地域の課題に主体的に関わりたい
──まずは、簡単に自己紹介をお願いできますか?
2020年4月に、木更津支店からの異動で五井支店の配属となりました。五井支店では主に法人のお客さまへの融資や、経営課題に対する支援のご提案を行っています。担当は法人渉外で、法人のお客さまがお取引の大半ではありますが、お取引先の従業員の皆さまに個人向け保険や投資信託、各種ローンなどのご提案も行っています。
私は生まれが木更津市で、大学進学まではずっと木更津で暮らしていたのですが、内房線で5駅の五井にはほとんど馴染みがありませんでした。木更津は歴史が長い大企業がいくつか存在し、さらに小さな企業も多数あるのですが、五井の場合は比較的歴史の浅い中規模の企業がたくさんあるところに地域経済の特徴があります。
──今の仕事について教えていただけますか?
銀行によっても、また営業担当者によっても働き方のスタイルは違いますが、私たちちば興銀はお取引先の課題に対するソリューションを提案することに力を入れていますので、コンサルタント的な志向が強いといえるかも知れません。
課題解決そのものが営業成績に直結するとは限りませんが、お客さまから信頼していただければ、長期的にお付き合いいただける可能性も高まります。地方銀行にとって、地域経済の課題を解決するお手伝いをすることは、優先順位の高い役目だと思いますし、課題に主体的に関わる機会をいただければいただけるほど、私もいろいろなソリューションをご提案できるようになります。やりがいのある仕事だという思いは、年々強くなってきていますね。
100回の失敗よりも1回の成功を喜ぶ
──なぜ銀行で働きたいと思うようになったのですか?
実家は祖父の代から自営業で、自動車やバイク、自転車などの修理業を営んでいました。父が祖父の跡を継ぎ、母も経理を手伝っていたので、まさに家族操業です。信用金庫や信用組合から融資を受けており、ちば興銀との取引もありましたし、何度もあった苦しい時期を地元の金融機関に支えてもらっていたのは間違いありません。詳しいことはわからないまでも、3年ほど前に病気で他界するまで、父は資金繰りに悪戦苦闘していました。
ただ、父はいつも明るい口調で、信組や信金の担当者とのやり取りを話していましたから、銀行をパートナーと考え、良いイメージを抱いていたのだと思います。事業を営む上で銀行との付き合いが重要だということは、私も子供心に肌身で感じていたような気がします。
銀行で働きたいと考え始めたのは、大学生の時です。経営学部で経営管理や労務管理、生産管理などを学ぶうちに、地元の銀行で働きたいと思うようになり、千葉県内の地方銀行を第一志望として就職活動をしました。なかでもちば興銀の会社説明会の時に、人事担当の方の印象が圧倒的に良くて、「若いころから大きい仕事を任せてもらえますよ」と聞いたのが強く印象に残っていました。規模でいえば他行よりも小さくても、できたらここに入りたいと思ったので、採用してもらえて嬉しかったですね。
生まれ育った千葉には強い思い入れがあります。私は食べることが大好きなのですが、生まれ育った木更津では新鮮で美味しい魚介類がすぐに手に入ります。それに、私は都会にずっといるとどうしても息苦しくなってしまいますが、かといってあまりに不便な場所では生活も楽ではないと思います。木更津や市原は空が広く息苦しさを感じませんし、都市部の便利さもあり、暮らしやすい場所だと思います。大学生の時は多摩地域で一人暮らしをしていて、すっかりホームシックになってしまったので、千葉に戻って地域のために働きたいと思うようになりました。
元々働くことが好きで、高2から木更津の居酒屋でバイトをしていましたし、大学生の頃はサークルにもいかずに居酒屋2店を掛け持ちでバイトしていました。厨房の仕事も好きでしたし、ホールでお客さんと話すのも大好きでした。
2店のうち、創業間もないお店の店長さんは、大学生の私でも経営の一角として見てくれて、売上を増やすための工夫を任せてくれましたし、ノルマも設定されていました。「追加の一杯、デザート一皿でも多く頼んでもらうためにはどうすればいいか、意識しながらやってね」といつも言われていたので、大変ではありましたけど嬉しく感じていました。期待して任せてくれるのは今の職場と一緒で、私にとっては働きやすく楽しい環境です。
──入行されてからの経歴について教えてください。
2015年4月に入行し、蘇我支店に配属となりました。預金業務を学んだ後、10月からは融資業務の担当となりました。当初は担当顧客を持たずに、先輩方の案件の書類整理をしながら法人渉外のイロハを学び、同時に個人のお客さまにも電話で営業をしていました。
電話での営業は、すでに口座をお持ちの方やお取引のある方だけですが、うまくいかないことがほとんどです。ただ私は、けんもほろろになってもあまりくじけない気質です。うまくいかなかったことや大多数のトライよりも、ご提案をお聞き入れていただいた少数のお客さまの印象が上回るタイプなので、心が折れるということはありませんでした。わりとこの仕事に向いている性格なのかも知れません。
ただ、法人のお客さまへの外回り営業を始めたのは、蘇我支店の事情もあり2018年3月と、ほぼ3年かかりました。110人いる同期の中でも遅い方で、焦りや悔しさも抱えていました。翌月の4月に地元の木更津支店に異動となり、そこから本格的に法人渉外担当となりました。
──法人渉外での具体的な経験やエピソードを教えてください。
