正確で綿密な計画は、日々のコミュニケーションから
2013年に大和ライフネクストに入社して以来、マンション事業本部 長期修繕計画課に所属し、マンションにおける長期修繕計画の作成・更新を担当する松本。
「私たち長期修繕計画課では、お客さまの大切な資産であるマンションを将来にわたって安全にご利用いただけるように、必要と想定される工事のおおよその時期や概算費用を明確化し、計画的に工事を行うための目安となる長期修繕計画を作成しています。また、一度作成した計画は工事実績を反映して毎年更新しています。
長期修繕計画はマンションごとの状況に合わせて作成されるため、大和ライフネクストが管理する約4,000棟のマンションにまったく同じ計画は一つとしてありません。私たちは各マンションの状況と丁寧に向き合いながら、一つひとつの計画を完成させています」
マンション管理における「設計図」ともいえる長期修繕計画は、各工程で念入りなチェックを繰り返しながら作成します。
「長期修繕計画の作成は、大きく分けて3つの工程があります。まず、建築図面や設備図、修繕履歴などの資料を調査し、計画作成に必要な情報を収集・整理します。次に、これらの情報に当社独自の単価を掛け合わせて修繕項目ごとの設定金額を算出します 。最後に、その予算書を長期修繕計画のフォーマットに反映させます。
各工程が完了した後は、別のメンバーがダブルチェックを行います。これを3工程すべてで実施するため、一つの計画書に最大で6名が関わります。私はチェック業務も多く担当していますが、チェックと言っても、自分で同じ工程をやり直すくらいの気持ちで細部まで見るようにしています。
長期修繕計画の品質はマンションの寿命に大きく関わる部分なので、このように万全のチェック体制を整えていることは当社の強みの一つであると思います」
また、こうした緻密なプロセスを支えているのは、チーム内での日常的なコミュニケーションだと言います。
「各工程における作業は各自が集中して取り組みますが、最終的には互いの作業をチェックし合い一つの計画を完成させるため、チームワークが不可欠な業務でもあります。当課では進捗状況はこまめに共有し、業務が立て込んだ際には声をかけ合って助け合う風土が根付いているので、非常に働きやすいと感じます。
また、メンバーは基本的に同じ業務をベースに働いているため、少しの疑問点でも気兼ねなく周りに相談でき、『これやったことある?』などといったコミュニケーションが自然と生まれる環境です。女性社員も多く、職場はいつも明るい雰囲気に包まれていますね」
“謎解き力”が導く、建物の未来
もともとマンション管理に興味があったわけではないと話す松本。これまでのキャリアを振り返ります。
「前職では、オフィス家具に関わる事務業務に従事していました。CAD(製図ツール)を使った設計や積算業務を主に担当しており、工事管理を担当するメンバーのサポートも一部行っていました。
その後、キャリアアップをめざして転職サイトに登録し、そこで大和ライフネクストを紹介していただきました。とくに職種や業界にこだわりがあったわけではなかったので、ご縁をいただいたこの会社で挑戦してみようと思ったんです。
入社後は、前職で図面を扱っていた経験が考慮されて、現在の長期修繕計画課に配属されました」
配属直後は、まったく未知の分野に戸惑いながらも、日々の業務で着実に知識とスキルを積み重ねていきました。
「長期修繕計画は築年数が増えるほど工事履歴が増え、計画自体が複雑になります。そのため、まずは工事実績が少なく比較的難易度の低い計画から経験を積み、徐々に難易度の高い計画へとステップアップしていきました。
もともと建築やマンションに関する知識があったわけではありませんでしたが、細かい作業は好きな方だったので、図面や資料を照らし合わせながら行うこの業務は自分に合っていると感じました」
数多くの計画を手がける中では、一筋縄ではいかないケースに直面することもあると言います。
「長期修繕計画を担当するにあたっては、防水や給水設備などマンション全般に関する知識が不可欠です。しかし、この仕事で何より重要なのは、図面や各種資料からマンションの現状を正確に読み解く力だと考えています。
たとえば、築50年を迎えるタイミングで当社に管理会社がリプレイス(変更)されたマンションでは、手書きの図面しか残っておらず、過去の見積書などの資料が一部欠落しているケースがありました。こうしたケースはとくに難易度が高く、検討に2週間ほどかかることもあります。さらに、図面に記載された内容がその後の工事で大きく変化していることも珍しくありません。
一方で新築マンションの場合には、これまでに見たことのないような最新式の設備や仕様が導入されている場合があり、まずはその下調べから始めなければならないこともあります。
