「DXCの強み×生成AI」が持つ、大きな可能性
DXCは2024年2月、生成AIに特化した新しいチーム「Powered by GenAI部」を設立し、生成AIの事業化に乗り出しました。私は本事業の発足人であり、Powered by GenAI部のリーダーとして活動しています。
そんな私ですが、生成AIが世に現れた当初は、正直なところネガティブな思いを抱いていました。当時、私はテクニカルコンサルタントとしてお客様に最新テクノロジーの紹介や、それらを用いた課題解決のご提案をしていました。生成AIが登場した時もすぐに調査しましたが、プログラミングなどの人間の仕事を奪う技術なのだろうか……と漠然とした不安を覚えたんです。
ですが、あるお客様に生成AIの活用をご提案したことをきっかけに、私のその思いは変わりました。
そのお客様は、アプリケーション開発や運用・保守における品質・コスト・納期(QCD)の改善という課題をお持ちでした。私は「DXCのソフトウェアエンジニアリング技術と生成AIを組み合わせることで、その課題を解決できるのでは」と考え、生成AIを活用したソリューションをご提案しました。
お客様は私たちの提案を受け入れてくださり、まずPoC(プルーフ・オブ・コンセプト:概念実証)を実施したのですが、その結果は素晴らしいものでした。生産性が明確に向上し、お客様にたいへんご満足いただけたんです。
この結果を社内で共有すると大きな反響を呼び、他のお客様にも同様のソリューションをご提案していくことになりました。結果として、他の多くのお客様からも好評をいただき、「生成AIを活用して、この課題も解決できないか」と新しいご相談も受けるようになりました。
そうして、DXCのサービスと生成AIの組み合わせによるソリューションのご提案を積み重ねるうちに、私の生成AIに対する考え方は変わっていきました。「人間の仕事を奪うかもしれない」という漠然とした不安が、「積極的に活用することで、社会的な課題を解決できる技術のはずだ」という確信に変わったのです。
それと共に、DXCの強みと生成AIの組み合わせに大きな可能性を見出し、これを当社の新たな事業としたいと思い立ちました。事業計画を立案し、社長や経営陣から承認を受け、本事業のリーダーとして立ち上げに至ったんです。
人生の不思議──レガシーシステムの世界から、最新テクノロジーの世界へ
私は大学卒業後、広く社会に役立つ仕事がしたいと思い、ITエンジニアの道へ進みました。社会インフラを支えられるような仕事ができるのではと考えたからです。
米国システム開発企業の日本法人に就職した後、2004年にDXCの前身である日本ヒューレット・パッカードに入社。長く金融業界のお客様を担当し、お客様先に常駐する日々を10年ほど過ごしました。金融業界ではレガシーシステムが広く利用されていますが、私が担当していたお客様も同様でした。私がお客様に求められていたのは、金融業界の規制などに精通して業界知識を深めた上で、いかにレガシーシステムの中で課題を解決していくかということでした。そのため、当時は最新のテクノロジーについて勉強する機会がほとんどなく、クラウドの存在もしばらく知らなかったほどです。
そんな私に大きな転機が訪れたのが2017年のこと。それまではエンジニアとして個別のプロジェクトに従事していましたが、ADL(アカウントデリバリーリード)という職務に就き、特定のお客様に対するサービス提供の包括的なマネジメントを担当することになりました。お客様先だけでなく、自社内でも業務を行うようになったため、さまざまな部門の同僚との交流や情報交換が増えたんです。
とくに、CTO(最高技術責任者)の吉見や、最新テクノロジーに精通しているエンジニアたちとの会話は刺激的で、クラウドの存在も彼ら、彼女らと話す中で知りました。クラウドのことを初めて知った時は「何それ?そんなものが世の中に?」と本当に大きな衝撃を受けました。そして、最新テクノロジーを勉強する楽しさに目覚めたんです。
当時、担当していた金融業界のお客様の課題解決のために、新しいことをご提案したいと考えていたこともあり、そこからはクラウドやアジャイル開発など、最新のテクノロジーや方法論を取り入れたソリューションを次々とご提案しました。
