ペーパーレス化やAIシステム連携など、ニーズを取り入れたシステムに需要が高まる
産業制御第二設計部にて鉄鋼システムの業務に関わる海野。鉄鋼プラント設備におけるさまざまなシステム開発を行っています。
「最近の例で言うと、原料となる鉄スクラップの管理です。これらの原料は、工場構内に搬入される際にトラックに積んだ状態で計量し、受け入れたスクラップをどのヤードにどの品種のスクラップを運ぶか、クレーンによって自動搬送し、品種ごとの在庫管理を行う、という一連プロセスを効率的に管理するシステムを開発しています」
お客様から要望を受け、システムのペーパーレス化にも取り組みました。
「今まで帳票ベースでシステム化していたものをペーパーレス化したいという要望があり、どのように実現するか検討した結果、操作端末の画面に情報を表示する方法を採用しました。事前視察をして、見積もりから要件定義、設計、最後にお客様と一緒に操業に立ち会うところまでを担当しました」
これまで細かい案件を含めると50件以上のプロジェクトを担当してきたと語る海野。案件は、新規・更新・改造とさまざまで、C言語を使用していると言います。
さらに、これまで目視で行っていた業務をAIで判断するシステムとの連携にも挑戦しています。「鉄スクラップ自動解析AIシステム」は、検収時のヤード内スクラップの解析や配合時のホッパ内スクラップの解析を行うシステムです。
スクラップの解析にはもともと習熟した技術が必要ですが、この属人的なスキルをAIを用いて客観化し、技術継承を行うことを目的としています。これにより、検品精度の向上と効率化を図ることができます。
「これまでに2回、AIシステムとの連携改造を担当しました。 今後、AIの発展や高齢化社会による労働力不足などにより、ますますAIシステムの導入が増えていくと考えられます。 そのため、他のシステムでもAIシステムと連携できるものがあれば、お客様と協力して進めていきたいと思っています」
子どものころからの夢だった日立グループに入社。海外で経験を積み重ねる
学生時代は情報通信工学を専攻していた海野。当社への入社を決めたのは、父親の影響があったと言います。
「志望理由としては、ちょうど私が卒業する2007年ごろ、IT企業の人気が高まっていたこともあり、IT関係で人の役に立てるような仕事をしたかったということがひとつあります。
もうひとつは、父が日立製作所で働いていたことが大きいですね。親戚にも日立関係者が多かったため、『日立の企業で働きたい』というのが、子どものころからの夢でした。大学は東北に行ったんですが、地元が日立市なので、地元に貢献したいという想いもあり、入社を決めました」
子どものころからの夢がかなって日立産業制御ソリューションズに入社した海野。入社2年目からは海外案件を担当します。
「海外案件では、主に熱間圧延や冷間圧延、メッキ加工ラインなどの各工程の設備のシステム開発を中心に行いました。とくに圧延工程では、命令する上位システムがあって、そこから受け取った指示に従って、プロセス制御で実際の張力制御や圧延制御などを計算し、設備に対して指示を出すという中間的な役割を担うシステム開発を行っていました。
日本の鉄鋼材料が高品質なため、その制御システムも日本から導入しようということで、中国、タイ、台湾、インドの案件に携わりました」
慣れない海外での仕事に最初は不安もありましたが、協力会社の方や現地のメンバーと支え合いながら乗り越えることができたと振り返ります。
「海外では英語を使用したり、通訳を介したりしてコミュニケーションを取っていました。最も長期で関わったのが中国で、トータルで4〜5年ほど行き来しましたね。簡単な中国語を使って、お客様と直接やりとりすることもできるようになりました」
しかし、海外での経験は順調なことばかりではありませんでした。
「入社3年目のころ、中国での案件で失敗してしまったんです。長期出張が続いていた時期で、早く帰りたいという思いから、担当していたテストの確認が不十分なまま帰国してしまったんです。その結果、翌日に不十分な部分について連絡があり、トンボ返りで中国に戻るはめに。
幸い、お客様やチームメンバーの協力もあり、大ごとには至らなかったんですが、この失敗から、納得するまでチェックすることの重要性や、仕事に対する責任感、『ラストマン』の意識が芽生えました」
海外案件を通じて学んだことは、仕事の進め方だけではなく、「現場を見る」ことの重要性だと語ります。
「鉄鋼プラントについての知識も、現場で多くを吸収しました。当時の上司も『実際に現場に行って設備やモノの動きを見ることが重要だ』と常々言っていましたね」
その想いから、工場見学にも積極的に参加したと言います。
