画像認識技術の向上が、自動運転システムの進化を支えていく
2007年に新卒入社した加藤。現在は、コネクティブエンジニアリング事業部に所属し、マネージャーとしていくつもの開発案件に携わっています。
「主な業務は、自動運転システムにおける画像認識ソフトウェアの開発です。例えば同一車線を前方の車のスピードに合わせて自動で追従するなど、このような自動運転を実現するために必要となるのが、物体を検知する技術。自動運転は、まず周囲で何が起こっているかを認識し、その上でどう動くべきかという判断があり、最後にそれに沿って自動車を制御します。その中で画像認識は、最初の入り口において重要な技術となります。
またこの技術は、前方の車との距離を測るだけでなく、周囲の物体との距離も測るため、自動駐車のように速度を出さないところでも使われています。フロントウィンドウのミラー近くにあるカメラやサイドミラーにあるカメラ、リアのカメラの画像認識や、LiDAR(ライダー)と呼ばれるセンサーも関わっています」
画像認識はいわば自動運転に不可欠となる技術ですが、開発においては特有の難しさがあると言います。
「周囲の状況をパターン化するのが難しいんです。例えば時間帯や天候によっても変わりますし、周囲の車を認識する際も、トラックのような大型車から小型車までパターンがものすごく多いので、どこまで対応させるか、という部分が非常に難しいですね」
画像認識の正解率を上げていく技術開発が必要とされますが、ここ10年ほど、顕著に技術の向上を感じていると加藤は語ります。
「2007年に私が入社した時点と比べると、確実に進化していると思います。この技術が著しく進展したおかげで、自動車分野以外でも、画像認識技術の応用が進んでいます。例えば人財不足が問題視されている物流業界においても、荷物のピッキングなどに役立てることが可能ですし、建設分野など遠隔で操作する場所でも使えますし、応用できる範囲が広がっていくと考えられています」
海外での実験、サプライヤーへの出向。経験のすべてが自信につながった
高等専門学校では情報工学を専攻し、プログラミングなどを学んだという加藤。就職活動を経て入社する際には、今の業務に就くことは想像していなかったと言います。
「携帯電話の開発をしたいと漠然と考えていたこともあり、当時、携帯電話やテレビなど身近な製品の開発に関わっていた当社を志望しました。ところが入社したら、まったく関係のない自動車向けの画像認識に関わることになって(笑)。『とりあえず勉強してきなさい』ということで、日立製作所の研究所で車載向け画像認識ソフトウェアの研究・開発に6年ほど従事しました」
研究所で業務していた期間中に、製品開発のプロジェクトに参画することがあり、国内だけでなくアメリカでの実験にも同行しました。
「海外で販売する製品があって、カメラで撮る映像に関しても、現場でデータを取りつつ開発した方がよりリアルだということで、現地での実験が必要だったんです。アメリカでは考慮すべきポイントが日本と違いました。道路の形だけで見ると、日本のほうが複雑です。例えば首都高が曲がりくねっていたり、アップダウンがあったりしますから。
一方、海外の道路はあまり整備がされてなかったり、道路の塗装の仕方が違ったりして、見え方が違うんです。季節による違いも大きいので、そういった海外特有の難しさがありましたね」
海外でたくさんの経験を積んだ数年後には自動車部品サプライヤーへ出向することになります。出向先では、日立産業制御ソリューションズへ委託する立場として開発に従事します。
「知らない場所で最初は何をしたらいいのか分からず大変でした。ただ、出向先の方たちがいい人ばかりで、周囲に支えられましたし、私自身も悩んでも仕方ないから、とりあえずやってみよう、という気持ちで取り組みました。
委託される立場と委託する立場では考え方が違うので、現場にいることの重要性を実感しましたね。サプライヤーがどのような視点で考えているかも含めて、全体を俯瞰し、先を見通して行動できるようになりました」
そんな加藤は2024年に主任技師(マネージャー職)に昇進。その理由をこう推測します。
「いろいろな経験をしてきた部分を評価してもらったのかなと思っています。日立製作所の研究所で仕事をさせてもらったこともそうですし、サプライヤーに正式に出向になる前から、出向先で作業をすることがあって、『社外に出る』ということが私の業務の中でウエイトが大きかったですね。今振り返れば、非常にいい経験になったと思っています」
さらに現在はマネージャーとして、業績の管理やメンバーのマネジメントにも注力しています。
