技術から人材育成まで幅広い領域をカバーしつつ、独自の企業文化を醸成

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私は、CTO(Chief Technology Officer)for Japanとして、DXCテクノロジー・ジャパン(以下、DXC)の全業種・全サービスを対象とした技術的な企画・運営をしています。また、お客様のシニアマネジメント層、CXOに向けた提案も私の役割のひとつです。

さらに、お客様と共に先端的な取り組みを進める場であるデジタル工房の運営や管理のほか、社内外の人材交流や育成、社外発信などにも携わっています。

デジタル工房には、移動ロボット、VR/MR、スマートスピーカーなど、さまざまなデバイスを置いています。新しい道具で可能性が広がり、以前は考えつかなかったモノを作るかのように、アイデアやシナリオを、実プロジェクトへと発展させるきっかけの場にしています。実プロジェクトの他にも、デザイン思考の社内トレーニングプログラムや、学生さん向けのインターンシップも実施しています。

加えて、CTOの役割として重点を置いているのが、DXC──しかも日本ならではの文化の醸成です。多様性を持ちながら社員が互いを尊重し、成長に向かって全体が力強く進む企業文化を大事にしています。

DXCは2017年にふたつの企業が合併して誕生しました。設立当初のDXCはオペレーションやプロセスを自分たちなりに作る必要があり、まさに「破壊と創造」的な状況でした。大変な時期ゆえに「なぜ企業文化の醸成が必要か」を自分事として捉えることができました。そうそうない稀有な経験で、企業文化の必要性を切実に感じ 、以来、組織の成長のため必須のものとして作り上げてきました。

それゆえに、新入社員向けの初日オリエンテーションでは、企業文化と継続した醸成の説明に、背景や必要性を交えて多くの時間を割いています。

新しい分野への挑戦、謙虚な姿勢、チームワーク。キャリアを通じて学んだ成長の原則

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▲ 書籍『キャズム』で著名なジェフリー・ムーア氏を招いた2016年のイベントにて

私がIT業界に関わり始めたきっかけは、大学院の博士課程での研究のかたわら、外資系ソフトウェア企業で契約社員として働き出したこと。担当業務は、博士論文の研究テーマとも近く、理論を大学で学び、実践を企業で経験するという良い組み合わせでした。分野のおもしろさ・楽しさに惹かれて、卒業後はIT業界でエンジニアとしてキャリアをスタートさせました。

最初は製造業のサプライチェーンマネジメントのプロジェクトに入り、設計からテスト・リリースまでひと通り経験した後、設計・開発業務向けITの領域に異動を願い出ました。私の話し方や、ちょっと変わった視点を評価され、要件定義などいわゆる上流工程を中心に担当するようになりました。お客様から感謝状を頂戴したり、社内でも表彰されたりして手応えを感じていたころ、営業と一緒にビジネスを開拓する役割も任されました。

しかし、リーマンショックに伴う景気後退が大きな転機になりました。得意としていた領域の仕事が減り、まったく毛色の違うカーナビゲーションシステム、しかも通信に関わる仕事を打診されたのです。

以前なら「私には難しく荷が重いです」と言っていた新分野に、飛び込まざるをえなくなったわけです。必死になって調べたり先輩に尋ねたりして理解と興味を深めた結果、その仕事は自分のキャリアを大きく前進させることになりました。この経験が「新たなことに挑戦し『好きなことを増やす』と成長につながる」という、今でも大切にしている価値観になっています。

また、学ぶ姿勢の大切さを当時の上司から教えられたことも大きな収穫でした。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」が口癖の上司のもとで、周囲からの厳しいアドバイスも素直かつ誠実に受け止めるようにしました。すると成果も付いてくるようになり、自分の姿勢や、問われている本質を見直す良い改善サイクルになっていたと思います。

私はこれまで本当に素晴らしい上司や同僚に恵まれてきました。振り返って強く感じるのは、チームワークの大切さです。多くの方が私を支えてくださったように、私も同僚や後輩の支えの一助になりたいと思っています。誰もが気軽に声をかけやすいように、席のあるデジタル工房のドアは開けておくようにしています。また、一日数回はオフィスを歩き回って、気になった方に声をかけています。

