製薬業界のお客様を通して医薬品の安全を守る
私の担当する「ライフサイエンス&ヘルステック デリバリー」部門では、製薬業界のお客様に、主にGxP(Good x Practice)と呼ばれる規制、ガイドラインに沿ったソリューションを提供しています。
自社IP製品の安全性情報管理システムClinicalWorks/ADRが主力ソリューションであり、これは医薬品の副作用に代表される安全性情報の評価、伝達などを担う安全管理基盤の1つです。最近では(2022年10月現在)新型コロナウイルス用のワクチンの副反応管理にも、そのノウハウを活用しました。
人の命や健康にかかわる点でシステムに高い信頼性が求められることから、CSV(Computerized System Validation)というコンピュータ化システムのバリデーション活動として、開発プロセスの適格性、妥当性の検証と文書化が求められる点も特徴の1つです。
部門メンバーは、東京と大阪に在籍しており、オフショアで開発を行う大連を含めた3拠点で協業し、製品開発やプロジェクトを進めています。
専門性の高い複雑な症例データを扱うことから、もともとシニアメンバーの多い成熟したチームでしたが、近年は続々と若手メンバーが参入し、活気溢れるムードへと成長しています。規制やガイドラインの厳しいお客様の業務領域に対して、最新テクノロジーを駆使したソリューションを開発・適用するために、チーム一丸となって取り組んでいます。
その中で私は、部門マネージャーとして複数のプロジェクトを統括するだけではなく、メンバーの可能性を引き出すために個々人を知り、適切な距離感で向き合うピープルマネジメント、状況に応じて他部署とリソース調整などを行う部署全体のリソースマネジメントを行います。
私たちの部門では常に50件前後のプロジェクトが走っており、それらの計画・実行時にレビューを実施し、適切なサービス提供を推進します。
大切にしている価値観は「仕事を通じた社会貢献」
1991年に新卒で入社すると、化学品メーカーのお客様向けプロジェクトで設計、開発、テストを経験し、ITエンジニアとしてキャリアをスタートしました。そのあと、1994年から安全性情報管理システム“ClinicalWorks”の黎明期を経て、一貫して製薬R&D(研究開発部門)のお客様向けプロジェクトに携わっています。
役割としてはプロジェクト内のチームリーダーからプロジェクトマネージャー、バリデーション活動を担い、2019年から現職となります。
私たちの担当する製薬業界のお客様のプロジェクトは、医薬品を必要としている方に、速やかに提供できる環境を整備すること、医薬品の有効性や安全性をしっかり確保することを主な目的としています。ITシステムでその目的を達成し、製薬業界に貢献することは、ひいては人々の健康な暮らしに役立つことになります。
この「仕事を通じた社会貢献」を考えるきっかけは、お客様とのコミュニケーションを介して、お客様の業務やその意義を深く知ったことでした。
最近では新型コロナウイルス感染症への対応に接して、この想いをさらに強くしています。ワクチンの副反応症例の管理はもちろん、緊急性の高いワクチンや治療薬の特例承認のためにも、薬の安全管理基盤は不可欠だからです。
※こちらもあわせてご覧ください※
・第4回【身近なところにDXC】“クスリのリスク”を管理し、医療の安全を支え続ける26年の実績
・【身近なところにDXC】特別篇:新型コロナとClinicalWorks/ADR-新型コロナの脅威と戦う現場を支える、ワクチンの安全性情報管理
数十に及ぶ、国をまたいだステークホルダーの合意形成に苦心したことも
過去に携わったプロジェクトで印象深いのは、企業の合併に伴いグローバル規模で申請文書管理システムを刷新するプロジェクトです。
このプロジェクトはコンサルテーション、システム開発、ITインフラ構築のうち、とくにコンサルテーションの比率が高い案件でした。具体的な業務はお客様プロジェクトのビジネス、 IT、 管理者、 PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)などの各ワーキングチームにメンバーをアサインし、それぞれのタスクをDXCメンバーがリードしながら成果を出す形で進められました。
日米欧3つの地域に展開したお客様の合意形成をリードするのは、本当に苦労しました。この役割はITシステム構築とともに、当初から私たちに期待されていたものでしたが、かなりのチャレンジでした。薬事部門、臨床開発、非臨床の各種研究所を筆頭に、ステークホルダーとなるユーザー部門はグローバルで数十に及ぶ規模だったことに加えて、業務プロセス設計の協議では部門間で意見がまとまらず、その調整に苦心しました。
プロジェクト開始時は、本当にこれほど専門性の高い仕事を完遂できるのかという不安もありましたが、1つずつ課題解決を積み重ねることで、最終的にはお客様とベンダーで区別のないOne Teamとなり、すべてのメンバーがそれぞれ担当タスクを完遂し、プロジェクトを成功に導くことができました。
このプロジェクトではお客様ビジネスへの貢献に加え、参加したメンバーがそれぞれ、チャレンジを経て格段にスキルアップしたことが大きな成果となりました。
他にも、他社システムの導入を途中で断念したお客様からClinicalWorksのシステム導入でリベンジする「失敗できないプロジェクト」の依頼を受けたことがあります。
18カ月にわたるプロジェクトを初期計画通りに完了させ、お客様から賛辞の言葉をいただいた際は、まさにマネージャー冥利に尽きる想いでした。
今は、配下の部門メンバーがチャレンジして成果をあげることを何よりの喜びに感じています。
目下の課題はシニアメンバーの専門性を次世代に継承すること
当部門に在籍している多くのシニアメンバーの専門性を、適切に若手メンバーに継承することが目下のチーム課題です。目先の複雑なタスクはシニアメンバーが実施した方が短期的には効率が良いですが、長い目で見ると、それではたくさんの経験を必要とする若手メンバーのキャリアアップにつながりません。
こういったバランス、またメンバーのキャリア志向にも配慮しながら、専門性の高いITコンサルタント、業務コンサルタント、プロジェクトマネージャーを育成し、部門マネージャーとして組織を持続的に成長させたいと思っています。
そして、製薬企業のGxPシステムに代表される、複雑かつ高度な信頼性を求められるシステムを構築し、担当するお客様に安心してもらえるチームをつくることで、より広範なお客様のビジネスに貢献していきたいと考えています。
