高速道路の変革のタイミングを迎えたいま、DXに向けたシステム開発にニーズが高まる
中村が部長を務める社会・公共ソリューション事業部道路情報システム部では、社会インフラにおける監視制御システムのなかでも、高速道路に特化した業務を担当しています。
「24時間365日、休むことなく動き続けている高速道路の安全や安心の実現に貢献することが、道路情報システム部のミッション。高速道路で起こる交通事故や渋滞、火災などのトラブルや、高速道路の利用者に影響を与えかねない大雪などに対応するため、さまざまなシステムを提供しています」
現在、道路情報システム部のメンバーは63名。高速道路の付帯設備の監視制御を行うグループ、雪や風などの気象の状態を把握して情報を提供するグループ、そして両グループを間接的に支えるバックオフィスのグループの大きく3つに分かれて業務を行っています。
「部内には日立製作所(以下、日立)に出向しているメンバーや、日立から実習生として来てくれているメンバーもいます。また、扱うシステムの種類が多様化しているため、他部門から約15名の方に応援に来てもらっているほか、70名ほどのビジネスパートナーの方にもサポートしてもらって、仕事を進めています」
たくさんの手を借りながら仕事を進めているのは、道路情報システム部への需要が高まっているためです。
「現在、国土交通省が主導している『防災・減災・国土強靭化に向けた道路の5か年対策プログラム』や『国土のグランドデザイン 2050』などに対し、お客様である高速道路会社は、そうした同省の方針を自社のミッションに落とし込んでいます。我々の役割は、その実現をサポートすること。変革のタイミングを迎えているいま、私たちの取り組むべき業務は増加傾向にあります。
例えば、お客様の会社でも人財不足が課題となっており、交通管制センターの監視業務や設備の保守点検業務の自動化が必要になっています。そのため、DXに向けたシステム開発が急ピッチで進行中です」
ミッションクリティカルなシステムを担う道路情報システム部を束ねる中村。マネジメントを行う立場として、メンバーとのコミュニケーションを大切にしてきました。
「仕事を進めるなかで、それぞれのメンバーがさまざまな悩みや課題と直面しています。それらを拾い上げることが部長である私の任務。日頃から雑談を交えながら会話するよう心がけ、相談してもらいやすい雰囲気づくりを意識しています」
ときには現場へと足を運びシステムの挙動を確認。高速道路の安全・安心を支える
現在、道路情報システム部ではおもに四つの製品を扱っています。
「一つめが『施設管制システム』。照明設備や非常時に使う自家発電設備、トンネル内に設置されたジェットファン、火災検知器といった高速道路の付帯設備を、交通管制センターから制御・監視するためのシステムです。ほかにもトンネルで火災が起きた際に、ジェットファンを作動させて避難方向と逆に煙が流れるようにしたり、放水したりする設備も施設管制システムで制御しています。
また、これまでは付帯設備が故障した場合は作業員が現場に駆けつけ修繕していましたが、稼働データを収集・分析して事前に故障の可能性を検知し、対策できるようなシステムの開発も進めています。
二つめがETC設備の制御や監視を交通管制センターから行う『ETC監視中央システム』。これにより、例えば特定のETCレーンが作動しなくなれば、即座に閉鎖の案内を出すことが可能となっています。
三つめが『気象中央システム』。高速道路の脇に設置されている気象観測局や地震計の観測データを収集して情報提供を行うシステムです。一定以上の降雨量や積雪量に達したときや、地震が起きたときは、高速道路の表示板に『通行止め』の表示を出す機能もあります。
そして四つめが『トンネル画像処理システム』。これは、高速道路上のトンネル内に設置されたカメラの映像を画像処理し、異常を検知した場合に交通管制センターに通知するもの。画像処理を使って、停止している車両や低速度で走行している車両、逆走車両や渋滞を見つけます」
高速道路会社では、これらのシステムが10〜15年周期で新しいものに更新されるため、そのたびにお客様のニーズに応えることも、道路情報システム部の重要な役割のひとつです。
「更新時には、新しい機能の要望に合わせて最新技術を取り入れた新規開発を行うことが一般的です。最近は、トラブルや故障の予兆を検知できるような機能の追加を求める声も多く、その対応に注力しています。
また、システムを操作するのはお客様のために、直感的で使いやすいユーザーインターフェースを備えたシステムの開発が求められています。こうしたさまざまな要件を満たすシステムの開発に向け、努力を重ねています」
ときにはシステムの挙動を確認するために、ヘルメットと作業着、安全靴を身につけて現場に出向くこともあると話す中村。大雪など異常気象の発生時には、高速道路会社のウェブサイトをチェックし、情報が正常に表示されているのを見て安心することも。高速道路の安全は、道路情報システム部のこうした目に見えない努力によって支えられています。