CTOは通常、技術の最高責任者を指しますが、私がめざすのはチーフ「テクノロジーモチベーション」オフィサー。テクノロジーを起点として社員をモチベートしていくような存在でありたいと思っています。

テクノロジーの重要性は近年増々高まっています。しかし、あくまで手段であることを忘れたくありません。テクノロジーを使ってお客様や社員が笑ったり、楽しくなったり幸せになることに、今後も注力していきたいです。

部門間の垣根が低く、イノベーションが生まれやすいDXCの環境

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▲2023年の新入社員研修

DXCの設立後、CTOに着任し仕事の幅がさらに広がりました。製造業向けの提案や業務分析だけでなく、会社全体を見る立場として、これまで他の方が担っていた業種にも関わるようになったためです。

また、社内外の研修や講習では、自らの経験から「T型人財をゴールにせず、Π(パイ)型人財をめざしてほしい」とよく話しています。Π型人財とは、異なった2種類以上の専門知識を持つ人財のこと。なるべく離れたふたつ以上の専門分野のスキルを高めることで、専門性の組み合わせがイノベーションを生み出すと考えています。

DXCは、まさにこれを実現しやすい環境です。ほど良い企業規模でありながら、ITサービスをフルスペクトルで揃えており、複数の専門分野に携わることができます。

PC管理、クラウド・データセンター運用、アプリケーションの開発と運用、セキュリティなど、お客様が求めるさまざまなITサービスを、巨大な企業規模ではないにも関わらず、フルスペクトルで揃えている企業は、実はそう多くありません。

その上、ハードウェアやソフトウェアの制約がないため、広いパートナーシップを生かした最適な組み合わせで、お客様の課題解決に向き合えます。自由度の高い環境で、専門家同士が幅広く協力し合える関係がDXCの特徴であり、大きな強みのひとつです。

このしなやかさを生かして、お客様に良いサービスを提供し、社員が輝くことができるように、社内外の横連携を今後も担っていきたいと考えています。

DXCならでは、個人と組織の成長を

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DXCは、ここまですさまじい速度で成長してきました。安定したビジネス基盤に加え、創立7年目の比較的新しい会社として、新しい挑戦に対して前向きなベンチャー気質を兼ね備えているところに、私たちの競争優位性があると考えています。

未来の姿を想像してください。きっと挑戦しがいのある会社だと思っていただけるはずです。個人の成長が組織の成長と直結しているのも、DXCならではだと思います。

安定した大きな企業でキャリアを積むのも選択肢のひとつです。一方、小規模なビジネスから始まるスタートアップで、自分が会社と共に成長していく実感が得られることには、代えがたい喜びがあるのだろうと思います。

DXCは、大規模なビジネスでスタートアップのような成長を体感できる、いいとこ取りの環境と考えています。われわれのお客さまが解決したいと考えているのは、マンモスのような大きい課題であることがほとんどです。ネズミやウサギであればひとりでも捕まえることができますが、マンモスを攻略するためにはチームプレーが欠かせません。協調性を重視しながらうまく役割分担できることが極めて大事です。

実際、社内には前向きに協調するマインドを持っている社員が活躍していますし、これから入社いただく方にも同じビジョンを共有してもらいたいです。

入社を機に、新しい領域に挑戦したいと考えている方も大歓迎です。すでに社員の半数以上がDXC設立後に入社した社員です。フロントオフィスしかりバックオフィスしかり、既存の制度や仕組みにとらわれることなく、これまで経験したことのない仕事でも積極的に取り組んで、さらなる個人の成長につなげていただきたいです。それが、組織の成長につながります。

現在、日本でDXCはそれほど知られていないかもしれません。しかし、5年後、10年後の未来に、「創世記のDXCにいたの?すごいね」と言われることが、私の夢です。これから私たちと共に、未来と歴史をつくっていきたい!と思う方と、ぜひ一緒に働きたいですね。

※ 取材内容は2023年5月時点のものです