このように、さまざまな資料を照合しながら手がかりを集める作業は、まるで謎解きのようだと感じます」
業務のデジタル基盤を整えるプロジェクトを完遂
入社後から現在に至るまで、長期修繕計画業務を専門にキャリアを築いてきた松本。とくに印象深い仕事を振り返ります。
「2018年から2020年にかけて、長期修繕計画業務を全面的に電子化するプロジェクトを担当しました。当時の業務は紙に依存している部分も多かったため、約2年をかけた抜本的な見直し作業となりました。
まずは、日々の計画作成や更新作業に支障をきたさないよう細心の注意を払いながら、紙で蓄積された膨大な資料を効率的にデジタル化するスケジュールを策定しました。あわせて、業務フロー全体の洗い出しを行い、各工程をシステム化する最適な方法を関係者と協議しながら進めていきました」
このプロジェクトには多くの苦労がありましたが、現在の働きやすさにつながる経験だったと松本は振り返ります。
「メンバーの意見を取りまとめるのにはすごく苦労しましたが、今後の業務に大きく影響する内容だったため根気強く話し合いを重ね、最終的には大きなトラブルなくデジタル化を完遂することができました。
コロナ禍により移動が制限された時期も、当時整備した基盤のおかげでスムーズにリモートワーク体制へ移行でき、あのときの苦労が報われた思いがしました。現在では、適宜リモートワークを取り入れた柔軟な働き方が定着しています」
また、デジタル基盤が確立していること以外にも、大和ライフネクストならではの強みがあると言います。
「長期修繕計画は一般的に5年に一度程度の見直しが推奨されているのですが、当社では工事実績と今後の工事予定を毎年計画に反映しています。これは、マンションの現状を迅速に反映し、正確に把握することが、修繕積立金を適切に運用するうえで欠かせないと考えているためです。4,000棟分もの計画を毎年更新するというのは大きな労力を伴うことですが、これを徹底することが当社の最大の特徴です。
また、国土交通省のガイドラインをベースに、これまでの管理データを分析・蓄積して得られたノウハウを活用した当社独自の書式を採用しています。これによって、現場の実状に即したより現実的な計画をご提供することができます」
社会の潮流を読み解き、最適な計画を
現在、築年数の長い難易度の高い計画を率先して担当し、新しいメンバーの教育を担うことで、長期修繕計画課をけん引する松本。そんな松本が長期修繕計画を表す際によく使う言葉があります。
「長期修繕計画課ではよく“長期修繕計画は生き物だ”と言います。これは、一度作った計画も生き物のように刻々と変化し続けるものだということを意味しています。長期修繕計画は作成して終わりではなく、定期的に見直し、更新していかなければなりません。
また、最近では物価変動が著しく、作成からまだそこまで時間が経っていない計画であっても、実際には金額が上がっていることが珍しくありません。周囲の状況によって刻一刻と変化するという点でも、“生き物”という表現がぴったりなんです」
また、松本は仕事をする上で大切にしていることがあると言います。
「これは私だけではなく課全体で意識していることですが、資料を“残す”ことを常に心がけています。私たちが作った計画が真価を発揮するのは10年後や20年後です。実際に寄せられる問い合わせも、作ったばかりの計画ではなく、10年以上前に策定した計画に関することが大半です。
長期修繕計画には“正解”は存在しません。だからこそ、計画上の数字がどのような考えに基づき、どのように算出されたのかを、担当が変わっても把握できるようシステム上で詳細に記録するようにしています」
最後に、今後の目標について聞きました。
「これからも今の仕事にしっかり取り組んでいきたいと思います。
私自身、人前で話すのは得意ではありませんが、図面や議案書の資料を並べて一つの答えを導き出すプロセスはおもしろく、自分の能力を最大限に発揮できる場だと考えています。また、難易度の高い計画が完成したときの達成感は大きく、仕事のやりがいにつながっています。
最近では、高経年マンションの問題がニュースなどでたびたび取り上げられるようになり、長期修繕計画への関心が一段と高まっていると実感しています。当社が管理するマンションも築年数を重ね、1件あたりにかける検討時間も増加傾向にありますが、仲間と密にコミュニケーションを重ねながら、より精度の高い計画を作っていけるよう努めていきたいと思います」
一つひとつの計画と真摯に向き合い、ときには謎解きのように思考を巡らせながら建物の未来を描く松本。これからも長期修繕計画を通じて、マンションとそこに住む人々の暮らしに貢献していきます。
※ 記載内容は2025年7月時点のものです