木更津には漁師町特有の気質があり、初めて耳にした人には言葉が荒く感じられることもあるようですが、言葉に裏表がなく親切な方が多い地域です。これは五井にもいえることですが、メガバンクの支店もあまりないため、地元の地銀や信用組合を非常に大事にしてくれる雰囲気があります。
ただ、当時は26歳で、1人で営業に行ってすぐに信頼していただけるとは思えなかったので、先輩についていってイチから勉強させてもらいました。どういう提案をしているのか、こういう依頼を受けた時はどんな書類が必要なのかなどを、先輩のそばで覚えることができました。
「忘れられない経験」を胸に
──これまでの業務で、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
木更津に土地勘もあるためか、地域のお客さまの課題も少しずつ見えてくるようになりました。ある会社で、事業が拡大する中で明らかに土地が手狭になっていることが、私の目にも明らかに思えたところがありました。お話ししてみると、実際に土地も探しているけど、不動産会社から上がってくる候補地になかなか事業とマッチするところがない、ということでした。
当行はもちろん不動産業の免許を持っているわけではないので、土地の売買や仲介をすることはできません。ただ、当行のお客さまに、相続はしたけどご本人には使い道のない土地や建物があり、売りたいと思っている方がいる、などといった情報はいくつもあります。
それらは不動産業者の方々も知り得ないものですが、そのうちの一件が土地をお探しのお客さまの事業にマッチしているのではないかと思えてアテンドしたところ、まさにぴったりだと喜んでいただけました。そのお客さまは別の地銀がメインバンクだったのですが、こういうふうに動いてくれたのはちば興銀さんだけだと、融資のお申し込みもしてくださいました。
今もよくその会社の前を通るのですが、ますます事業を拡大されていて順調そのものです。地元でお目にかかると「あの時土地を見つけてくれたことで、佐久間さんには感謝しかないんだ」とおっしゃってくださいますし、私も絶対に忘れられない経験となっています。
──五井支店でのご経験を教えてください。
2020年4月からは現在の五井支店に配属となりました。今はどの業種、どの企業でも人材の確保に苦戦していますが、五井の企業も同様です。担当しているある企業では、高齢の従業員の方々の退職が迫っていて、若い世代の採用が急務になっていましたが、求人サービスやエージェントなどに何度も費用を払って募集をかけても応募がない状態でした。
40代の社長さんから「人が集まらないんだよね」とお話を聞き、「会社のホームページの診断を受けられてはいかがでしょう」とご提案しました。求人サイトで見て興味を持っても、会社のホームページに何らかの問題があれば、若い方ほどなかなか応募してこないだろうと考えたからです。その会社に伺うたびに、とても良い雰囲気の職場だと感じていましたので、求人の入口をしっかりと整備すれば必ず応募が増えるはずだという確信もありました。
診断を行う会社をご紹介して見てもらったところ、やはりいくつかの問題点が浮上しました。診断に沿ってホームページを改良したところ、すぐに複数の応募があり、とても良い人材を確保することができたとのことでした。求人サービスにかけていた経費が大幅に削減できたことにも、喜んでいただけました。
ほかにも、ある建設業の会社の社長さんには、原価管理のご提案をさせていただきました。そこの会社では案件の受注は多くあったものの、利益率が上がらない状況が続いていました。銀行から原価管理体制づくりの支援の提案が来るとは思っていなかったとのことで、非常に驚かれましたが、何度も会ってお話をしたり、数字と突き合わせたりすることで課題が見えていましたので、このようなご提案ができました。
──この仕事のやりがいや魅力を教えてください。
業界でもここまで地域密着型コンサルティングを行う銀行はまだまだ少数派だと思いますが、お客さまに伴走しながら課題を探し、課題解決をご提案するのは、とてもやりがいのある仕事です。当行だけで解決できることは多くありませんし、直接の利益にならないケースもありますが、かなりの部分まで自己裁量でやらせてもらえるところにちば興銀の特色があると感じています。地域の中で地銀が果たせる役割は、これからもっと大きくなっていくのではないかと思っています。
怖れずに踏み出すことで成長できる
──最後に、地域に根ざした銀行で働くことに関心を持つ学生や求職者の方へ、メッセージをお願いします。
就職活動中の学生さんのあいだでは、銀行の人気が低下していると聞きますが、私はこの仕事がとても好きです。私もまだまだ経験が浅いので、正直言って正解を持ってご提案しているわけではなく、自分の目で見て頭で考えて、最適解を探りながら試行錯誤しています。
結局は数をこなしていくしかないのですが、やればやるほどご提案の手札は確実に増えますし、手札と手札の組み合わせ方も見えてきます。物怖じせずに踏み出すことで成長スピードが速まりますし、どんどんやりがいも大きくなっていきますね。
どこの地銀も地域貢献への思いは強く持っていると思いますが、ちば興銀は地域貢献への思いがひときわ強く、地元との密着度も高い銀行だと胸を張って言えます。多くの方が抱いている銀行のイメージとは、かなり違う職場だと思いますね。地域と人が好きで、誰かの役に立つことに喜びを感じることができる方には、ぜひ興味を持っていただきたいと思います。
※ 記載内容は2024年6月時点のものです
取材・撮影 柳瀬徹
