用燃料が異なる場合や作業員の作業場所が異なる場合、それは異なる評価を行う必要があります。また、放射線の減衰や放射性物質の放出量など、関連する多様な要素についてもそれぞれ評価を行う必要があります」
DORTやQAD、その他内製などの放射線解析プログラムを使用し、ツールに条件を入力してシミュレーションを実行。次に、入力が正しく行われたか、結果が正確に転記されたかを確認するためのチェック作業が行われます。このチェック作業こそが非常に重要な業務だと米山は言います。
「この分野の作業に誤りは絶対に許されません。品質チェックも厳しく、計算過程や検証方法を電力会社に詳細に説明する必要があります。品質チェックで間違いが発覚すると、関連する複数の部署に大量の追加作業が発生する可能性があります。そのため、ミスを防ぐことが非常に重要であり、そこに大きな責任とプレッシャーを感じています」
作業するうえで最も気をつけていることは、「自分は絶対にミスをする、急がば回れ」という心がけだと言います。
「これは学生時代に論文の投稿後に実験手法に誤りがあったことに気がついた経験によります。幸いにも査読中であったため、修正後に受理されましたが、このことから期日が迫っていても確認をしっかりした方が後で間違いが発覚するよりも良い結果になると思うように。慢心せずに一つひとつの作業を丁寧に行うようにしています」
単に入力ミスがないかだけでなく、計算結果が妥当なものであるかも確認しています。これには、以前の類似評価との比較も含まれ、多角的な検証プロセスを実施しています。
また積極的に情報収集をして、知識を深めることも行っていると言います。
「実際に原子力プラントに行ったことはないのですが、やはり業務を行う上で現地の知識が不可欠となるため、広島の呉に行って、保管されている原子炉の圧力容器を見学にいったこともあります。知識を深め、積極的に情報収集しながら、評価の信頼性向上を図っています」
学生時代の知識を生かしつつ、入社後、シミュレーションの世界に深く踏み込んでいく
学生時代、理学部で数値計算の手法を学んでいた米山。就職活動では、学生時代に培った知識を生かせる仕事を探しました。
「大規模な計算に関わる仕事に興味があり、シミュレーションソフトを開発している会社に注目しました。その中で日立産業制御ソリューションズを見つけたんです。とくに鋳造シミュレーションシステム『ADSTEFAN』に惹かれましたね。どろどろと溶けた溶融金属が鋳型に流れていくシミュレーションが印象的で、流体の動きを見るのはおもしろそうだと思ったんです」
さらに、入社を志望した理由の一つに、キャリアの柔軟性がありました。
「希望すれば他部署への異動も可能という点も決め手になりました。さまざまな分野に挑戦できる環境があることは、長期的なキャリアを考える上で重要でした」
こうして日立産業制御ソリューションズに入社した米山。入社後の研修で幅広い知識を得た後に、プラントエンジニアリング部で働き始めました。そこでの主な仕事はプラントで使用されるさまざまな機器内部での気体の流れの解析でした。
「例えば凝縮器における空気の流れや水蒸気が水に変わる位置と分布を調べたり、ある容器内の空気の流れと、その中を流れる粉の動きを解析したり、高粘性の樹脂を水で噴射した際の拡散状況を調べたり、さまざまな解析を行いました」
流体力学に関連する仕事に携われるのは魅力的でしたが、これらの解析は、決して容易なものではありませんでした。
「とくに凝縮器は、一般的な熱交換としての役割ではなく、原子力プラント内で放射性物質が粒となって気体に乗って流れていくのを凝縮器の水蒸気が水になるのを利用して、この水で放射性物質を捉える役割で使用されています。大規模で前例のない計算も多く、試行錯誤しながら進めていきました」
試行錯誤の内容について米山は当時を振り返ります。
「シミュレーションツールのマニュアルを調べたり、新しい機能を発見したりしながら、依頼主と協力しつつ、先輩社員のアドバイスをもらいながら進めていきました。