結果的にいくつかのご提案を採用いただき、手応えを感じられたことが、その後のキャリアの方向性を決定付けました。最新テクノロジーを活用してより多くのお客様の課題解決に貢献していきたいと思うようになり、テクニカルコンサルタントにキャリアチェンジしたのです。そして金融業界のみならず、さまざまなお客様に最新テクノロジーを紹介・提案していくことになりました。
そんな中、先述した通り、DXCのサービスと生成AIの組み合わせに大きな可能性を見出し、社会的な課題の解決に貢献したいという思いから、生成AI関連事業を立ち上げることに。レガシーシステムに囲まれていた時は、自分がこんなキャリアを歩むとはまったく想像していませんでした。人生、何が起きるかわからないものです。
生成AI関連事業に対する、圧倒されるような周りからの期待
DXCの生成AI関連事業に対しては、お客様からも、そして社内からも大きな関心が寄せられています。
生成AIは企業経営の視点からも注目されており、事業計画書に生成AIを活用したDX推進を盛り込む企業も少なくありません。経営層から現場の方まで幅広い立場のお客様との会話の中で、「DXCはどのように生成AIを活用して私たちの課題を解決してくれるのか」という大きな期待をひしひしと感じます。正直、圧倒されるほどです。
社内からは、新規事業としてDXCのビジネス成長への貢献を期待されていることはもちろんですが、世界的に大きなインパクトを持つ最新技術ですから、日常的に情報共有やアドバイスなども求められ、関心の高さがうかがえます。
これほどまでに強く期待されることに少なからずプレッシャーも感じていますが、重責を承知の上で本事業を発足しました。期待にしっかりと応えていくため、日々精一杯活動しています。
一般的にITテクノロジーの進化は速いですが、その中でも生成AIの進化のスピードは突出しています。当社の生成AI関連事業を強くしていくためには、いち早く生成AIの進化に追いつき、タイムリーに活用していくことが必要です。そのためには、Powered by GenAI部のエンジニアだけでなく、会社全体で持っている生成AIの知識を集約していく必要があると考え、生成AIのCoE(Center of Excellence)も立ち上げました。社内には、生成AIについて調査し、学んでいるエンジニアたちが多くいます。そんな社員たちの知識を集約し、共有して評価していく。全社横断的に生成AIに取り組む体制を作り、事業を推進しています。
生成AIをタイムリーに実装し、日本の課題解決に寄与したい
「Powered by GenAI」という部門名は、大きな思いを込めて私が命名しました。DXCは、アプリケーションからインフラまで、世界的に競争力のあるさまざまなITサービスを提供しています。ここに生成AIを組み合わせることで、より強力にお客様のDXをご支援するサービスが実現できると考えています。生成AIでDXCのサービスをパワーアップさせたい、さらには課題解決に取り組むお客様もパワーアップさせたいという思いを、「Powered by GenAI」という言葉に込めています。
Powered by GenAI部は立ち上がったばかりですので、人材も社内外から集めているところです。また、社内の各部と連携し、DXCのサービスと生成AIをどのように組み合わせればパワーアップできるかについて日々話し合い、お客様への提案活動を進めています。
経済産業省が「2025年の崖」について提起したのは2018年のことですが、2025年の到来が差し迫った今でも、多くの日本のお客様が巨大なレガシーシステムの前に立ちすくみ、思ったように変革を進められていない状況です。当社が得意とするITモダナイゼーションに生成AIを組み合わせることで、日本のそうした状況を打破するための革新的な取り組みに貢献したいと考えています。
生成AIに限らず、テクノロジーはどれも単なるひとつの道具に過ぎず、それだけで課題は解決できません。生成AIの知識に加えて、アプリケーションからインフラまで、生成AIを組み合わせる相手となるさまざまな技術の知識、さらには企業におけるIT運用やビジネスに関わる知識なども駆使して独自のアイデアを生み出し、ソリューションを作り出していく必要があります。お客様の課題、ひいては日本の課題を解決していくためには、さまざまな知識を持ったメンバーが集まり、チーム一丸となって立ち向かわなければなりません。
「生成AI技術を駆使して、革新的なソリューションを提供するチームの一員になるぞ!」という意欲に満ち溢れた方と共に進んでいくことを、楽しみにしています。
※ 記載内容は2024年6月時点のものです