「例えば、鹿島にある熱延工場を見学し、実物を見る機会がありました。その後、インドの工場で熱延システムを導入する仕事も経験しました。書籍から学ぶこともありますが、現地・現物を重視した学びがとても大切だと考えています」
コロナ禍を乗り越えて。若手社員とともに中国での長期プロジェクトを成功に導く
海野は中国における大きなプロジェクトを手がけ、2018年、技師(主任)へと昇進します。
「入社6年目ごろに、中国の工場で2つの設備を建設するプロジェクトの取りまとめを担当したんです。1年半にわたる長期プロジェクトで、かなり大変だったんですが、お客様や現場スタッフと親密な関係を築き、大きなトラブルもなくプロジェクトを成功に導けたことが評価されたのかもしれません」
昇進後は、働き方にも変化があったと言います。
「技師になってからは、仕事の内容にも変化がありました。見積もりや人の管理といった業務がとくに増えてきましたね」
さまざまなキャリアを積んできた海野ですが、2021年のコロナ禍で、忘れられない出来事を経験します。
「2021年に担当した中国での改造案件はとくに印象に残っています。その時のお客様が、私が入社3年の時に失敗して迷惑をかけたにもかかわらず、『次も海野さんに担当してほしい』と言ってくださって。嬉しかったですね。
このプロジェクトは、ある圧延システムに亜鉛めっきのラインを増設し、普通の圧延モードの時と亜鉛めっきのモードの時と、2つのモードを切り替えるような改造だったので、大掛かりな開発となりました。現場を知る良い機会だったので、このプロジェクトには若手社員も同行してもらったんです。
ところが当時はコロナ禍のため、中国に着いたら、ホテルから一歩も出られないような隔離状態になってしまって。若手社員にしてみれば、初めての中国で、しかも隔離されて不安な状況だったと思うんです。なので、彼のメンタルケアもしつつ業務を遂行する必要がありました」
若手社員を海外に連れて行ったのは、「実際の設備を見せたかったから」だと言います。
「若手社員って、初めのうちは経験もないですし、なかなか現場に行けないんです。会社でプログラムは作っていても、実物が分からず想像ができない。実際に動いているところを見せて、『これが作ったプログラムで動いているんだよ』と、説明しながら教えてあげたいなと思ったんです。実際、我々2人で、その中国のプロジェクトを成功させることができましたし、その後も、彼は別プロジェクトでも活躍してくれました」
「現場に行って見て学ぶ」ことが重要。若手に技術やノウハウを継承したい
現在は国内案件に取り組む海野。最もやりがいを感じているのは、お客様と交渉するフロント業務だと言います。
「直接お客様の要望を聞き、ニーズを理解し、システムに落とし込む作業をしています。自分の提案も交えてシステムを構築する、ということは、これまでやってこなかったことなので、すごくやりがいを感じています」
さらに、海野は中堅リーダーとしてメンバーとの関わりにも注力しています。
「メンバー間の雰囲気を良好に保つことを大事にしています。先輩、後輩をあまり意識しないよう共通の趣味の話なども交えつつ、コミュニケーションを密に取って、一人ひとりが仕事をしやすい環境作りを心がけています」
コミュニケーションを密に取りながら、今後、若手の育成に力を入れることが、会社にとっても重要な課題だと言葉に力を込めます。
「現在、最も力を入れたいと考えているのは若手の育成。現業務メンバーには、50代後半の社員もおり、10年後にはその世代がいなくなってしまいます。そのため、私たちが先輩方から引き継いだ鉄鋼分野の技術やノウハウを若手に継承していく必要があります。
上司から『現場に行って学ぶ』ことの重要性を教わりましたが、自分の部下だけでなく、協力会社さんにもいろいろな案件の仕事を見て経験してもらいながら、下の世代を育てていきたいんです」
最後に、当社の魅力や仕事のおもしろさについて、海野は語ります。
「お客様と直接話をしてシステムに落とし込めていける点が魅力です。直接要望を聞いて設計から現地調整まで一貫して担当できるのも、この仕事のおもしろさ。密にコミュニケーションを取ることでお客様から信頼していただき、次の仕事につながる、という喜びもあります。
また、福利厚生がしっかりしていることも当社の良いところだなと思いますね」
自身の強みについて海野は、「決断が必要な時に自分を信じてやりきることができる点と、どんな時も焦らず冷静に対処できる点」と語ります。海外で積み重ねた経験と、現場での冷静な判断力を武器にチームを率いていく海野。その情熱は目の前の案件にとどまらず、これから活躍していく若手への技術伝承に注がれています。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです

