偶然だった手話との出会いが、“福祉×旅行”の仕事で働くきっかけに
私は昔から、みんなと何かを一緒にやることが好きな子どもでした。
吹奏楽部で定期演奏会の企画に携わったり、文化祭などの学校行事に積極的に取り組んだり、親や友人と一緒に旅行へ行ったり。高校までは、そんな活発な生活を送っていました。
大学では、ホテルやブライダル、飲食に関係する仕事に就きたいとの想いから、観光学を専攻。入学後は勉強のほか、アルバイトに注力しました。フードコートの店舗でレジや調理をするものから、個人経営の居酒屋でカウンター越しに接客するものまで、常に2社以上を掛け持ちし、いろんな接客経験を積めるようにしていました。
また、友人に誘われ、手話サークルにも参加しました。入るにあたっては、違う言語の習得は自分の強みになるのではないか、手話を通じて出会いの幅が広がるのではないかという期待がありました。
実際に活動を始めると、聴覚障がいのある方をはじめ、手話を使うさまざまな人と出会いました。そのおかげか、1年後には一般的な日常会話ができるくらいに、手話で話せるようになりました。
手話は、大学卒業後に就職する大手旅行会社と接点を持ったきっかけでもあります。
大学3年生の夏休み、インターンシップを探していたときに、“手話 旅行”のキーワードで検索したら、その旅行会社が、手話通訳士のボランティアを募集しているのを見つけたんです。
説明会に参加したところ、周囲は年上の方ばかりで、学生が珍しかったせいか、会社の方から「インターンシップをしてみないか」とお誘いを受けました。それが結果的に就職につながっています。
その旅行会社に入社後は、身体的な障がいのあるお客様の旅行に関わる部署に配属。主に聴覚障がいのあるお客様や、車いすを利用するお客様に対して、カウンター販売、個人旅行手配、添乗同行などを担当していました。
ところが、入社2年後の2020年、転機が訪れます。コロナ禍になったことで、私は思わぬ形で転職を考え始めることになったんです。
未経験でキャリアプランナーに。福祉とビジネスを両立させた環境を求めてGPへ
コロナ禍の影響から、旅行業界における自分の将来が見通しづらくなっていきました。そこで「福祉の経験、スキルを活かせる場所」を軸に、転職することを決めたんです。
そんな中で出会い、2021年に入社したのが、GPでした。入社理由は、大きく3つあります。
ひとつ目は、GPが福祉×人材というフィールドで主に事業を推進し、福祉とビジネスを両立させていること。福祉の領域は非営利をイメージしやすいですが、「利益が発生しなければ持続的発展は難しい」というのが私の考えです。その考えにGPはマッチしていました。さらに面接では、福祉とビジネスの両立のための具体的な活動も話してもらえたことで、より私の考えに合致している確信を持てました。
ふたつ目は、人材業の枠組みの中でも、就労移行や人材紹介など、業務に幅があること。福祉業界や人材の仕事はまったくの未経験でしたから、仕事が自分に合うかどうかは、入らないとわかりません。そこで、もし仕事が向いていなくて異なる仕事に挑戦するとなった場合に、違う選択肢を選べるようにするためにも、業務の幅広さは就職先を決める上での大きな判断材料でした。
みっつ目は、福祉の業界の中では事業規模が大きく、実績と歴史のある企業だったこと。わたしのなかで、障がい者雇用=GPのイメージが一定数あり、転職して働く上で安心感がありました。
入社後は、障がいのある求職者に企業を紹介するキャリアプランナーとして、新たなスタートを切りました。求職者のカウンセリングを行い、その方の希望や条件を確認した上で最適な企業を紹介し、応募書類作成のサポートや入社後のアフターフォローまでを担っています。
入社して前職との違いを感じたのは、さまざまな障がいのある方に接すること。障がいに応じて注意すべき点など、知識面でのキャッチアップは入社後にかなり努力しました。
また、キャリアプランナーの仕事は、求職者の方が入社して終わりではありません。就労後のキャリアにも寄り添っていきます。長期的な視点がより求められる仕事だと実感しています。
苦い経験も乗り越えながら、求職者の方の心に寄り添い、仕事を楽しむ
未経験の仕事に挑戦する中で、はじめのうちは、うまくいかなかった出来事もあります。
入社して半年が経ち、1人である程度業務を進められるようになった頃のこと。担当していた方から、カウンセリング終了後「私の気持ちに寄り添ってもらえていない。担当を変えてほしい」という話が問い合わせセンターに寄せられたんです。