安心して高速道路を利用できるよう、使命感と責任感を胸に仕事に向き合う
お客様からの依頼を受けて緊急対応するケースもあると言う中村。とくに印象に残っていることがあります。
「トンネルの災害により設備が壊れ、その影響で当社のシステムが機能しなくなり、システムの復旧作業に当たったことがありました。同様の災害がほかのトンネルでも起こる可能性があり、これを未然に防ぐための対策工事が行われた際、その対策に合わせてシステムそのものの改造を行いました」
トラブルの復旧処理だけでなく、将来を見据えた対応を行ったことがお客様から高く評価されました。しかし道路情報システム部を率いる中村は、仕事への想いを次のように綴ります。
「私たちは、24時間365日休まずに動いている高速道路運営の一翼を担っています。利用者の皆さんが安心して高速道路を利用できるよう、使命感と責任感を胸に、業務に向き合ってきました」
一方で、システムに新たな技術を融合させ、社会インフラDXにも積極的に取り組んでいます。
「例えば、高速道路への不正侵入を画像処理で検知し、交通管制センターに警報を発するシステムを構築し、お客様から好評を得ました。こうした新たな機能の開発は、多くの場合、お客様の要望がきっかけとなっています。前例のない課題に取り組むことは容易ではありませんが、信頼してくれるお客様の課題解決に貢献したいという強い意志を持って挑戦しています」
高速道路向けのシステムに関わる以前、生産管理やパッケージソフトなど、さまざまな分野に携わってきた中村。かつての同僚やお客様が現在も支えになっていると言います。
「多くの方々との仕事を通じて、特定の課題に対して誰に聞けば解決策が得られるかがわかるようになりました。いまも、昔の仲間にはよく相談しています。
また、社内でシステムの試験を行う際には、必要な試験設備を他部署から借りることも。人のつながりが大きな助けとなっています」
そんな中村がやりがいを感じるのは、新しいシステムをカタチにして、お客様に届けられたとき。さらに次のように続けます。
「お客様から感謝の言葉をいただいたときの喜びは格別です。『次のプロジェクトでもあなたの部下を参加させてほしい』とリクエストされたときは、とてもうれしかったですね」
OT×デジタルでめざす「事故ゼロ」の高速道路
日立産業制御ソリューションズでは、これから社会が直面する課題と、その解決に向けて複雑化していくシステムに「OT×デジタル」で挑むことを宣言しています。「OT(Operational Technology)」とは、社会インフラのハードウェアを制御・運用する技術のこと。道路情報システム部の未来を、中村はこう展望します。
「おそらく数年後には高速道路で自動運転の導入が広がり、やがて自動運転が当たり前の社会になるでしょう。画像処理技術によって故障車を見つけて減速させたり、ほかの自動車を故障車から遠ざけたりと、自動運転にも私たちのシステムをうまく活用し、事故ゼロの高速道路の実現をめざしたいと考えています」
一方で、気象データを活用した自然災害への対応をはじめ、今後の取り組みにも意欲を見せます。
「高速道路には複数箇所に温度計が設置されています。例えば、周りの温度と比べて高い値や低い値があった場合に異常が起こったのではないかと予知したり、震度計のデータを活用して道路にひびが入る可能性を予測したり。そういった故障を予知するシステムの開発を計画中です。
また、ドローン活用による設備点検の効率化の検証も進めています。これが実現できれば、定期的に実施されている設備点検が自動化されるだけでなく、常時点検できるようになり、設備の異常を迅速に把握することが可能です。
さらに、現在は主にトンネル内の監視に画像処理を活用していますが、今後は全線のリアルタイム監視や異常検知の実現をめざしています。画像処理は天候や太陽光の影響を受けやすいのが特徴ですが、AIによる画像処理や画像認識を取り入れることで、天候の影響を受けずに自動車の挙動監視ができるようになってきました」
これら新しい技術やデータの利活用を進め、安全安心な高速道路に貢献していきたいと言う中村。社会的貢献度の高い役割を担えるのは、日立産業制御ソリューションズだからこそ。当社で働く魅力を中村はこんな言葉で表現します。
「お客様の設備点検の一環で、プログラムが正常に作動するかを確認することがあります。たとえばトンネルでの作業時に『自分が開発したプログラムがジェットファンを動かしている!』と感動することも。社会インフラの運用に貢献できることが、当社で働く最大の醍醐味です」
情報技術と制御技術を融合させたシステムソリューションを武器に、事故ゼロの高速道路の実現をめざして、中村はこれからも未知と向き合い続けます。
※ 記載内容は2024年3月時点のものです

