「障がい者の良き認知を進めること」こそ、ミッションの根底
私は2022年10月現在、atGP事業部の2グループを兼務しています。
ひとつは、「メディアグループ」。3〜4名が所属し、新しい形のメディアサービスを作っている部署です。新しいメディアサービス作りにおいては、「より多くの採用決定を生み出すこと」、そして既存のサービスでは「改善を重ねてより使いやすいサービスをつくること」がメインの視点です。こちらに自分の工数の7割ほどを充てています。
そしてもうひとつが、「事業サポートグループ」。7名が所属し、企業に入社された方の定着フォローや企業向けのコンサルティングサービスを行っています。私はシニアマネージャーとして、マネージャーをサポートしつつ、事業全体を見通すような立ち位置です。こちらの比重は3割ほどですね。
また、私は2016年頃から、障がい者雇用や採用など、さまざまなテーマを扱った企業向けのセミナーにも携わっています。より多くの企業に障害者雇用の正しい認知をしていただくことを目的にスタートしたセミナーです。規模は大規模~小規模までさまざまですが、小規模なセミナーだけでもすでに200社以上実施しました。
こうしたセミナーは年間10社程度のペースで開催し、現在も継続中です。もともとは企業様と新しく接点を持つためにスタートしたセミナーですが、私自身、大きな使命感を持って取り組んでいます。
なぜなら、障がい者雇用において最も重要なのは「正しい理解と知識」だからです。草の根運動的にしっかり企業側に広めていくことで、障がいのある方が働きやすい環境ができると信じています。
障がい者の良き認知を進めること──これは、GP創業後、最初に掲げたミッションでもあり、根底にある指針です。ですから、今後も継続的に発信していきたいですね。
学生の頃から抱き続けていた想い──社会的弱者の方に関わり支援したい
私は学生時代、法学部で法律を勉強し、検察官を目指していました。
当時、未成年者、いわゆる「少年」が関わるやり切れない事件が多数発生していたんです。私はこうした報道を見て「訴追する側として、被害に遭われた方々のやり切れない想いをなんとか満たしたい」、「おかしいと感じる制度を自ら正したい」と考えるようになったんです。その想いから司法試験に何度かチャレンジしましたが、残念ながら検察官の道は諦めることとなりました。
そして2004年、技術系の商社へ入社しました。ソリューション営業に従事し、10年目に転職を決意しました。自分に非がないのに社会的弱者になってしまった方々が、良い方向に向かうお手伝いをしたい──検察官への道は諦めたものの、そんな想いが自分の中に強く残り続けていたことも、転職を決意した大きな理由です。
この率直な想いを転職エージェントに伝えたところ、最初に紹介されたのがGPでした。障がいのある方は、まさに、自分に非がないのに社会的弱者・マイノリティになった方々。障がい者の就労を支援するという事業内容は、私の価値観・やりたいことにぴったり合致したのです。
また、GPのビジョン、クレド(従業員が心がける信条・行動指針)も素晴らしく、「ここしかない」と確信したため、他の企業は受けませんでした。
GPの選考中は「入社するために何が必要か」を軸に、障がい者雇用の書籍を読んで知識を入れたり、障がい者の方々が働いているカフェに足を運んだりしていました。そして2014年にGPへ入社することとなったんです。
入社後に教育係を担当してもらったのが、戸田 重央です。現在戸田は、広報室に所属し、障がい者総合研究所の所長も務めています。この出会いは、私にとって大きかったです。戸田の障がい者雇用に関する考え方に大きな影響を受け、私がGPで仕事をするベースとなっています。障がい者雇用の師匠と呼べる存在ですね。
企業から省庁まで──幅広い業務経験から得たノウハウと自信
GP入社直後は、一担当者として、企業の採用支援に携わりました。企業と候補者、双方の希望を考慮して、適切なマッチングをする役目です。
その後、新規開拓の専門部署が立ち上がり、そこで責任者となりました。この頃からお客様のニーズが多岐にわたるようになり、「採用外ニーズ」も増え始めたのです。
採用外ニーズとは、たとえば「障がい者雇用の理解を促したい」、「障がいのある方が働くポジションを作りたい」、「入社後、すぐに辞めてしまうことを防ぎたい」といった、企業が抱える課題解決に対するニーズのこと。私は「採用以外のニーズに応えるための専門サービスが必要だ」と考え、当時の上層部に提言したところ、コンサル室を作ることが決定し、マネージャーになったんです。
コンサル室でのマネージャー業務の後、私は営業部門に戻り、シニアマネージャーとなって現在に至ります。