問題点の特定や原因の考察、解決手法の検討、手法の組み合わせによる効果の予測、実際の検証、結果のチューニングといったプロセスは、学生時代の研究と似た面もありました。この経験によって問題解決能力や思考力が向上したと思います」
知識を深め、経験を積むと仕事はおもしろくなる。そのおもしろさが成長につながる
2020年に担当業務が、構造/熱流動解析から、放射線防護解析に変更となり、仕事に対する思いが大きく変化したと語ります。
「流動解析の仕事は自由にやらせてもらっていたのでとても楽しかったんです。そこから変わることへの不安はありましたね。最初の1、2年は、決められた手順通りに作業をこなすことに終始していましたが、自分自身の知識が増えてくると、仕事の奥深さが見えてきました。
プラントの違いや燃料の特性など、以前は気づかなかった細かな違いを識別できるようになったんです。今では、前回と違う点を積極的に探し出すようになりました。これが非常に重要で、同じような作業でも細かな違いを見逃さないことで、より正確な評価ができるようになりました」
とくにミスに気づいて、評価の信頼性を向上させることができたときは、やりがいを感じると言います。
「他の人が行った評価を確認する際に、入力値や条件設定の誤りを指摘できることがあります。例えば現在のプラントで使用されているものとは異なる入力値が使われている場合や、特定の条件下で入力されているはずの数値がおかしい場合など、間違いに気づけるということは、これまでの自分の勉強や経験が生きている証拠。修正作業は大変ですが、確認を怠らないことで、より安全で信頼性の高い評価ができるようになるんです」
お客様との対応でも学びが生きていると米山は語ります。
「お客様からの質問に適切に答えるには、単に手順をなぞるだけでは不十分なんです。これまでの経験や学んだ知識を総動員して対応する必要があります。そういった場面で、自分の成長を実感できるんですよ」
米山は、知識と経験が織りなす仕事の醍醐味を伝えます。
「知識を深め、経験を積むことで、仕事はよりおもしろくなります。そして、そのおもしろさが、さらなる成長につながるんです。最近では後輩の指導もしていますが、若い人たちには、どんな仕事でも最初は大変かもしれませんが、諦めずに取り組んでほしいですね」
自己啓発を支援する制度が充実。向上心の高い社員にとっては大きな魅力に
米山は、自身の今後の目標について熱心に語ります。
「今後の目標として、まずマネジメント能力を向上させたいと考えています。後輩の指導や関連する部署との連携、同じプラントの別の評価を担当している同僚のサポートなど、チーム全体の効率を上げることが結果的に自分の仕事にも良い影響を与えると考えています」
また会社の魅力について、米山はとくに自己啓発支援の充実を高く評価しています。
「オーディオブックやTOEICの勉強ツールなど、申し込みをすれば無料で使える、自己啓発支援があるんです。空き時間を利用して学習に取り組みやすい環境が整っていて、会社の魅力の一つだと考えています」
さらに、米山は解析の分野に興味を持つ学生へのメッセージも送ります。
「まずは興味のあるものをシミュレーションする仕事を選ぶことをおすすめします。専門性を深めていくことと幅広い知識を持つことは根底では似ており、どちらも重要です。幅広い知識を持っていると、それを組み合わせて解析する場面で生かせるので、知識の幅を広げることが大切です。学んでいくことや知識を深めていくことが楽しみに感じられる人にはこの分野が向いているでしょう」
後進の育成にも熱心な米山。求められる人財についても言及します。
「理系の知識というよりも理系的な考え方、つまり論理的な流れを理解しやすい人が仕事に入りやすいと考えています。また数値のチェックなど、地道な作業を素直に受け入れられる人が適していますね」
単に知識や技術だけでなく、仕事に対する姿勢や思考方法の重要性を強調する米山。その視点は、技術者としての成長だけでなく、プロとしての心構えも示唆しています。成長の機会に溢れた環境で、技術と人間性の両面から、米山は自身の可能性を広げていくことでしょう。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです

