個性に寄り添うマネジメントへの挑戦
大和ライフプラスは、障がい者雇用のいっそうの安定および、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの就業環境を叶えるため、2011年2月に大和ライフネクストの特例子会社として設立されました。
主な事業は、書類を電子データへと変換する「電子化業務」、アンケートの集計や各種システムへの入力を担う「入力業務」、印刷から加工、発送までをワンストップで提供する「印刷業務」です。
2014年に大和ライフプラスに入社した宇田川は、電子化・入力・印刷の各チームをすべて歴任し、2020年からは課長職に抜擢。現在は各チームにおける業務フローの策定と、人材定着に向けたマネジメントを担当しています。
「実を言うと、聴覚に障がいのある自分には、メンバーをマネジメントする立場を務められないだろうと思っていたんです。それでも、声をかけてもらった瞬間、戸惑いと同時に自分にもできるかもしれないといった期待が湧き上がってくるのを感じました。
将来の可能性を広げるチャンスだと捉え、試行錯誤を重ねながらではありますが、強い使命感とやりがいをもって日々取り組んでいます」
そんな宇田川には、課長として最も大切にしている信念があります。
「私の仕事は一人ひとりのメンバーと丁寧に向き合うこと、これに尽きると思っています。変化がみられた社員には必ず声をかけ、定期的な1on1面談を実施してそれぞれの個性や仕事の状況を細かく把握し、最適なサポートを提供できるよう努めています。
また、かつて私も感じていたように、障がいを持つメンバーの中には働く自信を持ちづらいという人もいます。だからこそ一人ひとりの成果を、件数や売上などの数字を用いて可視化し、それが会社全体の成果につながっていることをしっかりと伝えるようにしています。
さらに今期からは、各メンバーに『1年後に実現したい姿』を“夢”として掲げてもらい、オフィス内に掲示する取り組みを始めました。これによって、仕事のペースやスタイルが異なるメンバー同士でも目標意識を共有し、互いを励まし合う風土づくりにつなげています」
「できない」を「どうやるか」に変える企業文化
今では大和ライフプラスの中核を担う宇田川ですが、かつてはまったく異なるキャリアをめざしていました。
「中学生のころから難聴の症状があり、日常生活に生きづらさを感じていました。周りの助けを借りなければならない場面も多かったことから、今度は自分にできることでほかの誰かの役に立ちたいという思いが芽生え、自然と福祉の道を志すようになりました。
その後は約14年間、介護の現場で働きました。勤務のかたわら数年間、夜間の専門学校に通い、ケアマネージャーの資格を取得してキャリアアップを図りましたが、難聴はしだいに悪化し、このまま同じ道を歩み続けるのは難しいと感じるようになりました。そして2人目の子どもが生まれたタイミングで、長く安定して働ける環境を求めて転職を決意しました」
中でも大和ライフプラスとの面接はとくに印象的だったと、宇田川は当時を振り返ります。
「エージェント経由で複数の会社を紹介され、大和ライフプラスはそのうちの1社でした。
当時は、このインタビューでも使用している文字起こしツールなどの周辺機器がまだ普及しておらず、コミュニケーションには少なからずハードルを感じていました。そんな中、大和ライフプラスの面接では『普段の会話は筆談でもできるし、会議の内容は文章で伝達するから、心配しなくて大丈夫だよ』と言っていただき、その言葉が今でも印象に残っています。
また、面接で出会った大和ライフプラスの皆さんの朗らかな雰囲気と、仕事への高いモチベーションに触れ、この会社なら自分も新たな挑戦できると確信し、入社を決めました」
入社後、大和ライフプラスの風土に触れたことで、思いがけない気づきがあったと宇田川は言います。
「これまでのキャリアでは『電話ができないならこの仕事はできないね』と言われ、障がいを理由に諦めざるを得ない場面が何度もありました。一方で、大和ライフプラスには『障がいがあるからできない』ではなく『どうすればできるようになるかを一緒に考えよう』という文化が根付いており、その前向きな姿勢に大きな衝撃を受けました。
現在は、文字起こしツールの活用や周囲の配慮によって多くの障壁が軽減され、業務の幅は年々広がっています。『ここは宇田川さんに任せるよ』『これも宇田川さんにお願いしたい』と声をかけてもらえる機会が増え、会社からの期待や信頼を実感するたびに、大きなやりがいを感じています」