GPでおよそ8年間にわたり障がい者雇用に携わっていますが、印象的な出来事もたくさんありました。たとえば企業から「1カ月半で40名採用したい」とご相談いただいたこともあります。とはいえ、GPが目指すのは、障がい者と企業が長期にわたって良い関係を結べるような責任あるマッチング。数を合わせるために誰でもいいからマッチングすることは絶対にしたくない。ですから、当時のチームメンバーも非常に尽力しました。
その結果、受け入れ企業側が体制をしっかり構築していたこともあり、短期間で目標人数の採用が実現。数年ほど経過した現在でも、離職者がほぼいないことは大きな喜びです。
当時チームには、想いが強く、自分の役割を意識して自ら動くメンバーが集まっていました。そんな頼もしいメンバーと難しいミッションに挑むため、チームではいつも夢を語り合い、同じビジョンを共有していました。そんなチームが一丸となって取り組み、成果を出せたことは良い思い出です。
また、中央省庁の採用支援に関わったことも、非常に大きな経験でした。具体的には、コンサル室のマネージャーとして、書類選考の代行や面接の同席のため日本全国を飛び回りました。日本各地で採用の慣習のほかさまざまな違いを知ることができ、非常に勉強になりましたね。また、全国を飛び回ったことで各地の支援機関とつながることもできたため、関係構築面でもプラスになったと考えています。
現在、コンサル室の役割は、形や一部目的を変え事業サポートグループが引き継いでいます。企業から省庁まで幅広く、さらには各々の採用外ニーズにまで対応できる点は私も自信を持っているポイントですし、GPの大きな強みです。
「長所を活かしたマッチング」をこれからも。障がい者の活躍の場をさらに広げたい
あくまでわたしの個人的な考えですが、障がい者雇用には2つのアプローチがあると思います。
ひとつは、企業が障がい者一人ひとりにあった職場環境を準備することができれば障がいのある方は安心して気持ちよく仕事することができます。視覚障がいで目が見えにくい、下肢障がいで足が不自由など、体のどこかが思い通りに機能しない場合、機能を引き上げるためのサポートやコンサルティングを実施するアプローチです。たとえば、近年目覚ましく進歩しているICT機器も、障がい者をサポートしてくれる存在です。採用にあたって、企業にはICT機器でのサポートを提案し、障がい者の方々が働きやすい環境を構築できるように推進しています。また、聴覚障がいで音の理解が難しければ視覚情報に頼るなど、機能する部分に頼ることもひとつのアプローチですね。
もうひとつは、機能の回復が難しい障がいのケースにおいて、障がいがある方の長所をしっかり企業にアピールするアプローチです。多くの障がい者と関わる中で気づいたのは、障がいは「機能不全」であって、いわゆる健常者にとっても遠い問題ではないということです。
健常者でも高齢になれば、目が見えにくくなったり聞こえにくくなったり、何らかの機能不全が出てきて聞こえにくければ補聴器をする、それって特別なことではないですよね。「得意・不得意」という観点からみれば、健常者・障がい者に関係なくあります。企業がアプローチの仕方を知らないことで障がい者雇用を難しくしている場合があります。まずは、障がいを知り理解することが重要です。だからこそ私は、障がい者雇用において「長所や、得意な部分をしっかりマッチングする」という視点を特に大切にしてきました。
この2軸で引き続き障がい者雇用にアプローチしていきたいです。 さらに今後は、メディアサービスをはたらくための選択肢を増やしてより多くの方々に使っていただけるように改善していきたいという目標があります。たとえば、現状のGPのメディアサービスでは 「今は働けない状態の方」や「短時間なら働ける方」など、一般就労の手前のステップの方々に対して選択肢をご提示できていません。
そこで、障がいのある方々が、ご自身の障がいの程度・スキルに応じた働き方を見つけられるプラットフォームがあればいいんじゃないかと。これを実現させることが目下の私の夢です。
それから、シニアマネージャーの立場として、GPの若い営業担当者に営業本来の楽しさややりがいを伝えたい。たとえば、コンサルティング的な提案を含む視野の広い営業ができれば、お客様のためになるし、自分の営業スキルも向上する──そんな良いスパイラルが生み出せる方法を伝えるために、これからのGPを担う営業の方々を下支えし、伴走したいと考えています。
障がい者には大きな可能性があり、もっと社会で活躍できるはず。私はそう信じて、日々の業務に携わっています。こうした想いをさまざまな人と共有しながら、前進していきたいですね。