美術館に行ったらついつい寄ってしまうミュージアムショップ。最近では単に美術館や展示のグッズを販売しているだけではなく、アートにまつわるグッズを販売するショップも増えています。東京・六本木にある国立新美術館のショップ「スーベニアフロムトーキョー(通称SFT)」は、そんなグッズ販売だけでなく、店舗メンバーで店内企画展を開催するユニークなお店です。
どんな人がはたらくお店なのか?お店のメンバーにインタビューしました。
──ショップ名「スーベニアフロムトーキョー」の由来は?
直訳すると「東京からのお土産」。ただの美術館ショップではなく、東京的視点で新しいデザインやアートをお届けします、という意味が込められています。古いものと新しいもの、スターデザイナーと無名アーティスト、エレガントなものとジャンクなもの―あらゆるものがひとつの街の中で渾然一体となっている東京。さまざまな人やモノが集まる東京のように、知名度やジャンルにとらわれることなく新しいデザインやアート、購入して持ち帰り身近で楽しむことのできるプロダクトなどをセレクトして紹介しています。具体的にはアートブック、ポストカード、漫画、作家のうつわ、アクセサリー、洋服、文房具、花瓶などのインテリア、郷土玩具のような民芸品まで本当にさまざまです。
──いわゆる“ミュージアムショップ“と違うところはありますか?
働くメンバーが実際に展示の企画や商品のセレクトを行っています。自分たちが推すものをそのままの熱量でお客様にお届けする。その新鮮さがお店の魅力です。
──展示はこれまでどんなものを開催してきたんですか?
日本の郷土玩具展、うつわ展、紙のプロダクト展示、食品サンプル(?!)の展示など。多岐に渡りますが、日本のつくり手や伝統工芸、いわゆるフロムトーキョー、フロムジャパンなもの・ひと・ことに焦点を当てて企画することが多いです。
──展示の企画~展示まで、どんなふうに作っているんですか?
まずはメンバーが展示会や陶器市へ足を運び、SFTというお店を紹介しながら作家さんと直接対話を重ねることから始まります。あらためて作品への想いを伺うのはもちろん、将来の展望や一度に制作できる量といった現実的な側面まで、お互いのめざす方向が一致しているかをじっくりと擦り合わせていきます。作家さんによって制作期間はさまざま。伺ったお話の内容や美術館の展示の客層など、全体のバランスを見極めながら開催時期を決定。テーマなどの根幹部分は作家さんの意向を尊重しつつ、具体的なイメージや商品を固めていきます。販売に向けた商品登録や販促物の準備、広報活動などはすべて私たち自身で行い、設営も作家さんと2人三脚。時には高所作業や力仕事も伴いますが、全員で力を合わせることで、素晴らしい企画をつくり上げていきたいと考えています。
──すごい!いわゆるバイヤーのようなお仕事もお店メンバーでやっているんですね。
そうなんです。日々の雑談では、好きなものやよく見るSNS、ご当地お菓子の話などの情報交換でワイワイ盛り上がっているんですが、その流れでおすすめのつくり手さんやクリエイターさんの話につながることも。休館日の火曜を利用してメンバーで視察旅行に出ることもあります。最近だとみんなで金沢に行ってきました!
──メンバーの日々のお仕事はどんな内容ですか?
販売・接客 / 担当商材の販売計画(発注仕入れ、ディスプレイ、在庫管理) / 担当商材のPOPUP企画・運営 / 展示設営 / レジオープン・クローズ / オンライン出荷
仕事に慣れてきたら、商品企画ミーティングに参加してもらい、新商品の提案や、いろいろな企画の提案をすることができるようになります。自分の推しているヒトやモノ、自分がやりたいと思っていた企画を計画し「カタチ」にできることは、メンバーたちの楽しみのひとつです。
──1日の流れを教えてください。
10:00 出勤・朝礼・開店
10:00〜 担当カテゴリーの商品発注・商品管理
11:00~ 店頭での接客対応
14:00 お昼休憩
15:00〜 担当カテゴリーの商品発注・商品管理
16:00~ 接客応対
18:00〜 閉店・クローズ作業
*シフト制のため予定は前後します
──大変な業務はありますか?
美術館で人気の展示が始まるとびっくりするぐらいお客様が増えて忙しくなります。 商品の回転が早くなるのに反して、店頭にいることが多くなり、作業に入れる時間が減ってしまう。そういった時のスケジュール管理がとても難しいです。困った時には助け合うことのできるメンバーたちなので、検品や作業時間を譲り合うなど工夫しながら、毎回繁忙期を乗り越えています。
──今後、SFTで挑戦したいことはありますか?
2027年、SFTは20周年を迎えるのでそこに向けて「どんな企画をやりたい!」「この機会にここ変えよう!」など、今まさにメンバーと意見交換しています。長く関わっている作家さんやお取引先さまも多く、この数年で周年イベントを開催した方々の事例も参考に、これまでのつながりを大事にしながら自分たちの「やりたい!」が詰まったSFTにさらにパワーアップしていきたいです。
20年という長い歴史がありながらも、お店のメンバーの企画力で進化し続けるSFT。
気になった人は、まずお店に足を運んでみてください。