空間デザインと工程分解で引き出すメンバーの力
宇田川は、2024年11月に新設された錦糸町オフィスの責任者を務めています。
「当社では従来より『モチベーションオフィス』を掲げ、社員一人ひとりが快適に働ける環境づくりに取り組んでいます。昨年完成したこの錦糸町オフィスでは、メンバーから寄せられた声を反映してさらにブラッシュアップを図りました。
その一環として設置した『ナップスペース』は、長時間のデスクワークで疲れた心身をリセットし、集中力を取り戻すためのリフレッシュエリアです。聴覚過敏のある社員にも配慮し、周囲の視線や音を遮る仕切りを設け、内部にはリラックスチェアを設置しています。
エントランスを入ってすぐの中央スペースは、打ち合わせやランチタイムに気軽に集える多目的エリアです。緑をベースにまとめた明るいデザインはこのオフィスのシンボルで、部署や年次を超えた交流が生まれる場となっています。その奥には、長時間の座り作業による腰への負担を軽減するため、立ったままの作業がしやすいハイカウンターも設置しました。
新しいオフィスに代わって半年がすでに経ちましたが、メンバーからは『雰囲気が明るくなった』『別のチームとのコミュニケーションがとりやすくなった』といった声も寄せられています」
宇田川がこだわる「働きやすい環境づくり」は、ハード面にとどまりません。
「私が今最も力を入れているのは、メンバーのパフォーマンスを最大化する業務フローの創出です。
具体的には、グループ会社や関連会社へのヒアリングを通じて新たに発生する案件を把握し、『工程分解』と呼ばれる手法で一つの業務をいくつかのステップに細分化します。その上で、各工程に求められるスキルや特性に応じてメンバーを配置し、工程ごとに最適化を図ります。業務を一度分解して再構築することで、1人では完了が難しい業務もチームで遂行し、高いパフォーマンスを発揮できる体制を築いています。
また、大和ライフプラスの強みは『ミスの少なさ』にあります。工程ごとにミスを徹底的に防ぐための仕組みを整えるとともに、メンバー一人ひとりが“ミスゼロ”を目標に掲げ、責任感を持って日々前向きに取り組む姿勢が、お客さまからの信頼と評価につながっています」
多様性の中で育む、笑顔とやりがいの職場
入社から約10年が経ち、宇田川は大和ライフプラスの成長を肌で感じています。
「入社当初は社員数が30名ほどでしたが、現在は70名規模にまで拡大し、若手から還暦を迎えるベテランまで、幅広い世代がそろう組織になりました。
規模が大きくなるにつれて、以前までは無意識のうちに全社に行き渡っていた情報が伝わりにくくなる場面も増えています。そのため、情報共有の仕組みをこれまで以上に意識し、意図的に整備していく必要性を実感しています」
宇田川にとって日々の原動力となっているのは、会社で働く仲間の存在だと語ります。
「メンバーが昇級したり、新たな役割を担ったりすると心からうれしく感じます。とくに、自分が責任者を務めるこのオフィスから会社の未来を担う人材が育っていく姿には大きな励みをもらえます。
どんなに立場が変わっても、初心を忘れず謙虚で思いやりのあるコミュニケーションを重ねることが、明るく前向きな職場を維持する鍵だと考えています。メンバーに負けじと私自身も成長を続けながら、チームや会社にとってプラスとなることをこれからも模索していきたいと思います」
最後に、今後の目標について聞きました。
「入社以来ずっと尊敬している上司がいます。その人は常に一人ひとりと真正面から向き合い、任せるべきところでは裁量を与え、必要なタイミングで的確なアドバイスをくれます。初めて話したときは『こんなに素晴らしいリーダーがいるのか』と感銘を受けましたし、いずれは自分もそんなリーダーになりたいと心に決めました。
私自身は管理職としてまだ手探りの部分も多いですが、障がいの有無に関わらずやりがいを感じながら長く安心して活躍できる環境を築き、それを次世代へと受け継いでいくことこそが、私に課せられた最大のミッションだと考えています。私たちの仕事が正当に評価され、社会にいっそう必要とされるように、これからも全力で取り組んでいきたいと思います」
一人ひとりの個性に丁寧に向き合い、多様性を強みに変えるマネジメントに取り組む宇田川。その真摯でひたむきな姿勢は、お客さまや仲間からの厚い信頼へとつながっています。
※ 記載内容は2025年8月時点のものです