その話を聞いてから、カウンセリングの場で「ああしたほうがいい。こうしたほうがいい」と、こちらの話ばかりしていたことに気がつきました。その時の私は、キャリアプランナーとして知識がついてきたころで、その知識を伝えることが先行して、相手の状況を見ようとする視点が欠けていたんです。
共感して知識を提供することも大切ですが、根本的に大切なのは、「この人の希望を叶えるためにはどうしたらいいのか」を考えること。それ以来、ご相談を受けるときは、何よりもまず「求職者の方がどうしたいのか、どう思っているのか」を聞いてから、その希望に添えるような行動をするようになりました。
こうした失敗からの学びを経て、印象に残っている出来事もあります。視覚障がいのある求職者を担当したときのことです。
その方は介護職一筋で働かれてきたのですが、症状が悪化したため転職する必要があり、「違う業界の異なる職種で働けるだろうか」と不安を抱えていらっしゃいました。
私は、カウンセリングする中で相手のお話を聞き、お気持ちに寄り添いつつも、キャリアプランナーとしてサポートする姿勢をお伝えしていきました。お話しする中では、介護事業所を運営した際にPC業務の経験があることを教えてくださったので、PCスキルアップ講座の受講を勧めたり、職務経歴書も一緒に作ったりしていきました。
すると、最終的にその方は、面接会で出会ったとある企業に入社が決定。とても喜ばれていて、後日、感謝のお言葉と今のお仕事の話が綴られた直筆のお手紙をいただきました。
ご本人の人生のターニングポイントで、しっかりと機会を提供できたと感じられたこの経験は、今も強く心に残っています。
GPで仕事をしていて一番やりがいを感じるのは、やはり、カウンセリングでお話を伺う時間。この人はどういう経験をしてきたんだろう、どういう人なんだろうと考えながら、その人の働くイメージを想像する時間が楽しいんです。
私たちの業務の中には、その人の強み、経験をどれだけ目に見える形で表現できるかを一緒に考えながら、採用で必要な書類を作るというものがあります。そのときに、「こういう経験があると、この企業さんも行けますよ」みたいに伝えると、候補者の方が、今まで話していなかった情報を教えてくれるときがあるんです。そういう話を引き出せたときは、自分の介在価値が感じられて楽しいです。
手話を活かして働く、ロールモデルのような存在になりたい
2022年10月現在、この会社で2年目を迎え、よりGPの魅力が見えてきました。
まず、一緒に働く方が、「世の中を変えたい」「困っている人を助けたい」「それに向かってこんな努力をしたい」という想いや志を持つ、ステキな人ばかりであること。それから、「この仕事をやりたい」といえる環境があって、個々人の意思を尊重してもらえること。
マネージャーとの業務を振り返る定期的な面談もあり、働いている社員の成長をしっかり見てくれているとも感じています。
私の今後の展望は、大きくふたつあります。
ひとつは、キャリアプランナーとして、これからも求職者の方に“機会提供”をしていくこと。
そのためには、受け入れ先となる企業側にどんなニーズがあり、採用するとどんなメリットがあるのかを理解することが欠かせません。とはいえ、プランナーが一番に寄り添うべきは、候補者の方。「その人にとっての良いサポートはなにか」と考えることは、常に意識していきたいです。
もうひとつは、手話を仕事にするロールモデルとなる存在になることです。
今、自分自身が一番力になれていると感じるのは、聴覚に障がいのある方と触れ合っている瞬間です。それは、未経験から始めて大学の4年間で身につけた手話が活きているから。
しかし、今、私みたいに手話を活かして通訳以外の形で働いている人はあまり多くありません。学生時代には、私よりも話せる人がたくさんいましたが、就職先で手話を使う機会がないために、健聴者で手話を話せる人が減っているんです。
手話サークルは実はいろいろな大学にあって、在籍している学生も本当にいっぱいいます。その人たちが、せっかく身につけた手話を活かせないのは、すごくもったいないこと。
聴覚に障がいのある方は、手話を使える健聴の人がいればいるほど生活しやすい環境になっていくと思います。また、手話を身につけて広げた交流が続いていくことは、その人の人生にもプラスなはず。
もっと手話を活かして働く人を増やしていくためにも、私自身が、ロールモデルになる存在になれたらいいなと思います。