「日々の開発業務に加えて、売上や営業利益といった経営サイド視点をより意識するようになりました。自分が直接見ているメンバーは10名くらいですが、会議や面談では雑談などを挟みつつ、円滑なコミュニケーションが取れるよう心がけていますね」
開発した技術が自動車に搭載され、走る様子を見た瞬間、苦労が達成感に変わる
開発には苦労も伴いますが、携わってきた技術が実用化された時の想いは格別なものがありました。
「案件にもよりますが、多くは3~4年ほどのスパンで開発が進んでいます。自分たちが長く携わって、悩んで、開発してきた技術が製品に組み込まれ、それが世に出ると、やっぱり感慨深いものがあります。技術が搭載された自動車が走っているのを見たり、ニュースなどで見たりするとうれしいですし、達成感もあります」
そんな加藤には入社から現在に至るまでに、とくに印象に残っている出来事があると言います。
「私が最初に製品開発に関わったとき、サプライヤーの方、カーメーカーの方と一緒に仕事をしたんですが、日を追うごとに課題が出てくるんです。期間が限られていて、リソースも無限にあるわけではない中で、どう解決すべきかみんなで議論していた日々が印象に残っています。
『製品を世に出さないといけない』という責任を実感したのもこのころでした。当時、カーメーカーの方と話す機会がたくさんあったんですが、その方に『実際に車に乗って見てほしい』とよく言われていたんです。何を大切にして開発すべきかを理解するためには、より現場に近いところで見て体感することが大切なんだと。その意味が今となってはよく分かるんです」
そうした経験もあり、加藤はお客様とのやりとりの中でも、「できる限り実際の動きを見る」ということを心がけてきました。
「例えば先方が自動車を所有して試験できる状況だったら、実際の動きを見せてもらうことを心がけています。いろいろな開発の方法がありますが、パソコンでシミュレーションできても、それはやはりバーチャルな世界ですし、現実に自分が見た時の体感のほうを大事にしています」
そうした、入社以来積み重ねた経験そのものが、自信につながっていると語ります。
「入社して間もないうちから製品開発に携わって苦労しましたが、そこを乗り越えられたことが今の自信につながっています。今でも当時一緒に開発をしていた人と話すと、『やっぱり大変だったよね』と、当時の想いを分かち合えるんです」
工夫の余地がある環境。課題に直面しても「考え続けられる人」に来てほしい
最先端の技術開発に携わっていることは、特別なことだと加藤は実感しています。
「他の人がまだやっていないことができたり、自分のアイデアが生かされたりするのはやっぱり楽しいですよね。発展途上なところもありますが、それだけ工夫できますし、やりがいもあります。安全性や品質が重視される分野なので審査基準や規格も変更が多く、悩むことも多いんですが、達成した時の喜びは大きいです」
そういった喜びを伴う経験を積めたのは、挑戦を後押しする環境があったからだと言います。
「入社したばかりで何をしたいかわからなかった自分にも経験する場を与えてくれました。私自身は画像認識の技術習得のために研究所に行きましたが、他の研究所で違うことを学んだ同期もいます。『若い人に経験してもらおう』といった雰囲気があるのが当社の特長ですね。また、明確にやりたいことがあれば、それをやらせてくれる環境だと思います」
そんな加藤は、この仕事に向いている人物像について次のように語ります。
「新しいことに挑戦するのが好きな人がいいですね。もっと言うと、課題に直面した時に『考え続けられる人』がいいなと思います。諦めないことが大事ですし、つまずいても別の方向から考え続けられたり、より広い視野で見られたりする人が当社で活躍できるように思います」
最後に今後の展望について、こう締めくくります。
「技術的な面で言うと、これまで車載向け画像認識ソフトウェアの開発をしてきたので、それを軸に、より違う分野への応用をしていきたいです。物流や建設以外にも、この技術を活用できる分野がもっと広がっていくと思っています。また、生成AIなどのトレンド技術も活用できるよう積極的に取り組んでいきたいと思います」
これからの展開が期待される画像認識技術。この技術を大きく飛躍させるには、新しい仲間が必要です。「より良い成果を得られるようなチームをつくっていきたい」と語る加藤。仲間ととともに新しいフィールドへの挑戦をめざします。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです

